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Noël blanc
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ベビードールを丁寧に箱に戻して、みんなで会話を楽しんでいると
「プレゼント交換は終わったのか?」
とエヴァンさんが声をかけてくれた。
「はい、すっごく楽しかったです」
「そうか、それなら良かった。ユヅル、ちょっと……」
エヴァンさんが僕の耳元で囁いてくる。
それだけでちょっとドキドキしてしまう。
「そろそろ二つ目のクリスマスツリーを見せて、みんなを驚かせるぞ」
「わぁっ! そうだった!」
たくさんのプレゼントが嬉しくてすっかり忘れてた。
「ツリーは外にあるんだ。みんなをあっちの大きな窓のところに誘導してくれないか?」
「えっ? 外に?」
「ああ、頼むぞ」
外にツリーって、一体どうやって?
そう思ったけど、とりあえず今はエヴァンさんのいう通りにするしかない。
「ねぇ、みんな。暗くなってきたから、星がよく見えるかも。ちょっと景色を見に行かない?」
そんな誘いに乗ってきてくれるか心配だったけど、
「わぁー!! 夜の景色見てみたい!!」
「僕も!」
「行こう、行こう!!」
佳都くんも理央くんも空良くんも思いっきり誘いに乗ってきてくれて嬉しかった。
そんな佳都くんたちの後を追うように秀吾さんやミシェルさん、リュカもついてきてくれた。
「ほら、こっちだよ!」
そう誘いつつも、僕もこれから先のことは何も知らない。
エヴァンさんはツリーがあると言っていたけれど外は真っ暗で何も見えないんだけど……。
あれ?
そういえば、いつもはもっと外の景色も見えるのにな……。
どうなっているんだろう?
不思議に思っていたその瞬間、突然庭に眩い光が灯った。
「わぁーっ!!」
「眩しいっ!」
「何が起こったの?」
目も開けていられないほどの光に思わずギュッと目を瞑っていると、いつの間にかそばに来てくれていたエヴァンさんが
「ユヅル、目を開けて外を見てごらん」
と耳元で囁いてくれた。
「わぁーっ!!! すごいっ! すごいっ!!」
そっと目を開けると、庭の真ん中にある大きな大きな木にかわいい飾り付けと電飾がついてキラキラと輝いているのが見えた。
「すごーいっ!! おっきなクリスマスツリーだ!!」
「あの木、本物だよ!!」
「すごーいっ!! きれい!!」
「こっちのツリーも大きくてびっくりしたのに、それ以上だったね!!」
「さすがロレーヌ家のクリスマスツリーだな!」
僕の声にみんなも目を開けて喜んでくれている。
佳都さんや理央くん、空良くんと同じくらい秀吾さんも目を輝かせて喜んでくれているのが嬉しかった。
「エヴァンさん、窓を開けてもいいですか?」
「ああ、だが外は寒いからコートを着ないとダメだぞ」
そう言って、さっきプレゼントの中から出てきたコートを着せてくれた。
ふわふわでもこもこの可愛いコート。
これは確か空良くんと悠木さんのお母さんからのプレゼントだったはず。
「わぁっ! あったかい!」
「あっ、可愛いっ! 僕もそれ着るっ!」
嬉しそうに空良くんがそういうとすぐに悠木さんが着させてあげている。
ふふっ。やっぱり仲良しだな。
佳都さんも秀吾さんも理央くんも揃って色違いのコートを着ていると、ミシェルさんとリュカも合わせるように着てくれた。
うん、やっぱりお揃いって楽しいっ!!
「みんな、こっちを向いてくれ。母さんたちにコートを着ているところの写真を送りたいんだ」
そんな悠木さんの声にみんなで振り向き、
「ねぇ、弓弦くん。ピースしようよ」
と空良くんが声をかけてくれた。
そういえば、僕……ピースなんかして友達と写真撮るの初めてなんじゃないかな?
