わがまま公爵令息が前世の記憶を取り戻したら騎士団長に溺愛されちゃいました

波木真帆

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番外編

甘いミルク※ <前編>

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久々の番外編は子どもたちのお世話編です。
大したことはないですが、それっぽく感じるシーンがあるので※つけてます。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


  *   *   *

<sideウィル>

「んっ……いたっ……」

「ルカ? どうした?」

「なんだか、胸が痛くて……」

「何? 胸が?」

「んっ、硬くて、痛い……っ」

「ルカ、ちょっと見せてみろ」

ルカのただならぬ様子に私は急いで布団を剥ぎ取り、服の上からルカの胸に触れてみた。

「なんだ、これは――っ」

リヒトとレイを妊娠してからほんのり膨らんでいた胸が岩のようにガチガチに硬くなっている。
熱を持っているようで硬くて熱い。


「ルカ、ちょっと触るぞ」

「んっ」

夜着をはだけさせると、胸の赤い実がぷっくりと美味しそうに膨らんでいるのが見える。

「――っ!!」

愛しい夫の緊急事態だというのに興奮してしまうなんて……。
愚かな自分を心の中で叱咤しながら、そっとそれに触れると

「ああっん!!」

ルカは身体をビクビクと震わせながら、その赤い実から白い液体を飛ばした。

「――っ!!! ああっ、まさかこれはっ!!」

私は吸い寄せられるようにルカの胸に散らばった液体を舌で舐めとった。

「ひゃぁ……っん」

「甘い……」

「うぃ、る……っ、ぼく……どう、しちゃったの?」

不安げな顔で私を見つめるルカを、胸に当たらないように優しく抱きしめながら

「ルカ……これは、ミルクだよ。ルカの胸からリヒトとレイのためのミルクが出ているんだ」

「えっ……でも、ぼくからは、でないって……」

そう、確かにジョージは言っていた。
身体の中でミルクを作るには一人の赤子でもかなりの栄養が必要なのだと。
だから、身体の小さなルカには二人分のミルクを作ることはできないだろうと。
その見立てであったから、すでにリヒトとレイのために必要なミルクが集められていたはずだ。

――できることなら初乳だけは御子さまに飲んでいただいた方が免疫がついて丈夫に育つのですがおそらく初乳も作られるかどうか……ですが、人工ミルクでも栄養は十分取れますのでご安心ください。

ジョージはそう言っていた。

だが、予想に反してルカはミルクを作ることができたということか。
これは秘薬のおかげなのか、それとも神がルカと子どもたちのために粋な計らいをしてくれたのか……。
いずれにしてもせっかくルカからミルクができたのだ。
リヒトとレイに飲ませない手はない。

「ルカ、これはリヒトとレイに飲ませた方が良さそうだ。すぐに連れてきてもらうから、もうしばらく痛みを我慢できるか?」

「もちろん!! 僕のミルクを飲んでもらえるなんて嬉しい!!」

「ああ、そうだな。少しだけ待っていてくれ」

私ははだけさせた夜着を元通りにしてルカに布団をかけ、寝室を後にした。

「セスっ! セスはいるか?」

「はい。ウィリアムさま。どうかなさいましたか?」

「ジョージはまた屋敷にいるか?」

「はい。今、アシュリーさまにリヒトさまとレイさまのお世話の仕方をお教えくださっています」

「そうか、ならばすぐにジョージと子どもたちを寝室に連れてきてくれ。ルカがミルクを作ることができたのだ!」

「えっ――!! そ、それは……」

「セスっ! 驚くのは後にしてくれ。早くジョージと子どもたちを!! ルカが痛がっているんだ」

「は、はい。ただいま!」


バタバタとかけだしていくセスを見送りながら、私は一度ルカの元に戻った。

「ルカ、大丈夫か?」

「うん、痛いけど、リヒトとレイのためだと思ったら頑張れるよ」

「そうか、もう少しだからな」

ルカの頭を撫でていると、部屋の扉が叩かれる音がして私は急いで扉を開けた。

「ジョージ、いてくれて助かった」

「あの、ルカさまがミルクをお作りになれたというのはまことでございますか?」

「ああ、胸が岩のように硬く熱を持っていて痛がっていたから、胸に触れてみたらミルクを出したのだ」

「なんと! それは早くお飲ませになった方がいいですね。そのまま放置しておくと乳腺炎になってルカさまが熱を出してしまわれます」

「――っ! なら、早く飲ませるとしよう。リヒトとレイを寝室に運んでくれ」

すぐにセスが保育器に乗せたリヒトとレイを寝室に運ぶ。
すぐにでも飲ませないといけないが、流石にルカの胸をジョージとセスに見せるわけにはいかない。

「私が良しというまで寝室には入るな!」

「承知しました」

「あ、あの……口を大きく開けさせてパクッと咥えさせてください。片方を飲ませていると、もう片方からもミルクが出てきますので、両方一緒にお飲ませになるのがよろしいかと存じます」

「二人を一緒に?」

「はい。ウィリアムさまがお支えになってください。そして硬くなっているところをゆっくりと押しながらお飲ませになると、柔らかく戻りますので……」

「わかった。その通りにしよう」

私は寝室に戻り、クッションを当てたヘッドボードにルカをもたれ掛けさせた。
夜着をはだけさせ半裸にさせた状態で膝の上にクッションを乗せ、まずはリヒトをルカの右腕に、そしてレイを左腕に抱かせた。

軽い赤子とはいえ、出産まもないルカにはかなり辛い体勢だろう。

私は向かい合わせに座りルカと子どもたちを膝に乗せ抱き込むように支えた。
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