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優しい人たち
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「真琴、何が食べたい?」
「僕、これがいいです」
目の前に並べられた料理を見て、砂川くんの恋人さん……ユウさんがすぐに砂川くんに尋ねると、砂川くんは食べたいものを告げた。すると、ユウさんがさっと箸で掴み食べさせる。それがとても自然に見えた。
あの事件が解決してからすぐにお付き合いが始まったって言ってたから、恋人になってもう二ヶ月以上経ってるんだ。
だからかな、僕と慎一さんよりずっとずっと距離が近く見える。
僕も二ヶ月くらい経ったら砂川くんたちみたいになれるのかな。
砂川くんはまだ僕が箸をつけていないのを見て美味しいから食べてみてと勧めてくれる。
だから僕は思い切って慎一さんに言ってみた。
「あの、慎一さん……これ、食べたいです」
「――っ! ああ、あーんして」
僕がお願いした瞬間、慎一さんが嬉しそうに笑って食べさせてくれた。
その笑顔がとっても可愛くて僕は食べさせてもらった喜びも大きかったけれど、慎一さんのそんな表情を間近でみられたことが嬉しかった。
それからも僕がお願いするたびに嬉しそうに食べさせてくれるのが幸せで、ついついたくさんお願いしちゃったけれど慎一さんはずっと嬉しそうに見えた。途中、慎一さんもちゃんと食べているのか心配になったけれど、僕に食べさせながらもちゃんと食事もしていて驚いた。すごいな、いつ食べてたんだろう……。
「ねぇ、田淵くん。デザート入りそう? ここの抹茶プリンがすごく美味しいんだって」
食事を終えて満足していると、砂川くんがそんなお誘いをしてくれた。
慎一さんのおかげですっかりプリン好きになってしまった僕は抹茶プリンを食べてみたくなった。
だけど僕が支払うんじゃないのに勝手に注文してもいいのかな?
心配で慎一さんに視線を向けると、
「いいよ、好きなもの選んで」
と優しい言葉を言ってくれた。
嬉しい、やっぱり慎一さんって優しいな。
「真琴、このメニュー見ながら、二人で選んだらいい」
ユウさんからメニューをもらった砂川くんが膝から下りるのをみて、慎一さんも僕を膝から下ろしてくれた。
そして二人で少し離れた場所でゆっくりとメニューを広げて選ぶことになった。
砂川くんはここに何度か来ているみたいで、前に食べて美味しかったものを教えてくれる。
そのどれもが美味しそうでどれを選んだらいいのか悩んでしまう。
「ねぇ、抹茶プリンとは別に、気になるのを二個選んで半分こしようよ。そうしたらプリンも合わせて三種類も食べられるよ」
そんなすごい提案に僕はすぐに了承した。
砂川くんがユウさんに注文してもいいか尋ねると、
「ここから頼めるから好きなだけ頼むといい」
と言って注文用のタブレットを渡してくれた。
それをみながら、僕たちは美味しそうなデザートを注文した。
「田淵くん、すっごく幸せそうでホッとしたよ」
「砂川くんも幸せそうだよ」
「うん。それは自信もって言えるかな。宮古島に行ったのも優一さんを母さんとおばあちゃんに紹介するためだったんだ」
「そっか。じゃあお兄さんにも紹介したの?」
月に一度は必ず東京にやってくるお兄さんは、砂川くんのことをとても可愛がっているから紹介しないわけがない。でも、お兄さんもびっくりしただろうな。可愛がっていた弟に恋人ができて、しかもそれがイケメンさんだなんて。
「うん。実はね、兄さんにも恋人ができてて……しかもね、その恋人さんが優一さんの親友だったんだ」
「えっ? お兄さんの恋人が、ユウさんの親友? ユウさんって女性の親友がいるの?」
「違うよ。兄さんの恋人も男性だったんだ。すごいびっくりでしょう?」
なんだか情報が多すぎて驚くなんてもんじゃない。
兄弟の恋人さん同士が知り合いっていうだけでもすごいのに、お互いに男性の恋人だなんて……。
「お母さんたちからの反対は少しもなかったの?」
「うん。びっくりするくらい賛成してくれたよ。僕も少しは何か言われるかなと思ったんだけどね」
宮古島のお母さんたちのことを何度か話に聞いていたけれど、優しそうな人だったもんな。
ちゃんと子どものことを見てくれてるって感じだったし。頭ごなしに反対なんてしない人なんだな。きっと。
うちなら……どんなに慎一さんがいい人だって言っても、認めてくれそうにない。
