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日本旅行編

お揃いの

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「エヴァンさん、つけてみてください」

「寛人さんも! 僕、みたいです」

僕と空良くんがお願いすると、エヴァンさんと悠木さんは嬉しそうに僕たちが編んだマフラーを首にかけてくれた。半分に畳んだマフラーの輪っかに差し込むと短いけれどなんとかマフラーとしては見えるかな。

濃いグリーンの色味はエヴァンさんにとってもよく似合っていた。

「エヴァンさん、どうですか?」

「ああ、とても暖かいし、色もすごく好きな色だ。全てにおいてExcellentエクセラン! 素晴らしいよ! ユヅル、本当にありがとう!」

エヴァンさんが心から喜んでくれるのがわかって、僕は嬉しくてたまらなかった。

空良くんも寛人さんから最高だと言われて嬉しそうな声が聞こえていた。

エヴァンさんが嬉しそうに僕の編んだマフラーを撫でていると、観月さんが

「ロレーヌ、よかったですね。明日の初詣にはぜひそれをつけて行ってください」

理央くんの肩を抱きながら笑顔で言っていた。

「ああ。もちろんだよ。おお、ユウキのもよく似合っているよ。その色が特に最高だ!」

エヴァンさんが悠木さんのマフラーを見て褒めると、空良くんは飛び上がりそうなほど喜んでいた。
だって、空良くんが悠木さんのために選んだその色は<空色>だもん。

それはきっと二人になってから話すかな。そのことを知ったら悠木さんもきっと喜ぶだろうな。

「弓弦くんも空良くんもよく頑張ったわね。もちろん二人の頑張りが一番だけど、何より理央が二人に上手に教えられたから三人ともよく頑張ったわ。ねぇ、茜音さん」

「ええ。本当にすごいわ」

理央くんと空良くんのお母さんに褒められて嬉しくなる。それはちゃんと理央くんのことも褒めてくれたからだろう。
実際理央くんがいなければ僕たちは絶対にマフラーなんて完成できなかったもん。

「これは、頑張った三人に私たちからのプレゼントよ。私も理央に教えてもらって作れるようになったの」

理央くんと空良くんのお母さんが僕たちに両手を見せると、その手の上には小さなウサギが並んでいた。

「あっ、これ! 理央くんが試しに作ってくれたウサギさんに似てる!」

「とっても可愛かったから茜音さんにも作り方を教えて一緒に作ったのよ。これは弓弦くんね。こっちが理央」

「そしてこれが空良よ」

理央くんのお母さんから渡された黄色のウサギさん。理央くんはピンクで空良くんは水色。

「「「あ、これって……」」」」

僕が呟くのと同時に理央くんと空良くんもつぶやいた。

「ふふっ、気づいた? さすがね」

「だって、これは……」

僕はポケットからスマホを取り出した。
それにはエヴァンさんに買ってもらった、みんなと色違いのお揃いのエッフェル塔とマカロンのキーホルがーがついている。僕は黄色で理央くんはピンク。そして空良くんは水色。ウサギさんと同じだ。

「それぞれ色違いで買ったって理央から聞いていたから、その色とお揃いにしたのよ。どうかしら?」

「すっごく可愛いです! ねぇ、空良くん。理央くん!」

「うん。ママ……ありがとう! 僕、すっごく嬉しい」

「本当に可愛い! お母さん、ありがとう!」

あまりにも嬉しすぎて、僕たちが三人で抱きつきに行くと、理央くんと空良くんのお母さんが僕たち三人一緒にギュッと抱きしめてくれる。

ああ、もう本当に幸せだ。


「さぁ、そろそろ寝る準備をしないと明日起きられなくなるぞ」

観月さんの言葉にハッとして手に持っていたスマホで時間を見ると、もう十一時半を過ぎている。

「わぁー、本当だ! 凌也さん、僕寝ます!」

理央くんはいつもとっくに寝ている時間なのかな。可愛い。

「じゃあ、ユヅル。私たちも休むとしよう」

「うん。お父さん、お母さん。おやすみなさい」

こうして夜の挨拶をするのは初めてかもしれない。いつもは母さんだけだったからな。

僕たちが休む部屋は事前に教えてもらっていたそうで、僕とエヴァンさんは二階に上がった。

「あちら側がユウキと両親の部屋があるそうだよ」

「本当に観月さんの実家って大きいね。こんな広い家、日本にいた時見たことなかったよ」

「ああ。確かにそうだな。私たちの部屋はこっちだ」

エヴァンさんが扉を開けると、想像以上に広い部屋に大きなベッドが置かれていた。

「すごーい! これならエヴァンさんもゆっくり寝られるね」

「ああ。そうだな。バスルームもついているそうだから、さっとお風呂に入ろうか」

部屋にお風呂まで……。すごいな。

フランスから持ってきた僕たちの荷物は部屋に置かれていて、そこから着替えを取り出してお風呂に入った。

いつものようにエヴァンさんに髪を洗ってもらっていると、急に睡魔が襲ってきた。

「ユヅル、眠っていていいよ。私があとは全てやっておくから」

「でも……」

エヴァンさんも疲れているだろうから申し訳ないと思ったけれど、襲ってくる睡魔に抗うこともできなくて、僕はそのまま眠ってしまっていた。
ずっとエヴァンさんの温もりと匂いを感じていたから、安心して深い眠りに落ちていた。
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