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会議での悪戯

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ぐっすりと眠り込んでしまった航をソファーに寝かせ服を脱がせて温かいタオルで身体を拭ってやりながら、航の蕾を確認した。

昨日やりすぎたせいで少し赤くなっているが、切れたり腫れたりはしていないようだ。
よく解しておいて本当によかった。
とりあえず薬を塗っておこうと指に薬をつけそっと撫でると、『んんっ……』と可愛らしい声が聞こえた。

それだけで息子が滾ってしまうが、昨日あれだけしたのに今日もとなると確実に航を専属秘書という話は流れるだろう。
指一本触れるなと言われたばかりだしな。
砂川はやると決めたら絶対にやる男だ。
俺がどんなに許しを乞うても情けなど一切通用しない。
それがわかっているから俺は必死に息子を躾ながら、航に俺のTシャツを着せた。

そうそう、航が寝巻きにしていると言っていたあの体育着。
あれは実によく似合っていたが、父親と上下分けて着ていると前に話していたな。
その時は仲が良い親子で微笑ましいとさえ思っていたが、あんな話を聞いた後でははらわたが煮え繰り返る思いがする。
航には悪いが、もうあの体育着を着せることはできないな。

あんな男と揃いの服を着ていると言うだけで虫唾が走るのだから許してくれ。
その代わり航には俺の服をきてもらうからな。

航には着せようとして汚してしまって捨てたと言っておくとしよう。
あんなもの航が大事に持っておくと思うだけでも嫌になる。


航がソファーから落ちないようにクッションで固めてから、俺は自分の寝室へと向かった。
昨日航と愛を確かめ合ってからそのままになってしまっていたシーツを剥ぎ取り、新しいシーツを綺麗に敷き直した。

ソファーに寝ていた航を寝室に移し、俺は剥ぎ取ったシーツを洗濯乾燥機に放り込んだ。
これで朝には綺麗になっているはずだ。

いつもなら汚れたシーツは洗う気にもならずそのまま捨ててしまうのだが、このシーツは航と初めての夜を過ごしたシーツ。
この大切な思い出を捨てる気にはなれず、綺麗に洗って東京の自宅へと持って帰るつもりだ。
航と2人で寝るためにもうすでに手配済みの新しいベッドにこのシーツを敷いて、東京の自宅での初夜もこのシーツで過ごすことにしよう。

ははっ。自分がこんな乙女チックな考えを持っていたことに驚いてしまうな。
本当に蓮見や浅香に知られたら一生笑われそうだ。
もちろん砂川にも秘密だな、これは。


翌朝目を覚ますと、航は俺の身体にピッタリと寄り添って気持ちよさそうに眠っていた。
まるでパズルのピースのように隙間なくくっついている航の姿に、俺たちは一生離れることはないのだと悟った。

航をギュッと抱きしめると、寝ているというのに嬉しそうな微笑みを見せる。
じんわりと心が温かくなるのを感じながら、俺はゆっくりと航を起こした。

『ううーん』と眠そうな声をあげ、まだ重そうな瞼を開けると航の瞳に俺が映った。
航が起きて初めて見たものが俺だと思うだけで嬉しくなる。
ああ、俺は本当に変わってしまったな。

まだ寝ぼけたままの航におはようのキスにしては少し深いキスを送り、完全に目が覚めたところに
『おはよう』と言ってやると、顔を真っ赤にしながらも『おはよう』と言ってくれた。

スーツを着せようとして昨日の朝、航のスーツをクリーニングに出していたことを思い出した。
急いで取りに行くからとクリーニング店に連絡しようとスマホを見ると、砂川からのメッセージが届いていた。
こんな朝から何事だ? とメッセージを開くと

<伝え忘れていましたが、社長がお出しになった藤乃くんのスーツを玄関クロークにおいておりますのでご確認ください>

と書かれていた。

いつの間に……と驚きながらクロークを確認すると、クリーニングの袋から出され綺麗にブラシをかけられた航のスーツがそこにあった。
ふぅ……。
こういうところが俺が一生砂川に勝てないところなんだよな。
砂川の気遣いにどれほど助けられているか……あいつがいなければ、俺が東京と西表の仕事を掛け持ちなどできなかったからな。

