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<side瑛>
涙の失恋
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「ああ、岬先輩……今日もかっこいいなぁ」
受話器を片手にメモを取る姿までさまになっている。
僕の席から見える営業部の岬響也先輩は、入社してから半年間僕の教育係をしてくれていた人だ。
手足が長く日本人離れしたスタイルの良さで、スーツは全てオーダーメイドだと言っていた。
身体にフィットした三揃のスーツを綺麗に着こなす先輩は、その辺の芸能人でも逃げ出してしまうほどキラッキラのイケメン。
僕は入社してから5年間ずっとそんな先輩に恋してるんだ。
でも……この思いをそろそろ終わりにしなければいけない時がとうとうやってきた。
「ねぇ、聞いた? 岬さん、結婚ほぼ決まりだって」
「えーっ、それどこ情報よ!!」
「あのね、H物産に勤めている友達からの情報なんだけど、そこの社長の娘とこの前の日曜日にお見合いしたんだって!」
「えーっ、H物産っていったらかなりの大企業じゃない! うちの取引先の中でもダントツよね?」
「そうそう、あっちがかなりのご執心らしくてかなり話が進んでるみたいよ。うちとしても絶対にこの縁談まとめたいらしくて上層部が頑張ってるって話よ」
「じゃあ、岬さん……H物産の次期社長?」
「まぁそういうことよね」
「えーっ、ショックっ!! 岬さんはそんな肩書なんかに釣られない人だと思ってた」
「でも、うちにいるよりはH物産の社長になった方が手腕も発揮できるじゃない」
「ああー、会社にくる楽しみ無くなるわ」
「本当よねぇ……」
「ねぇねぇ、そういえばさぁ……あのホテルでケーキバイキング始まったってよ。甘いもの食べてさっさと嫌なこと忘れない?」
「さんせーいっ!!!」
先輩が……結婚……。
僕は遠ざかっていく女性社員たちの足音を聞きながら、しばらくの間その場に立ち尽くしていた。
そうだよね。
あんなに素敵な先輩が結婚しないわけないんだ。
H物産の社長の娘さん……あったことはないけど、先輩が選ぶ人だ。
きっと素敵な人なんだろうな。
僕なんか最初から選んでもらえるわけないのに。
何悲しんでるんだろう。
僕が勝手に好きになって、勝手に失恋してるだけ。
ずっと眺めていられたらそれでいいって思ってたじゃないか。
そうだ。
もうすっぱり先輩のことは諦めよう。
潤んだ目を擦り、その場から離れようとしたところで
「松坂、そんなところで何してるんだ?」
「わっ! えっ、あっ、岬先輩……」
突然聞こえてきた先輩の声にパニックになる。
「そんなに焦ってどうしたんだ?」
オタオタする僕を心配そうに見つめてくれる優しい瞳。
教育係をしてくれていた時、ずっと僕を映してくれていたのにな……。
この優しい瞳が映すのは愛しい婚約者さんだけになっちゃったんだ……。
失恋がこんなに辛いものだなんて思わなかった。
さっきまでは先輩の姿が見られて幸せだったのに。
どうして今、あの話聞いちゃったんだろう。
「あ、あの、なんでもないんです……ただぼーっとしちゃって」
「そういえば顔も赤いな。少し目も潤んでるし。風邪かな? 医務室に連れて行こうか?」
「あっ、いえ、だ、大丈夫です」
「本当か?」
スッと先輩の手が伸びてきて僕のおでこに触れる。
「ひゃ――っ」
「ごめん、熱を測ろうと思ったんだけど驚かせたか?」
「い、いえ。あの、大丈夫なんで……」
「熱はないみたいだが……何か、悩みでもあるのか?」
僕の悩みは先輩のことです……そういえたらどんなに楽だろう。
でもそんなこと言えるわけない。
言ったところで先輩を煩わせるだけだ。
そう思っていたのに……。
「悩みなら聞くぞ。今日は接待もないし、夜飲みに行こう」
「えっ、そんな……こんや……」
「今夜? ああ、そうだよ今夜、行こう! なっ」
婚約者さんはいいんですか?
