86 / 206
Noël blanc
しおりを挟む
ベビードールを丁寧に箱に戻して、みんなで会話を楽しんでいると
「プレゼント交換は終わったのか?」
とエヴァンさんが声をかけてくれた。
「はい、すっごく楽しかったです」
「そうか、それなら良かった。ユヅル、ちょっと……」
エヴァンさんが僕の耳元で囁いてくる。
それだけでちょっとドキドキしてしまう。
「そろそろ二つ目のクリスマスツリーを見せて、みんなを驚かせるぞ」
「わぁっ! そうだった!」
たくさんのプレゼントが嬉しくてすっかり忘れてた。
「ツリーは外にあるんだ。みんなをあっちの大きな窓のところに誘導してくれないか?」
「えっ? 外に?」
「ああ、頼むぞ」
外にツリーって、一体どうやって?
そう思ったけど、とりあえず今はエヴァンさんのいう通りにするしかない。
「ねぇ、みんな。暗くなってきたから、星がよく見えるかも。ちょっと景色を見に行かない?」
そんな誘いに乗ってきてくれるか心配だったけど、
「わぁー!! 夜の景色見てみたい!!」
「僕も!」
「行こう、行こう!!」
佳都くんも理央くんも空良くんも思いっきり誘いに乗ってきてくれて嬉しかった。
そんな佳都くんたちの後を追うように秀吾さんやミシェルさん、リュカもついてきてくれた。
「ほら、こっちだよ!」
そう誘いつつも、僕もこれから先のことは何も知らない。
エヴァンさんはツリーがあると言っていたけれど外は真っ暗で何も見えないんだけど……。
あれ?
そういえば、いつもはもっと外の景色も見えるのにな……。
どうなっているんだろう?
不思議に思っていたその瞬間、突然庭に眩い光が灯った。
「わぁーっ!!」
「眩しいっ!」
「何が起こったの?」
目も開けていられないほどの光に思わずギュッと目を瞑っていると、いつの間にかそばに来てくれていたエヴァンさんが
「ユヅル、目を開けて外を見てごらん」
と耳元で囁いてくれた。
「わぁーっ!!! すごいっ! すごいっ!!」
そっと目を開けると、庭の真ん中にある大きな大きな木にかわいい飾り付けと電飾がついてキラキラと輝いているのが見えた。
「すごーいっ!! おっきなクリスマスツリーだ!!」
「あの木、本物だよ!!」
「すごーいっ!! きれい!!」
「こっちのツリーも大きくてびっくりしたのに、それ以上だったね!!」
「さすがロレーヌ家のクリスマスツリーだな!」
僕の声にみんなも目を開けて喜んでくれている。
佳都さんや理央くん、空良くんと同じくらい秀吾さんも目を輝かせて喜んでくれているのが嬉しかった。
「エヴァンさん、窓を開けてもいいですか?」
「ああ、だが外は寒いからコートを着ないとダメだぞ」
そう言って、さっきプレゼントの中から出てきたコートを着せてくれた。
ふわふわでもこもこの可愛いコート。
これは確か空良くんと悠木さんのお母さんからのプレゼントだったはず。
「わぁっ! あったかい!」
「あっ、可愛いっ! 僕もそれ着るっ!」
嬉しそうに空良くんがそういうとすぐに悠木さんが着させてあげている。
ふふっ。やっぱり仲良しだな。
佳都さんも秀吾さんも理央くんも揃って色違いのコートを着ていると、ミシェルさんとリュカも合わせるように着てくれた。
うん、やっぱりお揃いって楽しいっ!!
「みんな、こっちを向いてくれ。母さんたちにコートを着ているところの写真を送りたいんだ」
そんな悠木さんの声にみんなで振り向き、
「ねぇ、弓弦くん。ピースしようよ」
と空良くんが声をかけてくれた。
そういえば、僕……ピースなんかして友達と写真撮るの初めてなんじゃないかな?
