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番外編
爆弾発言
しおりを挟むそういえば、祐悟と悠真は一緒にサウナに入ったことがあるんだったと思い出し、それを知ったら伊織が怒るだろうなと思って思いついたお話です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side祐悟>
「そういえば、祐悟さんと砂川さんって、一緒にサウナに入ったことがあるんですよね?」
「えっ?!」
二週間ぶりに航と一緒に西表に戻ってきて、ちょうど同じタイミングで砂川のところに来ていた安慶名さんと一緒に夕食でもと誘ったが、あいにく今日は<チムガナサン>は定休日。
ということで我が家で夕食を振る舞っている最中に、突然航がそんな爆弾をぶっ込んできた。
「へぇ……悠真と、サウナに、ですか? その話、聞いてませんでしたね。詳しく伺ってもいいですか?」
「え、いや……」
にっこりと笑顔を見せながら尋ねてくる安慶名さんだが、目の奥が笑っていないのがわかる。
確かに以前、一緒に入ったことはあるが砂川に対して良からぬ思いを抱いたことは一度だってないと断言できる。だが、適当なことを言って誤魔化される相手でもない。さて、どうしようか……。
「なんだか、楽しそうですね。なんの話ですか?」
キッチンに氷をとりに行っていた砂川が笑顔で戻ってきて、安慶名さんの隣にピッタリと腰を下ろした。
どうやら少し酔っているようだ。俺と二人の時は絶対に酔っ払ったりしないが、安慶名さんが一緒だと少しガードが緩くなる。それほど安慶名さんを信頼しているということなのだろうが、こんな時の砂川は余計なことを言い出しそうで少々面倒くさい。
「悠真が倉橋さんと一緒にサウナに入ったことがあるという話ですよ。本当ですか?」
「社長と、サウナ? ええ、本当ですよ」
砂川が笑顔で答えると、安慶名さんの眉がぴくっと動いたのがわかった。
おそらくそれに気づいたのは俺だけだろう。これ以上余計な話をされても困る。
「いや、その……ちょっと……」
「あの時は社長のモノが見えてびっくりしましたよ。こんな大きなモノを持ってる人がいるんだって」
「ちょ――っ、砂川っ!」
「倉橋さん、どういうことですか? もしかして裸で?」
「あ、いや……そういうわけでは……」
ちらっと航に目を向けると、俺に寄りかかって眠っているのが見える。
どうやら間違えて俺の酒を飲んでしまったらしい。だからあんなことを言い出したのか……。
はぁーっ。航が酔っ払っていたことに気づいていなかった俺の落ち度だな。
航を横にさせて俺の膝に頭を乗せ、近くに置いていたブランケットを航にかけた。
そして、ゆっくりと安慶名さんに視線を向け、ある提案を持ちかけた。
「実は、一時期サウナにはまってフィンランドから樽型のバレルサウナを取り寄せて、ここの風呂の隣に設置したんですよ」
「へぇ。それは知りませんでした」
「サウナ、興味ありますか?」
「ええ。でも行ったことはないですね」
「それなら、今から入りませんか? 砂川、お前は酔ってるからやめとけ。ここで航を見ておいてくれ」
砂川は少し残念そうにしていたが、眠っている航を見て素直に了承してくれた。
「じゃあ、安慶名さん。いきましょうか」
安慶名さんを連れて奥の風呂場の隣にあるサウナルームに連れて行った。
「これに着替えてください」
ガウンタイプのサウナウェアを手渡すと、
「ああ、なるほど……何となくわかりました」
と笑われた。
「さすがですね。で、どうします? 本当に入りますか?」
「ええ。せっかくなので、入らせてください。その時のことも聞かせてくださいよ」
さっきよりは表情がだいぶ和らいでいる。さすが安慶名さん、俺が言いたいことをわかってくれたようだ。
なんとなく対抗心のようなものが働いたのか、安慶名さんは堂々と服を脱ぎ始めた。
まぁ、ここで恥ずかしがって隠すほどのものじゃない。俺も堂々と服を脱ぐと自然とお互いのモノに目がいった。それは男としての性というものなのかもしれない。
結論から言うと、安慶名さんのモノはかなり逞しく、長さといい太さといい、俺とほぼ変わらないだろう。
いや、あくまでも通常サイズの話だが。それでも安慶名さんはホッとしているように見えた。
砂川が俺の大きさをいまだに覚えているとは思っていなかったが、砂川にしてみれば愛しい男のモノ以外はなんの興味もない、ただのぶら下がったモノという認識しかないだろう。だが、やはり安慶名さんとしては気になるところに違いない。
俺だって、航が安慶名さんや他の男のモノの大きさを知っていて、俺が気づかない間に大きいだの、小さいだの比べていたらと思うとあまりいい気はしないからな。
