天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます

波木真帆

文字の大きさ
上 下
65 / 204

愛がいっぱい

しおりを挟む
途中で視点が変わります


*   *   *



「ユヅル……そんなにも私のことを愛してくれているとは……私はなんて幸せなのだろうな」

「エヴァンさん……」

「結婚式が終わって、日本の友人たちが帰ったら二人だけで旅行に出かけよう」

「二人だけで? いいんですか?」

「ああ、ちょうどクリスマスからそのままニューイヤー休暇に入るからな。仕事も休みだからあの南太平洋にある無人島に二人で行こう。あそこにはコテージがあるからゆっくり過ごせるぞ。もちろん、誰も連れて行かないから、食事の支度も二人ですることになるがそれでもいいか?」

誰もいない、エヴァンさんと二人だけの空間。
食事の支度も二人でなんて……嬉しい以外何もない。

あの家でエヴァンさんと二人で暮らした日々を思い出す。

エヴァンさんにとっては不便で狭い家だっただろうけど、僕にとってはものすごく楽しい時間だったんだ。
その無人島で同じように二人っきりで過ごせるなんて……嬉しすぎる。

「エヴァンさんと一緒なら、食事の支度だって楽しみです」

「ふふっ。可愛いことを言ってくれる」

「僕、それまでにシャルルさんにお料理を習っておこうかな」

「それは嬉しいが……シャルルと二人はダメだぞ。私も一緒に習うとしよう」

「ふふっ。エヴァンさんったら……」

エヴァンさんのそんな独占欲さえも嬉しいと思ってしまう。
ああ、僕は本当に心からエヴァンさんが好きなんだ。


<sideミシェル>

『ねぇ、セルジュ。せっかくクリスマスからの予定を立ててくれてたのにごめんね』

『ふふっ。何を言い出すかと思えば……。旅行などクリスマスでなくてもいつだって行けるだろう? それに比べて、エヴァンさまとユヅルさまの結婚式も、日本から友人が来て合同で結婚式を挙げるというのも一生に一度のことなのだぞ。それに参加する上に、ミシェルの美しい演奏がその結婚式に華を添えることができるなんて……幸せなことだろう?』

『うん……。セルジュ……僕ね、誰かの結婚式に参加できるなんてこと、一生ないって思ってたんだ。だから誘われた時、すごく嬉しかった』

『ああ、ミシェルの気持ちはよくわかってるよ。ミシェル……以前二人っきりで結婚式を挙げたのを覚えているか?』

『もちろん! 忘れるわけないよ。セルジュが作ってくれたドレス着て……二人だけであの思い出の教会で挙げたよね』

『あの時、式を挙げていなければ今回みんなと一緒に挙げられたのにという後悔はないか?』

『ふふっ。なんだ、セルジュったらそんなことを思ってたの?』

『いや、みんながドレスを着ていたら羨ましく思うんじゃないかと思って……』

『僕にはあの時のドレスの思い出があるから羨ましくなんて思わないよ。あの時のことを思って懐かしくは思うかもしれないけど。あの時のセルジュのスーツ、かっこよかったし素敵だったな……』

『今はどうだ?』

『ふふっ。今はもっと素敵!』

僕はセルジュに抱きついて、セルジュの綺麗な唇にキスをする。
セルジュと出会ってどれだけキスを交わしても、重なり合うこの瞬間がドキドキする。

セルジュに愛されてるって僕に自信を与えてくれる甘く蕩けるような優しいキス。

ああ、セルジュに出会えて本当によかった。

『ミシェルの美しい演奏を聴くのを楽しみにしているよ』

『うん。セルジュと、幸せいっぱいの新郎新夫に向けて愛をいっぱい伝えるから楽しみにしてて』

『ミシェル……愛は私だけがいいんだが……』

『ふふっ。セルジュへの愛は特別だから大丈夫』

『じゃあ、それを先に見せてもらおうかな』

『いいよ、連れてって……』

そういうと、セルジュは嬉しそうに僕を抱き上げて寝室に連れて行ってくれた。
セルジュの愛は重くて、すごく優しい。


  *   *   *

次から結婚式の話に入るので、しばらくお休みして
イケメンスパダリシリーズ(社長・医師・弁護士)の結婚式までのお話をいくつか更新していきます。
どうぞお楽しみに♡
しおりを挟む
感想 166

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ

海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。 あぁ、大丈夫よ。 だって彼私の部屋にいるもん。 部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。

処理中です...