ふつふつと込み上げてくる喜びを隠しきれずに満面の笑みで空良くんの隣でピースしながら、
「ねぇ、理央くんたちも一緒にポーズしよう!」
と声をかけると、理央くんは嬉しそうに駆け寄ってきた。
ふわふわのもこもこコートを着ていると、まるで羊さんみたいだ。
みんなで並んで楽しくピースしていると、ミシェルさんが
「わぁっ! 本当に日本人って写真撮る時にピースするんだ! 可愛いっ! リュカっ! 僕たちもやろう!!」
とリュカを連れて仲間に加わった。
どうやらフランスでは写真を撮るときに特にポーズはないらしい。
ここ最近、日本人の影響でピースをする人が増えたと言っていた。
こういうのでも文化の違いってあるんだな。
悠木さんだけが写真を撮るのかと思ったら、なぜかエヴァンさんたちもみんなカメラを構えてる。
ものすごい撮影会みたいになってるけど、みんなで写真を撮るのはものすごく楽しかった。
「さぁ、窓を開けるよ」
大きな窓が開かれて、ツリーの光が窓越しに見るよりももっと鮮明に見えた。
「寒いから、ここから離れてはいけないよ」
エヴァンさんの声に僕も、みんなも頷くとエヴァンさんは嬉しそうに笑っていた。
「わぁっ! 見てっ! 雪が降ってきた!」
フランスは寒いからクリスマスには雪が降るのは当然なんだろうと思っていたけど、僕たちのいるパリではあまり降らないとエヴァンさんから聞いていた。
僕が日本で暮らしていたところもそこまで降るところではなかったから、雪を見るとちょっとワクワクする。
『C'est un Noël blanc !』
ミシェルさんとリュカが楽しそうに話をしている。
『ノエル、ブラン?』
「ユヅル、ホワイトクリスマスのことだよ。クリスマスに雪が降るのをそういうんだ」
「へぇー、知らなかったです。でも……すごく綺麗っ! 理央くん、これ『ノエルブラン』っていうんだって。僕、クリスマスに雪が降るの初めて見たよ」
「うん、僕も……すごく綺麗だね」
綺麗に彩られた大きなツリーに少しずつ積もっていく真っ白な雪がツリーの装飾光に照らされてキラキラと輝いているように見える。
とても神秘的な光に僕たちはそれ以上言葉も出せずにただ、ゆっくりと見つめていた。
「プレゼント交換は終わったのか?」
とエヴァンさんが声をかけてくれた。
「はい、すっごく楽しかったです」
「そうか、それなら良かった。ユヅル、ちょっと……」
エヴァンさんが僕の耳元で囁いてくる。
それだけでちょっとドキドキしてしまう。
「そろそろ二つ目のクリスマスツリーを見せて、みんなを驚かせるぞ」
「わぁっ! そうだった!」
たくさんのプレゼントが嬉しくてすっかり忘れてた。
「ツリーは外にあるんだ。みんなをあっちの大きな窓のところに誘導してくれないか?」
「えっ? 外に?」
「ああ、頼むぞ」
外にツリーって、一体どうやって?
そう思ったけど、とりあえず今はエヴァンさんのいう通りにするしかない。
「ねぇ、みんな。暗くなってきたから、星がよく見えるかも。ちょっと景色を見に行かない?」
そんな誘いに乗ってきてくれるか心配だったけど、
「わぁー!! 夜の景色見てみたい!!」
「僕も!」
「行こう、行こう!!」
佳都くんも理央くんも空良くんも思いっきり誘いに乗ってきてくれて嬉しかった。
そんな佳都くんたちの後を追うように秀吾さんやミシェルさん、リュカもついてきてくれた。
「ほら、こっちだよ!」
そう誘いつつも、僕もこれから先のことは何も知らない。
エヴァンさんはツリーがあると言っていたけれど外は真っ暗で何も見えないんだけど……。
あれ?
そういえば、いつもはもっと外の景色も見えるのにな……。
どうなっているんだろう?