ふつふつと込み上げてくる喜びを隠しきれずに満面の笑みで空良くんの隣でピースしながら、
「ねぇ、理央くんたちも一緒にポーズしよう!」
と声をかけると、理央くんは嬉しそうに駆け寄ってきた。
ふわふわのもこもこコートを着ていると、まるで羊さんみたいだ。
みんなで並んで楽しくピースしていると、ミシェルさんが
「わぁっ! 本当に日本人って写真撮る時にピースするんだ! 可愛いっ! リュカっ! 僕たちもやろう!!」
とリュカを連れて仲間に加わった。
どうやらフランスでは写真を撮るときに特にポーズはないらしい。
ここ最近、日本人の影響でピースをする人が増えたと言っていた。
こういうのでも文化の違いってあるんだな。
悠木さんだけが写真を撮るのかと思ったら、なぜかエヴァンさんたちもみんなカメラを構えてる。
ものすごい撮影会みたいになってるけど、みんなで写真を撮るのはものすごく楽しかった。
「さぁ、窓を開けるよ」
大きな窓が開かれて、ツリーの光が窓越しに見るよりももっと鮮明に見えた。
「寒いから、ここから離れてはいけないよ」
エヴァンさんの声に僕も、みんなも頷くとエヴァンさんは嬉しそうに笑っていた。
「わぁっ! 見てっ! 雪が降ってきた!」
フランスは寒いからクリスマスには雪が降るのは当然なんだろうと思っていたけど、僕たちのいるパリではあまり降らないとエヴァンさんから聞いていた。
僕が日本で暮らしていたところもそこまで降るところではなかったから、雪を見るとちょっとワクワクする。
『C'est un Noël blanc !』
ミシェルさんとリュカが楽しそうに話をしている。
『ノエル、ブラン?』
「ユヅル、ホワイトクリスマスのことだよ。クリスマスに雪が降るのをそういうんだ」
「へぇー、知らなかったです。でも……すごく綺麗っ! 理央くん、これ『ノエルブラン』っていうんだって。僕、クリスマスに雪が降るの初めて見たよ」
「うん、僕も……すごく綺麗だね」
綺麗に彩られた大きなツリーに少しずつ積もっていく真っ白な雪がツリーの装飾光に照らされてキラキラと輝いているように見える。
とても神秘的な光に僕たちはそれ以上言葉も出せずにただ、ゆっくりと見つめていた。
「プレゼント交換は終わったのか?」
とエヴァンさんが声をかけてくれた。
「はい、すっごく楽しかったです」
「そうか、それなら良かった。ユヅル、ちょっと……」
エヴァンさんが僕の耳元で囁いてくる。
それだけでちょっとドキドキしてしまう。
「そろそろ二つ目のクリスマスツリーを見せて、みんなを驚かせるぞ」
「わぁっ! そうだった!」
たくさんのプレゼントが嬉しくてすっかり忘れてた。
「ツリーは外にあるんだ。みんなをあっちの大きな窓のところに誘導してくれないか?」
「えっ? 外に?」
「ああ、頼むぞ」
外にツリーって、一体どうやって?
そう思ったけど、とりあえず今はエヴァンさんのいう通りにするしかない。
「ねぇ、みんな。暗くなってきたから、星がよく見えるかも。ちょっと景色を見に行かない?」
そんな誘いに乗ってきてくれるか心配だったけど、
「わぁー!! 夜の景色見てみたい!!」
「僕も!」
「行こう、行こう!!」
佳都くんも理央くんも空良くんも思いっきり誘いに乗ってきてくれて嬉しかった。
そんな佳都くんたちの後を追うように秀吾さんやミシェルさん、リュカもついてきてくれた。
「ほら、こっちだよ!」
そう誘いつつも、僕もこれから先のことは何も知らない。
エヴァンさんはツリーがあると言っていたけれど外は真っ暗で何も見えないんだけど……。
あれ?
そういえば、いつもはもっと外の景色も見えるのにな……。
どうなっているんだろう?
不思議に思っていたその瞬間、突然庭に眩い光が灯った。
「わぁーっ!!」
「眩しいっ!」
「何が起こったの?」
目も開けていられないほどの光に思わずギュッと目を瞑っていると、いつの間にかそばに来てくれていたエヴァンさんが
「ユヅル、目を開けて外を見てごらん」
と耳元で囁いてくれた。
「わぁーっ!!! すごいっ! すごいっ!!」
そっと目を開けると、庭の真ん中にある大きな大きな木にかわいい飾り付けと電飾がついてキラキラと輝いているのが見えた。
「すごーいっ!! おっきなクリスマスツリーだ!!」
「あの木、本物だよ!!」
「すごーいっ!! きれい!!」
「こっちのツリーも大きくてびっくりしたのに、それ以上だったね!!」
「さすがロレーヌ家のクリスマスツリーだな!」
僕の声にみんなも目を開けて喜んでくれている。
佳都さんや理央くん、空良くんと同じくらい秀吾さんも目を輝かせて喜んでくれているのが嬉しかった。
「エヴァンさん、窓を開けてもいいですか?」
「ああ、だが外は寒いからコートを着ないとダメだぞ」
そう言って、さっきプレゼントの中から出てきたコートを着せてくれた。
ふわふわでもこもこの可愛いコート。
これは確か空良くんと悠木さんのお母さんからのプレゼントだったはず。
「わぁっ! あったかい!」
「あっ、可愛いっ! 僕もそれ着るっ!」
嬉しそうに空良くんがそういうとすぐに悠木さんが着させてあげている。
ふふっ。やっぱり仲良しだな。
佳都さんも秀吾さんも理央くんも揃って色違いのコートを着ていると、ミシェルさんとリュカも合わせるように着てくれた。
うん、やっぱりお揃いって楽しいっ!!
