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友人たちとの楽しい時間
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静まり返ったコンサバトリーで、エヴァンさんがパピーに何か指示をして、その後悠木さんともフランス語で話をしている。
あまりにも流暢すぎて僕には何を言っているのかわからない。
「秀吾さん。エヴァンさん、今なんて言ったんですか?」
「あ、えっと……ジュールさんには空良くんのために椅子にもっとクッションとブランケットを用意してあげるようにと頼んだみたいですね。悠木さんには……用意した椅子に空良くんを座らせてあげるように言ったみたいです。まだ空良くんが疲れていそうなので、ロレーヌさんの優しい配慮ですよ」
「そうなんだ……」
すぐにそんな指示を出せるって、エヴァンさん……本当に優しいな。
パピーはすぐに僕たちが座っているテーブルに、少し大きめの椅子とそこにたくさんのクッションを乗せて運んできてくれた。
『ユウキさま。ソラさまをこちらにどうぞ』
これくらいのフランス語ならわかるようになったな。
そんなことを思いながら、悠木さんが空良くんをその椅子に座らせるのをじっと見ていた。
上からさっとブランケットをかけたおかげで僕たちからはほとんど顔しか見えていない。
その顔はまだほんのりと赤くて、ちょっと疲れているように見えた。
悠木さんは
「空良、大丈夫か? ここでみんなと話をしておいてくれ」
と声をかけ、髪にチュッとキスをして、何度か振り返りながらエヴァンさんたちの席に向かっていった。
「空良くん、大丈夫?」
理央くんの声かけに、空良くんは弱いけれどニコッと笑いながら
「ふふっ。大丈夫だよ。ちょっと眠いだけだから」
と返してくれた。
「ねぇねぇ、もしかして今までずっとベッドにいたの?」
「「「「――っ!!!!」」」」」
「うん、僕もそれ聞きたかった!」
「だよね!」
小声ながらもミシェルさんのド直球な質問に僕はびっくりした。
けれど、佳都さんも楽しげにその話に加わって、僕や秀吾さん、リュカと理央くんは顔を真っ赤にしながらそれを見つめていた。
「ついさっきまで、ご飯食べてました。あの、クロワッサンとショコラショー」
ああ、なんだ。
よかったと何故かホッとする自分がいた。
「あのクロワッサン、空良くんも食べたんだね。僕と理央くんも食べたんだよ。ねぇ、理央くん」
「サクサクして美味しかった。ショコラショーにつけて食べるのがとってもおいしかった」
「あれ、最高だよね」
なんて話をしている横で、
「もしかして、それが今日初めての食事?」
と佳都さんに尋ねられて、空良くんは頷いていた。
その返事にハッと気づいて、僕も理央くんも驚いてしまう。
だって、今は夕方のもうすぐ5時くらい。
ついさっき僕たちが朝食に食べたクロワッサンを食べたってことは……。
「……そういうことだよね?」
こっそりと理央くんに耳打ちすると、理央くんは何度も頷いていた。
やっぱりずっと愛し合ってたんだ……。
すごいなぁ。
空良くん、僕たちと同じ新婚さんなのに、一歩も二歩も上をいっている気がする。
「えー、すごい! 空良くんすごいよ! ねぇねぇ、あのベビードールは着てくれた?」
少しテンション高めな佳都さんがそう尋ねると、空良くんはまだ赤い顔をさらに赤く染めて、
「寛人さん、すごく興奮してくれました。本当にすごいですね、あのベビードール」
というと、佳都さんは嬉しそうに笑っていた。
「やっぱりね、悠木さん。あれ絶対に気に入ってくれると思ったんだ。ちなみにみんな興奮してくれたんだって。ね、理央くん」
「えっ? あっ」
突然話を振られた理央くんは驚きながら、ブンブンと顔を縦に振っていた。
「そうなんだ……やっぱり、佳都さんの選ぶものはすごいんですね。前もメイド服の時……」
空良くんの言葉に
「えっ? メイド服って何、何?」
とミシェルさんが興味津々で佳都さんに聞いていた。
僕も正直気になるなぁ……なんて思いながら話を聞いていると、佳都さんは嬉しそうにスマホを取り出した。
「うん。これなら怒られなさそう。ほら、これだよ、見て見て!」
そう言って見せられたスマホの画面には、佳都さんと空良くん、そして理央くんがメイドさんの服を着て、頭にうさぎさんや猫ちゃんの可愛い耳をつけている。
「わぁー! 可愛いっ!!」
僕が声をあげると、ミシェルさんもリュカも、そして秀吾さんも同じように可愛いと声をあげていた。
「ケイト、これも可愛いね! どうやってこんな服を探しているの?」
ミシェルさんのそんな質問に佳都さんは
「これはね、新婚旅行でホテルに泊まった時に見つけたんだ。こういうの探すのって楽しくて……」
と笑顔で返していた。
「ええー、すごい。ケイト、これはもう天職だよ! これからもいっぱい探して教えてー!」
「ふふっ。ミシェルさんがそんなにハマってくれるなんて嬉しい! 任せておいて!」
