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数日ぶりの我が家
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数日ぶりにエヴァンさんのお屋敷に着く。
お城も素敵だったけれど、ここに帰ってくるとなんだかホッとする。
気づかない間にここがもう自分の家だって認識しているのかもしれない。
僕たちが車から降りていると、すぐに佳都さんたちが乗った車も到着して、いの一番に空良くんが降りてこっちにやってきた。
「弓弦くん! さっきの演奏すっごく綺麗だった!!」
「ふふっ。ありがとう。ミシェルさんはやっぱりプロだよねぇ。秀吾さんもすっごく上手で……その中で演奏できて楽しかったよ」
「いやいや、弓弦くんの演奏もすごかったよ!! 僕、隣で鳥肌立ってたよ。ねぇ、ミシェルさん」
僕が空良くんと話を話をしていると、秀吾さんも話に加わってきた。
「うん、ユヅル。すごかったよ。もちろんシュウゴも! またこの三人で演奏したいって思っちゃった」
「うわぁー、ミシェルさんにそう言ってもらえるだけで感激です!!」
秀吾さんは元々ミシェルさんのファンだと言っていたし、すごく嬉しそう。
正直、突然大勢の前で演奏することになって困っただろうなと思っていたけれど、秀吾さんにとってはいい思い出になったのかな。
「演奏の時の話も後でゆっくり聞かせて! とりあえず、中に入ってこれからパジャマパーティーだよ!!」
ウキウキした声で僕たちに駆け寄ってきたのは、もちろん佳都さん!
そうだ、これからパジャマパーティーだったんだ!
ふふっ。自分が何を着るかも楽しみだけど、何よりエヴァンさんが何を着てくれるのかが楽しみだな。
あの白いわんこは見られずじまいだったもんね。
「わぁー、ケイト! 早くパジャマ見たい!」
「僕も! 見たいー!!」
ミシェルさんの声にさっきまで泣いていた理央くんも嬉しそうに賛同する。
「ふふっ。僕たちの部屋に置いてあるから取ってくるね。あのお茶したところで待ってて!」
「うん、じゃあ弓弦くん。先に行って待ってようよ」
「行こう、行こう!」
空良くんと理央くんに手を引かれて、お家の中に入る。
後ろからエヴァンさんや観月さんたちが僕たちを呼ぶ声がうっすら聞こえたような気がしたけれど、楽しい夜を過ごす気満々の僕たちはわいわいとはしゃいでいて気にする余裕もなかった。
コンサバトリーに着くと、部屋はちょうどいい温度に温められていてホッとする。
「ここ、やっぱり過ごしやすいね。お花も植物もいっぱい置いてあって、なんか落ち着く」
「うん。だから僕もここお気に入りなんだ!」
自分のお気に入りの場所を褒められるのがこんなに嬉しいなんて……。
やっぱり友達っていいな。
『紅茶をお淹れしますね』
いつの間にか一緒に来てくれていたパピーが紅茶の支度を始めた途端、コンサバトリーに紅茶のいい香りが漂ってくる。
「この香りもなんだか落ち着くよね」
「ふふっ。そうだね。空良くんもパピーの紅茶気に入ったんだ?」
「うん。すっごく好き。特にお花の香りがするのが好きだよ」
「ああ、わかるー!! なんか飲むだけじゃなくて香りでも楽しめるよね」
「そう! それにお菓子とすっごく合うし!」
「ふふっ。お菓子も美味しいよね。パピーにお菓子も用意してもらおうね」
「なんか僕、食いしん坊みたい」
「ふふっ。そんなことないよ。紅茶とお菓子ってフランスでは絶対に必要な組み合わせだもん」
「へぇ、そうなんだ」
そんな話をしていると、
「ユヅル、楽しそうだな」
とエヴァンさんの声が聞こえた。
「あっ、エヴァンさん。今ね、パピーが紅茶を淹れてくれているから、それに合うお菓子も欲しいなって空良くんと話してたんです。エヴァンさん……パピーにお菓子をお願いしてくれますか?」
「ふふっ。ああ、もちろんだよ」
そういうと、エヴァンさんはすぐにパピーのところに行き話をしてくれた。
「大丈夫、みんなの好きなお菓子を用意してくれているようだよ」
「わぁ、よかったね。空良くん!」
「ほら、ユヅル。座って待っていよう。みんなも座ってくれ」
エヴァンさんの声かけにコンサバトリーにある大きなテーブルにみんな集まった。
当然のようにエヴァンさんは僕を膝に乗せて席に着く。
そして、みんなも同じだ。
もうそれが当たり前のことになりすぎて、恥ずかしさもない。
それどころか、ずっとそこにいたくなる。
こういうのを自然にできるって幸せだな。
目の前にパピーの淹れてくれた紅茶が置かれる。
今日は薔薇の香りがする紅茶だ。
うーん、いい香り。
一緒に食べるお菓子は理央くんの大好きなマカロンとミシェルさんの好きなウイークエンドシトロン。
それに美味しい焼き菓子も揃っている。
さっき、クリスマスマーケットでご飯を食べたばかりだけど、演奏して緊張したからかな。
身体が甘いものを欲しがっている気がする。
秀吾さんもすぐにケーキを口にしているから、きっと同じなんだろう。
演奏って体力も消耗するんだよね。
感情を目一杯入れたからかもしれないな。
「ユヅル、どれから食べる?」
「じゃあ、ケーキから」
そういうと、エヴァンさんは甘い砂糖がついたウイークエンドシトロンを一口食べさせてくれた。
お城も素敵だったけれど、ここに帰ってくるとなんだかホッとする。
気づかない間にここがもう自分の家だって認識しているのかもしれない。
僕たちが車から降りていると、すぐに佳都さんたちが乗った車も到着して、いの一番に空良くんが降りてこっちにやってきた。
「弓弦くん! さっきの演奏すっごく綺麗だった!!」
「ふふっ。ありがとう。ミシェルさんはやっぱりプロだよねぇ。秀吾さんもすっごく上手で……その中で演奏できて楽しかったよ」
「いやいや、弓弦くんの演奏もすごかったよ!! 僕、隣で鳥肌立ってたよ。ねぇ、ミシェルさん」
僕が空良くんと話を話をしていると、秀吾さんも話に加わってきた。
「うん、ユヅル。すごかったよ。もちろんシュウゴも! またこの三人で演奏したいって思っちゃった」
「うわぁー、ミシェルさんにそう言ってもらえるだけで感激です!!」
秀吾さんは元々ミシェルさんのファンだと言っていたし、すごく嬉しそう。
正直、突然大勢の前で演奏することになって困っただろうなと思っていたけれど、秀吾さんにとってはいい思い出になったのかな。
「演奏の時の話も後でゆっくり聞かせて! とりあえず、中に入ってこれからパジャマパーティーだよ!!」
ウキウキした声で僕たちに駆け寄ってきたのは、もちろん佳都さん!
