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最後の贈り物
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「最後は僕のプレゼントだよ!」
佳都さんが嬉しそうな声を上げた。
クリスマスパーティーでプレゼント交換会をしようって提案してくれたのが佳都さんだったから、佳都さんからのプレゼントが実は楽しみだったんだ。
一体どんなものなんだろう……。
なんかすごくワクワクする。
「あっ、直己さん! 僕からのプレゼントは僕たちだけでみたいから、しばらくみんなであっちに行っててください」
「わかった。ロレーヌ、観月たちもあっちでワインでも飲んで待っていよう」
綾城さんの声かけにエヴァンさんたちはおとなしく移動した。
佳都さんはエヴァンさんたちは離れた場所に座って、ワインを楽しみ始めたのを確認して、僕たち一人ひとりにプレゼントを渡し始めた。
「これ、弓弦くん。こっちは理央くん、そして空良くん……」
佳都さんが次々に手渡していくその箱はどれも同じ大きさで同じもの。
これもきっとお揃いなのかな。
なんか楽しくなってくる。
「じゃあ、みんな開けてみて」
佳都さんの声にみんなで最後のプレゼントを噛み締めるようにゆっくりと開けていく。
可愛い箱を開けてみると
「わっ! 何、これっ! すっごく綺麗っ!!」
中にはものすごく繊細で綺麗な布が入っていた。
いや、本当は布ではないけどもう本当に布と言っていいくらいの柔らかくて薄い綺麗な布。
そっと持ち上げてみると、どうやら洋服っぽい。
これはいつ、どんな時に着るんだろう?
そう不思議に思ってしまうほど、柔らかくて薄くて軽い。
僕がそれをそっと身体に当ててみると、エヴァンさんたちがいる方向から騒めきを感じた。
「んっ?」
不思議に思って、振り返ったけれど、とくにこっちをみている様子はない。
なんだ、勘違いだったのかな?
「あの、佳都さん、これ……どういうものなんですか?」
僕が不思議に思ったのと同じように理央くんも感じたんだろう。
不思議そうにそれを眺めながら、佳都さんに尋ねると、佳都さんは嬉しそうに笑って教えてくれた。
「ふふっ。これはね、ベビードールっていうんだって」
「ベビー、ドール?」
「そう。理央くんと弓弦くんと空良くんは明日結婚式でしょ? そのままその日はホテルにお泊まりなんだよね?」
「はい。そうです」
僕と理央くんと空良くんは並んで、佳都さんの話の続きを待っていた。
「結婚式を迎えた夜は初夜って言って、大事な夜なんだって。だから、その日はこれだけ着てベッドに入るんだよ」
「初夜……」
「大事な夜……」
「これだけ、着て……」
なるほど!
そんな風習があるんだ!!
さすが、結婚式の先輩だな!
「そう! 僕も七海ちゃん……あっ、直己さんの妹だけど、その子から結婚式の前に教えてもらって、ベビードールをプレゼントされたんだ。それで、直己さんがすっごく盛り上がってくれたからクリスマスプレゼントはこれしかないってすぐに決まったんだよ!」
得意げな様子で話を聞かせてくれる佳都さんがなんだか可愛い。
それにしても綾城さんが盛り上がるってどういうことだろう?
可愛くて気に入ったってことかな?
「あの、佳都くん……僕たちも?」
なんだか少し赤い顔で僕たちの近くにやってきた秀吾さんは同じように綺麗な布を持っているけど、綺麗な水色だ。
「もちろん! 秀吾さんたちも一緒に結婚式に参加するから、色違いにしたんだ! 花嫁さんたちはもちろん白! 秀吾さんは水色で、ミシェルさんは赤、リュカさんは黒で、僕はピンク! どう? 可愛いでしょう?」
「ケイトっ! すっごく可愛いよ!! さすが日本人は選ぶものが違うよね!! これ、セルジュがすごく好きそうだよ!!」
「わぁー、よかった。ミシェルさんが気に入ってくれて! リュカさんの黒も似合うと思うんだよね! どうですか?」
そう話をふると、リュカは秀吾さん以上に赤い顔で
「びっくりしましたけど、すごく素敵です!」
と返していた。
「ふふっ。きっとジョルジュさんも喜びますよ」
そういうと、リュカはさらに顔を赤らめていた。
こんなリュカを見るのは初めてだな。
「僕、これエヴァンさんに見せてきますね!」
「あっ、待って! 弓弦くん、これは明日まで秘密。結婚式が終わって、ホテルの部屋に入ってから着替えて見せるんだよ」
「秘密、ですか……?」
「そう! それが初夜の醍醐味なんだって! 直己さんもすっごく喜んでたからきっとエヴァンさんも喜んでくれるよ」
「そうなんですね! わかりました!」
僕がそういうと、理央くんと空良くんも同じように頷いて、嬉しそうにベビードールを抱きしめていた。
結婚式で僕たちを喜ばせてくれるんだから、結婚式の後は喜ばせてあげたいもんね。
これを着ただけで喜んでくれるなんて不思議な感じだけど、綾城さんが喜んでくれたなら間違いなさそうだし。
ふふっ。楽しみになってきた。
佳都さんが嬉しそうな声を上げた。
クリスマスパーティーでプレゼント交換会をしようって提案してくれたのが佳都さんだったから、佳都さんからのプレゼントが実は楽しみだったんだ。
一体どんなものなんだろう……。
なんかすごくワクワクする。
「あっ、直己さん! 僕からのプレゼントは僕たちだけでみたいから、しばらくみんなであっちに行っててください」
「わかった。ロレーヌ、観月たちもあっちでワインでも飲んで待っていよう」
綾城さんの声かけにエヴァンさんたちはおとなしく移動した。
佳都さんはエヴァンさんたちは離れた場所に座って、ワインを楽しみ始めたのを確認して、僕たち一人ひとりにプレゼントを渡し始めた。
「これ、弓弦くん。こっちは理央くん、そして空良くん……」
佳都さんが次々に手渡していくその箱はどれも同じ大きさで同じもの。
これもきっとお揃いなのかな。
なんか楽しくなってくる。
「じゃあ、みんな開けてみて」
佳都さんの声にみんなで最後のプレゼントを噛み締めるようにゆっくりと開けていく。
可愛い箱を開けてみると
「わっ! 何、これっ! すっごく綺麗っ!!」
中にはものすごく繊細で綺麗な布が入っていた。
いや、本当は布ではないけどもう本当に布と言っていいくらいの柔らかくて薄い綺麗な布。
そっと持ち上げてみると、どうやら洋服っぽい。
これはいつ、どんな時に着るんだろう?