「みんな、こっちを向いてくれ。母さんたちにコートを着ているところの写真を送りたいんだ」
そんな悠木さんの声にみんなで振り向き、
「ねぇ、弓弦くん。ピースしようよ」
と空良くんが声をかけてくれた。
そういえば、僕……ピースなんかして友達と写真撮るの初めてなんじゃないかな?
ふつふつと込み上げてくる喜びを隠しきれずに満面の笑みで空良くんの隣でピースしながら、
「ねぇ、理央くんたちも一緒にポーズしよう!」
と声をかけると、理央くんは嬉しそうに駆け寄ってきた。
ふわふわのもこもこコートを着ていると、まるで羊さんみたいだ。
みんなで並んで楽しくピースしていると、ミシェルさんが
「わぁっ! 本当に日本人って写真撮る時にピースするんだ! 可愛いっ! リュカっ! 僕たちもやろう!!」
とリュカを連れて仲間に加わった。
どうやらフランスでは写真を撮るときに特にポーズはないらしい。
ここ最近、日本人の影響でピースをする人が増えたと言っていた。
こういうのでも文化の違いってあるんだな。
悠木さんだけが写真を撮るのかと思ったら、なぜかエヴァンさんたちもみんなカメラを構えてる。
ものすごい撮影会みたいになってるけど、みんなで写真を撮るのはものすごく楽しかった。
「さぁ、窓を開けるよ」
大きな窓が開かれて、ツリーの光が窓越しに見るよりももっと鮮明に見えた。
「寒いから、ここから離れてはいけないよ」
エヴァンさんの声に僕も、みんなも頷くとエヴァンさんは嬉しそうに笑っていた。
「わぁっ! 見てっ! 雪が降ってきた!」
フランスは寒いからクリスマスには雪が降るのは当然なんだろうと思っていたけど、僕たちのいるパリではあまり降らないとエヴァンさんから聞いていた。
僕が日本で暮らしていたところもそこまで降るところではなかったから、雪を見るとちょっとワクワクする。
『C'est un Noël blanc !』
ミシェルさんとリュカが楽しそうに話をしている。
『ノエル、ブラン?』
「ユヅル、ホワイトクリスマスのことだよ。クリスマスに雪が降るのをそういうんだ」
「へぇー、知らなかったです。でも……すごく綺麗っ! 理央くん、これ『ノエルブラン』っていうんだって。僕、クリスマスに雪が降るの初めて見たよ」
「うん、僕も……すごく綺麗だね」
綺麗に彩られた大きなツリーに少しずつ積もっていく真っ白な雪がツリーの装飾光に照らされてキラキラと輝いているように見える。
とても神秘的な光に僕たちはそれ以上言葉も出せずにただ、ゆっくりと見つめていた。
162
お気に入りに追加
2,940
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あなたと過ごした五年間~欠陥オメガと強すぎるアルファが出会ったら~
華抹茶
BL
子供の時の流行り病の高熱でオメガ性を失ったエリオット。だがその時に前世の記憶が蘇り、自分が異性愛者だったことを思い出す。オメガ性を失ったことを喜び、ベータとして生きていくことに。
もうすぐ学園を卒業するという時に、とある公爵家の嫡男の家庭教師を探しているという話を耳にする。その仕事が出来たらいいと面接に行くと、とんでもなく美しいアルファの子供がいた。
だがそのアルファの子供は、質素な別館で一人でひっそりと生活する孤独なアルファだった。その理由がこの子供のアルファ性が強すぎて誰も近寄れないからというのだ。
だがエリオットだけはそのフェロモンの影響を受けなかった。家庭教師の仕事も決まり、アルファの子供と接するうちに心に抱えた傷を知る。
子供はエリオットに心を開き、懐き、甘えてくれるようになった。だが子供が成長するにつれ少しずつ二人の関係に変化が訪れる。
アルファ性が強すぎて愛情を与えられなかった孤独なアルファ×オメガ性を失いベータと偽っていた欠陥オメガ
●オメガバースの話になります。かなり独自の設定を盛り込んでいます。
●最終話まで執筆済み(全47話)。完結保障。毎日更新。
●Rシーンには※つけてます。

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる