64 / 85
番外編
3年越しの成就 <デーヴィッド&レジー>
しおりを挟む
デーヴとレジーの初夜ごもりのお話ですが今回は婚礼の儀まで……。
次回から初夜ごもり(R18)になります。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「レジー、ようやくこの日が来ましたね」
「デーヴ……私、本当に夢みたいで……」
「夢じゃありませんよ」
レジーの頬に手を添えて、チュッと唇を重ねて
「ほら、現実でしょう?」
にっこりと笑顔を見せると、レジーは頬を赤く染めて
「デーヴったら……」
と可愛い声で呟いた。
年上だというのに、こんなにも可愛らしく恥じらうレジーが愛おしくてたまらない。
今思えばレジーが家に引き篭もってくれていて本当によかった。
レジーを狙う狼どもの手に落ちる前に私の手をとってくれて本当によかった。
「レジー、そろそろ行きましょうか」
小さくて可愛らしいレジーの手をとり、広間へと向かう。
開け放たれた扉の先には陛下のお姿がある。
兄上の時はその後に宴があったから、大広間に国内の貴族が勢揃いしていたが今日はごくごく身内だけの厳かな婚礼の儀だ。
ゆっくりと歩調を合わせながら陛下の元へ向かう。
コツコツと音が響き、陛下のお姿が近づくと少し緊張してきた。
私としたことが緊張など……と思っていると、レジーがキュッと私の指を握った。
パッとレジーに顔を向けると、穏やかな笑顔を浮かべて微笑んでいた。
その優しい微笑みに緊張がほぐれていく。
ああ、さすがだ。
こういうところにレジーが年上なのだと感じさせられる。
レジーの優しさにホッとしながら、私たちは無事に陛下の前にたどり着くことができた。
二人揃って陛下に深々と頭を下げ、その場に跪いた。
私たちの頭上で陛下の威厳ある声が響き渡る。
「オルグレン侯爵家デーヴィッド・オルグレン。其方はジェラール伯爵家に入り、レジー・ジェラールを夫とし、その命のあるかぎり固く貞操を守り、レジーへの永遠の愛を誓うか?」
「はい、誓います」
私が大きくはっきりと宣言すると、レジーが嬉しそうに微笑んだのがわかった。
「ジェラール伯爵家レジー・ジェラール。其方はデーヴィッド・オルグレンを夫とし、その命のあるかぎり固く貞操を守り、デーヴィッドへの永遠の愛を誓うか?」
「はい。誓います」
レジーの宣言に、広間にいた者から『おおっ』と感嘆の声が漏れた。
おそらく今の声は兄上。
ルカさまのことがあるから今日は来ないだろうと予測していたが、来てくれたのだな。
私がレジーに惹かれていると真っ先に気付いたのは兄上だった。
レジーを守ろうと私が騎士団に入ってすぐに兄上に気づかれた。
それからは私を応援してくれていたがルカさまと婚約が決まり、断るという選択肢などなかった兄上はルカさまとの婚約を了承した上で私に謝罪したのだ。
兄上とルカさまが結婚すれば、私とルカさまが義兄弟になる。
当時、ルカさまとの因縁を持っていたレジーは私が愛を告白してもきっと頷いてはくれないだろう……そう思ってレジーへの思いを諦めることにしたのだ。
だが、事態は大きく好転し、レジーとルカさまとの因縁は無くなった。
それどころか、レジーとルカさまは仲良くなり義兄弟としてうまくやれている。
それもこれも兄上たちがレジーとルカさまの誤解を解いてくれたおかげだ。
そのおかげで私は今、最高の幸せを掴もうとしている。
「対のペンダントを二人に授けよう」
私たちに揃いのペンダントが与えられ、
「これを以て二人の婚姻は揺るぎないものとなった。皆のもの、其方たちは二人の婚姻の証人となったのだ。新しく夫夫となった二人に祝福の拍手を贈ってくれ」
私たちの幸せを願ってくれる家族の祝福の拍手を浴びながら、私たちはこれで永遠を共にする夫夫となったのだ。
「わぁっ!! デ、デーヴ!」
私はその場でレジーをお姫さまのように抱き上げ、来てくれた人たちに聞こえるように大きな声で、
「それでは私たちはこれから愛を育んで参ります。私たちの元にも麗しい天使がやってくるようにお祈りいただければ幸いです。失礼いたします」
と頭を下げ、足早に広間を出た。
「デーヴ、そんなに焦らなくても……」
「もう3年も我慢していたのです。これ以上は理性が持ちそうにありません。レジー、我慢の効かない私を嫌いになっていませんか?」
自分でも焦りすぎだとはわかっている。
それでも我慢などもう疾うの昔に消えてしまっている。
ほんの少しの理性でここまでやってきたのだ。
レジーを見ると、まるで女神のような美しい笑顔で近づいてきて、
「デーヴ。私がデーヴを嫌いになることなんてありませんから……いっぱい愛してくださいね」
と耳元で囁いた。
私の中でプチッと何かが切れる音がして、私は急いで初夜ごもりのために整えられた部屋へ駆けて行った。
次回から初夜ごもり(R18)になります。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「レジー、ようやくこの日が来ましたね」
「デーヴ……私、本当に夢みたいで……」
「夢じゃありませんよ」
レジーの頬に手を添えて、チュッと唇を重ねて
「ほら、現実でしょう?」
にっこりと笑顔を見せると、レジーは頬を赤く染めて
「デーヴったら……」
と可愛い声で呟いた。
年上だというのに、こんなにも可愛らしく恥じらうレジーが愛おしくてたまらない。
