8 / 10
番外編
巧巳からの話※
しおりを挟む
新居に足を踏み入れてそのまま明るい太陽の光が差し込んでくる窓際で、巧巳の甘い声を聞きながらたっぷりと愛し合い、今は寝室の広いベッドで裸で抱き合いながら、巧巳の可愛い寝顔を見つめる。
これほど幸せな時間はないだろう。
どれだけ見つめていても飽きないほど、私の心も身体も巧巳を求めているのがわかる。
「ああ、巧巳……愛してる」
まだ巧巳が由夏の恋人だったあの日から、何万回と心の中で何度も呟いた言葉を、今は堂々と伝えることができる幸せを噛み締めながら、呟くと腕の中の巧巳が身動いだ。
もう少し寝かせようと思っていたのに、起こしてしまったか……悪いことをしてしまった。
もう一度眠りに誘われれば……と思ったが、巧巳の美しい瞳が私を映した。
「あっ、ゆうすけ、さん……」
「悪い、起こしてしまったな。身体は辛くないか?」
「だいじょうぶです……」
「そうか。飲み物でも飲もうか?」
その言葉に巧巳がパッと顔を赤らめたのは、私との行為の間中、甘い嬌声をたっぷりと聞かせてくれていたのを思い出したからだろう。
「だ、いじょうぶだから、いまは、そばにいてください……」
「わかった。ずっとそばにいるよ。私は巧巳を絶対に離さないからな」
「嬉しい……っ」
折れそうなほど細い腰をギュッと抱きしめると、巧巳の方からも私の胸元に顔を擦り寄せてピッタリと隙間なく抱きついてくれた。
「あの、このままで……聞いてほしい話があるんです……」
「どうした?」
「俺……佑介さんに話さないといけないことがあって……」
「大事な話か?」
「はい。ずっと言おう言おうと思っていたんですけど……なかなか言い出せなくて……」
そんなにも言いづらい話しか……。
顔をみせては話せない内容と言えば、思いつくのはそれしかないが、まさかそれはないだろう。
だって、たった今、絶対に離さないと言った私を嬉しいと言ってくれたのだから。
だが、どんな話なのか……。
気になるが聞くのも怖い。
それでも聞かなければどう対処することもできない。
大丈夫。私たちはもう離れられないと巧巳もわかってくれているはずだ。
「大丈夫だよ。ゆっくり話してくれ」
心の動揺を隠して、冷静に伝えると巧巳は深呼吸で息を整えてからゆっくりと口を開いた。
「俺、辞めようと思うんです。佑介さんと一緒にいたいから……」
「えっ?」
「あ、でも重荷になるつもりは全くなくて、でも今のままじゃ離れ離れになることも多くて、それで……」
「巧巳、ちょっと待ってくれ。ゆっくり冷静に話を聞かせてくれないか? 巧巳は何を辞めるつもりなんだ?」
「えっ、あっ! そっか……すみません。つい、焦ってしまって……あの、俺……今の会社を辞めようと思ってるんです」
「今の会社を? でも、あの仕事は好きだったんじゃないのか?」
「好きでしたけど、月の半分くらいは出張で全国を回らないといけないし、海外に長期出張に行くこともありますし、そうなったら、佑介さんと離れ離れになってしまいます。俺……それはもう、耐えられないんです。だから、出張がない部署に異動させてもらおうと上司に話したんですけど、無理だと言われてしまって……」
そうか、そういうことだったか。
会社としては巧巳は営業成績がトップだから、内勤に回すわけにはいかないだろうな。
だが、私と一緒にいたいから仕事を辞めようとまで思ってくれるなんて……。
「仕事を辞めて後悔はしないのか?」
「はい。俺には、佑介さんと一緒にいられないことの方が後悔します」
「そうか、ならよかった」
「えっ? どういう意味ですか?」
「ずっと巧巳を私の会社にヘッドハンティングしたいと思っていたんだ。でも今の仕事が好きそうだったから、巧巳から仕事を奪いたくないと思っていた。でも巧巳がそう言ってくれるのなら、私はもう我慢しない。私の方から、頼む。公私共に私のパートナーになってほしい」
「佑介さん……」
「どうだ?」
「はい! お願いします!!」
「ああ、よかった!! じゃあ、これからは外では私は社長だぞ」
「ふふっ。はい、社長……」
「くっ――!!」
巧巳からの社長呼びに一気に興奮してしまう。
「――っ、佑介さんっ、これ……」
「ああ、もう巧巳が可愛すぎるからだ。このままもう一度だけ……」
「ああっ!!」
すっかり昂ってしまったモノを巧巳の腹に擦り付けると、それだけで感じてくれる。
本当に私たちは相性抜群だな。
これからは毎日巧巳と一緒だ。
本当にもう一生離さないよ。
愛してる、巧巳。
これほど幸せな時間はないだろう。