砂川に感謝しながら、俺は航を着替えさせ食事を取らせた。

昨日一日ゆっくり休んだおかげか顔色の良くなった航を抱きかかえて俺は会社へと向かった。

航の姿を見て目を細めた砂川はにこやかな笑顔で航に声を掛ける。
航が『大丈夫です、今日からまた頑張ります』と返事をして頭を下げた瞬間、さっきまでのにこやかな笑顔が一転、俺を睨み始めた。

しまった……。
こっそりキスマークをつけたことがバレたか。
あいつは本当にめざといな。

砂川の突き刺さるような視線を無視して、航を社長室へと連れて行き、昨日の続きとしてまたファイルを見ておくようにと伝えると、航は仕事を与えられたのが本当に嬉しいと言わんばかりに笑顔でファイルに向き合っていた。

社長室での仕事が一段落したところで、砂川がそろそろ会議だと呼びにきた。
俺の集中力が切れそうだったから、航を連れて会議に参加することにした。
航にはこれからの勉強のために一緒に会議に参加してくれと言ったら、すぐに了承してくれた。
ふふっ。航が傍にいてくれるなら今日の会議はかなり捗りそうだな。

航を俺の席の隣へと座らせ、椅子をピッタリとくっつける。
これで航を充電しながら会議ができる。
うん、良いシステムだ。

航は役員たちに囲まれ注目されるこの席が居心地悪そうだったが、航がこの席にいないのならもう会議はする気にはならない。

「離れている方が心配で会議が進まないから、ここにいてくれた方がいい。なぁ、砂川?」

絶対に反対するなよのオーラを出しながらそう尋ねると、砂川は諦めたように笑って

「はいはい、それでいいですよ。藤乃くん、申し訳ないが、そこにいてください。
会議を円滑に進めるには藤乃くんが隣にいてくれた方が良さそうです。
大丈夫です、誰も気にしませんから」

と言ってくれ、他の役員たちも砂川が認めてくれるのだから反対の声など出るはずもなく、航をピッタリと隣においたまま会議は始まった。

会議をしながらふと隣にいる航に目をやると、会議資料に目を向ける航のその真剣な眼差しに唆られる。
だが、俺以外に集中している姿を見るのはなんとなく悔しい気がしないでもない。
少しは俺のことを考えてほしい。
ただそれだけの気持ちで、俺はちょっとした悪戯を航に仕掛けた。

会議に集中しながら、俺は航の手や足、そして腰に手を這わせた。
俺との夜からすっかり敏感になっている航の身体は服越しにでも俺の手の感触を覚えてくれているようだ。

「ちょ――っ、社長!」

小声で注意してくる航の声を無視して、少し反応しかかっている航のモノにズボンの上から撫でてみると、

「――っ、なっ――!やぁ……っ」

と可愛らしい声をあげた。
その反応があまりにも可愛くて、俺は撫でる手の動きを速めてやると、航の頬はどんどん紅潮しながら声を出さないように必死に悶え続ける。
ああ、可愛すぎる。
もう少しだけ、もう少しだけ……と思っていると、航が俺の耳元にこっそりと口を寄せ、

「しゃ、ちょう……やめてください」

と涙声で頼んでくる。
まるで痴漢もののエロ動画のようなそのシチュエーションに一瞬にして息子が昂った。
俺が悪戯していたはずだったのに、航からのその破壊力のある一言に俺は撃沈してしまったんだ。
俺は悪戯していた手をさっと離し、昂った息子を必死に鎮めにかかった。

一瞬会議室中がしんと静寂に包まれたが、俺は息子を鎮めるのに必死で周りがよく見えていなかった。
砂川の大きな咳払いの音で、我にかえり会議はその後無事に終了した。

砂川は会議が終わるとすぐに航のそばにやってきて、
『藤乃くん、お疲れさまでした。初めての会議は大変だったでしょう。ですが、藤乃くんがいると社長のやる気が違いますからこんなに早く会議が終わりましたよ。ありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね』と笑顔で労いの言葉をかけたが、俺には般若のような顔つきで、

「社長!! ちょっと・・・・よろしいですか? いろいろと・・・・・お聞きしたいことが!!」

と言って、俺を会議室の外へと連れ出した。
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