不思議に思っていたその瞬間、突然庭に眩い光が灯った。
「わぁーっ!!」
「眩しいっ!」
「何が起こったの?」
目も開けていられないほどの光に思わずギュッと目を瞑っていると、いつの間にかそばに来てくれていたエヴァンさんが
「ユヅル、目を開けて外を見てごらん」
と耳元で囁いてくれた。
「わぁーっ!!! すごいっ! すごいっ!!」
そっと目を開けると、庭の真ん中にある大きな大きな木にかわいい飾り付けと電飾がついてキラキラと輝いているのが見えた。
「すごーいっ!! おっきなクリスマスツリーだ!!」
「あの木、本物だよ!!」
「すごーいっ!! きれい!!」
「こっちのツリーも大きくてびっくりしたのに、それ以上だったね!!」
「さすがロレーヌ家のクリスマスツリーだな!」
僕の声にみんなも目を開けて喜んでくれている。
佳都さんや理央くん、空良くんと同じくらい秀吾さんも目を輝かせて喜んでくれているのが嬉しかった。
「エヴァンさん、窓を開けてもいいですか?」
「ああ、だが外は寒いからコートを着ないとダメだぞ」
そう言って、さっきプレゼントの中から出てきたコートを着せてくれた。
ふわふわでもこもこの可愛いコート。
これは確か空良くんと悠木さんのお母さんからのプレゼントだったはず。
「わぁっ! あったかい!」
「あっ、可愛いっ! 僕もそれ着るっ!」
嬉しそうに空良くんがそういうとすぐに悠木さんが着させてあげている。
ふふっ。やっぱり仲良しだな。
佳都さんも秀吾さんも理央くんも揃って色違いのコートを着ていると、ミシェルさんとリュカも合わせるように着てくれた。
うん、やっぱりお揃いって楽しいっ!!
「みんな、こっちを向いてくれ。母さんたちにコートを着ているところの写真を送りたいんだ」
そんな悠木さんの声にみんなで振り向き、
「ねぇ、弓弦くん。ピースしようよ」
と空良くんが声をかけてくれた。
そういえば、僕……ピースなんかして友達と写真撮るの初めてなんじゃないかな?
ふつふつと込み上げてくる喜びを隠しきれずに満面の笑みで空良くんの隣でピースしながら、
「ねぇ、理央くんたちも一緒にポーズしよう!」
と声をかけると、理央くんは嬉しそうに駆け寄ってきた。
ふわふわのもこもこコートを着ていると、まるで羊さんみたいだ。
みんなで並んで楽しくピースしていると、ミシェルさんが
「わぁっ! 本当に日本人って写真撮る時にピースするんだ! 可愛いっ! リュカっ! 僕たちもやろう!!」
とリュカを連れて仲間に加わった。
どうやらフランスでは写真を撮るときに特にポーズはないらしい。
ここ最近、日本人の影響でピースをする人が増えたと言っていた。
こういうのでも文化の違いってあるんだな。
悠木さんだけが写真を撮るのかと思ったら、なぜかエヴァンさんたちもみんなカメラを構えてる。
ものすごい撮影会みたいになってるけど、みんなで写真を撮るのはものすごく楽しかった。
「さぁ、窓を開けるよ」
大きな窓が開かれて、ツリーの光が窓越しに見るよりももっと鮮明に見えた。
「寒いから、ここから離れてはいけないよ」
エヴァンさんの声に僕も、みんなも頷くとエヴァンさんは嬉しそうに笑っていた。
「わぁっ! 見てっ! 雪が降ってきた!」
フランスは寒いからクリスマスには雪が降るのは当然なんだろうと思っていたけど、僕たちのいるパリではあまり降らないとエヴァンさんから聞いていた。
僕が日本で暮らしていたところもそこまで降るところではなかったから、雪を見るとちょっとワクワクする。
『C'est un Noël blanc !』
ミシェルさんとリュカが楽しそうに話をしている。
『ノエル、ブラン?』
「ユヅル、ホワイトクリスマスのことだよ。クリスマスに雪が降るのをそういうんだ」
「へぇー、知らなかったです。でも……すごく綺麗っ! 理央くん、これ『ノエルブラン』っていうんだって。僕、クリスマスに雪が降るの初めて見たよ」
「うん、僕も……すごく綺麗だね」
綺麗に彩られた大きなツリーに少しずつ積もっていく真っ白な雪がツリーの装飾光に照らされてキラキラと輝いているように見える。
とても神秘的な光に僕たちはそれ以上言葉も出せずにただ、ゆっくりと見つめていた。
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