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旦那たちのリモート会議
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『何? プレゼント交換会?』
リュカが毎日の報告に部屋にやってきて早々その話を出してきた。
『はい。ユヅルさまと日本のご友人方でそのようなお話が出ているようです』
『なるほど。そのメンバーはあのメッセージグループみんなか?』
『はい。実はそれに私も加えていただいているのです』
『何? リュカも?』
『はい。ですから、私もなんだか楽しみになってしまって……』
そう楽しげに話すリュカに警備隊副隊長の姿は微塵もない。
ふふっ。
このようなところにジョルジュも惹かれたのだろうな。
ユヅルとミシェル、そしてケイト、リオ、ソラとシュウゴだったか、さらにリュカ……。
なるほど、みんな夫側のプレゼント交換会というわけか。
それならまぁ悪くはないな。
『それでユヅルはどんなものを贈るつもりなのだ?』
『それが……ユヅルさまはご友人方に贈り物をされた経験がないようで困っていらっしゃるように見受けられました』
『そうか……確かにそうだな』
『お揃いでアクセサリーを身につけるのも楽しそうと仰っておられましたが』
『何? アクセサリー? それはダメだ』
『その点も踏まえて、一度セルジュさまや日本のご友人方とご相談された方が良いのではないですか?』
『そうだな……。すぐに手配しよう。お前も仲間に入っているのなら内容は知らぬ方がいいだろう? 会議にはジョルジュに参加するように言ってくれるか?』
『はい。ではそのように申し伝えます』
そう言って、リュカは部屋を出て行った。
私はすぐにセルジュを呼び、アヤシロたちとのリモート会議を設定するように指示を出した。
どうやら、セルジュもミシェルからプレゼント交換会の話を聞いて困っているところだったようだ。
翌日には各々の時間を合わせて数十分ではあるが、全員参加でリモート会議が決行された。
「今日は会議に参加してくれたことに感謝する。まずは私の友人たちを紹介しよう」
そう言って、私はセルジュとジョルジュを紹介した。
ジョルジュがパリ警視庁の警備隊長だというと驚いていたが、割と気さくな話し方をするジョルジュにアヤシロたちは安堵の表情を浮かべたように見えた。
「次はアヤシロ。友人達を紹介してくれ」
そういうと、アヤシロはユウキとミヅキの二人を紹介してくれた。
どちらもアヤシロと変わらぬ美形だ。
さすが親友だけのことはある。
そして、もう一人、急遽追加になったミヅキの知人だという男はスオウと言って、日本の警察庁に勤めるエリート官僚なのだそうだ。
スオウはジョルジュと知り合えたことが嬉しいようで、目を輝かせていた。
ふふっ。私よりもジョルジュと出会えたことを喜ぶとはなんとも珍しいが、それもまた楽しいな。
「あの、ロレーヌ総帥には挙式の件で大変お世話になり……」
「ああ、その話は今はいい。どうせもうすぐ会えるのだ。その時にでもゆっくりするとしよう。それに其方たちがきてくれるおかげで、私もユヅルが喜ぶ式をあげられるのだから、私にも好都合だったんだ。だから気にすることはない」
「はい。ありがとうございます」
このミヅキという男、爽やかで好印象だな。
あのクリスマスも何も知らないという、リオの伴侶だったか。
リオはミヅキに会って幸せになったと思っていたがおそらくミヅキにとってもリオに出会えたことが幸運だったのだろうな。
そんな幸せな様子が表情から滲み出ている。
「時間もないから早速本題に入るが、今回の議題はクリスマスプレゼント交換会についてだ。それぞれ何を贈る予定が決まっているなら教えてくれないか?」
私の言葉に一斉に皆の動きが止まった。
どうやら皆も私と同じように決めかねていたようだ。
やはり相談して正解だった。
「ならば、どのようなものならOKかルールを決めるとしよう。ユヅルはケイトたちにお揃いのアクセサリーにしようと話をしていたが、さすがにアクセサリーは許すわけにはいかない。それは同意見だな?」
「はい。それはもちろんです!!」
いち早く賛同してくれたのはミヅキ。
やはり彼が一番私に似て狭量そうだ。
他の者たちもアクセサリーには難色を示していたから、これは全てダメだということで話は決まった。
「あ、あの……初めての贈り物ですし、それに恋愛感情の全くない純粋な友人に贈るものですから、アクセサリーの類でなけば原則OKということにしませんか?」
そう話したのはこの会議の中で一番年下であろうスオウ。
彼についての前情報では、シュウゴという伴侶とは幼馴染で1歳からの付き合いだとあった。
なるほど。
彼が一番伴侶と長く過ごしている分、嫉妬も少なそうだな。
決して伴侶が自分以外に向かないことをわかっているという自信からこの発言が出ているのか……。
こんなにも若い彼に年上の我々が狭量だと思われるわけにはいかないな。
「ならばそうするとしよう」
私がそう答えると、セルジュは目を丸くして驚いていた。
そんなに驚くことか? 失礼だな。
そう私が答えたことで他の彼らもその意見に賛同してくれた。
「今日は君たちのおかげで有意義な会議ができて楽しかった。フランスに来た時にはこのメンバーでゆっくり話でもしよう」
そう言って今日の会議は筒がなく終了した。
よし、そうと決まれば、ユヅルを誘ってプレゼントを探しにいくとするか。
