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日本旅行編
挑戦してみたい!
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「あ、そうだ! ねぇねぇ、これ見て!」
何かを思い出したのか、理央くんが突然立ち上がって大きなクマさんのすぐ近くにある棚に駆け出して行った。
そして紙袋を手に笑顔で戻ってきた。
「これ、なぁに?」
「編み物に必要なものだよ。ほら、弓弦くんたち編み物をしてみたいって言ってたでしょう?」
理央くんが紙袋を開けると、中には綺麗な色をしたいくつかの毛糸と何本かの棒が入っていた。
「わぁー! すごい! これ、理央くんが手袋を編んだ時に使ったもの?」
「僕のも入ってるけど、せっかくだから実際に見てもらおうと思って凌也さんに言ったら、みんなの分も用意してくれたんだ。毛糸はね、これ以外にもいっぱい用意してもらってるんだよ。気に入ったものを選んでもらおうと思ってるんだ」
嬉しそうに紙袋から取り出したものは太さの違う三組の棒と、先端がちょっとクイッとなっている小さな棒が四本。
何をどうやって使うのかも見当がつかないけどとにかく凄そう。
「これって、違いがあるの?」
「初めて編み物する人はこっちのかぎ針っていうのが使いやすいとか、マフラーは棒の方が編みやすいとかいろいろ言われてるけど、結局は好みかな。僕は初めての時に棒を渡されて編み始めたから、棒が慣れてるけど細かいところを編むときはかぎ針が使いやすいよ」
「そうなんだ。どっちも使えるなんてすごいね」
「弓弦くんと空良くんは何を編んでみたい?」
「理央くんが作ってくれたみたいな手袋を編んでみたいけどさすがに最初からは難しいよね。マフラーは作れるかな?」
エヴァンさんが外に出る時に使ってくれるなら手袋でもマフラーでも嬉しい。
「編み物に慣れるっていう意味でもマフラーから作るのは楽しいかも。編むのに慣れたら次は手袋に挑戦してみたらいいし」
「そうだね! ねぇ、今ちょっとだけ理央くんが編んでいるところを見せてもらったりできる? 空良くんもみてみたいよね?」
「うん! みてみたい! 僕、不器用だから自分が編めるようになるかはわからないけど、理央くんが編んでいるところはみてみたい」
「じゃあ、ちょっと簡単なやつ編んでみるね」
理央くんは黄色の毛糸とかぎ針を取り出して、スイスイと指を動かし始めた。
「わ、ぁ……っ」
瞬きをするのが勿体無いと思ってしまうくらいに、途轍もない速さで編まれていく毛糸。
何がどうなっているのか動きも見えない。それは空良くんも同じらしい。
僕も空良くんも必死に理央くんの指の動きを見逃さないようにしているけれど、形作られていく毛糸と指と理央くんのどれをみていいのかもわからない。
いくつかのパーツがあっという間にできていき、理央くんはそれを組み合わせていく。
「できたよ」
そう言ったかと思うと、あっという間に理央くんの手の中に可愛いウサギが出来上がっていた。
「すごい! 可愛い!! えっ? これ、今作ったの? 早い! すごい!」
「もうどこをみていいかわかんなかったよ。すごーい!! 可愛い!!」
僕も空良くんも興奮しっぱなしで何を喋っているのかもわからない。
「これは編みぐるみっていうんだ。これくらいならすぐにできるよ」
理央くんは簡単そうに言っているけど、いやいや、理央くんが凄すぎな気がする。これだけ上手なんだもん、あの手袋をみて売り物だと思ってしまったのは仕方がないのかも。
でも、編めるようになったらいいなと思う。だって、編んでいる時の理央くん……すっごく楽しそうだった。
「理央くん、すごいなー。僕にもできるかな?」
「大丈夫だよ。とりあえずマフラーを始めてみる?」
僕と空良くんは顔を見合わせて大きく頷いた。
やらないで諦めるのは勿体無い。せっかく教えてくれる人が目の前にいるんだもん。やってできないなら後悔もないよね。
「やってみたい!」
僕と空良くんが声を揃えていうと、理央くんは笑顔を向けた。
「じゃあ、毛糸を選びに行こう! あっちにいっぱい用意してもらってるんだ!」
嬉しそうに立ち上がった理央くんに続いて僕たちもその場所に向かった。エヴァンさんに似合う色、あったらいいなぁ。
「うわぁー、すごい! いっぱい!」
「本当! 毛糸屋さんみたい!」
「でしょう? 僕もびっくりしたんだ。どう? 好きな色、ありそう?」
棚いっぱいに綺麗に並べられた毛糸をじっくりと端から順番にみていくと、目を惹く毛糸があった。
「あ、あれ! エヴァンさんに似合いそう!」
「弓弦くん、取っていいよ」
理央くんからそう言ってもらって僕は棚からその毛糸をとった。