そう不思議に思ってしまうほど、柔らかくて薄くて軽い。
僕がそれをそっと身体に当ててみると、エヴァンさんたちがいる方向から騒めきを感じた。
「んっ?」
不思議に思って、振り返ったけれど、とくにこっちをみている様子はない。
なんだ、勘違いだったのかな?
「あの、佳都さん、これ……どういうものなんですか?」
僕が不思議に思ったのと同じように理央くんも感じたんだろう。
不思議そうにそれを眺めながら、佳都さんに尋ねると、佳都さんは嬉しそうに笑って教えてくれた。
「ふふっ。これはね、ベビードールっていうんだって」
「ベビー、ドール?」
「そう。理央くんと弓弦くんと空良くんは明日結婚式でしょ? そのままその日はホテルにお泊まりなんだよね?」
「はい。そうです」
僕と理央くんと空良くんは並んで、佳都さんの話の続きを待っていた。
「結婚式を迎えた夜は初夜って言って、大事な夜なんだって。だから、その日はこれだけ着てベッドに入るんだよ」
「初夜……」
「大事な夜……」
「これだけ、着て……」
なるほど!
そんな風習があるんだ!!
さすが、結婚式の先輩だな!
「そう! 僕も七海ちゃん……あっ、直己さんの妹だけど、その子から結婚式の前に教えてもらって、ベビードールをプレゼントされたんだ。それで、直己さんがすっごく盛り上がってくれたからクリスマスプレゼントはこれしかないってすぐに決まったんだよ!」
得意げな様子で話を聞かせてくれる佳都さんがなんだか可愛い。
それにしても綾城さんが盛り上がるってどういうことだろう?
可愛くて気に入ったってことかな?
「あの、佳都くん……僕たちも?」
なんだか少し赤い顔で僕たちの近くにやってきた秀吾さんは同じように綺麗な布を持っているけど、綺麗な水色だ。
「もちろん! 秀吾さんたちも一緒に結婚式に参加するから、色違いにしたんだ! 花嫁さんたちはもちろん白! 秀吾さんは水色で、ミシェルさんは赤、リュカさんは黒で、僕はピンク! どう? 可愛いでしょう?」
「ケイトっ! すっごく可愛いよ!! さすが日本人は選ぶものが違うよね!! これ、セルジュがすごく好きそうだよ!!」
「わぁー、よかった。ミシェルさんが気に入ってくれて! リュカさんの黒も似合うと思うんだよね! どうですか?」
そう話をふると、リュカは秀吾さん以上に赤い顔で
「びっくりしましたけど、すごく素敵です!」
と返していた。
「ふふっ。きっとジョルジュさんも喜びますよ」
そういうと、リュカはさらに顔を赤らめていた。
こんなリュカを見るのは初めてだな。
「僕、これエヴァンさんに見せてきますね!」
「あっ、待って! 弓弦くん、これは明日まで秘密。結婚式が終わって、ホテルの部屋に入ってから着替えて見せるんだよ」
「秘密、ですか……?」
「そう! それが初夜の醍醐味なんだって! 直己さんもすっごく喜んでたからきっとエヴァンさんも喜んでくれるよ」
「そうなんですね! わかりました!」
僕がそういうと、理央くんと空良くんも同じように頷いて、嬉しそうにベビードールを抱きしめていた。
結婚式で僕たちを喜ばせてくれるんだから、結婚式の後は喜ばせてあげたいもんね。
これを着ただけで喜んでくれるなんて不思議な感じだけど、綾城さんが喜んでくれたなら間違いなさそうだし。
ふふっ。楽しみになってきた。
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