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左手の薬指
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「弓弦くん、エヴァンさんおめでとう!」
「すごく綺麗ですっ!」
淡い空色のドレスに身を包んだ秀吾さんとリュカがお祝いの言葉をかけてくれる。
「ありがとう! 二人ともとっても素敵!」
そういうと、二人は顔を見合わせて笑っていた。
エヴァンさんに支えられながら、長いトレーンを引きずって司祭さまがいる場所へ向かう。
この広い礼拝堂は天井が驚くほど高くて、壁にも天井にも天使や神さまの絵がたくさん描かれていて、圧倒される。
ミシェルさんのヴァイオリンと佳都さんのピアノの音がこの空間に共鳴するように美しく響いて言葉では言い表せないほどの感動を与えてくれる。
秀吾さんたちがいる場所より三段ほど階段を上がり、司祭さまの前に立つ。
両端には先に入場した理央くんと観月さん、空良くんと悠木さんがいて、二人の嬉しそうな顔を見ると安心する。
ヴァイオリンとピアノの演奏が止まると、真っ白な衣装に金色のストールみたいなものをかけている司祭さまが口を開いた。
最初はフランス語で聖書のお話をしてくれて、意味は全くわからなかったけれど、穏やかな司祭さまの声と表情が僕たちを祝福しているのがわかってとても安心した。
しばらく聖書のお話を読んでから、司祭さまはパタンと本を閉じ僕たち全員に視線を向けたあと、理央くんたちに言葉をかけた。
「キョウ、このバに、アツマってくれた、みなさまの、シュクフクを、ウけ、あなたガタは、シアワせに、ならな、ケレバ、イケマセン。リオ、あなたのエガオは、リョウヤの、イきるカテ。あなたがいつも、エガオを、たやさぬヨウニ。そして、リョウヤは、リオの、このエガオを、ケッして、くもらせないヨウニ。おタガイを、ソンケイしあって、イきるコト、がダイジ」
「はい。僕……いつでも笑顔でいます」
涙を浮かべながら、司祭さまとそして隣にいる観月さんを見上げる。
観月さんはそんな理央くんをギュッと抱きしめながら、
「理央に決して悲しい思いはさせないと誓うよ。理央、愛している」
と返した。
司祭さまは嬉しそうに微笑むと、今度は空良くんたちに声をかけた。
「ソラ、あなたの、スナオなコトバは、ヒロトの、ココロを、イやす、チカラが、アリマス。いつまでも、ウソイツワりの、ない、コトバで、ヒロトのイやし、となるヨウニ。そして、ヒロトは、ソラに、アイするキモチを、いつでも、いつまでも、ツタエつづけるヨウニ。おタガイに、コトバをかける、コトをワスれず、アカルい、カテイを、ツクるコト、がダイジ」
「はい。僕……寛人さんへの思いをいつも伝えます。寛人さん、大好きです」
空良くんは嬉しそうに隣にいる悠木さんに愛の言葉を告げた。
悠木さんは嬉しそうに空良くんを抱きしめながら、
「私も空良を愛しているよ。これから先もずっと一生愛してる」
と愛の言葉を返した。
そして、最後に司祭さまは僕たちに視線をむけ、声をかけてくれた。
「ユヅル、あなたの、ソンザイ、そのものが、エヴァンの、ゲンドウリョク、とナル。イッショウ、エヴァンの、そばで、エヴァンの、ササえ、となるヨウニ。そして、エヴァンは、ユヅルを、イッショウ、アイし、シアワセ、にするヨウニ。おタガイに、シンジあい、ササえあって、イきるコトが、ダイジ」
「はい。僕……エヴァンさんのそばで一生支え続けます」
そう言って、隣にいるエヴァンさんを見つめると、エヴァンさんもまた僕を抱きしめながら、
「ユヅルと出会えたことが私の人生で最高の幸運だ。ユヅルを一生愛し続けるよ」
と言ってくれた。
その瞬間、大きな拍手が巻き起こった。
大好きな人に嬉しい言葉を言ってもらえて、祝福してもらえて、僕は本当に幸せだ。
「ソレデハ、ユビワの、コウカンを、しましょう」
司祭さまがそういうと、さっと秀吾さんと、リュカと、佳都さんが僕たちの元に駆け寄ってきて、それぞれ観月さんとエヴァンさんと、悠木さんに小箱を手渡した。
豪華な宝石箱のようなものを開けると、中には綺麗な指輪が並んで入れてあって、小さくて細い方には一周ぐるっと宝石がついている。
「わぁ、綺麗っ!」
思わず声が出てしまう。
「ユヅルのために私がデザインしたんだ。気に入ってくれたなら嬉しいよ」
「エヴァンさんが? わぁ、僕、嬉しい!!」
指輪の交換はさっきのようにまず理央くんたちから。
理央くんたちが向き合った瞬間、ミシェルさんの美しい演奏が流れ始めた。
理央くんは緊張して上手く入れられないと言っていたけど、なんとか観月さんに嵌めることができてとっても嬉しそうだった。
空良くんたちは、悠木さんの方が少し緊張しているように見えた。
ふふっ。なんだか可愛い。
そして、今度は僕たちの番だ。
「ユヅル、左手を」
差し出すと、エヴァンさんが優しく指に嵌めてくれた。
キラキラと輝く結婚指輪。
これは一生外さない。
そして、今度は僕。
小箱から取り出した、シンプルだけど上品な指輪はエヴァンさんの大きくて逞しい左手の薬指にピッタリと嵌まった。
