天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます

波木真帆

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尊敬の眼差し

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「じゃあお出かけした後、その夜に頑張ってみる?」

「うーん、難しそうだけど頑張ってみようかな」

「そっか。理央くんが頑張るなら僕もチャレンジしてみようかな」

「ふふっ。うん、頑張ろうね!」

嬉しそうな笑顔を浮かべる理央くん。
今頃きっと観月さんが喜ぶ顔でも想像しているんだろうな。
僕はうまく行くかどうか心配だけど……。
だって、みんなが揃っていうくらいエヴァンさんのっておっきいんだもんね。
それを自分で挿入できるか、不安しかない……。

「あっ、でもできなくても気にしないで! 僕、ベビードールも着忘れてて、焦って泣いちゃったんだ」

自分ができないかもしれないという想定のもとでそんなことを言ってみたけれど、

「ああ、うん。僕もそう思ってた。やらなきゃいけないと思うと不安になっちゃうもんね」

と笑顔で返してくれてホッとした。
僕たちはやっぱり同じだ。
結婚したばかりで慣れないもん。
こんな僕たちでもいつか佳都さんや秀吾さんたちのようになんでもできるようになる日が来るのかなぁ。

まだまだ想像つかないけど。

「ねぇ、お出かけってなに? どこか行くの?」

理央くんと話をしていたら、ミシェルさんにそう尋ねられてそういえば佳都さんとミシェルさんにはまだ話していないことを思い出した。

「そうだ! いうのを忘れてたっ。あのね、エヴァンさんにクリマスマスマーケットにみんなで行きたいって言ったんだ。そうしたら、連れていってくれるって行ってくれたんだよ。今は、その話をしてくれているみたい」

「ああ、なるほどー。だから、こっちにきてすぐにセルジュたちがあっちのテーブルに行ったんだ」

「ふふっ。そうなんだよ。警護のために相談し合うって言ってた。エヴァンさんがお出かけするといつも警護とか大変みたいなんだよね」

『いえ、総帥が出かけるからというよりはユヅルさまがお出かけになるからだと思いますが……』

「えっ? リュカ、なんて言ったの?」

「あ、いいえ。なんでもありません。皆さんでお出かけになるとどうしても目立ちますからね。対策は立てておくに越したことはないですよ」

突然の流暢なフランス語に僕が聞き取れるはずもなく気になったけれど、にこやかなリュカの笑顔にそれ以上聞くことはできなかった。

「確かにこんなに大勢で行くと迷子になっちゃいそうだもんね。特に理央くんは離れないようにしないと!」

「はい。僕、絶対に凌也さんから離れません!」

「ふふっ。理央くん、可愛い」

でも確かにあの人混みで逸れたら怖いかも。
一度実際に行っているから大丈夫かななんて思っていたけど、僕も絶対にエヴァンさんから離れないようにしようっと。

「それでクリスマスマーケットで何――」
『お待たせしてすみません』

突然、佳都さんの声に被さるように流暢なフランス語が耳に入ってきて、その方向に目を向けると悠木さんが空良くんを抱っこして立っていた。

「あっ、空良くん来たんだぁ!」

理央くんの嬉しそうな言葉とは裏腹に、みんなが静かに悠木さんと空良くんを見つめている。

何?
一体どうしたんだろう?

気になって僕もじっと二人の姿を見ていると、あれ? そういえば空良くん、全然動かないな。
そんなことに気がついた。

「もしかして、空良くん……まだ寝てる?」

理央くんの言葉に悠木さんはなぜか少し焦ったように、

「そ、そうなんだ。だけど、もうすぐ起きると思うんだけどね」

と言いながら、空良くんに声をかけていた。

すると、今まで全然動いてなかった空良くんが悠木さんの腕の中で動き始めた。

「ああ、よかった。空良、目が覚めたか?」

「んーっ、ふふっ。ひろ、とさん……まだ、するのー?」

「――っ、空良。違う、違う!」

空良くんの寝ぼけた声がしんと静まり返ったコンサバトリーに響いて、悠木さんはすごく焦っているみたい。

まだするの? ってどういうこと?
気になって理央くんを見たけれど、理央くんもよくわかっていないみたい。
だから、佳都さんや秀吾さんたちに目を向けると、なぜかみんな真っ赤な顔で悠木さんと空良くんを見つめていた。

「ねぇ、秀吾さん。今の、空良くんの言葉ってどういう意味?」

「えっ? あっ、えっと……その、今までずっと、愛し合っていらしたみたいですね。それで……」

歯切れの悪い秀吾さんの言葉を頭の中で考えて、ようやく

「あっ!! そういうこと?」

と気づいた時には、僕も顔が熱くなっていた。

すごいなぁ。
空良くん……あれからずっと悠木さんと愛し合ってたんだ……。

もしかして、上に乗るっていうのをもうマスターしてたりするのかな?

「空良くん、すごいなぁ……」

僕と秀吾さんの会話に理央くんもどういうことか気づいたらしく、真っ赤な顔で空良くんを尊敬の眼差しで見つめていた。
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