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楽しいクリスマスを
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「ユヅル、ちゃんとユヅルの思いは伝わってる。こうして、身体を繋いで愛し合ってることが何よりの証拠だろう? ユヅルは夫夫にもならない相手とこんなに深く身体を繋ぎ合うのか?」
絶対に違うとわかってそんな質問を投げかける。
案の定、ユヅルは顔を真っ赤にして否定してくれた。
私はユヅルの否定に嬉しくなりながらも尚も、はっきりと言葉にする。
「ユヅルと夫夫として一生を共にする気持ちがあって、ユヅルとこうやって愛し合ってる。私はユヅル以外を夫にする気などないよ」
ほんの少しでも離れていたくなくて、日本からユヅルを連れ出した。
同性婚のできるこのフランスで我々が正式に夫夫として、社会的に認められるようにしたんだ。
それくらい、法律で縛ってでもユヅルと離れたくなかった。
この部屋でユヅルと最奥で繋がった時、途轍もない衝撃を感じた。
それはきっと一生を共にし、愛する人との交わりだから感じたのだろう。
今の私はユヅル以外で性的衝動を感じることすらなくなってきている。
それでいい。
全ての愛をユヅルだけに捧げるのだから。
不安げな表情を浮かべていたユヅルの顔が明るくなっていく。
私の思いが通じたようだ。
良かった。
自分の勘違いを素直に謝るユヅルだが、謝ってもらう必要など何もない。
リュカやジュールの目の前でユヅルがどれほど私を愛してくれているのか、見せつけることができたのだから。
そう言ってやると、ユヅルは一気に顔を赤らめた。
きっとあの時はリュカやジュールがいることを忘れてしまっていたのだろう。
それくらい、私に思いを告げようと必死だったのだ。
それだけでたまらなく嬉しい。
日本人は人前で愛を告げるのを恥じらう人種らしい。
きっとユヅルもそうなのだろう。
そんな可愛いユヅルが喜ぶ報告をしてやろう。
「実は、もうすでにユヅルと結婚式を挙げようと計画をしていたところだ」
ユヅルはその言葉に目を丸くして驚いていたが、私は続けざまにその計画が、あのアヤシロの友人との合同結婚式なのだと告げた。
アヤシロとケイトくん、そして友人たちカップルが2組、追加であと1組友人がくるとの連絡があった。
部屋も3部屋から4部屋に変更することになったが、なんの支障もない。
「クリスマス前にきて1週間ほど滞在する予定になっている。結婚式はクリスマスだぞ」
フランスに来て初めてのクリスマスに結婚式を挙げる。
それはユヅルにとっても、もちろん私にとってもかけがえのない大切な思い出になることだろう。
そういうと、ユヅルは満面の笑みを浮かべて
「初めてのクリスマスプレゼントがこんなに嬉しいことだなんて思ってなかったです」
と目を輝かせた。
だが、私には衝撃すぎた。
まさか、ユヅルが一度もクリスマスプレゼントをもらっていなかったなんて。
しかも誕生日プレゼントもなかったのだという。
あれほどケーキを楽しみにしていた理由が今ようやくわかった。
大きなイベントの唯一の楽しみがあのケーキだったんだ。
アマネとの過ごした時間は確かに幸せだっただろう。
互いに相手を思いやり、貧しくとも何かしてあげようという優しさに溢れていた。
だが、それでも幼い子どもには辛かったに違いない。
聞けば、今度フランスで結婚式を挙げるアヤシロの友人の大切な伴侶も、クリスマスも誕生日も何も知らずに孤児院で過ごしたと言っていた。
しかも、かなり厳しい境遇にいたと聞いた。
きっと彼にもプレゼントなどなかったのだろう。
だから、アヤシロの友人はこの時期の挙式を望んだのだろう。
彼が一生伴侶のサンタクロースとなって幸せに過ごさせるように……。
アヤシロと、その友人のおかげでユヅルの辛い思い出を払拭できそうだ。
今年のクリスマスは私の人生を賭けて素晴らしいものにしてやろう。
ユヅルと、そして素晴らしい友人のために……。
ーアヤシロ。準備は進んでいるか?
