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新しい一歩を踏み出そう
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朝目覚めると、夜中に激しい運動をしたからか少し疲れはしていたけれど、頭はものすごくすっきりしていた。
これが心身ともに満たされてるってことなのかな……。
ふと気づくと隣で寝ていたはずの涼平さんはベッドにいなかった。
もう起きているのかな?
寝室を出てリビングへ向かうと美味しそうな匂いにお腹が『グゥー』と鳴ってしまった。
「ふふっ。おはよう。朝陽、君のお腹は相変わらず正確だな」
お腹の音が聞かれたことが恥ずかしかったけれど、それよりも目の前に広がる美味しそうな朝食に目を奪われてしまっていた。
「おはよう、涼平さん。すごいっ! 美味しそうっ!」
「ふふっ。今日から初仕事だからスタミナつけておかないとな。さぁ、顔を洗っておいで」
朝からあんな豪華な朝食を食べさせてもらって、お腹いっぱいだ。
あんなに美味しい鰻を食べたのも初めてだし。
でも、すごく美味しかった。
こんな贅沢いいのかな? って思ったけれど、
『うちの事務所では初めて入ってきてくれた子にはいつも鰻をご馳走するんだ。
まぁ、験担ぎみたいなものだよ』と言われて納得した。
それだけ期待してくれてるってことだよね!
頑張ろう!! って素直に思えたんだ。
涼平さんの車で『テリフィックオフィス』へと向かう。
今日は在籍している人たちの数人に紹介してもらえるんだ。
なんだかすごく緊張してきた。
急に心配になってきて、両手を握りしめているとそっと涼平さんの大きな手に包み込まれた。
「朝陽。緊張するなって言っても仕方ないことなのかもしれないが、みんなライバルであり、大事な仲間なんだ。
心配することはない。朝陽はいつもの朝陽を見せたらいい。それでいいんだよ」
涼平さんの手の温もりが俺の心まで温めてくれる。
そうだ。俺は俺のままで突き進むしかない。
「おはようございます!」
元気いっぱいの声で挨拶しながら、事務所に入るといくつもの視線を感じた。
値踏みされてるようなそんな気がしないでもないが、新入りなんだから仕方ない。
気にすることなく、もう一度『おはようございます!』と笑顔を向けると、皆口々に挨拶を返してくれた。
「さぁ、みんな集まってくれ」
その声に目を向けると、浅香さんと西表島で出会った倉橋さんが並んで立っていた。
『すげぇ、浅香マネージャーと倉橋代表、そして蓮見GM。3人が揃っているところなんてなかなか見れないぜ』
『今度の新入りが一目置かれてるってこと?』
『確かに蓮見GM自ら案内してきたしな』
『蓮見GMやたらあの新入りと距離近くない?』
『そうか? まぁ、確かにいつもと違う気もするな』
『なぁ、俺あの新入りどこかで見た気がするんだけど……』
『そりゃあそうだろ。浅香マネージャーは実力のある役者からしかスカウトしないんだから』
『いや、そうじゃなくて……もっと最近……』
『なんだよ、歯切れ悪いなぁ』
『いや、どこだっけか……』
ボソボソと私語が飛び交っているのは俺の話だろうか?
小さくて全然聞こえないけど、同じ業界だしあの話が回っていたりして……。
涼平さんはあの事件のことは大丈夫だって言ってくれたけど、小さな世界だ……もしかしたらここにいる人たちにも知られているのかもしれない。
そうだとしたら最初から悪いイメージついちゃうかもな……。
どうしよう。
「蓮見、南條くんをこっちに」
倉橋さんの声に涼平さんが俺の手を取った。
どうしよう……震えが止まらない。
「朝陽。大丈夫だ」
涼平さんに耳元で囁かれ俺はゴクリと唾を飲み込んで覚悟を決めた。
何言われてもいい。
生まれ変わるって決めたじゃないか!!
心の中で自分に檄を飛ばしながら、俺は一歩踏み出した。
涼平さんに連れられて倉橋さんの隣に立った。
事務所にいる先輩たちのの視線が突き刺さる。
それでも俺は彼らから視線を外すことはしなかったのは逸らしたら負けだと思ったんだ。
俺は絶対にもう逃げない。
「彼は南條朝陽くん。以前は劇団桃花にいたが、今日からうちへ来てくれることになった。
みんな同じ事務所の仲間として切磋琢磨してほしい。さ、南條くん一言」
「は、はい。南條朝陽と申します。15歳の時から劇団桃花で演技の勉強をしておりましたが、今回幸運にも声をかけていただき、この『テリフィックオフィス』の一員として活動することになりました。この事務所の一員として恥ずかしくないような演技ができるよう日々精進して参ります。先輩方、どうぞご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
よしっ、言いたいことは全部言えた。
思いっきり頭を下げると、先輩達の方から拍手が聞こえた。
よかった、受け入れられたんだとホッとして顔を上げると、1人の先輩が険しい目で俺を見ていた。
「……あの、ちょっといいですか?」
「んっ? 中川くん、どうした?」
「あの、彼って……ここにふさわしくないんじゃないですか?」
「それはどういうことだ?」
「だって、こいつ ……劇団桃花の南條っていったら、つい先日強姦魔だって業界で噂になってたやつでしょう?
そんな奴がこの事務所になんて!!