柔らかくて手触りのいい、濃いグリーンの毛糸。これはエヴァンさんに似合いそうだな。
何かを思い出したのか、理央くんが突然立ち上がって大きなクマさんのすぐ近くにある棚に駆け出して行った。
そして紙袋を手に笑顔で戻ってきた。
「これ、なぁに?」
「編み物に必要なものだよ。ほら、弓弦くんたち編み物をしてみたいって言ってたでしょう?」
理央くんが紙袋を開けると、中には綺麗な色をしたいくつかの毛糸と何本かの棒が入っていた。
「わぁー! すごい! これ、理央くんが手袋を編んだ時に使ったもの?」
「僕のも入ってるけど、せっかくだから実際に見てもらおうと思って凌也さんに言ったら、みんなの分も用意してくれたんだ。毛糸はね、これ以外にもいっぱい用意してもらってるんだよ。気に入ったものを選んでもらおうと思ってるんだ」
嬉しそうに紙袋から取り出したものは太さの違う三組の棒と、先端がちょっとクイッとなっている小さな棒が四本。
何をどうやって使うのかも見当がつかないけどとにかく凄そう。
「これって、違いがあるの?」
「初めて編み物する人はこっちのかぎ針っていうのが使いやすいとか、マフラーは棒の方が編みやすいとかいろいろ言われてるけど、結局は好みかな。僕は初めての時に棒を渡されて編み始めたから、棒が慣れてるけど細かいところを編むときはかぎ針が使いやすいよ」
「そうなんだ。どっちも使えるなんてすごいね」
「弓弦くんと空良くんは何を編んでみたい?」
「理央くんが作ってくれたみたいな手袋を編んでみたいけどさすがに最初からは難しいよね。マフラーは作れるかな?」
エヴァンさんが外に出る時に使ってくれるなら手袋でもマフラーでも嬉しい。
「編み物に慣れるっていう意味でもマフラーから作るのは楽しいかも。編むのに慣れたら次は手袋に挑戦してみたらいいし」
「そうだね! ねぇ、今ちょっとだけ理央くんが編んでいるところを見せてもらったりできる? 空良くんもみてみたいよね?」
「うん! みてみたい! 僕、不器用だから自分が編めるようになるかはわからないけど、理央くんが編んでいるところはみてみたい」
「じゃあ、ちょっと簡単なやつ編んでみるね」
理央くんは黄色の毛糸とかぎ針を取り出して、スイスイと指を動かし始めた。
「わ、ぁ……っ」
瞬きをするのが勿体無いと思ってしまうくらいに、途轍もない速さで編まれていく毛糸。
何がどうなっているのか動きも見えない。それは空良くんも同じらしい。
僕も空良くんも必死に理央くんの指の動きを見逃さないようにしているけれど、形作られていく毛糸と指と理央くんのどれをみていいのかもわからない。
いくつかのパーツがあっという間にできていき、理央くんはそれを組み合わせていく。
「できたよ」
そう言ったかと思うと、あっという間に理央くんの手の中に可愛いウサギが出来上がっていた。
「すごい! 可愛い!! えっ? これ、今作ったの? 早い! すごい!」
「もうどこをみていいかわかんなかったよ。すごーい!! 可愛い!!」
僕も空良くんも興奮しっぱなしで何を喋っているのかもわからない。
「これは編みぐるみっていうんだ。これくらいならすぐにできるよ」
理央くんは簡単そうに言っているけど、いやいや、理央くんが凄すぎな気がする。これだけ上手なんだもん、あの手袋をみて売り物だと思ってしまったのは仕方がないのかも。
でも、編めるようになったらいいなと思う。だって、編んでいる時の理央くん……すっごく楽しそうだった。
「理央くん、すごいなー。僕にもできるかな?」
「大丈夫だよ。とりあえずマフラーを始めてみる?」
僕と空良くんは顔を見合わせて大きく頷いた。
やらないで諦めるのは勿体無い。せっかく教えてくれる人が目の前にいるんだもん。やってできないなら後悔もないよね。
「やってみたい!」
僕と空良くんが声を揃えていうと、理央くんは笑顔を向けた。
「じゃあ、毛糸を選びに行こう! あっちにいっぱい用意してもらってるんだ!」
嬉しそうに立ち上がった理央くんに続いて僕たちもその場所に向かった。エヴァンさんに似合う色、あったらいいなぁ。
「うわぁー、すごい! いっぱい!」
「本当! 毛糸屋さんみたい!」
「でしょう? 僕もびっくりしたんだ。どう? 好きな色、ありそう?」
棚いっぱいに綺麗に並べられた毛糸をじっくりと端から順番にみていくと、目を惹く毛糸があった。
「あ、あれ! エヴァンさんに似合いそう!」
「弓弦くん、取っていいよ」
理央くんからそう言ってもらって僕は棚からその毛糸をとった。
柔らかくて手触りのいい、濃いグリーンの毛糸。これはエヴァンさんに似合いそうだな。
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