天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます

波木真帆

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エヴァンさんが大好き!

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「ねぇ、見てみて!! 箱がいっぱい!! それにおっきな木!! きれーいっ!!!」

「ほんとっ! 見て! 一番てっぺんにおっきな星があるよ!!

興奮気味に理央くんと空良くんが声をあげている。

「ああっ! あれっ! あのクリスマスマーケットで見かけたのと同じだ!!」

「ふふっ。よくわかったな。ユヅルと出かけた思い出にこっそり買っておいたんだ。これなら毎年飾るたびに思い出すだろう?」

「エヴァンさん……っ」

あの日、リュカの贈り物を探しながらお店を回っていた時、綺麗だなって一瞬目が止まったあの星。
すぐにリュカへの贈り物を見つけて、僕はすっかり忘れてしまっていたのに……。

エヴァンさんはいつもこうやって僕の喜ぶことをしてくれる。
本当になんて優しいんだろう……。

「エヴァンさん、大好きっ!」

気持ちが昂った僕はエヴァンさんに抱きついて必死に背伸びした。
気づいてくれたエヴァンさんがそっと屈んでくれて、僕の唇にエヴァンさんの唇が当たる。

ふふっ、嬉しい。

そう思った瞬間、

「わぁーっ!」
「弓弦くん、やるーっ!」
「ラブラブだぁ!」

と一斉に声が上がった。

あっ! ここ、大広間だったんだ!
あまりにも嬉しすぎてみんながいるのを忘れてた!

恥ずかしくて顔がどんどん赤くなっていく。
すると、さっとエヴァンさんの大きな身体に包み込まれて、みんなの姿が僕の視界から消えてしまった。
僕の前には優しい匂いのするエヴァンさんの胸元だけ。

「大丈夫、ユヅル。見てごらん」

恐る恐る隠していた顔を上げると、ミシェルさんやリュカもセルジュさんやジュルジュさんとキスをしているのが見える。

「ふふっ。嬉しいときは愛しい恋人や伴侶とキスをする。これがフランス式なんだ。君たちも嬉しいときは人目を気にしないでキスしたりハグしたりしてくれて構わないよ」

エヴァンさんが佳都さんや理央くんたちにそう告げると、

「わぁーっ」

と一気に盛り上がり、理央くんと空良くんには

「すごいっ! 弓弦くん、もうすっかりフランスに溶け込んでるんだね!」
「もうフランス人なんだ!!」

とキラキラした目を向けられてしまって、さっきまでの恥ずかしさがどこかに行ってしまった。

エヴァンさん……僕が恥ずかしがってたから、僕を守ってくれたんだ……。

「ふふっ。やっぱりエヴァンさん、大好きっ!」

僕は今度は堂々とエヴァンさんに抱きついて、笑顔のエヴァンさんにキスをした。



『お料理の準備が整いましたよ』

パピーの声に僕たちはたくさんの料理が並べられたテーブルに目を向けるとそこには見たこともないようなご馳走が並んでいた。

「今日は好きに過ごして欲しいからビュッフェ形式に料理を用意した。好きなものを好きなだけ食べてくれ」

エヴァンさんがそういうと、理央くんも空良くんも目を輝かせて料理を見つめている。

「すごいっ! こんなにいっぱいの料理、見たことないや!」

「空良、どれがいい? とってあげるよ」

悠木さんはせっせと空良くんのために料理を盛り付けてあげている。

「凌也さん、見て! おっきなお肉!!」

「ああ、本当だ。美味しそうだな。ロレーヌ総帥、あれはchaponシャポンですか?」

「そうだ、ブレス産のchaponだよ。あっちは、poulardeプーラルド。あれもまた美味しいんだ」

「すごい、poulardeまで! さすがですね、ロレーヌ家は」

「いやいや、大事な客人のためだからな。シェフが頑張ってくれたんだろう」

「エヴァンさん、しゃぽんとか、ぷーらるどってなんですか?」

観月さんとエヴァンさんの会話についていけなくて尋ねると、エヴァンさんが優しく教えてくれた。

「ああ、鶏の種類なんだよ。フランスではクリスマスに鶏を食べるんだが、シャポンは雄、プーラルドは雌の鶏でね、どちらも柔らかくて美味しいんだよ。クリスマスのこの時期にしか出回らない鶏なんだ。美味しいから食べてごらん」

ささっとお皿に盛り付けてくれたシャポンは今まで食べた鶏肉とは比べ物にならないくらい、柔らかくてジューシーで美味しかった。

「これ、美味しいっ!! レシピ教えて欲しいなぁ……」

「ふふっ。佳都。後で全部聞いてやるよ。俺のために作ってくれるんだろう?」

さすが、お料理上手な佳都さん。
これ作れるようになったらすごいよね。

『あっ、セルジュの好きな生牡蠣があるよ。食べさせてあげる。アーンして』

『ああ、本当に美味しいな』

やっぱりミシェルさんとセルジュさんを見ているとラブラブでホッとする。
やっぱり堂々とラブラブするって見てみてこっちまで嬉しくなっちゃうな。
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