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永遠の愛を誓う

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わぁ――っ、なんか、すごい……。
みんながウィルのことを見てる。

そりゃあそうか……。
だって、かっこいい騎士団長さんだもんね。
そんな人と結婚できる僕って、本当に幸せなんだよね。

大広間の扉が開かれた瞬間、ものすごい数の視線を感じて少しびっくりしてしまったけれどウィルが心配ないと蕩けるような笑顔で言ってくれたからそれだけで安心する。

僕はふぅと息を吐いて、ゆっくりと歩き始めた。

裾が長くて歩きにくい服だけど、ウィルがピッタリと寄り添って腰を抱いていてくれるから、僕は裾を少し持ち上げるだけで楽に歩ける。

あまり足が見えるのは良くないからと着付けをしてくれたときに言われたから、そこだけはしっかりと守っている。

「焦らなくていいから。ゆっくりな」

ウィルが小声でそう言ってくれるのが本当にホッとする。

時々ウィルを見上げながら、真正面で待ってくれている国王さまに目を向けると国王さまも優しげな表情で僕たちが近づくのを見つめてくれている。
この間、小川のせせらぎのような柔らかな音が流れているだけで大広間には僕たちの足音と僕の衣擦れの音だけが響いていて、周りにいる人たちは固唾を飲んで見守ってくれているようだ。

絶対に失敗したりしないようにしないと!

そう思っていたのに……もうすぐ国王さまのいる場所まで到着すると安心したのが悪かったのか、急に僕の足が縺れ転びそうになってしまった。

「わっ――! えっ、あれ? え――っ??」

床に倒れちゃう!
と思ったけれど、何がどうなったのか気づいたら僕はウィルの腕の中にいた。

途端に今まで静かだった大広間に

『きゃーーっ!!!』

という黄色い声があちらこちらから上がって、僕はあまりの迫力にビクッと身体を震わせた。

「ルカ、大丈夫か?」

ウィルはそんな声など何も気にすることもなく、僕に優しい言葉をかけてくれた。

「は、はい。大、丈夫です……ごめんなさい。もうちょっとだったのに、失敗してしまって……」

「いや、気にすることはない。かえってルカが私のものだと早々に宣言できてよかったんだ」

そう言ってぎゅっと強く抱きしめてくれる。

その間もずっと黄色い声が止むことはなかったけれど、ウィルは全く気にせずに僕を下ろすことなくそのまま国王さまの前に到着した。

国王さまと向き合うとようやく騒いでいた声も止まり、大広間にはまた静寂が戻った。

ウィルはゆっくりと僕を下ろすと僕に目で合図を送った。

その合図を見てウィルに教えられた通り、二人で揃って国王さまに深々と頭を下げ、その場に跪いた。
僕たちの頭上で国王さまの威厳あふれる声が大広間中に響き渡った。

「フローレス公爵家ルカ・フローレス。其方はウィリアム・オルグレンを夫とし、その命のあるかぎり貞操を守りウィリアムへの永遠の愛を誓うか?」

貞操ってなんだろう?
一瞬そう思ったけど、聞けるような雰囲気でもないし……。

ウィルからは国王さまの言葉には『誓います』と宣言すればいいと言われていたから、その通りにしよう。

永遠の愛を誓うって意味は僕にもわかるし。


「はい。誓います」

僕がはっきりと答えると、周りから

「おおーっ!!」

と声が上がる。
その言葉にドキッとしつつも、国王さまの言葉は続く。

「オルグレン侯爵家ウィリアム・オルグレン。其方はフローレス公爵家に入り、ルカ・フローレスをつまとし、その命のあるかぎり固く貞操を守り、ルカを守り、慈しみ、永遠の愛を誓うか?」

何だか僕への言葉より随分長かった気がするけど……。
気のせいかな?

そっとウィルの顔を覗き見ると僕の視線に気づいたのか、僕ににっこりと笑顔を見せてから、

「はい。私の命を懸けてここに誓います」

と大広間中に聞こえる声で誓ってくれた。

その瞬間、さっきよりもずっとずっと大きな声で

「おおーーーっ!!!!」

と歓声が上がった。
僕もウィルが誓ってくれたことがとても嬉しかった。


「対のペンダントを二人に授けよう」

そういうと、国王さまは僕とウィルに光り輝くペンダントをかけてくれた。
このペンダントは公爵家の紋章がモチーフになっているけれど、お父さまがつけているものとは全然違う。
同じデザインのものは僕たちの持っているものの他にはないんだって。
本当に世界に2つしかない大切なものだ。
僕はそれをぎゅっと手の中に握りしめながらウィルを見ると、ウィルも嬉しそうに僕を見つめていた。


「これを以って二人の婚姻は揺るぎないものとなった。皆のもの、其方たちは二人の婚姻の証人となったのだ。新しく夫夫となった二人に祝福の拍手を贈ってくれ」


国王さまのその言葉に大広間にいる招待客の皆さんから盛大な拍手が僕たちに浴びせられた。

僕は幸せに満ちた気持ちでウィルを見つめると、ウィルはスッと立ち上がり僕を抱き上げて、

「私はルカを愛している」

と大声で叫んだと思ったら、みんなに見えるように僕にチュッとキスをした。

拍手と途轍もない大声が入り混じった大広間の中で僕はウィルにされるがままキスを続けていた。
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