ーああ。ロレーヌ。バッチリだよ。観月も悠木も楽しみにしてる。そうそう、彼らの恋人たち。揃って大検に受かったんだ。その祝いもそっちでしようと思ってる。
ーああ、そうだったな。ユヅルが言っていたよ。勉強を始めてそんなに経ってないんだろう? すごいじゃないか。ユヅルもその報告聞いてさらにフランス語の勉強を頑張っているよ。どうやら触発されたらしい。
ーいい傾向だな。お互いに力となる友人がいるのは心強いものだからな。
ー確かにそうだな。アヤシロの伴侶とその友人たちならユヅルの友人としても安心だからな。本当にいい友人ができて喜んでるよ。
ーそっちには友人は?
ーああ、セルジュの恋人と、あとはユヅルの専属護衛と仲良くしてるよ。
ー専属護衛?
ーフランス警視庁に我が家専用の警備隊がいるんだが、そこの副隊長をユヅルの専属護衛にしているんだ。
ーさすがロレーヌ家。羨ましいよ。俺も佳都に護衛をつけたいがなかなかな。GPSでチェックするくらいだな。
ーそうか。だがあのGPSは素晴らしいよ。あれをジュエリーにつけられないか頼んでくれないか?
ーそういうと思ってもう作ってるよ。そっちに行ったら渡すよ。あとはそれを好きなものにつけたらいい。
ーおお、さすがだな! お礼はいくらでも言ってくれ。
ーいや、今回のフランス行きで余るくらいだよ。プライベートジェットも貸してくれて助かってる。
ーふふっ。そうか、ならフランスの旅を楽しんでくれ。
ーああ。楽しみにしているよ。
やっぱりいい友人だな、アヤシロは。
ああ、こんなにクリスマスを待ち遠しく思うなんて……初めてだな。
絶対に違うとわかってそんな質問を投げかける。
案の定、ユヅルは顔を真っ赤にして否定してくれた。
私はユヅルの否定に嬉しくなりながらも尚も、はっきりと言葉にする。
「ユヅルと夫夫として一生を共にする気持ちがあって、ユヅルとこうやって愛し合ってる。私はユヅル以外を夫にする気などないよ」
ほんの少しでも離れていたくなくて、日本からユヅルを連れ出した。
同性婚のできるこのフランスで我々が正式に夫夫として、社会的に認められるようにしたんだ。
それくらい、法律で縛ってでもユヅルと離れたくなかった。
この部屋でユヅルと最奥で繋がった時、途轍もない衝撃を感じた。
それはきっと一生を共にし、愛する人との交わりだから感じたのだろう。
今の私はユヅル以外で性的衝動を感じることすらなくなってきている。
それでいい。
全ての愛をユヅルだけに捧げるのだから。
不安げな表情を浮かべていたユヅルの顔が明るくなっていく。
私の思いが通じたようだ。
良かった。
自分の勘違いを素直に謝るユヅルだが、謝ってもらう必要など何もない。
リュカやジュールの目の前でユヅルがどれほど私を愛してくれているのか、見せつけることができたのだから。
そう言ってやると、ユヅルは一気に顔を赤らめた。
きっとあの時はリュカやジュールがいることを忘れてしまっていたのだろう。
それくらい、私に思いを告げようと必死だったのだ。
それだけでたまらなく嬉しい。
日本人は人前で愛を告げるのを恥じらう人種らしい。
きっとユヅルもそうなのだろう。
そんな可愛いユヅルが喜ぶ報告をしてやろう。
「実は、もうすでにユヅルと結婚式を挙げようと計画をしていたところだ」
ユヅルはその言葉に目を丸くして驚いていたが、私は続けざまにその計画が、あのアヤシロの友人との合同結婚式なのだと告げた。
アヤシロとケイトくん、そして友人たちカップルが2組、追加であと1組友人がくるとの連絡があった。
