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小指の約束
しおりを挟む「見てみてー! 買ってもらったよ!」
「うん、僕も!」
理央くんは嬉しそうにピンクのマカロンがついたキーホルダーを見せてくれる。
「ふふっ。やっぱり理央くんはピンクだよね」
みんなで家でお菓子を食べた時、ピンクのマカロンを嬉しそうに食べていたのを思い出す。
「同じピンクでも同じ味はあんまりないんだよ。前に食べたのは桜味っていうのでね……」
笑顔でマカロンについて話をしてくれる理央くん。
きっとマカロンが一番好きなお菓子なんだろうな。
でもわかる。
あの不思議な食感と味わいが僕も大好きだもん。
「フランスには桜味はなかったなぁ。日本だけなんだろうね」
「そっか……じゃあ、今度日本に来た時に一緒に食べよう!」
「うん! 約束!」
理央くんの小さな小指と絡めると、理央くんは嬉しそうに笑っていた。
お店を出て、次は一階にある第一展望台に下りていくんだけど、
「ここから第一展望台に下りるには階段しかないから、階段で下りるよ」
と教えてくれて、そのまま僕を抱きかかえた。
「僕、自分で階段下りるよ」
「いいんだ。少し急で危ないからね」
「でも、前が見えないと危ないんじゃない?」
「大丈夫だ、ユヅルは安心して私の腕の中にいたらいい」
そう言われたらもう断ることもできなかった。
しかもすごく嬉しそうなんだよね、エヴァンさん。
エヴァンさんの顔を間近に見ている間に、あっという間に第一展望台にたどり着いた。
「ここには面白い場所があるんだ」
そう言って、エヴァンさんは僕たちをそこに連れて行ってくれた。
「ここだよ」
エヴァンさんの腕から下ろされて、そこを見ると、驚くことに床がガラスになっているところがある。
「えっ? わっ! 下が丸見えだ!!」
「ふふっ。すごいだろう!」
「うわー、壊れちゃいそうで怖いっ!」
「大丈夫だよ、ほら、写真を撮ってあげるからそこに乗ってごらん」
「えー、でもちょっと怖いなぁ。ねぇ、リュカ! リュカも一緒にきて!」
理央くんたちもちょっと怖がっているし、一番大丈夫そうなリュカに声をかけると、
「あっ、リュカとユヅルが行くなら僕もいく!」
とミシェルさんが駆け寄ってきた。
僕はミシェルさんとリュカに挟まれながら、その床に座り、写真を撮ってもらった。
「ちょっと怖かったんだけど、二人が一緒だからよかったよ」
「ふふっ。ミシェルさんも怖いものがあるんですね」
「本当に! なんでも怖気付くことなくしてそうなのに」
「ええー、ひどいっ」
リュカの言葉にそう言いつつも、ミシェルさんは笑っていた。
僕たちの後、理央くんと空良くんは怖がって、佳都さんと秀吾さんも一緒に四人で写真を撮っていた。
「さぁ、じゃあエッフェル塔を下りるとしようか」
エッフェル塔の上から下まで堪能できて大満足。
ここから出口に下りるのももちろんエヴァンさんに抱きかかえられて下りることになった。
地上に下りて見上げるとさっきまでいた最上階の展望台は見えないくらい高い。
「あんな場所まで行ってたんだ! 不思議」
「ふふっ。そうだな。またあの景色が見たくなったら来ようか」
「うん、約束ですよ」
そういうとエヴァンさんは僕に手を差し出した。
「ん?」
「さっきリオとやっていただろう? 私にもしてほしい」
そう言われて、さっきのマカロンを食べに行こうって話していた約束のことを思い出した。
「ふふっ。エヴァンさんったら……」
あれを見て、ちょっと嫉妬していたのかと思うと可愛く思えてくる。
「はい。約束ですね」
そう言って小指を差し出すとエヴァンさんは嬉しそうに僕の指に絡めた。
「エヴァンさん、この後はどこに行くの?」
「ああ、美術館だよ」
「美術館? わぁ! 僕、初めてです!! 秀吾さんは行ったことある?」
隣にいた秀吾さんに声をかけたのは、フランスに行ったことがあると聞いていたからだ。
「この前フランスに来た時は残念ながら休館日で観られなかったんですよ。だから、楽しみです!」
「じゃあ、みんなで楽しめるね!」
佳都さんも美術館には行ってないと話していたし、理央くんと空良くんはもちろん初めてだし、ミシェルさんとリュカは何度も来たかもだけど。
日本人の僕らには楽しめそう。
なんだかホストのはずなのに、僕が一番楽しんでいる気がするんだけど……。
でもまぁ、みんなも楽しそうだからいいか。
歩くとここから結構かかるらしく、今度は車移動。
すぐに車がやってきて、来たときと同じ組に分かれて車に乗り込んだ。
理央くんとリュカと固まって座りながら、外の景色をみる。
リュカが景色を見ながら説明してくれるから、僕も理央くんも楽しい。
その間、エヴァンさんはジョルジュさんと観月さんと楽しそうにおしゃべりしていた。
フランス語で話しているから何話しているかわからないけど、でも本当に楽しそう。
観月さんって、フランス人みたいにフランス語が話せて本当にすごいな。