ユヅルと出かけるのは楽しみだな。
百貨店の貸切と道路封鎖か……。
まぁジョルジュがいればなんとかなるだろう。
リュカが毎日の報告に部屋にやってきて早々その話を出してきた。
『はい。ユヅルさまと日本のご友人方でそのようなお話が出ているようです』
『なるほど。そのメンバーはあのメッセージグループみんなか?』
『はい。実はそれに私も加えていただいているのです』
『何? リュカも?』
『はい。ですから、私もなんだか楽しみになってしまって……』
そう楽しげに話すリュカに警備隊副隊長の姿は微塵もない。
ふふっ。
このようなところにジョルジュも惹かれたのだろうな。
ユヅルとミシェル、そしてケイト、リオ、ソラとシュウゴだったか、さらにリュカ……。
なるほど、みんな夫側のプレゼント交換会というわけか。
それならまぁ悪くはないな。
『それでユヅルはどんなものを贈るつもりなのだ?』
『それが……ユヅルさまはご友人方に贈り物をされた経験がないようで困っていらっしゃるように見受けられました』
『そうか……確かにそうだな』
『お揃いでアクセサリーを身につけるのも楽しそうと仰っておられましたが』
『何? アクセサリー? それはダメだ』
『その点も踏まえて、一度セルジュさまや日本のご友人方とご相談された方が良いのではないですか?』
『そうだな……。すぐに手配しよう。お前も仲間に入っているのなら内容は知らぬ方がいいだろう? 会議にはジョルジュに参加するように言ってくれるか?』
『はい。ではそのように申し伝えます』
そう言って、リュカは部屋を出て行った。
私はすぐにセルジュを呼び、アヤシロたちとのリモート会議を設定するように指示を出した。
どうやら、セルジュもミシェルからプレゼント交換会の話を聞いて困っているところだったようだ。
翌日には各々の時間を合わせて数十分ではあるが、全員参加でリモート会議が決行された。
「今日は会議に参加してくれたことに感謝する。まずは私の友人たちを紹介しよう」
そう言って、私はセルジュとジョルジュを紹介した。
ジョルジュがパリ警視庁の警備隊長だというと驚いていたが、割と気さくな話し方をするジョルジュにアヤシロたちは安堵の表情を浮かべたように見えた。
「次はアヤシロ。友人達を紹介してくれ」
そういうと、アヤシロはユウキとミヅキの二人を紹介してくれた。
どちらもアヤシロと変わらぬ美形だ。
さすが親友だけのことはある。
そして、もう一人、急遽追加になったミヅキの知人だという男はスオウと言って、日本の警察庁に勤めるエリート官僚なのだそうだ。
スオウはジョルジュと知り合えたことが嬉しいようで、目を輝かせていた。
ふふっ。私よりもジョルジュと出会えたことを喜ぶとはなんとも珍しいが、それもまた楽しいな。
「あの、ロレーヌ総帥には挙式の件で大変お世話になり……」
「ああ、その話は今はいい。どうせもうすぐ会えるのだ。その時にでもゆっくりするとしよう。それに其方たちがきてくれるおかげで、私もユヅルが喜ぶ式をあげられるのだから、私にも好都合だったんだ。だから気にすることはない」
「はい。ありがとうございます」
このミヅキという男、爽やかで好印象だな。
あのクリスマスも何も知らないという、リオの伴侶だったか。
リオはミヅキに会って幸せになったと思っていたがおそらくミヅキにとってもリオに出会えたことが幸運だったのだろうな。
そんな幸せな様子が表情から滲み出ている。
「時間もないから早速本題に入るが、今回の議題はクリスマスプレゼント交換会についてだ。それぞれ何を贈る予定が決まっているなら教えてくれないか?」
私の言葉に一斉に皆の動きが止まった。
どうやら皆も私と同じように決めかねていたようだ。
やはり相談して正解だった。
「ならば、どのようなものならOKかルールを決めるとしよう。ユヅルはケイトたちにお揃いのアクセサリーにしようと話をしていたが、さすがにアクセサリーは許すわけにはいかない。それは同意見だな?」
「はい。それはもちろんです!!」
いち早く賛同してくれたのはミヅキ。
やはり彼が一番私に似て狭量そうだ。
他の者たちもアクセサリーには難色を示していたから、これは全てダメだということで話は決まった。
「あ、あの……初めての贈り物ですし、それに恋愛感情の全くない純粋な友人に贈るものですから、アクセサリーの類でなけば原則OKということにしませんか?」
そう話したのはこの会議の中で一番年下であろうスオウ。
彼についての前情報では、シュウゴという伴侶とは幼馴染で1歳からの付き合いだとあった。
なるほど。
彼が一番伴侶と長く過ごしている分、嫉妬も少なそうだな。
決して伴侶が自分以外に向かないことをわかっているという自信からこの発言が出ているのか……。
こんなにも若い彼に年上の我々が狭量だと思われるわけにはいかないな。
「ならばそうするとしよう」
私がそう答えると、セルジュは目を丸くして驚いていた。
そんなに驚くことか? 失礼だな。
そう私が答えたことで他の彼らもその意見に賛同してくれた。
「今日は君たちのおかげで有意義な会議ができて楽しかった。フランスに来た時にはこのメンバーでゆっくり話でもしよう」
そう言って今日の会議は筒がなく終了した。
よし、そうと決まれば、ユヅルを誘ってプレゼントを探しにいくとするか。
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