そう聞こうとして聞けなかった。
結局、僕はそのまま断ることもできずに、先輩と二人で飲みにいくことになってしまった。
「いらっしゃいませ。ああ、響也くん。久しぶり」
「大事な話するから個室、いい?」
「ええ、大丈夫よ」
先輩の馴染みの店だと言われて連れて行かれたのはこじんまりした和食屋さんだった。
「さぁ、入って」
先輩に案内されるがまま、奥の個室へと入る。
「あの、ここって……」
「ああ、学生時代にバイトしてた店なんだよ。落ち着ける場所だから大事な人しか連れてこないことにしてるんだ」
「そうなんですね」
あの婚約者さんとはもうここに来たんだろうか……。
すぐにあの話を思い出してしまう。
「食事、何にする?」
「あ、あのおまかせします」
「そう? じゃあ……」
とりあえずビールを呑みながら先輩のおすすめ料理を食べていく。
最初はたわいもない話から始まって、落ち着いてから話を切り出された。
「それで、どうしたんだ? 何かあったのか?」
先輩の結婚が決まって落ち込んでいただけです……。
そんなことお酒の力があってもいえない。
でも、何か言わなきゃ!
先輩がここまでしてくれたのに。
「あの、僕……仕事、辞めようと思って……」
自分の口から思わず出た言葉に自分でも驚いてしまうけど、でも……それが本当の気持ちなのかもしれない。
先輩の姿を毎日見られるだけで幸せだった。
でも、婚約者さんと楽しい時間を過ごしている先輩を想像したくないし、それに先輩も結婚したら会社だって辞めてしまうのなら、先に踏ん切りをつけたほうがいい。
「えっ? 仕事を、辞める……?」
僕の言葉にびっくりしている先輩を見ると心苦しいけれど、でもどうせ先輩も辞めるんだ。
きっと引き留めたりはしない。
いつでも僕の決断を見守っていてくれたんだから。
そうか、なら新しいところでも頑張れよ
そう言ってくれると思ってた。
だけど……
「何があったんだ? お前が仕事辞めようと思うなんて……。誰かに何かされたのか?」
血相を変えた先輩に僕は驚きながら、
「ち、違いますっ!! ただ、このまま続けていく自信がなくなっただけで」
と必死に答えると、
「本当にそれだけか? 俺には本当の理由を話せないのか?」
と強く追及されてしまう。
「先輩……ごめんなさい……」
「松坂とは信頼しあってると思っていたけどな。俺にもいえないことなんだな」
悲しそうにため息をつかれて心が痛む。
考えてみればどうせ辞めるんだ!
最後に全てを晒してもいいんじゃないか?
そんな考えが頭をよぎる。
でも、僕の身勝手な思いを告げて、優しい先輩が罪悪感を持ったりしないかな?
そんなのはダメだ!!