楽しそうに盛り上がっている二人を見ながら、僕たちも思わず笑ってしまった。
ふふっ。こういう時間ってなんだか楽しいな。
あまりにも流暢すぎて僕には何を言っているのかわからない。
「秀吾さん。エヴァンさん、今なんて言ったんですか?」
「あ、えっと……ジュールさんには空良くんのために椅子にもっとクッションとブランケットを用意してあげるようにと頼んだみたいですね。悠木さんには……用意した椅子に空良くんを座らせてあげるように言ったみたいです。まだ空良くんが疲れていそうなので、ロレーヌさんの優しい配慮ですよ」
「そうなんだ……」
すぐにそんな指示を出せるって、エヴァンさん……本当に優しいな。
パピーはすぐに僕たちが座っているテーブルに、少し大きめの椅子とそこにたくさんのクッションを乗せて運んできてくれた。
『ユウキさま。ソラさまをこちらにどうぞ』
これくらいのフランス語ならわかるようになったな。
そんなことを思いながら、悠木さんが空良くんをその椅子に座らせるのをじっと見ていた。
上からさっとブランケットをかけたおかげで僕たちからはほとんど顔しか見えていない。
その顔はまだほんのりと赤くて、ちょっと疲れているように見えた。
悠木さんは
「空良、大丈夫か? ここでみんなと話をしておいてくれ」
と声をかけ、髪にチュッとキスをして、何度か振り返りながらエヴァンさんたちの席に向かっていった。
「空良くん、大丈夫?」
理央くんの声かけに、空良くんは弱いけれどニコッと笑いながら
「ふふっ。大丈夫だよ。ちょっと眠いだけだから」
と返してくれた。
「ねぇねぇ、もしかして今までずっとベッドにいたの?」
「「「「――っ!!!!」」」」」
「うん、僕もそれ聞きたかった!」
「だよね!」
小声ながらもミシェルさんのド直球な質問に僕はびっくりした。
けれど、佳都さんも楽しげにその話に加わって、僕や秀吾さん、リュカと理央くんは顔を真っ赤にしながらそれを見つめていた。
「ついさっきまで、ご飯食べてました。あの、クロワッサンとショコラショー」
ああ、なんだ。
よかったと何故かホッとする自分がいた。
「あのクロワッサン、空良くんも食べたんだね。僕と理央くんも食べたんだよ。ねぇ、理央くん」
「サクサクして美味しかった。ショコラショーにつけて食べるのがとってもおいしかった」
「あれ、最高だよね」
なんて話をしている横で、
「もしかして、それが今日初めての食事?」
と佳都さんに尋ねられて、空良くんは頷いていた。
その返事にハッと気づいて、僕も理央くんも驚いてしまう。
だって、今は夕方のもうすぐ5時くらい。
ついさっき僕たちが朝食に食べたクロワッサンを食べたってことは……。
「……そういうことだよね?」
こっそりと理央くんに耳打ちすると、理央くんは何度も頷いていた。
やっぱりずっと愛し合ってたんだ……。
すごいなぁ。
空良くん、僕たちと同じ新婚さんなのに、一歩も二歩も上をいっている気がする。
「えー、すごい! 空良くんすごいよ! ねぇねぇ、あのベビードールは着てくれた?」
少しテンション高めな佳都さんがそう尋ねると、空良くんはまだ赤い顔をさらに赤く染めて、
「寛人さん、すごく興奮してくれました。本当にすごいですね、あのベビードール」
というと、佳都さんは嬉しそうに笑っていた。
「やっぱりね、悠木さん。あれ絶対に気に入ってくれると思ったんだ。ちなみにみんな興奮してくれたんだって。ね、理央くん」
「えっ? あっ」
突然話を振られた理央くんは驚きながら、ブンブンと顔を縦に振っていた。
「そうなんだ……やっぱり、佳都さんの選ぶものはすごいんですね。前もメイド服の時……」
空良くんの言葉に
「えっ? メイド服って何、何?」
とミシェルさんが興味津々で佳都さんに聞いていた。
僕も正直気になるなぁ……なんて思いながら話を聞いていると、佳都さんは嬉しそうにスマホを取り出した。
「うん。これなら怒られなさそう。ほら、これだよ、見て見て!」
そう言って見せられたスマホの画面には、佳都さんと空良くん、そして理央くんがメイドさんの服を着て、頭にうさぎさんや猫ちゃんの可愛い耳をつけている。
「わぁー! 可愛いっ!!」
僕が声をあげると、ミシェルさんもリュカも、そして秀吾さんも同じように可愛いと声をあげていた。
「ケイト、これも可愛いね! どうやってこんな服を探しているの?」
ミシェルさんのそんな質問に佳都さんは
「これはね、新婚旅行でホテルに泊まった時に見つけたんだ。こういうの探すのって楽しくて……」
と笑顔で返していた。
「ええー、すごい。ケイト、これはもう天職だよ! これからもいっぱい探して教えてー!」
「ふふっ。ミシェルさんがそんなにハマってくれるなんて嬉しい! 任せておいて!」
楽しそうに盛り上がっている二人を見ながら、僕たちも思わず笑ってしまった。
ふふっ。こういう時間ってなんだか楽しいな。
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