ガウンを着て、サウナに入ると一気に暑さが押し寄せてくる。
「五分くらいにしておきましょうか」
「そうですね」
二人で向かい合わせに座り、サウナストーンに水をかけると一気に湿度が上がる。
その中で俺はあの日のことを話し出した。
「うちにサウナを付けたって言ったら砂川が入りたいと言い出しましてね。今まで興味はあったみたいなんですが、親から大勢の人が入る温泉施設は禁止されていたようで、機会に恵まれなかったと言ってたんです。大学時代に砂川と会った時からいろんなタイプに狙われるやつだと思っていたので、そういうところに足を踏み入れずに過ごせていたことにはホッとしたんですが、ここでサウナに入れなければ、他に行ってしまうかもしれないと思って、仕方なく入れたんですよ」
「なるほど。お義母さんたちが悠真に言い含めておいてくれたんですね」
「ええ、あの兄弟は自分たちがどれだけ目立つタイプかを気にしてないですからね。それで、ここのサウナに入れたんですが、最初は一人で入ってもらうつもりだったんですよ。でもやり方がわからないからってことで押し切られるように一緒に入って……。普段は一人で入ってたので脱ぎ着しやすいガウンタイプしか用意がなくて、仕方なく二人で今の私たちみたいに入ったんですが、砂川に何かあっては困ると砂川の方ばかりに気を取られていたせいか、ガウンの隙間から自分のモノが見えていたことに全然気づかなくて……」
「それで悠真に見られたと……」
「すみません。でも本当に意図して見せたわけではないんですよ」
「ガウンの時点でそういうことかとは予想してましたよ。でも、このガウンを私も着てわかりました。汗が出てもすぐに吸収してくれますね。悠真の汗でウェアがピッタリ張り付いたりしていたら……と思っていたんですがそれがなくてホッとしました」
どうやらサウナを体験してもらったことが功を奏したようだ。
誤解も解けたところで風呂場とシャワールームに分かれて水浴びをし、我が家でのサウナ体験を終えた。
「でも、サウナ。本当に気持ちがいいですね」
「そうでしょう?」
「ええ。悠真との家にはサウナルームをつけることにします」
その言葉通り、二人の愛の巣にはしっかりとサウナルームが完備されていた。
すっかり気に入った砂川が、平松くんと名嘉村くんをサウナに誘い、八尋さんと松川くんが焦っていたのはまた別の話。
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これ、爆弾発言をしたのが航くんでなければタコ殴りされてましたね😅💦
爆弾投下した犯人はスヤスヤと気持ちよく夢の中ですが(笑)
伊織さん、怒らせると倉橋さんも怖がりそうな何かを秘めています(笑)
四葩さま。コメントありがとうございます!
いうだけ言って寝ちゃう航(笑)
でも航をしかったりはしないんですよね。祐悟は。
伊織は悠真が関わると怖そうですからね。無事に誤解が解けてよかったです✨
今日はこの時間何がえ来るかな…って思ってたらとうとうこれが来た(笑)。
祐悟お兄ちゃんにゃんこ2人に見られてるんですよね。
真琴くんはこの回じゃない時に3人で入ってるって事で、悠真くんのハマりっぷりが目に浮かぶ。
で、伊織さん初体験は祐悟と一緒に(爆笑)。
友人とお風呂はユウさんだったしね(恋人達も一緒だったけど)。
サウナでにゃんこ会、春山このんが来たらまたお誘いされるんだろうな。
いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
ふふ🤭夜に気分転換に色々書いてますがとうとうこれを書いてみました。
気になってましたよねぇ〜。私も気になってました(笑)
綺麗系ニャンコ二人に見られて両方にでかいって言われちゃう祐悟のモノ。さすが旦那ですよねぇ。
でもサウナ大好きになっちゃったんで、危険防止のためにも新居に設置は必要ですね。
家にあれば他で行こうとは言わないでしょうし。
伊織の初体験は祐悟って、ここだけ聞くとウケますね(笑)
そうですね、可愛いニャンコは率先して誘う悠真なんで春山くんも必ず誘われますねwww
四葩さま。コメントありがとうございます!
ふふ🤭悠真にとっては可愛い弟と連絡が取れないのは一大事ですからね。まだ伊織とも出会う前ですし。支えられるのは祐悟だけの状態ですから、大変だったと思います(笑)
仕事柄、自分のテリトリーは守る必要があるので、ユウの近くにいたらGPSは妨害されますよね。
確かにこのシステム……もしかしたらシンさんだったり?
平良のおばあちゃんの力は凄まじいものがありますよね。
それくらい信頼されているのもすごいですね。