なら、思いっきり振ってもらえたらいいんだ。
僕のことを気持ち悪いって思ってもらえたら先輩が罪悪感を持つことだって無くなるし。
僕のことなんかすぐに忘れるはずだ。
「先輩……じゃあ、話したら……僕のお願い、聞いてくれるんですか?」
「松坂の願いならなんだって聞いてやるよ」
「本当ですか? なら……話します」
僕は目の前にあったジョッキを手に取り、残っていたビールを一気に飲み干して勢いのままに訴えた。
「僕はっ、入社してからずっと先輩のことが好きだったんですっ!! でも、先輩が結婚されるって聞いて悲しくて……仕事にいく気がなくなったんです!」
「――っ、松坂……」
「せめてもの思い出に先輩が一度だけでも僕を抱いてくれたら、僕……仕事辞めるの、辞めます!! でも、無理でしょう? いいんです、わかってますから、だから僕のことは放っといてください!!」
抑えきれない思いが勢いのままに出てしまった。
もう後戻りはできない。
怖くて先輩の顔を見ることもできないけど、きっと嫌悪感たっぷりの顔で僕を見ているはずだ。
もういいんだ。
全部終わったんだ。
「すみません、失礼します。今の全部忘れてください」
こんな僕と少しでも一緒にいたくないだろう。
傍らに置いていたジャケットと荷物を手にしてさっさと部屋を出ようとすると、
「ちょっと待てっ!」
「――っ!!」
ガシッと腕を掴まれてしまった。
「せ、先輩……」
「なんでも願いを聞いてやるって言っただろう? わかったよ、じゃあ、行こうか」
「えっ、ちょ――っ、待ってっ!! どこにいくんですか?」
「抱いて欲しいんだろう? 願い通りにしてやるよ」
少し怒った様子の先輩に引き摺られるように部屋を出て、あっという間に会計を済ませて連れてこられたのは、綺麗なラブホ。
「先輩っ! ちょっと待ってくださいっ!」
「静かにしろっ!」
「――っ!」
今まで聞いたこともない先輩の声に身体が震える。
ああ、本格的に怒らせてしまったんだ……。
もう本当に終わりなんだ……。
僕は涙を流しながら、先輩に引っ張られて部屋へと連れ込まれた。
掴んでいた腕を離されたと思ったらドンと押されて僕はベッドに倒れ込んだ。
「せ、先輩……っ、ごめんなさい……僕っ」
「なんで泣いてるんだ? お前の願い通りにしてやるのに……」
「でも、こんな無理やりさせるなんて……婚約者さんに、なんて言ったらいいか……」
「そんなこと気にするなっ」
「でも……」
「いいから、黙ってろ」
「ん――っ」
急に先輩の顔が近づいてきたと思ったら、そのままキスされた。
怒っているはずなのに、とっても優しいキス……。
ああ、先輩……。
なんでこんなに優しいキスをするんだろう。
たった一度の思い出なのに……諦められなくなる。
受話器を片手にメモを取る姿までさまになっている。
僕の席から見える営業部の岬響也先輩は、入社してから半年間僕の教育係をしてくれていた人だ。
手足が長く日本人離れしたスタイルの良さで、スーツは全てオーダーメイドだと言っていた。
身体にフィットした三揃のスーツを綺麗に着こなす先輩は、その辺の芸能人でも逃げ出してしまうほどキラッキラのイケメン。
僕は入社してから5年間ずっとそんな先輩に恋してるんだ。
でも……この思いをそろそろ終わりにしなければいけない時がとうとうやってきた。
「ねぇ、聞いた? 岬さん、結婚ほぼ決まりだって」
「えーっ、それどこ情報よ!!」
「あのね、H物産に勤めている友達からの情報なんだけど、そこの社長の娘とこの前の日曜日にお見合いしたんだって!」
「えーっ、H物産っていったらかなりの大企業じゃない! うちの取引先の中でもダントツよね?」
「そうそう、あっちがかなりのご執心らしくてかなり話が進んでるみたいよ。うちとしても絶対にこの縁談まとめたいらしくて上層部が頑張ってるって話よ」