部屋も3部屋から4部屋に変更することになったが、なんの支障もない。
「クリスマス前にきて1週間ほど滞在する予定になっている。結婚式はクリスマスだぞ」
フランスに来て初めてのクリスマスに結婚式を挙げる。
それはユヅルにとっても、もちろん私にとってもかけがえのない大切な思い出になることだろう。
そういうと、ユヅルは満面の笑みを浮かべて
「初めてのクリスマスプレゼントがこんなに嬉しいことだなんて思ってなかったです」
と目を輝かせた。
だが、私には衝撃すぎた。
まさか、ユヅルが一度もクリスマスプレゼントをもらっていなかったなんて。
しかも誕生日プレゼントもなかったのだという。
あれほどケーキを楽しみにしていた理由が今ようやくわかった。
大きなイベントの唯一の楽しみがあのケーキだったんだ。
アマネとの過ごした時間は確かに幸せだっただろう。
互いに相手を思いやり、貧しくとも何かしてあげようという優しさに溢れていた。
だが、それでも幼い子どもには辛かったに違いない。
聞けば、今度フランスで結婚式を挙げるアヤシロの友人の大切な伴侶も、クリスマスも誕生日も何も知らずに孤児院で過ごしたと言っていた。
しかも、かなり厳しい境遇にいたと聞いた。
きっと彼にもプレゼントなどなかったのだろう。
だから、アヤシロの友人はこの時期の挙式を望んだのだろう。
彼が一生伴侶のサンタクロースとなって幸せに過ごさせるように……。
アヤシロと、その友人のおかげでユヅルの辛い思い出を払拭できそうだ。
今年のクリスマスは私の人生を賭けて素晴らしいものにしてやろう。
ユヅルと、そして素晴らしい友人のために……。
ーアヤシロ。準備は進んでいるか?
ーああ。ロレーヌ。バッチリだよ。観月も悠木も楽しみにしてる。そうそう、彼らの恋人たち。揃って大検に受かったんだ。その祝いもそっちでしようと思ってる。
ーああ、そうだったな。ユヅルが言っていたよ。勉強を始めてそんなに経ってないんだろう? すごいじゃないか。ユヅルもその報告聞いてさらにフランス語の勉強を頑張っているよ。どうやら触発されたらしい。
ーいい傾向だな。お互いに力となる友人がいるのは心強いものだからな。
ー確かにそうだな。アヤシロの伴侶とその友人たちならユヅルの友人としても安心だからな。本当にいい友人ができて喜んでるよ。
ーそっちには友人は?
ーああ、セルジュの恋人と、あとはユヅルの専属護衛と仲良くしてるよ。
ー専属護衛?
ーフランス警視庁に我が家専用の警備隊がいるんだが、そこの副隊長をユヅルの専属護衛にしているんだ。
ーさすがロレーヌ家。羨ましいよ。俺も佳都に護衛をつけたいがなかなかな。GPSでチェックするくらいだな。
ーそうか。だがあのGPSは素晴らしいよ。あれをジュエリーにつけられないか頼んでくれないか?
ーそういうと思ってもう作ってるよ。そっちに行ったら渡すよ。あとはそれを好きなものにつけたらいい。
ーおお、さすがだな! お礼はいくらでも言ってくれ。
ーいや、今回のフランス行きで余るくらいだよ。プライベートジェットも貸してくれて助かってる。
ーふふっ。そうか、ならフランスの旅を楽しんでくれ。
ーああ。楽しみにしているよ。
やっぱりいい友人だな、アヤシロは。
ああ、こんなにクリスマスを待ち遠しく思うなんて……初めてだな。
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