その瞬間のエヴァンさんの嬉しそうな表情を僕は一生忘れないだろう。
「すごく綺麗ですっ!」
淡い空色のドレスに身を包んだ秀吾さんとリュカがお祝いの言葉をかけてくれる。
「ありがとう! 二人ともとっても素敵!」
そういうと、二人は顔を見合わせて笑っていた。
エヴァンさんに支えられながら、長いトレーンを引きずって司祭さまがいる場所へ向かう。
この広い礼拝堂は天井が驚くほど高くて、壁にも天井にも天使や神さまの絵がたくさん描かれていて、圧倒される。
ミシェルさんのヴァイオリンと佳都さんのピアノの音がこの空間に共鳴するように美しく響いて言葉では言い表せないほどの感動を与えてくれる。
秀吾さんたちがいる場所より三段ほど階段を上がり、司祭さまの前に立つ。
両端には先に入場した理央くんと観月さん、空良くんと悠木さんがいて、二人の嬉しそうな顔を見ると安心する。
ヴァイオリンとピアノの演奏が止まると、真っ白な衣装に金色のストールみたいなものをかけている司祭さまが口を開いた。
最初はフランス語で聖書のお話をしてくれて、意味は全くわからなかったけれど、穏やかな司祭さまの声と表情が僕たちを祝福しているのがわかってとても安心した。
しばらく聖書のお話を読んでから、司祭さまはパタンと本を閉じ僕たち全員に視線を向けたあと、理央くんたちに言葉をかけた。
「キョウ、このバに、アツマってくれた、みなさまの、シュクフクを、ウけ、あなたガタは、シアワせに、ならな、ケレバ、イケマセン。リオ、あなたのエガオは、リョウヤの、イきるカテ。あなたがいつも、エガオを、たやさぬヨウニ。そして、リョウヤは、リオの、このエガオを、ケッして、くもらせないヨウニ。おタガイを、ソンケイしあって、イきるコト、がダイジ」
「はい。僕……いつでも笑顔でいます」
涙を浮かべながら、司祭さまとそして隣にいる観月さんを見上げる。
観月さんはそんな理央くんをギュッと抱きしめながら、
「理央に決して悲しい思いはさせないと誓うよ。理央、愛している」
と返した。
司祭さまは嬉しそうに微笑むと、今度は空良くんたちに声をかけた。
「ソラ、あなたの、スナオなコトバは、ヒロトの、ココロを、イやす、チカラが、アリマス。いつまでも、ウソイツワりの、ない、コトバで、ヒロトのイやし、となるヨウニ。そして、ヒロトは、ソラに、アイするキモチを、いつでも、いつまでも、ツタエつづけるヨウニ。おタガイに、コトバをかける、コトをワスれず、アカルい、カテイを、ツクるコト、がダイジ」
「はい。僕……寛人さんへの思いをいつも伝えます。寛人さん、大好きです」
空良くんは嬉しそうに隣にいる悠木さんに愛の言葉を告げた。
悠木さんは嬉しそうに空良くんを抱きしめながら、
「私も空良を愛しているよ。これから先もずっと一生愛してる」
と愛の言葉を返した。
そして、最後に司祭さまは僕たちに視線をむけ、声をかけてくれた。
「ユヅル、あなたの、ソンザイ、そのものが、エヴァンの、ゲンドウリョク、とナル。イッショウ、エヴァンの、そばで、エヴァンの、ササえ、となるヨウニ。そして、エヴァンは、ユヅルを、イッショウ、アイし、シアワセ、にするヨウニ。おタガイに、シンジあい、ササえあって、イきるコトが、ダイジ」
「はい。僕……エヴァンさんのそばで一生支え続けます」
そう言って、隣にいるエヴァンさんを見つめると、エヴァンさんもまた僕を抱きしめながら、
「ユヅルと出会えたことが私の人生で最高の幸運だ。ユヅルを一生愛し続けるよ」
と言ってくれた。
その瞬間、大きな拍手が巻き起こった。
大好きな人に嬉しい言葉を言ってもらえて、祝福してもらえて、僕は本当に幸せだ。
「ソレデハ、ユビワの、コウカンを、しましょう」
司祭さまがそういうと、さっと秀吾さんと、リュカと、佳都さんが僕たちの元に駆け寄ってきて、それぞれ観月さんとエヴァンさんと、悠木さんに小箱を手渡した。
豪華な宝石箱のようなものを開けると、中には綺麗な指輪が並んで入れてあって、小さくて細い方には一周ぐるっと宝石がついている。
「わぁ、綺麗っ!」
思わず声が出てしまう。
「ユヅルのために私がデザインしたんだ。気に入ってくれたなら嬉しいよ」
「エヴァンさんが? わぁ、僕、嬉しい!!」
指輪の交換はさっきのようにまず理央くんたちから。
理央くんたちが向き合った瞬間、ミシェルさんの美しい演奏が流れ始めた。
理央くんは緊張して上手く入れられないと言っていたけど、なんとか観月さんに嵌めることができてとっても嬉しそうだった。
空良くんたちは、悠木さんの方が少し緊張しているように見えた。
ふふっ。なんだか可愛い。
そして、今度は僕たちの番だ。
「ユヅル、左手を」
差し出すと、エヴァンさんが優しく指に嵌めてくれた。
キラキラと輝く結婚指輪。
これは一生外さない。
そして、今度は僕。
小箱から取り出した、シンプルだけど上品な指輪はエヴァンさんの大きくて逞しい左手の薬指にピッタリと嵌まった。
その瞬間のエヴァンさんの嬉しそうな表情を僕は一生忘れないだろう。
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