「じゃあ、岬さん……H物産の次期社長?」
「まぁそういうことよね」
「えーっ、ショックっ!! 岬さんはそんな肩書なんかに釣られない人だと思ってた」
「でも、うちにいるよりはH物産の社長になった方が手腕も発揮できるじゃない」
「ああー、会社にくる楽しみ無くなるわ」
「本当よねぇ……」
「ねぇねぇ、そういえばさぁ……あのホテルでケーキバイキング始まったってよ。甘いもの食べてさっさと嫌なこと忘れない?」
「さんせーいっ!!!」
先輩が……結婚……。
僕は遠ざかっていく女性社員たちの足音を聞きながら、しばらくの間その場に立ち尽くしていた。
そうだよね。
あんなに素敵な先輩が結婚しないわけないんだ。
H物産の社長の娘さん……あったことはないけど、先輩が選ぶ人だ。
きっと素敵な人なんだろうな。
僕なんか最初から選んでもらえるわけないのに。
何悲しんでるんだろう。
僕が勝手に好きになって、勝手に失恋してるだけ。
ずっと眺めていられたらそれでいいって思ってたじゃないか。
そうだ。
もうすっぱり先輩のことは諦めよう。
潤んだ目を擦り、その場から離れようとしたところで
「松坂、そんなところで何してるんだ?」
「わっ! えっ、あっ、岬先輩……」
突然聞こえてきた先輩の声にパニックになる。
「そんなに焦ってどうしたんだ?」
オタオタする僕を心配そうに見つめてくれる優しい瞳。
教育係をしてくれていた時、ずっと僕を映してくれていたのにな……。
この優しい瞳が映すのは愛しい婚約者さんだけになっちゃったんだ……。
失恋がこんなに辛いものだなんて思わなかった。
さっきまでは先輩の姿が見られて幸せだったのに。
どうして今、あの話聞いちゃったんだろう。
「あ、あの、なんでもないんです……ただぼーっとしちゃって」
「そういえば顔も赤いな。少し目も潤んでるし。風邪かな? 医務室に連れて行こうか?」
「あっ、いえ、だ、大丈夫です」
「本当か?」
スッと先輩の手が伸びてきて僕のおでこに触れる。
「ひゃ――っ」
「ごめん、熱を測ろうと思ったんだけど驚かせたか?」
「い、いえ。あの、大丈夫なんで……」
「熱はないみたいだが……何か、悩みでもあるのか?」
僕の悩みは先輩のことです……そういえたらどんなに楽だろう。
でもそんなこと言えるわけない。
言ったところで先輩を煩わせるだけだ。
そう思っていたのに……。
「悩みなら聞くぞ。今日は接待もないし、夜飲みに行こう」
「えっ、そんな……こんや……」
「今夜? ああ、そうだよ今夜、行こう! なっ」
婚約者さんはいいんですか?
そう聞こうとして聞けなかった。
結局、僕はそのまま断ることもできずに、先輩と二人で飲みにいくことになってしまった。
「いらっしゃいませ。ああ、響也くん。久しぶり」
「大事な話するから個室、いい?」
「ええ、大丈夫よ」
先輩の馴染みの店だと言われて連れて行かれたのはこじんまりした和食屋さんだった。
「さぁ、入って」
先輩に案内されるがまま、奥の個室へと入る。
「あの、ここって……」
「ああ、学生時代にバイトしてた店なんだよ。落ち着ける場所だから大事な人しか連れてこないことにしてるんだ」
「そうなんですね」
あの婚約者さんとはもうここに来たんだろうか……。
すぐにあの話を思い出してしまう。
「食事、何にする?」
「あ、あのおまかせします」
「そう? じゃあ……」
とりあえずビールを呑みながら先輩のおすすめ料理を食べていく。
最初はたわいもない話から始まって、落ち着いてから話を切り出された。
「それで、どうしたんだ? 何かあったのか?」
先輩の結婚が決まって落ち込んでいただけです……。
そんなことお酒の力があってもいえない。
でも、何か言わなきゃ!
