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番外編

重い悪阻の特効薬は……※ <sideデーヴィッド>

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明日からの夏季休暇を前に、何か番外編でも……と思って、久しぶりにこちらの作品を引っ張り出してみました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


  *   *   *


<sideデーヴィッド>

「うっ――っ!!」

「レジーっ!!」

兄上の家で妊娠がわかってすぐにジョージ医師のもとに診察を受けに行き、無事に妊娠していると診断を受け、二人で喜んだのも束の間、突然レジーは全ての食べ物を受け付けられなくなった。

口に入れた以上に吐いてしまうため、まだ数日しか経っていないのに目に見えて痩せて行く。

「もう一度ジョージ医師に診てもらおう」

レジーにそう告げたけれど、

「妊娠は病気ではないのです。薬もないですし、悪阻はこのようなものだそうですから、大丈夫です。私はお腹の赤ちゃんのために耐えてみせます」

とフラフラな状態でそういうばかり。

レジーのためにも、お腹の子のためにも栄養を摂らせたいと思っていたが、肉や魚はもちろん、パンや果物さえも受け付けず、かろうじて口に入れられたのは温めたミルクだけ。それでもたくさんの量を飲むことはできず、苦しそうに一日中ベッドで横になるレジーを私は何もできずにオロオロとしながら付き添うことしかできなかった。

一体どうしたら良いのだろう……。八方塞がりな中、兄上が我が家を訪問してくれた。

「ルカが妊娠中によく食べていた果物を持ってきたぞ。どうだ? レジーの様子は?」

「それが……悪阻が重くて食事も摂れず横になってばかりです」

「それはまずいな。このままではレジーの持っている栄養すら腹の子に摂られてしまって動けなくなるぞ。お前はちゃんと蜜は与えているのか?」

「えっ? 蜜とはなんのことですか?」

私の質問に兄上は少し呆れたような表情を見せた。

「なんだ? 聞いていないのか? 秘薬で子ができた場合には蜜が赤子にも母体にも栄養になるのだ。出産後には蜜をたっぷりと注げば回復も早いというしな」

「そう、なのですか?」

「ああ、現にルカは双子を妊娠中に足りない栄養は私の蜜で補っていたし、産後は蜜をたっぷりと飲ませたおかげでミルクも出た。傷跡の治りも身体の回復も早かったぞ」

兄上の得意げな表情は少々癇に障るが、確かに家にお邪魔した時のルカさまの体調は産後間も無くとは思えないくらい良さそうに見えた。あれが蜜の効果だというのだろうか。だが、そうだとしても一つ気になることがある。

「あの、注ぐというのは身体を繋いで注ぐのですか? それでは流石にお腹の子に影響があるのでは?」

「ああ、私もそこが心配だったが、ジョージが言うには激しく突いたり、母体を揺り動かしたりせず、優しくする分には問題はないそうだ。心配なら、身体を繋げずとも、口から蜜を与えても良いのだぞ」

「あっ、なるほど。確かにそれなら心配は減りますが……悪阻が重い状態でそれが飲めるかどうか……」

「そうだな。そこは一度試してみてはどうだ? とにかく蜜が栄養になることは間違いないのだから、レジーにも腹の子にも悪いようにはならないだろう」

「そうですね。兄上、ありがとうございます。早速試してみます」

「ああ。何か気になることがあればいつでもジョージでも、私たちにでも相談するといい。ルカもレジーのことは気になっているようだったからな」

「レジーが聞いたら喜びます。ありがとうございます」

兄上が帰ってすぐに、私はレジーの元に急いだ。

「レジー、体調はどうですか?」

「デーヴ……」

「ああ、無理しないでそのままでいてください」

「ごめんなさい……お客さまが来られたのに私は何もできなくて……」

「気にしないでください。客人は兄上でした。レジーへのお見舞いの果物を持ってきてくれたのです。ルカさまが妊娠なさっていた時に召し上がっていた果物だそうですよ」

「嬉しいです……でも、今は……」

辛そうなレジーの表情に私も胸が苦しくなる。ルカさまを慕っているからこそ、ルカさまのお気持ちを受けられない今の状況が辛いのだろうな。

「ええ。無理することはありません。それよりも兄上からいい話を教えていただいたんです」

「いい話、ですか?」

「ええ。レジーにもお腹の子たちにもいい話ですよ」

私は兄上から聞いた話をレジーに伝えてみた。

「――というわけで秘薬で妊娠した場合には、私の蜜がレジーとお腹の子の栄養となるそうです」

「そういえば、妊娠がわかってから一度もデーヴの蜜はいただいてませんでしたね」

「ええ。まさかあの蜜にそんな凄い効能があるとは思っていませんでしたから、ずっと我慢していたんです。ですから、今までにないほど濃い蜜になっていると思いますよ。無理はしなくていいですから、少し飲んでみませんか?」

「はい。欲しいです。デーヴの蜜、飲ませて……」

「――っ!!! レジーっ!!」

レジーからの可愛いおねだりに我慢できずに、私はすぐにレジーの前でズボンの前を寛げて愚息を取り出した。

ここしばらく自分で処理するだけで、レジーの目に触れさせることもなかったからか、レジーに見られるというだけで途轍もなく昂っている。

このむわっとした蜜の匂いに悪阻がひどくならないか心配だったが、レジーの目の前にだした途端、

「ああ……っ、いい匂い……っ」

とうっとりした表情で見つめられる。さっきまで青白かった表情に赤みもさしている。

「もっと近くに……」

「ええ。いいですよ」

ベッドで横たわるレジーの身体を跨ぐように膝立ちになり、レジーの顔の前に愚息を出すと嬉しそうに握り、小さくて可愛らしい舌をだした。

「んっ、美味しい」

「くっ!!」

レジーが私のを嬉しそうに舐めている。この表情を見られるだけでこのまま暴発してしまいそうになるが、ここはじっと我慢だ。

けれど、レジーが小さな口を開け愚息をパクリと咥えた瞬間、ここしばらくレジーへの欲望を抑えていたこともあって一気に限界を迎えてしまった。

「レジーっ、もぅ、でますっ」

一気に出そうになるのを必死に抑えながら、少しずつ蜜を放出する。

「んっ、んっ……」

レジーの喉が動くのを感じながら、最後まで出し尽くすと、レジーは舌先で先端を抉るように最後の一滴まで吸い取って飲んでくれた。

「レジー、大丈夫ですか?」

「はい。すごく美味しくて……なんだか、さっきまでの身体の重さが嘘みたいに軽いです」

「――っ!! よかった……ああ、本当に良かったです……」

「デーヴの蜜は私と赤ちゃんの大事な栄養ですね」

「はい。いつでも飲ませますから、安心してください」

その日から、一日に一度蜜を飲ませると食事も摂れるようになり、レジーの重い悪阻はあっという間に回復した。

あの日、兄上に蜜のことを聞いて良かった。
これからも兄上とルカさまにはなんでも相談に乗っていただくとしよう。

兄上とルカさまからもらった甘い果物を食べながら、私は心に決めた。
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