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どれが一番?
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「信じられないでしょう? でもね、本当なんだよ。僕が観月さんの事務所で働けるってことになって、初めて会った時も結婚は諦めてるというか、誰かとお付き合いすること自体を諦めてるって感じだったよ。それくらい、誰かに好意を持たれることに辟易してたんじゃないかな。僕を事務所に雇ってくれたのも、僕に将臣っていう大事な存在がいて、観月さんには絶対に好意を持たないってわかってもらえたからだし……」
「えっ、じゃあ観月さんに話したんですか? 周防さんのこと……」
「話したというか、一緒に観月さんに会いに行ったんだ。その時に将臣のことも気に入ってるみたいだったし、これなら大丈夫って思われたのかも……」
「それって、観月さんが自分には興味持たないなって思うくらい、秀吾さんと周防さんがラブラブだったってことですよね?」
「――っ、ラブラブ、っていうか……そう、かな……」
「ふふっ。そうですよ。わぁー、素敵ですね」
ほんのり頬を染めて照れてる秀吾さんが可愛い。
そういえば、秀吾さんと二人っきりでこういう話をすることってなかったから、なんだかすごく楽しいな。
ついでにいろいろ聞いちゃおうかな。
「ねぇ、秀吾さん。昨夜はどうでした?」
「えっ、どう、って……?」
「ふふっ。狼な秀吾さんとラブラブしたんですか?」
「ああ、えっと、そうかな……」
やっぱり秀吾さん、可愛いな。
ふふっ。周防さんはこういうところが好きなんだろうな。
「やっぱり! そうですよね!! 僕ももふもふしてるエヴァンさんがすっごく可愛くて……あの着ぐるみ、可愛かったですね」
「ああ、うん。そうだね! すっごく可愛かったね」
「周防さんは茶色の狼でしたよね?」
「そうそう、エヴァンさんは黒っぽかったよね。なんか狼の中でもボスって感じでよく似合ってたね」
「狼のボスですか? ふふっ。似合いますね。あれ、もふもふの色を選んだのって佳都さんなんですよね?」
「うん。僕たちはあの着ぐるみパジャマを用意しているのも知らなかったし」
「佳都さんって、選ぶのすごく上手ですね。ほら、あのサンタさんの衣装もみんなにピッタリだったし」
「ああー、確かに。佳都くんはそういう能力あるよね。ほら、クリスマスプレゼントで渡されたアレも」
こそっと小声でアレと言われて、一瞬であのベビードールが浮かんできた。
「アレ! すっごく可愛かったですね!」
「うんうん、将臣もすっごく喜んでたし」
そうそう、エヴァンさんも喜んでくれたよね。
サンタさんの時もすごかったし、今回の赤ずきんちゃんも喜んでくれてた。
「ねぇ、周防さんは今回の赤ずきんちゃんとどっちが喜んでました? というか、サンタさんとドレスとベビードールとどれが一番喜んでました?」
この期間で着たものを思い出しながら尋ねてみる。
こう考えたら結構いろいろ着てたんだな。
「えー、そうだな……。うーん、難しいな。どれだろう……どれも喜んでたんだよね……」
「秀吾? どうした? 何を悩んでるんだ?」
「えっ?」
「わっ!」
秀吾さんが難しそうな顔をして悩んでいると、突然周防さんの声が聞こえてきて秀吾さんも僕も驚いてしまった。
見れば、すぐ近くにエヴァンさんと周防さんが並んでやってきていた。
「ごめん、驚かせるつもりじゃなかったんだけど。難しい顔をしていたから気になって……」
「ユヅル、何があった?」
「あー、えっと……そんな大したことじゃないんですけど……」
そう言いつつも、目の前で心配そうな表情をしている周防さんとエヴァンさんをみると、ちゃんと言わなきゃいけないのかなという気にさせられる。
「あの、今回の滞在中に僕たちがした衣装の中でどれか一番、周防さんが喜んでたかなって聞いてたんです」
「えっ? 衣装?」
「はい。サンタさんと結婚式の時のドレスと、ベビードールとそれから赤ずきんちゃん! どれが一番興奮してくれたのかなって」
「な――っ!!!!」
僕の言葉にみるみるうちに周防さんと秀吾さんの顔が赤くなっていくのがわかる。
えっ……もしかして、僕……言っちゃいけなかった?