今思えばレジーが家に引き篭もってくれていて本当によかった。
レジーを狙う狼どもの手に落ちる前に私の手をとってくれて本当によかった。
「レジー、そろそろ行きましょうか」
小さくて可愛らしいレジーの手をとり、広間へと向かう。
開け放たれた扉の先には陛下のお姿がある。
兄上の時はその後に宴があったから、大広間に国内の貴族が勢揃いしていたが今日はごくごく身内だけの厳かな婚礼の儀だ。
ゆっくりと歩調を合わせながら陛下の元へ向かう。
コツコツと音が響き、陛下のお姿が近づくと少し緊張してきた。
私としたことが緊張など……と思っていると、レジーがキュッと私の指を握った。
パッとレジーに顔を向けると、穏やかな笑顔を浮かべて微笑んでいた。
その優しい微笑みに緊張がほぐれていく。
ああ、さすがだ。
こういうところにレジーが年上なのだと感じさせられる。
レジーの優しさにホッとしながら、私たちは無事に陛下の前にたどり着くことができた。
二人揃って陛下に深々と頭を下げ、その場に跪いた。
私たちの頭上で陛下の威厳ある声が響き渡る。
「オルグレン侯爵家デーヴィッド・オルグレン。其方はジェラール伯爵家に入り、レジー・ジェラールを夫とし、その命のあるかぎり固く貞操を守り、レジーへの永遠の愛を誓うか?」
「はい、誓います」
私が大きくはっきりと宣言すると、レジーが嬉しそうに微笑んだのがわかった。
「ジェラール伯爵家レジー・ジェラール。其方はデーヴィッド・オルグレンを夫とし、その命のあるかぎり固く貞操を守り、デーヴィッドへの永遠の愛を誓うか?」
「はい。誓います」
レジーの宣言に、広間にいた者から『おおっ』と感嘆の声が漏れた。
おそらく今の声は兄上。
ルカさまのことがあるから今日は来ないだろうと予測していたが、来てくれたのだな。
私がレジーに惹かれていると真っ先に気付いたのは兄上だった。
レジーを守ろうと私が騎士団に入ってすぐに兄上に気づかれた。
それからは私を応援してくれていたがルカさまと婚約が決まり、断るという選択肢などなかった兄上はルカさまとの婚約を了承した上で私に謝罪したのだ。
兄上とルカさまが結婚すれば、私とルカさまが義兄弟になる。
当時、ルカさまとの因縁を持っていたレジーは私が愛を告白してもきっと頷いてはくれないだろう……そう思ってレジーへの思いを諦めることにしたのだ。
だが、事態は大きく好転し、レジーとルカさまとの因縁は無くなった。
それどころか、レジーとルカさまは仲良くなり義兄弟としてうまくやれている。
それもこれも兄上たちがレジーとルカさまの誤解を解いてくれたおかげだ。
そのおかげで私は今、最高の幸せを掴もうとしている。
「対のペンダントを二人に授けよう」
私たちに揃いのペンダントが与えられ、
「これを以て二人の婚姻は揺るぎないものとなった。皆のもの、其方たちは二人の婚姻の証人となったのだ。新しく夫夫となった二人に祝福の拍手を贈ってくれ」
私たちの幸せを願ってくれる家族の祝福の拍手を浴びながら、私たちはこれで永遠を共にする夫夫となったのだ。
「わぁっ!! デ、デーヴ!」
私はその場でレジーをお姫さまのように抱き上げ、来てくれた人たちに聞こえるように大きな声で、
「それでは私たちはこれから愛を育んで参ります。私たちの元にも麗しい天使がやってくるようにお祈りいただければ幸いです。失礼いたします」
と頭を下げ、足早に広間を出た。
「デーヴ、そんなに焦らなくても……」
「もう3年も我慢していたのです。これ以上は理性が持ちそうにありません。レジー、我慢の効かない私を嫌いになっていませんか?」
自分でも焦りすぎだとはわかっている。
それでも我慢などもう疾うの昔に消えてしまっている。
ほんの少しの理性でここまでやってきたのだ。
レジーを見ると、まるで女神のような美しい笑顔で近づいてきて、
「デーヴ。私がデーヴを嫌いになることなんてありませんから……いっぱい愛してくださいね」
と耳元で囁いた。
私の中でプチッと何かが切れる音がして、私は急いで初夜ごもりのために整えられた部屋へ駆けて行った。
221
お気に入りに追加
5,615
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
【完結】マジで滅びるんで、俺の為に怒らないで下さい
白井のわ
BL
人外✕人間(人外攻め)体格差有り、人外溺愛もの、基本受け視点です。
村長一家に奴隷扱いされていた受けが、村の為に生贄に捧げられたのをきっかけに、双子の龍の神様に見初められ結婚するお話です。
攻めの二人はひたすら受けを可愛がり、受けは二人の為に立派なお嫁さんになろうと奮闘します。全編全年齢、少し受けが可哀想な描写がありますが基本的にはほのぼのイチャイチャしています。
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜
N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間)
ハーレム要素あります。
苦手な方はご注意ください。
※タイトルの ◎ は視点が変わります
※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます
※ご都合主義です、あしからず
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる