失恋相手に優しく抱かれちゃいました & 無自覚で鈍感な後輩に煽られまくっています

波木真帆

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<side瑛>

大切な人

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「うーん」

あれ? ここって……どこだっけ?
何かにギュッと抱きしめられてる。
んっ?
これって……。

そっと顔を上げると、

「やっと起きたか……」

その口調とは反対に優しげな表情で僕を見下ろしている先輩の姿があった。

「えっ……はっ? えっ? な――っ」

「ははっ。少しは落ち着け」

ギュッと抱きしめられて、服を着ていない先輩の鼓動が直に伝わってくる。

「昨夜のこと、ゆっくり思い出してみろ」

「さ、くや……ああっ!!」

――せめてもの思い出に先輩が一度だけでも僕を抱いてくれたら、僕……仕事辞めるの、辞めます!!

自分がとんでもないお願いをして、ここに連れてこられたことを思い出した。

「思い出したか? 昨日のお前、気持ちよさそうに喘いでたな」

「そんなこと……っ」

――ああっ……! もっと――っ、ああっ……きもちぃ……っ!

先輩のおっきなモノでゴリゴリと奥を突かれておかしくなったように声あげたんだ……。

うわぁ……っ、恥ずかしい……。

「可愛かったな、瑛」

「あのっ、ごめんなさいっ! 僕……とんでもないお願いを……あの、昨日のことは忘れてください!」

「……忘れる?」

「だって、僕……」

「酔った勢いで上司を誘ったのが、カレシにバレたくないって?」

「えっ? か、れし? いえ、そんな……」

「言っておくが、俺は忘れる気なんかないからな」

「えっ、でも……先輩は結婚するって……」

「俺が結婚? 誰に聞いたんだ、そんなガセネタ」

「ガセ……?」

うそっ、でも確かに岬先輩のことだって言ってたのに……。

「あの、H物産の社長の娘さんと会ってたって……」

「ああ、あれか。確かに会ったな」

「やっぱり……」

「うちの上層部に何度大切な人がいるから見合いはできないって伝えても一度だけ会ってくれってうるさいから、直接会って正式に断ってきたんだ。それだけだよ」

「大切な、ひと……」

すぐに結婚はしなくても大切な人はいるんだ……。
じゃあ、やっぱり僕は……。

「はぁーーっ。お前、どこまで鈍感なんだよ?」

「えっ? 僕?」

「いいか、よく聞いておけ。俺はお前が入社してきてからずっとお前にアプローチしてきたつもりだ。お前が一生懸命仕事を頑張ってたから、お前のことも考えて告白する時機を狙ってたんだ。ようやくそろそろかと思って、告白しようとしたら『仕事辞めます』って言われた俺の気持ち、わかるか?」

「――っ、そんな……っ」

先輩が僕のことを?
告白しようと狙ってた?

これ何? 夢?

「それなのにお前は知らない間に他に男作ってたんだな」

「はっ? えっ、他の男? 何、それ。そんなの知らないですっ!」

「だって、お前……あんなに後ろ解れてただろ?」

「う、しろ……? あっ…ちが――っ、それは、自分で――」
「自分で? 自分で弄ってたのか?」

恥ずかしいことを知られて一気に顔が赤くなる。

「瑛、もうここまで話したんだ。ちゃんと話せよ」

「あの、僕……僕も先輩が好きで……でも、受け入れてもらえるって思わなかったから、それで……あの、先輩のサイズのディ、ディルド買って……それ、で慰めてて……」

「俺のサイズの? だけど、俺、お前に見せたことは……」

「あ、いや……その想像で……でも、」

「でも?」

「あの、実物は、想像より数倍おっきくて気持ちよかった、です……」

「ぐっ――!! ああっ、もうっ! お前、わざと煽ってるのか?」

「えっ? 煽る?」

「はぁーーっ。もう、本当お前は……どうして、こんな可愛いんだろうな」

先輩にギュッと抱きしめられると、身体の奥に覚えてる先輩の熱が、刺激が甦ってくる。

「ふふっ。昨夜のを思い出して勃たせてるのか?」

「やっ、だって……先輩が、抱きしめるから……」

「ああ、わかった。ちゃんと責任は取ってやるって」

そういうと、また先輩との甘い時間が戻ってきた。
身体の奥をこれでもかっていうほど擦られて、水のようにサラサラとした精を飛ばした。



「あの、先輩……じゃあ、結婚はしないんですよね? 仕事も辞めないんですよね?」

湯船に浸かって、大きな身体で後ろから抱きしめられながら、一番重要な質問をした。

だって、僕の仕事の活力は先輩の姿を見ることなんだから、それがなくなったらもう仕事もできなくなってしまう。

「まだ言ってるのか。結婚はしないよ。お前以外とはな。あと、ああ、仕事だったか、仕事は辞めるぞ」

「えっ、辞める?」

びっくりしてバシャンと大きな水音を立てながら先輩に身体を向けると、

「ああ、辞めるよ」

「そんな……」

「ふふっ。お前も一緒にな」

「えっ……僕?」

「そうだよ、俺、起業したんだ。そこにお前も連れて行く」

僕も一緒に??
何、これ……どういう展開?

「言っておくが恋人にしたから連れて行くわけじゃないぞ。俺の会社にお前が必要だと思うから連れて行くんだ。来てくれるだろう?」

正直言って新しい会社は不安がないわけじゃない。
でも、先輩がいないなら辞めようと思っていた会社だ。
先輩と一緒にいられるならそっちがいい。

「はいっ! 先輩っ僕を連れていってください!!」

「瑛! お前ならそう言ってくれると思っていたよ」

「先輩……っ」

「瑛……俺たちはこれから新しい会社で頑張る対等な関係だ。もう先輩じゃない。俺のこと、響也と呼んでほしい」

「えっ、でも……」

「ダメか?」

「響也、さん……」

「さんはいらないんだが、まぁ今はそれでいい。瑛……愛してるよ」

チュッと唇を重ねられる。
ああ、僕……こんなに幸せでいいのかな……。



「瑛、お前のおかげで今月も上向きだぞ」

「響也さんの頑張りのおかげですよ」

「瑛……愛しているよ」

「んっ、僕も……響也さんを、愛してます……っ」

事務所内に甘いキスの音が響く。

あの日から1年。
僕たちは今でもラブラブだ。



  *   *   *

なんとか終わりました♡
瑛の勘違い?から始まったお話ですが、もし需要があれば響也視点も書いてみようかな。
需要はあるかな?
読んでいただきありがとうございました!
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