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トランプ大会
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「わぁー、素敵!!」
「ふわふわだぁー! 気持ちいい~!!」
真っ白なふわふわの絨毯の上に足を乗せると、空良くんと理央くんが嬉しそうな声をあげる。
「このお部屋、すっごくいいね」
「でしょう? 僕も気に入ってるんだ! 広すぎるからここくらいしか使ってないけど」
「それなら、あっちの一角には畳を置いたらどうかな? 日本でも洋間に畳を敷いて和室にアレンジしたりするのってよく聞くし」
「わぁー、それ良さそう!」
秀吾さんの提案にすぐに飛びついてしまったのは、以前母さんと住んでいた家が和室ばかりだったからだ。
生まれてからずっと和室がある部屋でしか住んでいなかったから、なんとなく和室があると落ち着く気がする。
「なるほど。それはユヅルも気に入りそうだな。早速タタミを注文するとしよう」
「ああ、畳なら日本の腕のいい職人を知っているから話をしておくよ」
「アヤシロ、いいのか?」
「もちろんだよ。ロレーヌにはよくしてもらってるからな」
「助かるよ。正直、タタミのことはわからないからな」
どうやら綾城さんのお知り合いの人を紹介してくれるみたい。
すごく大事になっちゃった気がするけど、やっぱり畳といえば日本だもんね。
ここで畳に触れ合えるならこんなに嬉しいことはない。
絨毯の上でゴロゴロするのも楽しいけど、やっぱり畳の上でお昼寝は最高なんだ。
「ユヅル、こっちに座ろう」
「うん」
ふわふわの絨毯にエヴァンさんがあぐらをかいて座ると、その中に僕を座らせてくれて、狼の着ぐるみを着た大きな身体で後ろから包み込まれる。
「ふふっ。エヴァンさん。もふもふして気持ちいい」
「そうか? そういえば、ユヅル。これはスカートか?」
「うん。そうだよ」
「それはいけない!」
そういうと、突然パピーに声をかけ何かを頼んでいた。
すると、すぐにパピーが赤ずきんちゃんの格好をしている僕たちみんなにやわらかいブランケットを配ってくれた。
「これ……」
「ユヅルのスカートの中を見ていいのは私だけだからな」
「――っ、エヴァンさんったら」
でも、そんな独占欲も嬉しいなって思う。
ずっといつまでも僕のことを独占してほしい。
「じゃあ、トランプ配るね~」
リズミカルに手慣れた手つきでトランプを配る佳都さんをみんなが見つめる。
ついついトランプを配る時って見ちゃうよね。
そういえば、うちはいつも母さんと二人っきりのトランプだった。
二人でするババ抜きは手札が多すぎて、小さい時は全部の札を広げるのも苦労したな。
神経衰弱は二人だとなかなか終わりが見えなくて、絵札を外してやってたっけ。
ふふっ、懐かしい。
それでもいつも楽しかったのは、母さんが真剣にやってくれていたからかもしれないな。
こんなに大勢でやるトランプって、初めてだからなんだかドキドキしちゃう。
手札は七枚。そのうち一組もうすでに揃っていたから残りは五枚。
「うわぁー、こんな少ない手札を持ったの初めてだ!!」
「ふふ。でもその方が揃うの難しいよ」
僕の声に反応して、秀吾さんがすぐに教えてくれる。
「ああ、確かにそうかも」
だって七組もいるしね。
でもその方がワクワクさが増しそう!
「飛行機でした時もなかなか揃わなかったんだ」
「そうなんだ、それでその時は誰が勝って、誰が負けちゃったの?」
「はーい! 僕たちが一番だったよ!」
嬉しそうに声を上げたのは佳都さん。
「わぁ、そうなんですね。強そう!」
「ふふっ。最下位チームは罰ゲームってことにしたから張り切っちゃった」
「えっ? 罰ゲーム? 誰がしたんですか?」
「ふふっ。空良くんたちだよ。ねっ」
「はい、負けちゃいました」
残念そうだけど、嬉しそうだからきっと楽しかったんだろうな。
「それで、それで! どんな罰ゲームしたの?」
「うーんと、お互いにすごいなとか、可愛いなって思ってることを言い合ったんだよ。恥ずかしかったけど、楽しかった」
罰ゲームっていうワードが気になって尋ねてみたけど、それすっごく楽しそう!!
エヴァンさんが僕のどこがすごいとか可愛いとか言ってくれるのって嬉しいかも!!
「ええー、それ罰ゲームなの? すっごく楽しそう!!」
「ふふっ。じゃあ、今回も罰ゲームしちゃおうっか。その方が盛り上がるし!」
「わぁーい! 賛成!!」
佳都さんが提案してくれたから、僕がすかさず賛同すると
「僕も賛成!!」
「うん、僕も!!」
と理央くんも空良くんも続けて賛同してくれた。
「じゃあ、最下位になったら罰ゲームね。みんなの前でお互いの好きなところとか可愛いところとか言ってください!」
佳都さんがそう高らかに宣言すると、なぜか突然やる気を漲らせたのは悠木さん。
どうしたんだろう?
