妻に不倫された俺がなぜか義兄に甘々なお世話されちゃってます

波木真帆

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番外編

巧巳からの話※

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新居に足を踏み入れてそのまま明るい太陽の光が差し込んでくる窓際で、巧巳の甘い声を聞きながらたっぷりと愛し合い、今は寝室の広いベッドで裸で抱き合いながら、巧巳の可愛い寝顔を見つめる。

これほど幸せな時間はないだろう。

どれだけ見つめていても飽きないほど、私の心も身体も巧巳を求めているのがわかる。

「ああ、巧巳……愛してる」

まだ巧巳が由夏の恋人だったあの日から、何万回と心の中で何度も呟いた言葉を、今は堂々と伝えることができる幸せを噛み締めながら、呟くと腕の中の巧巳が身動いだ。

もう少し寝かせようと思っていたのに、起こしてしまったか……悪いことをしてしまった。

もう一度眠りに誘われれば……と思ったが、巧巳の美しい瞳が私を映した。

「あっ、ゆうすけ、さん……」

「悪い、起こしてしまったな。身体は辛くないか?」

「だいじょうぶです……」

「そうか。飲み物でも飲もうか?」

その言葉に巧巳がパッと顔を赤らめたのは、私との行為の間中、甘い嬌声をたっぷりと聞かせてくれていたのを思い出したからだろう。

「だ、いじょうぶだから、いまは、そばにいてください……」

「わかった。ずっとそばにいるよ。私は巧巳を絶対に離さないからな」

「嬉しい……っ」

折れそうなほど細い腰をギュッと抱きしめると、巧巳の方からも私の胸元に顔を擦り寄せてピッタリと隙間なく抱きついてくれた。

「あの、このままで……聞いてほしい話があるんです……」

「どうした?」

「俺……佑介さんに話さないといけないことがあって……」

「大事な話か?」

「はい。ずっと言おう言おうと思っていたんですけど……なかなか言い出せなくて……」

そんなにも言いづらい話しか……。
顔をみせては話せない内容と言えば、思いつくのはそれしかないが、まさかそれはないだろう。
だって、たった今、絶対に離さないと言った私を嬉しいと言ってくれたのだから。

だが、どんな話なのか……。

気になるが聞くのも怖い。

それでも聞かなければどう対処することもできない。
大丈夫。私たちはもう離れられないと巧巳もわかってくれているはずだ。

「大丈夫だよ。ゆっくり話してくれ」

心の動揺を隠して、冷静に伝えると巧巳は深呼吸で息を整えてからゆっくりと口を開いた。

「俺、辞めようと思うんです。佑介さんと一緒にいたいから……」

「えっ?」

「あ、でも重荷になるつもりは全くなくて、でも今のままじゃ離れ離れになることも多くて、それで……」

「巧巳、ちょっと待ってくれ。ゆっくり冷静に話を聞かせてくれないか? 巧巳は何を辞めるつもりなんだ?」

「えっ、あっ! そっか……すみません。つい、焦ってしまって……あの、俺……今の会社を辞めようと思ってるんです」

「今の会社を? でも、あの仕事は好きだったんじゃないのか?」

「好きでしたけど、月の半分くらいは出張で全国を回らないといけないし、海外に長期出張に行くこともありますし、そうなったら、佑介さんと離れ離れになってしまいます。俺……それはもう、耐えられないんです。だから、出張がない部署に異動させてもらおうと上司に話したんですけど、無理だと言われてしまって……」

そうか、そういうことだったか。
会社としては巧巳は営業成績がトップだから、内勤に回すわけにはいかないだろうな。
だが、私と一緒にいたいから仕事を辞めようとまで思ってくれるなんて……。

「仕事を辞めて後悔はしないのか?」

「はい。俺には、佑介さんと一緒にいられないことの方が後悔します」

「そうか、ならよかった」

「えっ? どういう意味ですか?」

「ずっと巧巳を私の会社にヘッドハンティングしたいと思っていたんだ。でも今の仕事が好きそうだったから、巧巳から仕事を奪いたくないと思っていた。でも巧巳がそう言ってくれるのなら、私はもう我慢しない。私の方から、頼む。公私共に私のパートナーになってほしい」

「佑介さん……」

「どうだ?」

「はい! お願いします!!」

「ああ、よかった!! じゃあ、これからは外では私は社長だぞ」

「ふふっ。はい、社長……」

「くっ――!!」

巧巳からの社長呼びに一気に興奮してしまう。

「――っ、佑介さんっ、これ……」

「ああ、もう巧巳が可愛すぎるからだ。このままもう一度だけ……」

「ああっ!!」

すっかり昂ってしまったモノを巧巳の腹に擦り付けると、それだけで感じてくれる。

本当に私たちは相性抜群だな。

これからは毎日巧巳と一緒だ。
本当にもう一生離さないよ。
愛してる、巧巳。
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