「うん、僕も!」
理央くんは嬉しそうにピンクのマカロンがついたキーホルダーを見せてくれる。
「ふふっ。やっぱり理央くんはピンクだよね」
みんなで家でお菓子を食べた時、ピンクのマカロンを嬉しそうに食べていたのを思い出す。
「同じピンクでも同じ味はあんまりないんだよ。前に食べたのは桜味っていうのでね……」
笑顔でマカロンについて話をしてくれる理央くん。
きっとマカロンが一番好きなお菓子なんだろうな。
でもわかる。
あの不思議な食感と味わいが僕も大好きだもん。
「フランスには桜味はなかったなぁ。日本だけなんだろうね」
「そっか……じゃあ、今度日本に来た時に一緒に食べよう!」
「うん! 約束!」
理央くんの小さな小指と絡めると、理央くんは嬉しそうに笑っていた。
お店を出て、次は一階にある第一展望台に下りていくんだけど、
「ここから第一展望台に下りるには階段しかないから、階段で下りるよ」
と教えてくれて、そのまま僕を抱きかかえた。
「僕、自分で階段下りるよ」
「いいんだ。少し急で危ないからね」
「でも、前が見えないと危ないんじゃない?」
「大丈夫だ、ユヅルは安心して私の腕の中にいたらいい」
そう言われたらもう断ることもできなかった。
しかもすごく嬉しそうなんだよね、エヴァンさん。
エヴァンさんの顔を間近に見ている間に、あっという間に第一展望台にたどり着いた。
「ここには面白い場所があるんだ」
そう言って、エヴァンさんは僕たちをそこに連れて行ってくれた。
「ここだよ」
エヴァンさんの腕から下ろされて、そこを見ると、驚くことに床がガラスになっているところがある。
「えっ? わっ! 下が丸見えだ!!」
「ふふっ。すごいだろう!」
「うわー、壊れちゃいそうで怖いっ!」
「大丈夫だよ、ほら、写真を撮ってあげるからそこに乗ってごらん」
「えー、でもちょっと怖いなぁ。ねぇ、リュカ! リュカも一緒にきて!」
理央くんたちもちょっと怖がっているし、一番大丈夫そうなリュカに声をかけると、
「あっ、リュカとユヅルが行くなら僕もいく!」
とミシェルさんが駆け寄ってきた。
僕はミシェルさんとリュカに挟まれながら、その床に座り、写真を撮ってもらった。
「ちょっと怖かったんだけど、二人が一緒だからよかったよ」
「ふふっ。ミシェルさんも怖いものがあるんですね」
「本当に! なんでも怖気付くことなくしてそうなのに」
「ええー、ひどいっ」
リュカの言葉にそう言いつつも、ミシェルさんは笑っていた。
僕たちの後、理央くんと空良くんは怖がって、佳都さんと秀吾さんも一緒に四人で写真を撮っていた。
「さぁ、じゃあエッフェル塔を下りるとしようか」
エッフェル塔の上から下まで堪能できて大満足。
ここから出口に下りるのももちろんエヴァンさんに抱きかかえられて下りることになった。
地上に下りて見上げるとさっきまでいた最上階の展望台は見えないくらい高い。
「あんな場所まで行ってたんだ! 不思議」
「ふふっ。そうだな。またあの景色が見たくなったら来ようか」
「うん、約束ですよ」
そういうとエヴァンさんは僕に手を差し出した。
「ん?」
「さっきリオとやっていただろう? 私にもしてほしい」
そう言われて、さっきのマカロンを食べに行こうって話していた約束のことを思い出した。
「ふふっ。エヴァンさんったら……」
あれを見て、ちょっと嫉妬していたのかと思うと可愛く思えてくる。
「はい。約束ですね」
そう言って小指を差し出すとエヴァンさんは嬉しそうに僕の指に絡めた。
「エヴァンさん、この後はどこに行くの?」
「ああ、美術館だよ」
「美術館? わぁ! 僕、初めてです!! 秀吾さんは行ったことある?」
隣にいた秀吾さんに声をかけたのは、フランスに行ったことがあると聞いていたからだ。
「この前フランスに来た時は残念ながら休館日で観られなかったんですよ。だから、楽しみです!」
「じゃあ、みんなで楽しめるね!」
佳都さんも美術館には行ってないと話していたし、理央くんと空良くんはもちろん初めてだし、ミシェルさんとリュカは何度も来たかもだけど。
日本人の僕らには楽しめそう。
なんだかホストのはずなのに、僕が一番楽しんでいる気がするんだけど……。
でもまぁ、みんなも楽しそうだからいいか。
歩くとここから結構かかるらしく、今度は車移動。
すぐに車がやってきて、来たときと同じ組に分かれて車に乗り込んだ。
理央くんとリュカと固まって座りながら、外の景色をみる。
リュカが景色を見ながら説明してくれるから、僕も理央くんも楽しい。
その間、エヴァンさんはジョルジュさんと観月さんと楽しそうにおしゃべりしていた。
フランス語で話しているから何話しているかわからないけど、でも本当に楽しそう。
観月さんって、フランス人みたいにフランス語が話せて本当にすごいな。
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