先輩がここまでしてくれたのに。
「あの、僕……仕事、辞めようと思って……」
自分の口から思わず出た言葉に自分でも驚いてしまうけど、でも……それが本当の気持ちなのかもしれない。
先輩の姿を毎日見られるだけで幸せだった。
でも、婚約者さんと楽しい時間を過ごしている先輩を想像したくないし、それに先輩も結婚したら会社だって辞めてしまうのなら、先に踏ん切りをつけたほうがいい。
「えっ? 仕事を、辞める……?」
僕の言葉にびっくりしている先輩を見ると心苦しいけれど、でもどうせ先輩も辞めるんだ。
きっと引き留めたりはしない。
いつでも僕の決断を見守っていてくれたんだから。
そうか、なら新しいところでも頑張れよ
そう言ってくれると思ってた。
だけど……
「何があったんだ? お前が仕事辞めようと思うなんて……。誰かに何かされたのか?」
血相を変えた先輩に僕は驚きながら、
「ち、違いますっ!! ただ、このまま続けていく自信がなくなっただけで」
と必死に答えると、
「本当にそれだけか? 俺には本当の理由を話せないのか?」
と強く追及されてしまう。
「先輩……ごめんなさい……」
「松坂とは信頼しあってると思っていたけどな。俺にもいえないことなんだな」
悲しそうにため息をつかれて心が痛む。
考えてみればどうせ辞めるんだ!
最後に全てを晒してもいいんじゃないか?
そんな考えが頭をよぎる。
でも、僕の身勝手な思いを告げて、優しい先輩が罪悪感を持ったりしないかな?
そんなのはダメだ!!
なら、思いっきり振ってもらえたらいいんだ。
僕のことを気持ち悪いって思ってもらえたら先輩が罪悪感を持つことだって無くなるし。
僕のことなんかすぐに忘れるはずだ。
「先輩……じゃあ、話したら……僕のお願い、聞いてくれるんですか?」
「松坂の願いならなんだって聞いてやるよ」
「本当ですか? なら……話します」
僕は目の前にあったジョッキを手に取り、残っていたビールを一気に飲み干して勢いのままに訴えた。
「僕はっ、入社してからずっと先輩のことが好きだったんですっ!! でも、先輩が結婚されるって聞いて悲しくて……仕事にいく気がなくなったんです!」
「――っ、松坂……」
「せめてもの思い出に先輩が一度だけでも僕を抱いてくれたら、僕……仕事辞めるの、辞めます!! でも、無理でしょう? いいんです、わかってますから、だから僕のことは放っといてください!!」
抑えきれない思いが勢いのままに出てしまった。
もう後戻りはできない。
怖くて先輩の顔を見ることもできないけど、きっと嫌悪感たっぷりの顔で僕を見ているはずだ。
もういいんだ。
全部終わったんだ。
「すみません、失礼します。今の全部忘れてください」
こんな僕と少しでも一緒にいたくないだろう。
傍らに置いていたジャケットと荷物を手にしてさっさと部屋を出ようとすると、
「ちょっと待てっ!」
「――っ!!」
ガシッと腕を掴まれてしまった。
「せ、先輩……」
「なんでも願いを聞いてやるって言っただろう? わかったよ、じゃあ、行こうか」
「えっ、ちょ――っ、待ってっ!! どこにいくんですか?」
「抱いて欲しいんだろう? 願い通りにしてやるよ」
少し怒った様子の先輩に引き摺られるように部屋を出て、あっという間に会計を済ませて連れてこられたのは、綺麗なラブホ。
「先輩っ! ちょっと待ってくださいっ!」
「静かにしろっ!」
「――っ!」
今まで聞いたこともない先輩の声に身体が震える。
ああ、本格的に怒らせてしまったんだ……。
もう本当に終わりなんだ……。
僕は涙を流しながら、先輩に引っ張られて部屋へと連れ込まれた。
掴んでいた腕を離されたと思ったらドンと押されて僕はベッドに倒れ込んだ。
「せ、先輩……っ、ごめんなさい……僕っ」
「なんで泣いてるんだ? お前の願い通りにしてやるのに……」
「でも、こんな無理やりさせるなんて……婚約者さんに、なんて言ったらいいか……」
「そんなこと気にするなっ」
「でも……」
「いいから、黙ってろ」
「ん――っ」
急に先輩の顔が近づいてきたと思ったら、そのままキスされた。
怒っているはずなのに、とっても優しいキス……。
ああ、先輩……。
なんでこんなに優しいキスをするんだろう。
たった一度の思い出なのに……諦められなくなる。
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