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煌めく結婚指輪

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脱がせるのは惜しいけれど……そう言いながらも、エヴァンさんの蜜に塗れたベビードールを着せたままでいるわけにはいかないと言って、エヴァンさんがお風呂に連れて行ってくれた。

裸でエヴァンさんに抱っこされていると、温もりだけでなく鼓動も聞こえてきて安心する。
自分の身体ではないくらいに重く疲れているけれど、幸せな疲労だ。

「ユヅル、熱くないか?」

「大丈夫です。気持ち良すぎて寝てしまいそう……」

「ふふっ。ならよかった。綺麗に身体を清めておくから寝ていてもいいぞ」

そんな優しい言葉をかけられながら、身体が清められていく。
あっという間に綺麗になった身体を綺麗に拭いてもらい、寝室に戻ると

「わっ! 綺麗になってる」

シーツが綺麗に整えられていた。

「ああ、風呂に入る前にジュールに頼んでおいたからな」

いつの間に連絡をしておいたのだろう。
気づかなかったな。
それくらいエヴァンさんのことしか見えていないのかもしれない。

「ユヅル、お腹は空いていないか?」

そう尋ねられると途端に空腹を感じた。

きゅるると小さく音が鳴ったのが自分でもわかった。

「ふふっ。相変わらずユヅルのお腹は素直だな」

「もう、エヴァンさんったら」

僕が拗ねるとエヴァンさんは優しく抱きしめながら、

「簡単な食事は用意されているが、他に食べたいものはあるか?」

と尋ねてくれた。

エヴァンさんと愛し合ったこんな日に食べたいもの……僕の中では一つだ。

「あの……ちょっとわがままを言ってみてもいいですか?」

「ふふっ。珍しいな。ユヅルからのわがままなら大歓迎だよ。何が食べたい?」

「僕……クロワッサンとホットチョコレートが欲しいです。エヴァンさんが僕にプロポーズしてくれた時の思い出の朝食なので……」

「ユヅルっ!! そんなことまで覚えていてくれたのか?」

「忘れるわけないです……僕、エヴァンさんにそう言われてすごく嬉しかったから……フランスでは定番だって言われたクロワッサンとホットチョコレートの朝食を食べて、エヴァンさんとのフランスでの生活を想像したんですよ」

「そうだったのか……よし、ならすぐに用意させよう」

そういうとすぐにエヴァンさんはパピーを呼んでくれた。
さっきシーツを変えてもらったばかりなのにまた呼び出して申し訳ないなと思いつつ、ベッドに横たわっていると、部屋の扉がすぐに叩かれる音が聞こえた。

あまりの速さに驚きつつも、エヴァンさんにここで待っているようにと言われて、大人しく一人でベッドで待つ。
僕が十人は寝られそうな広いベッドに今更ながら驚いてしまう。

そういえばゆっくりと部屋を眺める暇もなかったけれど、この部屋……今までエヴァンさんと過ごしたどの部屋よりも豪華かも。
さすがお城だよね。
まさか僕がこんなすごい部屋で大好きな人と愛し合える日が来るなんて……本当に幸せすぎて怖いくらいだ。

さっと手をかざすと、僕の左手の薬指にある指輪が見える。
ああ、本当に僕……エヴァンさんと結婚したんだ……。

手首にはサンタさんからもらったブレスレットも輝いていてすごく綺麗。
ふふっ。裸なのに、アクセサリーだけついているのってなんだか不思議。
でもこういうのも幸せだって思うんだよね。

「私がいないのにご機嫌だな」

「わっ、びっくりした」

「悪い、嬉しそうにしていたから、つい声をかけてしまった」

さっと僕の横に身体を滑り込ませながらそんなことを言ってくるエヴァンさんが可愛い。

「嬉しそうにしていたのは、これをみていたからです」

そう言って左手を見せると途端にエヴァンさんの表情が緩んだ。

「そうか。それなら嫉妬して申し訳なかったな。結婚指輪を見てあんなに嬉しそうにしていたのか」

「だって、エヴァンさんと夫夫になった証ですよ。嬉しくないわけないです」

「ああ、ユヅル……私はユヅルを夫にできて人生で最高に幸せだよ」

「ふふっ。僕もです」

「近いうちに正式に発表するからな」

「えっ? 発表、ですか?」

「ああ、ユヅルがロレーヌ一族の総帥である私の大事な夫となり、そしてロレーヌ一族の一員となったことを国内外に知らせておく必要がある。私の夫として今までより窮屈な思いをさせることがあるかもしれないが、わかってくれるか?」

そう改めて言われると、エヴァンさんがものすごい人なんだって思い知らされる。

「僕がエヴァンさんの夫でも、賛成してもらえるんでしょうか……」

「何を言っているんだ。ユヅルは私が心から愛し、選んだ相手だ。誰にも文句は言わせない。言っておくが、私の夫となったユヅルはロレーヌ一族で一番身分が高いのだぞ」

「えっ? 僕が? そんな……」

「ふふっ。ユヅルは今まで通り、私のことを愛してくれていたらいいんだ。私のことを愛しているだろう?」

「それはもちろん!!」

「なら、それでいいんだ」

エヴァンさんがそう言ってくれるんだ。
僕はそれを信じよう。

それで幸せなんだから。
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