どれだけ見つめていても飽きないほど、私の心も身体も巧巳を求めているのがわかる。
「ああ、巧巳……愛してる」
まだ巧巳が由夏の恋人だったあの日から、何万回と心の中で何度も呟いた言葉を、今は堂々と伝えることができる幸せを噛み締めながら、呟くと腕の中の巧巳が身動いだ。
もう少し寝かせようと思っていたのに、起こしてしまったか……悪いことをしてしまった。
もう一度眠りに誘われれば……と思ったが、巧巳の美しい瞳が私を映した。
「あっ、ゆうすけ、さん……」
「悪い、起こしてしまったな。身体は辛くないか?」
「だいじょうぶです……」
「そうか。飲み物でも飲もうか?」
その言葉に巧巳がパッと顔を赤らめたのは、私との行為の間中、甘い嬌声をたっぷりと聞かせてくれていたのを思い出したからだろう。
「だ、いじょうぶだから、いまは、そばにいてください……」
「わかった。ずっとそばにいるよ。私は巧巳を絶対に離さないからな」
「嬉しい……っ」
折れそうなほど細い腰をギュッと抱きしめると、巧巳の方からも私の胸元に顔を擦り寄せてピッタリと隙間なく抱きついてくれた。
「あの、このままで……聞いてほしい話があるんです……」
「どうした?」
「俺……佑介さんに話さないといけないことがあって……」
「大事な話か?」
「はい。ずっと言おう言おうと思っていたんですけど……なかなか言い出せなくて……」
そんなにも言いづらい話しか……。
顔をみせては話せない内容と言えば、思いつくのはそれしかないが、まさかそれはないだろう。
だって、たった今、絶対に離さないと言った私を嬉しいと言ってくれたのだから。
だが、どんな話なのか……。
気になるが聞くのも怖い。
それでも聞かなければどう対処することもできない。
大丈夫。私たちはもう離れられないと巧巳もわかってくれているはずだ。
「大丈夫だよ。ゆっくり話してくれ」
心の動揺を隠して、冷静に伝えると巧巳は深呼吸で息を整えてからゆっくりと口を開いた。
「俺、辞めようと思うんです。佑介さんと一緒にいたいから……」
「えっ?」
「あ、でも重荷になるつもりは全くなくて、でも今のままじゃ離れ離れになることも多くて、それで……」
「巧巳、ちょっと待ってくれ。ゆっくり冷静に話を聞かせてくれないか? 巧巳は何を辞めるつもりなんだ?」
「えっ、あっ! そっか……すみません。つい、焦ってしまって……あの、俺……今の会社を辞めようと思ってるんです」
「今の会社を? でも、あの仕事は好きだったんじゃないのか?」
「好きでしたけど、月の半分くらいは出張で全国を回らないといけないし、海外に長期出張に行くこともありますし、そうなったら、佑介さんと離れ離れになってしまいます。俺……それはもう、耐えられないんです。だから、出張がない部署に異動させてもらおうと上司に話したんですけど、無理だと言われてしまって……」
そうか、そういうことだったか。
会社としては巧巳は営業成績がトップだから、内勤に回すわけにはいかないだろうな。
だが、私と一緒にいたいから仕事を辞めようとまで思ってくれるなんて……。
「仕事を辞めて後悔はしないのか?」
「はい。俺には、佑介さんと一緒にいられないことの方が後悔します」
「そうか、ならよかった」
「えっ? どういう意味ですか?」
「ずっと巧巳を私の会社にヘッドハンティングしたいと思っていたんだ。でも今の仕事が好きそうだったから、巧巳から仕事を奪いたくないと思っていた。でも巧巳がそう言ってくれるのなら、私はもう我慢しない。私の方から、頼む。公私共に私のパートナーになってほしい」
「佑介さん……」
「どうだ?」
「はい! お願いします!!」
「ああ、よかった!! じゃあ、これからは外では私は社長だぞ」
「ふふっ。はい、社長……」
「くっ――!!」
巧巳からの社長呼びに一気に興奮してしまう。
「――っ、佑介さんっ、これ……」
「ああ、もう巧巳が可愛すぎるからだ。このままもう一度だけ……」
「ああっ!!」
すっかり昂ってしまったモノを巧巳の腹に擦り付けると、それだけで感じてくれる。
本当に私たちは相性抜群だな。
これからは毎日巧巳と一緒だ。
本当にもう一生離さないよ。
愛してる、巧巳。
1,312
お気に入りに追加
1,656
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな?
そして今日も何故かオレの服が脱げそうです?
そんなある日、義弟の親友と出会って…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる