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待ち遠しくてたまらない
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明日はとうとう佳都さんたちがフランスにやってくる。
僕たちの部屋のテーブルにはエヴァンさんと買いに行ったみんなへの贈り物が綺麗に並べられて、出番を待っている。
そして、みんなとのクリスマスパーティーのために用意されたお屋敷の大広間はパピーと使用人さんたちで綺麗にクリスマスの飾り付けがされているらしい。
らしいというのは、まだ見せてもらってないんだ。
佳都さんたちが来て、みんなで一緒に見ることになっている。
クリスマスパーティーを生まれてこの方したことがないから、どんなふうに飾り付けされているかもわからないけど、あの時みたクリスマスマーケットのように絵本の世界みたいに輝いているんだろうな。
もう待ち遠しくてたまらない。
そして、何よりも楽しみなのは、クリスマスパーティーの翌日にお城でみんなで結婚式を挙げること。
僕とエヴァンさん、理央くんと観月さん、そして空良くんと悠木さん。
結婚式で何を着るのと尋ねたけれど、みんな旦那さまたちが準備をしているから教えてもらってないらしい。
ただ綺麗なドレスだということはわかっている。
だから、みんなで綺麗なドレスを着るのが楽しみだ。
1人でドレスだったら少し恥ずかしいけど、みんなドレスならなんか安心する。
男なのに母さんにそっくりだと言われて、恥ずかしい思いをしたこともあったけど、今は、母さんによく似た顔で良かったと思ってる。
手も足も全然毛も生えなくて悩んだ時期もあったけど……ドレスを着ても違和感ないって男としては複雑だけど……でも……こうやって愛する人との結婚式で可愛いドレスが着て、喜んでもらえるなら良かったのかな。
<今から飛行機に乗るよ! フランスに到着予定は午後2時ごろだって。弓弦くんに会えるの楽しみにしているね>
<弓弦くん! ずっとメッセージのやり取りやテレビ電話もしてきたけど、やっと会えるんだね。嬉しすぎて飛行機で眠れるか心配だよ>
<弓弦くんとミシェルさんとリュカさんに会えるのが楽しみ! そして、何より弓弦くんの旦那さまとパピーに会えるのが楽しみ!>
<弓弦くんがどれくらいフランス語が上達したのか楽しみにしてるよ。J’ai hâtede te voir>
佳都さんも空良くんも理央くんも、それに秀吾さんもすごく楽しみにしてくれてるのが伝わってくる。
明日の2時か……。
楽しみすぎるなぁ。
「ねぇ、ユヅル。グループメッセージみた? みんな出発するって。会えるのが楽しみだって言ってくれてるね」
「ふふっ。僕も楽しみすぎて今日眠れないかも」
「僕も、こうやってお友達が遊びにくるなんてこと初めてだからワクワクしちゃう」
「緊張しすぎて喋れなかったらどうしよう……」
「ふふっ。大丈夫だよ。電話の時は普通にしゃべってたんだし。ねぇ、それよりもあのミッションもうバッチリ?」
「うん。ずっと練習してたけど一緒に合わせたいな」
「ふふっ。じゃあ、合わせてみようか?」
「えっ? いいんですか?」
「もちろんだよ! じゃあ、行こう!」
「あ、僕……あれを部屋から取ってくるね」
「僕も一緒に行こうか?」
「ううん、大丈夫。先に準備しててください」
そういうと、ミシェルさんはパピーと先にむかい、そして、僕はリュカと部屋に戻り、お父さんのストラディヴァリウスの入ったケースを持った。
「ユヅルさま。お持ちしましょう」
「えっ、大丈夫だよ」
「いいえ。このヴァイオリンケースは通常のものより少し重いですからね。ロレーヌさまより、ユヅルさまにはあまり荷物を持たさないようにと仰せつかってますから」
「でも……これくらい平気だよ」
「私にお任せください」
にっこりとそう言われたら、これ以上遠慮するのもおかしい気がしてきた。
エヴァンさんもだけど、みんな僕に優しすぎるんだよね。
ここに来ていっぱい甘やかされて、もう僕……母さんを失った時のあのひとりの生活には絶対に戻れる気がしない。
それくらいここでの生活が居心地がいいんだ。
大好きな人と一緒に過ごせるって、身も心も潤うんだな。
ああ……。
僕……本当にここにきて良かった。
演奏室に入ると、すでにミシェルさんが自分のヴァイオリンでウォーミングアップを始めていた。
いつ聞いても繊細で綺麗な音。
僕には出せないな、あの音は……。
聞いているだけでうっとりしてしまう。
聞き惚れるってこういうことを言うんだろうな。
「あっ、ユヅルー! 早くおいで!」
僕が来たことに気づいて、声をかけてくれる。
さっき演奏していた時とは表情も違う。
さすが、プロのヴァイオリニストだな……。
一緒に演奏だなんてほんと烏滸がましいけど……こんな機会を作ってくれて佳都さんには本当に感謝してる。
僕たちの部屋のテーブルにはエヴァンさんと買いに行ったみんなへの贈り物が綺麗に並べられて、出番を待っている。
そして、みんなとのクリスマスパーティーのために用意されたお屋敷の大広間はパピーと使用人さんたちで綺麗にクリスマスの飾り付けがされているらしい。
らしいというのは、まだ見せてもらってないんだ。
佳都さんたちが来て、みんなで一緒に見ることになっている。
クリスマスパーティーを生まれてこの方したことがないから、どんなふうに飾り付けされているかもわからないけど、あの時みたクリスマスマーケットのように絵本の世界みたいに輝いているんだろうな。
もう待ち遠しくてたまらない。
そして、何よりも楽しみなのは、クリスマスパーティーの翌日にお城でみんなで結婚式を挙げること。
僕とエヴァンさん、理央くんと観月さん、そして空良くんと悠木さん。
結婚式で何を着るのと尋ねたけれど、みんな旦那さまたちが準備をしているから教えてもらってないらしい。
ただ綺麗なドレスだということはわかっている。
だから、みんなで綺麗なドレスを着るのが楽しみだ。
1人でドレスだったら少し恥ずかしいけど、みんなドレスならなんか安心する。
男なのに母さんにそっくりだと言われて、恥ずかしい思いをしたこともあったけど、今は、母さんによく似た顔で良かったと思ってる。
手も足も全然毛も生えなくて悩んだ時期もあったけど……ドレスを着ても違和感ないって男としては複雑だけど……でも……こうやって愛する人との結婚式で可愛いドレスが着て、喜んでもらえるなら良かったのかな。
<今から飛行機に乗るよ! フランスに到着予定は午後2時ごろだって。弓弦くんに会えるの楽しみにしているね>
<弓弦くん! ずっとメッセージのやり取りやテレビ電話もしてきたけど、やっと会えるんだね。嬉しすぎて飛行機で眠れるか心配だよ>
<弓弦くんとミシェルさんとリュカさんに会えるのが楽しみ! そして、何より弓弦くんの旦那さまとパピーに会えるのが楽しみ!>
<弓弦くんがどれくらいフランス語が上達したのか楽しみにしてるよ。J’ai hâtede te voir>
佳都さんも空良くんも理央くんも、それに秀吾さんもすごく楽しみにしてくれてるのが伝わってくる。
明日の2時か……。
楽しみすぎるなぁ。
「ねぇ、ユヅル。グループメッセージみた? みんな出発するって。会えるのが楽しみだって言ってくれてるね」
「ふふっ。僕も楽しみすぎて今日眠れないかも」
「僕も、こうやってお友達が遊びにくるなんてこと初めてだからワクワクしちゃう」
「緊張しすぎて喋れなかったらどうしよう……」
「ふふっ。大丈夫だよ。電話の時は普通にしゃべってたんだし。ねぇ、それよりもあのミッションもうバッチリ?」
「うん。ずっと練習してたけど一緒に合わせたいな」
「ふふっ。じゃあ、合わせてみようか?」
「えっ? いいんですか?」
「もちろんだよ! じゃあ、行こう!」
「あ、僕……あれを部屋から取ってくるね」
「僕も一緒に行こうか?」
「ううん、大丈夫。先に準備しててください」
そういうと、ミシェルさんはパピーと先にむかい、そして、僕はリュカと部屋に戻り、お父さんのストラディヴァリウスの入ったケースを持った。
「ユヅルさま。お持ちしましょう」
「えっ、大丈夫だよ」
「いいえ。このヴァイオリンケースは通常のものより少し重いですからね。ロレーヌさまより、ユヅルさまにはあまり荷物を持たさないようにと仰せつかってますから」
「でも……これくらい平気だよ」
「私にお任せください」
にっこりとそう言われたら、これ以上遠慮するのもおかしい気がしてきた。
エヴァンさんもだけど、みんな僕に優しすぎるんだよね。
ここに来ていっぱい甘やかされて、もう僕……母さんを失った時のあのひとりの生活には絶対に戻れる気がしない。
それくらいここでの生活が居心地がいいんだ。
大好きな人と一緒に過ごせるって、身も心も潤うんだな。
ああ……。
僕……本当にここにきて良かった。
演奏室に入ると、すでにミシェルさんが自分のヴァイオリンでウォーミングアップを始めていた。
いつ聞いても繊細で綺麗な音。
僕には出せないな、あの音は……。
聞いているだけでうっとりしてしまう。
聞き惚れるってこういうことを言うんだろうな。
「あっ、ユヅルー! 早くおいで!」
僕が来たことに気づいて、声をかけてくれる。
さっき演奏していた時とは表情も違う。
さすが、プロのヴァイオリニストだな……。
一緒に演奏だなんてほんと烏滸がましいけど……こんな機会を作ってくれて佳都さんには本当に感謝してる。
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