だから、もう縁が切れてて良かったのかもしれないな。親に何か言われて慎一さんが傷つくところなんて見たくないもん。
「僕、これがいいです」
目の前に並べられた料理を見て、砂川くんの恋人さん……ユウさんがすぐに砂川くんに尋ねると、砂川くんは食べたいものを告げた。すると、ユウさんがさっと箸で掴み食べさせる。それがとても自然に見えた。
あの事件が解決してからすぐにお付き合いが始まったって言ってたから、恋人になってもう二ヶ月以上経ってるんだ。
だからかな、僕と慎一さんよりずっとずっと距離が近く見える。
僕も二ヶ月くらい経ったら砂川くんたちみたいになれるのかな。
砂川くんはまだ僕が箸をつけていないのを見て美味しいから食べてみてと勧めてくれる。
だから僕は思い切って慎一さんに言ってみた。
「あの、慎一さん……これ、食べたいです」
「――っ! ああ、あーんして」
僕がお願いした瞬間、慎一さんが嬉しそうに笑って食べさせてくれた。
その笑顔がとっても可愛くて僕は食べさせてもらった喜びも大きかったけれど、慎一さんのそんな表情を間近でみられたことが嬉しかった。
それからも僕がお願いするたびに嬉しそうに食べさせてくれるのが幸せで、ついついたくさんお願いしちゃったけれど慎一さんはずっと嬉しそうに見えた。途中、慎一さんもちゃんと食べているのか心配になったけれど、僕に食べさせながらもちゃんと食事もしていて驚いた。すごいな、いつ食べてたんだろう……。
「ねぇ、田淵くん。デザート入りそう? ここの抹茶プリンがすごく美味しいんだって」
食事を終えて満足していると、砂川くんがそんなお誘いをしてくれた。
慎一さんのおかげですっかりプリン好きになってしまった僕は抹茶プリンを食べてみたくなった。
だけど僕が支払うんじゃないのに勝手に注文してもいいのかな?
心配で慎一さんに視線を向けると、
「いいよ、好きなもの選んで」
と優しい言葉を言ってくれた。
嬉しい、やっぱり慎一さんって優しいな。
「真琴、このメニュー見ながら、二人で選んだらいい」
ユウさんからメニューをもらった砂川くんが膝から下りるのをみて、慎一さんも僕を膝から下ろしてくれた。
そして二人で少し離れた場所でゆっくりとメニューを広げて選ぶことになった。
砂川くんはここに何度か来ているみたいで、前に食べて美味しかったものを教えてくれる。
そのどれもが美味しそうでどれを選んだらいいのか悩んでしまう。
「ねぇ、抹茶プリンとは別に、気になるのを二個選んで半分こしようよ。そうしたらプリンも合わせて三種類も食べられるよ」
そんなすごい提案に僕はすぐに了承した。
砂川くんがユウさんに注文してもいいか尋ねると、
「ここから頼めるから好きなだけ頼むといい」
と言って注文用のタブレットを渡してくれた。
それをみながら、僕たちは美味しそうなデザートを注文した。
「田淵くん、すっごく幸せそうでホッとしたよ」
「砂川くんも幸せそうだよ」
「うん。それは自信もって言えるかな。宮古島に行ったのも優一さんを母さんとおばあちゃんに紹介するためだったんだ」
「そっか。じゃあお兄さんにも紹介したの?」
月に一度は必ず東京にやってくるお兄さんは、砂川くんのことをとても可愛がっているから紹介しないわけがない。でも、お兄さんもびっくりしただろうな。可愛がっていた弟に恋人ができて、しかもそれがイケメンさんだなんて。
「うん。実はね、兄さんにも恋人ができてて……しかもね、その恋人さんが優一さんの親友だったんだ」
「えっ? お兄さんの恋人が、ユウさんの親友? ユウさんって女性の親友がいるの?」
「違うよ。兄さんの恋人も男性だったんだ。すごいびっくりでしょう?」
なんだか情報が多すぎて驚くなんてもんじゃない。
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「お母さんたちからの反対は少しもなかったの?」
「うん。びっくりするくらい賛成してくれたよ。僕も少しは何か言われるかなと思ったんだけどね」
宮古島のお母さんたちのことを何度か話に聞いていたけれど、優しそうな人だったもんな。
ちゃんと子どものことを見てくれてるって感じだったし。頭ごなしに反対なんてしない人なんだな。きっと。
うちなら……どんなに慎一さんがいい人だって言っても、認めてくれそうにない。
だから、もう縁が切れてて良かったのかもしれないな。親に何か言われて慎一さんが傷つくところなんて見たくないもん。
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