とんでもないことをしてしまったかと不安になって、エヴァンさんに視線を向けるとすぐに隣に座ってくれたエヴァンさんが優しく抱きしめてくれる。
「エヴァンさん、僕……」
「大丈夫、スオウもシュウゴも照れただけだ。なぁ、そうだろう?」
「は、はい。そうです」
「ほら。だから、ユヅルは気にしないでいい。それから、せっかくだから私の意見を伝えておこう」
「えっ?」
「私はどれも興奮するが、それはユヅルだからだ。ユヅルが着ているものならなんでも興奮するよ。だから、一番は選べないな」
「エヴァンさん……」
「きっとスオウもそうだろう。愛しい伴侶が着ている物ならどれにも興奮するし、興奮しない方がおかしいだろうな」
そう言って笑顔を見せたエヴァンさんに、周防さんはまだほんのりと赤い顔で頷いていた。
「えっ、じゃあ観月さんに話したんですか? 周防さんのこと……」
「話したというか、一緒に観月さんに会いに行ったんだ。その時に将臣のことも気に入ってるみたいだったし、これなら大丈夫って思われたのかも……」
「それって、観月さんが自分には興味持たないなって思うくらい、秀吾さんと周防さんがラブラブだったってことですよね?」
「――っ、ラブラブ、っていうか……そう、かな……」
「ふふっ。そうですよ。わぁー、素敵ですね」
ほんのり頬を染めて照れてる秀吾さんが可愛い。
そういえば、秀吾さんと二人っきりでこういう話をすることってなかったから、なんだかすごく楽しいな。
ついでにいろいろ聞いちゃおうかな。
「ねぇ、秀吾さん。昨夜はどうでした?」
「えっ、どう、って……?」
「ふふっ。狼な秀吾さんとラブラブしたんですか?」
「ああ、えっと、そうかな……」
やっぱり秀吾さん、可愛いな。
ふふっ。周防さんはこういうところが好きなんだろうな。
「やっぱり! そうですよね!! 僕ももふもふしてるエヴァンさんがすっごく可愛くて……あの着ぐるみ、可愛かったですね」
「ああ、うん。そうだね! すっごく可愛かったね」
「周防さんは茶色の狼でしたよね?」
「そうそう、エヴァンさんは黒っぽかったよね。なんか狼の中でもボスって感じでよく似合ってたね」
「狼のボスですか? ふふっ。似合いますね。あれ、もふもふの色を選んだのって佳都さんなんですよね?」
「うん。僕たちはあの着ぐるみパジャマを用意しているのも知らなかったし」
「佳都さんって、選ぶのすごく上手ですね。ほら、あのサンタさんの衣装もみんなにピッタリだったし」
「ああー、確かに。佳都くんはそういう能力あるよね。ほら、クリスマスプレゼントで渡されたアレも」
こそっと小声でアレと言われて、一瞬であのベビードールが浮かんできた。
「アレ! すっごく可愛かったですね!」
「うんうん、将臣もすっごく喜んでたし」
そうそう、エヴァンさんも喜んでくれたよね。
サンタさんの時もすごかったし、今回の赤ずきんちゃんも喜んでくれてた。
「ねぇ、周防さんは今回の赤ずきんちゃんとどっちが喜んでました? というか、サンタさんとドレスとベビードールとどれが一番喜んでました?」
この期間で着たものを思い出しながら尋ねてみる。
こう考えたら結構いろいろ着てたんだな。
「えー、そうだな……。うーん、難しいな。どれだろう……どれも喜んでたんだよね……」
「秀吾? どうした? 何を悩んでるんだ?」
「えっ?」
「わっ!」
秀吾さんが難しそうな顔をして悩んでいると、突然周防さんの声が聞こえてきて秀吾さんも僕も驚いてしまった。
見れば、すぐ近くにエヴァンさんと周防さんが並んでやってきていた。
「ごめん、驚かせるつもりじゃなかったんだけど。難しい顔をしていたから気になって……」
「ユヅル、何があった?」
「あー、えっと……そんな大したことじゃないんですけど……」
そう言いつつも、目の前で心配そうな表情をしている周防さんとエヴァンさんをみると、ちゃんと言わなきゃいけないのかなという気にさせられる。
「あの、今回の滞在中に僕たちがした衣装の中でどれか一番、周防さんが喜んでたかなって聞いてたんです」
「えっ? 衣装?」
「はい。サンタさんと結婚式の時のドレスと、ベビードールとそれから赤ずきんちゃん! どれが一番興奮してくれたのかなって」
「な――っ!!!!」
僕の言葉にみるみるうちに周防さんと秀吾さんの顔が赤くなっていくのがわかる。
えっ……もしかして、僕……言っちゃいけなかった?
とんでもないことをしてしまったかと不安になって、エヴァンさんに視線を向けるとすぐに隣に座ってくれたエヴァンさんが優しく抱きしめてくれる。
「エヴァンさん、僕……」
「大丈夫、スオウもシュウゴも照れただけだ。なぁ、そうだろう?」
「は、はい。そうです」
「ほら。だから、ユヅルは気にしないでいい。それから、せっかくだから私の意見を伝えておこう」
「えっ?」
「私はどれも興奮するが、それはユヅルだからだ。ユヅルが着ているものならなんでも興奮するよ。だから、一番は選べないな」
「エヴァンさん……」
「きっとスオウもそうだろう。愛しい伴侶が着ている物ならどれにも興奮するし、興奮しない方がおかしいだろうな」
そう言って笑顔を見せたエヴァンさんに、周防さんはまだほんのりと赤い顔で頷いていた。
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