おい、お前! 一体どんな手を使ってこの事務所に入り込んだんだよ!! 強姦魔のくせに許せねぇ!!」
話しながらヒートアップしてきたその先輩は俺に殴りかからんばかりの勢いで突進してきた。
『ひっ!』
殴られる! その恐怖に腕で顔を守ると、『やめろっ!』と大声が響いた。
これが心身ともに満たされてるってことなのかな……。
ふと気づくと隣で寝ていたはずの涼平さんはベッドにいなかった。
もう起きているのかな?
寝室を出てリビングへ向かうと美味しそうな匂いにお腹が『グゥー』と鳴ってしまった。
「ふふっ。おはよう。朝陽、君のお腹は相変わらず正確だな」
お腹の音が聞かれたことが恥ずかしかったけれど、それよりも目の前に広がる美味しそうな朝食に目を奪われてしまっていた。
「おはよう、涼平さん。すごいっ! 美味しそうっ!」
「ふふっ。今日から初仕事だからスタミナつけておかないとな。さぁ、顔を洗っておいで」
朝からあんな豪華な朝食を食べさせてもらって、お腹いっぱいだ。
あんなに美味しい鰻を食べたのも初めてだし。
でも、すごく美味しかった。
こんな贅沢いいのかな? って思ったけれど、
『うちの事務所では初めて入ってきてくれた子にはいつも鰻をご馳走するんだ。
まぁ、験担ぎみたいなものだよ』と言われて納得した。
それだけ期待してくれてるってことだよね!
頑張ろう!! って素直に思えたんだ。
涼平さんの車で『テリフィックオフィス』へと向かう。
今日は在籍している人たちの数人に紹介してもらえるんだ。
なんだかすごく緊張してきた。
急に心配になってきて、両手を握りしめているとそっと涼平さんの大きな手に包み込まれた。
「朝陽。緊張するなって言っても仕方ないことなのかもしれないが、みんなライバルであり、大事な仲間なんだ。
心配することはない。朝陽はいつもの朝陽を見せたらいい。それでいいんだよ」
涼平さんの手の温もりが俺の心まで温めてくれる。
そうだ。俺は俺のままで突き進むしかない。
「おはようございます!」
元気いっぱいの声で挨拶しながら、事務所に入るといくつもの視線を感じた。
値踏みされてるようなそんな気がしないでもないが、新入りなんだから仕方ない。
気にすることなく、もう一度『おはようございます!』と笑顔を向けると、皆口々に挨拶を返してくれた。
「さぁ、みんな集まってくれ」
その声に目を向けると、浅香さんと西表島で出会った倉橋さんが並んで立っていた。
『すげぇ、浅香マネージャーと倉橋代表、そして蓮見GM。3人が揃っているところなんてなかなか見れないぜ』
『今度の新入りが一目置かれてるってこと?』
『確かに蓮見GM自ら案内してきたしな』
『蓮見GMやたらあの新入りと距離近くない?』
『そうか? まぁ、確かにいつもと違う気もするな』
『なぁ、俺あの新入りどこかで見た気がするんだけど……』
『そりゃあそうだろ。浅香マネージャーは実力のある役者からしかスカウトしないんだから』
『いや、そうじゃなくて……もっと最近……』
『なんだよ、歯切れ悪いなぁ』
『いや、どこだっけか……』
ボソボソと私語が飛び交っているのは俺の話だろうか?
小さくて全然聞こえないけど、同じ業界だしあの話が回っていたりして……。
涼平さんはあの事件のことは大丈夫だって言ってくれたけど、小さな世界だ……もしかしたらここにいる人たちにも知られているのかもしれない。
そうだとしたら最初から悪いイメージついちゃうかもな……。
どうしよう。
「蓮見、南條くんをこっちに」
倉橋さんの声に涼平さんが俺の手を取った。
どうしよう……震えが止まらない。
「朝陽。大丈夫だ」
涼平さんに耳元で囁かれ俺はゴクリと唾を飲み込んで覚悟を決めた。
何言われてもいい。
生まれ変わるって決めたじゃないか!!
心の中で自分に檄を飛ばしながら、俺は一歩踏み出した。
涼平さんに連れられて倉橋さんの隣に立った。
事務所にいる先輩たちのの視線が突き刺さる。
それでも俺は彼らから視線を外すことはしなかったのは逸らしたら負けだと思ったんだ。
俺は絶対にもう逃げない。
「彼は南條朝陽くん。以前は劇団桃花にいたが、今日からうちへ来てくれることになった。
みんな同じ事務所の仲間として切磋琢磨してほしい。さ、南條くん一言」
「は、はい。南條朝陽と申します。15歳の時から劇団桃花で演技の勉強をしておりましたが、今回幸運にも声をかけていただき、この『テリフィックオフィス』の一員として活動することになりました。この事務所の一員として恥ずかしくないような演技ができるよう日々精進して参ります。先輩方、どうぞご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
よしっ、言いたいことは全部言えた。
思いっきり頭を下げると、先輩達の方から拍手が聞こえた。
よかった、受け入れられたんだとホッとして顔を上げると、1人の先輩が険しい目で俺を見ていた。
「……あの、ちょっといいですか?」
「んっ? 中川くん、どうした?」
「あの、彼って……ここにふさわしくないんじゃないですか?」
「それはどういうことだ?」
「だって、こいつ ……劇団桃花の南條っていったら、つい先日強姦魔だって業界で噂になってたやつでしょう?
そんな奴がこの事務所になんて!!
おい、お前! 一体どんな手を使ってこの事務所に入り込んだんだよ!! 強姦魔のくせに許せねぇ!!」
話しながらヒートアップしてきたその先輩は俺に殴りかからんばかりの勢いで突進してきた。
『ひっ!』
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