「ふわふわだぁー! 気持ちいい~!!」
真っ白なふわふわの絨毯の上に足を乗せると、空良くんと理央くんが嬉しそうな声をあげる。
「このお部屋、すっごくいいね」
「でしょう? 僕も気に入ってるんだ! 広すぎるからここくらいしか使ってないけど」
「それなら、あっちの一角には畳を置いたらどうかな? 日本でも洋間に畳を敷いて和室にアレンジしたりするのってよく聞くし」
「わぁー、それ良さそう!」
秀吾さんの提案にすぐに飛びついてしまったのは、以前母さんと住んでいた家が和室ばかりだったからだ。
生まれてからずっと和室がある部屋でしか住んでいなかったから、なんとなく和室があると落ち着く気がする。
「なるほど。それはユヅルも気に入りそうだな。早速タタミを注文するとしよう」
「ああ、畳なら日本の腕のいい職人を知っているから話をしておくよ」
「アヤシロ、いいのか?」
「もちろんだよ。ロレーヌにはよくしてもらってるからな」
「助かるよ。正直、タタミのことはわからないからな」
どうやら綾城さんのお知り合いの人を紹介してくれるみたい。
すごく大事になっちゃった気がするけど、やっぱり畳といえば日本だもんね。
ここで畳に触れ合えるならこんなに嬉しいことはない。
絨毯の上でゴロゴロするのも楽しいけど、やっぱり畳の上でお昼寝は最高なんだ。
「ユヅル、こっちに座ろう」
「うん」
ふわふわの絨毯にエヴァンさんがあぐらをかいて座ると、その中に僕を座らせてくれて、狼の着ぐるみを着た大きな身体で後ろから包み込まれる。
「ふふっ。エヴァンさん。もふもふして気持ちいい」
「そうか? そういえば、ユヅル。これはスカートか?」
「うん。そうだよ」
「それはいけない!」
そういうと、突然パピーに声をかけ何かを頼んでいた。
すると、すぐにパピーが赤ずきんちゃんの格好をしている僕たちみんなにやわらかいブランケットを配ってくれた。
「これ……」
「ユヅルのスカートの中を見ていいのは私だけだからな」
「――っ、エヴァンさんったら」
でも、そんな独占欲も嬉しいなって思う。
ずっといつまでも僕のことを独占してほしい。
「じゃあ、トランプ配るね~」
リズミカルに手慣れた手つきでトランプを配る佳都さんをみんなが見つめる。
ついついトランプを配る時って見ちゃうよね。
そういえば、うちはいつも母さんと二人っきりのトランプだった。
二人でするババ抜きは手札が多すぎて、小さい時は全部の札を広げるのも苦労したな。
神経衰弱は二人だとなかなか終わりが見えなくて、絵札を外してやってたっけ。
ふふっ、懐かしい。
それでもいつも楽しかったのは、母さんが真剣にやってくれていたからかもしれないな。
こんなに大勢でやるトランプって、初めてだからなんだかドキドキしちゃう。
手札は七枚。そのうち一組もうすでに揃っていたから残りは五枚。
「うわぁー、こんな少ない手札を持ったの初めてだ!!」
「ふふ。でもその方が揃うの難しいよ」
僕の声に反応して、秀吾さんがすぐに教えてくれる。
「ああ、確かにそうかも」
だって七組もいるしね。
でもその方がワクワクさが増しそう!
「飛行機でした時もなかなか揃わなかったんだ」
「そうなんだ、それでその時は誰が勝って、誰が負けちゃったの?」
「はーい! 僕たちが一番だったよ!」
嬉しそうに声を上げたのは佳都さん。
「わぁ、そうなんですね。強そう!」
「ふふっ。最下位チームは罰ゲームってことにしたから張り切っちゃった」
「えっ? 罰ゲーム? 誰がしたんですか?」
「ふふっ。空良くんたちだよ。ねっ」
「はい、負けちゃいました」
残念そうだけど、嬉しそうだからきっと楽しかったんだろうな。
「それで、それで! どんな罰ゲームしたの?」
「うーんと、お互いにすごいなとか、可愛いなって思ってることを言い合ったんだよ。恥ずかしかったけど、楽しかった」
罰ゲームっていうワードが気になって尋ねてみたけど、それすっごく楽しそう!!
エヴァンさんが僕のどこがすごいとか可愛いとか言ってくれるのって嬉しいかも!!
「ええー、それ罰ゲームなの? すっごく楽しそう!!」
「ふふっ。じゃあ、今回も罰ゲームしちゃおうっか。その方が盛り上がるし!」
「わぁーい! 賛成!!」
佳都さんが提案してくれたから、僕がすかさず賛同すると
「僕も賛成!!」
「うん、僕も!!」
と理央くんも空良くんも続けて賛同してくれた。
「じゃあ、最下位になったら罰ゲームね。みんなの前でお互いの好きなところとか可愛いところとか言ってください!」
佳都さんがそう高らかに宣言すると、なぜか突然やる気を漲らせたのは悠木さん。
どうしたんだろう?
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