そうだ、これからパジャマパーティーだったんだ!
ふふっ。自分が何を着るかも楽しみだけど、何よりエヴァンさんが何を着てくれるのかが楽しみだな。
あの白いわんこは見られずじまいだったもんね。
「わぁー、ケイト! 早くパジャマ見たい!」
「僕も! 見たいー!!」
ミシェルさんの声にさっきまで泣いていた理央くんも嬉しそうに賛同する。
「ふふっ。僕たちの部屋に置いてあるから取ってくるね。あのお茶したところで待ってて!」
「うん、じゃあ弓弦くん。先に行って待ってようよ」
「行こう、行こう!」
空良くんと理央くんに手を引かれて、お家の中に入る。
後ろからエヴァンさんや観月さんたちが僕たちを呼ぶ声がうっすら聞こえたような気がしたけれど、楽しい夜を過ごす気満々の僕たちはわいわいとはしゃいでいて気にする余裕もなかった。
コンサバトリーに着くと、部屋はちょうどいい温度に温められていてホッとする。
「ここ、やっぱり過ごしやすいね。お花も植物もいっぱい置いてあって、なんか落ち着く」
「うん。だから僕もここお気に入りなんだ!」
自分のお気に入りの場所を褒められるのがこんなに嬉しいなんて……。
やっぱり友達っていいな。
『紅茶をお淹れしますね』
いつの間にか一緒に来てくれていたパピーが紅茶の支度を始めた途端、コンサバトリーに紅茶のいい香りが漂ってくる。
「この香りもなんだか落ち着くよね」
「ふふっ。そうだね。空良くんもパピーの紅茶気に入ったんだ?」
「うん。すっごく好き。特にお花の香りがするのが好きだよ」
「ああ、わかるー!! なんか飲むだけじゃなくて香りでも楽しめるよね」
「そう! それにお菓子とすっごく合うし!」
「ふふっ。お菓子も美味しいよね。パピーにお菓子も用意してもらおうね」
「なんか僕、食いしん坊みたい」
「ふふっ。そんなことないよ。紅茶とお菓子ってフランスでは絶対に必要な組み合わせだもん」
「へぇ、そうなんだ」
そんな話をしていると、
「ユヅル、楽しそうだな」
とエヴァンさんの声が聞こえた。
「あっ、エヴァンさん。今ね、パピーが紅茶を淹れてくれているから、それに合うお菓子も欲しいなって空良くんと話してたんです。エヴァンさん……パピーにお菓子をお願いしてくれますか?」
「ふふっ。ああ、もちろんだよ」
そういうと、エヴァンさんはすぐにパピーのところに行き話をしてくれた。
「大丈夫、みんなの好きなお菓子を用意してくれているようだよ」
「わぁ、よかったね。空良くん!」
「ほら、ユヅル。座って待っていよう。みんなも座ってくれ」
エヴァンさんの声かけにコンサバトリーにある大きなテーブルにみんな集まった。
当然のようにエヴァンさんは僕を膝に乗せて席に着く。
そして、みんなも同じだ。
もうそれが当たり前のことになりすぎて、恥ずかしさもない。
それどころか、ずっとそこにいたくなる。
こういうのを自然にできるって幸せだな。
目の前にパピーの淹れてくれた紅茶が置かれる。
今日は薔薇の香りがする紅茶だ。
うーん、いい香り。
一緒に食べるお菓子は理央くんの大好きなマカロンとミシェルさんの好きなウイークエンドシトロン。
それに美味しい焼き菓子も揃っている。
さっき、クリスマスマーケットでご飯を食べたばかりだけど、演奏して緊張したからかな。
身体が甘いものを欲しがっている気がする。
秀吾さんもすぐにケーキを口にしているから、きっと同じなんだろう。
演奏って体力も消耗するんだよね。
感情を目一杯入れたからかもしれないな。
「ユヅル、どれから食べる?」
「じゃあ、ケーキから」
そういうと、エヴァンさんは甘い砂糖がついたウイークエンドシトロンを一口食べさせてくれた。
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