天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます

波木真帆

文字の大きさ
上 下
107 / 206

左手の薬指

しおりを挟む
「弓弦くん、エヴァンさんおめでとう!」
「すごく綺麗ですっ!」

淡い空色のドレスに身を包んだ秀吾さんとリュカがお祝いの言葉をかけてくれる。

「ありがとう! 二人ともとっても素敵!」

そういうと、二人は顔を見合わせて笑っていた。

エヴァンさんに支えられながら、長いトレーンを引きずって司祭さまがいる場所へ向かう。
この広い礼拝堂は天井が驚くほど高くて、壁にも天井にも天使や神さまの絵がたくさん描かれていて、圧倒される。
ミシェルさんのヴァイオリンと佳都さんのピアノの音がこの空間に共鳴するように美しく響いて言葉では言い表せないほどの感動を与えてくれる。

秀吾さんたちがいる場所より三段ほど階段を上がり、司祭さまの前に立つ。

両端には先に入場した理央くんと観月さん、空良くんと悠木さんがいて、二人の嬉しそうな顔を見ると安心する。

ヴァイオリンとピアノの演奏が止まると、真っ白な衣装に金色のストールみたいなものをかけている司祭さまが口を開いた。

最初はフランス語で聖書のお話をしてくれて、意味は全くわからなかったけれど、穏やかな司祭さまの声と表情が僕たちを祝福しているのがわかってとても安心した。

しばらく聖書のお話を読んでから、司祭さまはパタンと本を閉じ僕たち全員に視線を向けたあと、理央くんたちに言葉をかけた。

「キョウ、このバに、アツマってくれた、みなさまの、シュクフクを、ウけ、あなたガタは、シアワせに、ならな、ケレバ、イケマセン。リオ、あなたのエガオは、リョウヤの、イきるカテ。あなたがいつも、エガオを、たやさぬヨウニ。そして、リョウヤは、リオの、このエガオを、ケッして、くもらせないヨウニ。おタガイを、ソンケイしあって、イきるコト、がダイジ」

「はい。僕……いつでも笑顔でいます」

涙を浮かべながら、司祭さまとそして隣にいる観月さんを見上げる。
観月さんはそんな理央くんをギュッと抱きしめながら、

「理央に決して悲しい思いはさせないと誓うよ。理央、愛している」

と返した。

司祭さまは嬉しそうに微笑むと、今度は空良くんたちに声をかけた。

「ソラ、あなたの、スナオなコトバは、ヒロトの、ココロを、イやす、チカラが、アリマス。いつまでも、ウソイツワりの、ない、コトバで、ヒロトのイやし、となるヨウニ。そして、ヒロトは、ソラに、アイするキモチを、いつでも、いつまでも、ツタエつづけるヨウニ。おタガイに、コトバをかける、コトをワスれず、アカルい、カテイを、ツクるコト、がダイジ」

「はい。僕……寛人さんへの思いをいつも伝えます。寛人さん、大好きです」

空良くんは嬉しそうに隣にいる悠木さんに愛の言葉を告げた。
悠木さんは嬉しそうに空良くんを抱きしめながら、

「私も空良を愛しているよ。これから先もずっと一生愛してる」

と愛の言葉を返した。

そして、最後に司祭さまは僕たちに視線をむけ、声をかけてくれた。

「ユヅル、あなたの、ソンザイ、そのものが、エヴァンの、ゲンドウリョク、とナル。イッショウ、エヴァンの、そばで、エヴァンの、ササえ、となるヨウニ。そして、エヴァンは、ユヅルを、イッショウ、アイし、シアワセ、にするヨウニ。おタガイに、シンジあい、ササえあって、イきるコトが、ダイジ」

「はい。僕……エヴァンさんのそばで一生支え続けます」

そう言って、隣にいるエヴァンさんを見つめると、エヴァンさんもまた僕を抱きしめながら、

「ユヅルと出会えたことが私の人生で最高の幸運だ。ユヅルを一生愛し続けるよ」

と言ってくれた。

その瞬間、大きな拍手が巻き起こった。

大好きな人に嬉しい言葉を言ってもらえて、祝福してもらえて、僕は本当に幸せだ。


「ソレデハ、ユビワの、コウカンを、しましょう」

司祭さまがそういうと、さっと秀吾さんと、リュカと、佳都さんが僕たちの元に駆け寄ってきて、それぞれ観月さんとエヴァンさんと、悠木さんに小箱を手渡した。

豪華な宝石箱のようなものを開けると、中には綺麗な指輪が並んで入れてあって、小さくて細い方には一周ぐるっと宝石がついている。

「わぁ、綺麗っ!」

思わず声が出てしまう。

「ユヅルのために私がデザインしたんだ。気に入ってくれたなら嬉しいよ」

「エヴァンさんが? わぁ、僕、嬉しい!!」

指輪の交換はさっきのようにまず理央くんたちから。
理央くんたちが向き合った瞬間、ミシェルさんの美しい演奏が流れ始めた。

理央くんは緊張して上手く入れられないと言っていたけど、なんとか観月さんに嵌めることができてとっても嬉しそうだった。

空良くんたちは、悠木さんの方が少し緊張しているように見えた。
ふふっ。なんだか可愛い。

そして、今度は僕たちの番だ。

「ユヅル、左手を」

差し出すと、エヴァンさんが優しく指に嵌めてくれた。
キラキラと輝く結婚指輪。
これは一生外さない。

そして、今度は僕。

小箱から取り出した、シンプルだけど上品な指輪はエヴァンさんの大きくて逞しい左手の薬指にピッタリと嵌まった。
その瞬間のエヴァンさんの嬉しそうな表情を僕は一生忘れないだろう。
しおりを挟む
感想 169

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

元ベータ後天性オメガ

桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。 ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。 主人公(受) 17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。 ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。 藤宮春樹(ふじみやはるき) 友人兼ライバル(攻) 金髪イケメン身長182cm ベータを偽っているアルファ 名前決まりました(1月26日) 決まるまではナナシくん‥。 大上礼央(おおかみれお) 名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥ ⭐︎コメント受付中 前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。 宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

処理中です...