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番外編
福岡の旅 7
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「えっ? 何?」
女たちは突然現れた警察官の姿に驚き、その場から逃げようとしたが行く手を阻まれすぐに大柄な女性警察官に取り押さえられた。
「ちょっとどこ触ってんのよ! セクハラで訴えるわよ!」
「はいはい。大人しくしてくださいねー」
女たちは男性警察官とでも思っているのだろう、
そんな言葉を言いながら暴れていたが、女性警察官たちは手慣れた様子であしらっている。
最近は女性警察官でも制服はズボンが主流だ。ヒールのある靴も履かなくなったし、彼女たちのように大柄で短髪でさらに帽子を被っていれば男性に間違われることもあるだろう。
まぁ犯罪者相手には女性だと思って舐められた態度を取られずにすんでいいのかもしれない。
俺たち医者から見ればすぐに女性だとわかるのはある意味職業病のようなものだな。
「あなた方、さっきこの方に土下座するように叫んでましたね」
「それが何よ! 謝罪の気持ちを示してもらうためなんだから問題ないでしょう!」
「残念ですが、それは強要罪というれっきとした犯罪です。それにここでずっと妨害行為をしているんでしょう? それも犯罪ですよ。ということですから、署まで一緒に来ていただきますね」
「はぁ? ふざけないでよ! 人を勝手に犯罪者扱いして! 警察だかなんだか知らないけど、私たちの邪魔しないで!」
取り押さえられているにも関わらず、女たちは二人で暴れまくり、女性警察官の足を踏んで逃げようとしたところで、公務執行妨害も追加されて、その場で手錠がかけられた。
「やだー、なにこれ! 外しなさいよー!」
「これ以上暴れるとさらに罪が増えますよ!」
そこまで言われてようやく観念したのか、女たちはパトカーに押し込まれていった。
「先生方には後でお話を伺うこともあるかもしれませんがその時はご協力お願いいたします」
「わかりました」
警察が女たちを連れて行ってくれたおかげでようやく静寂が戻った。
「悠木先生、榎木先生。お疲れさまでした。後一時間ほどで午後の部が始まりますので、どうぞ昼食に行かれてください」
「ああ、そうだった! 先輩、行きましょう!」
俺は急いで空良と有原先輩が待つホテルに駆け込んだ。
俺たちの会場からすぐそばのホテルだが、急いでいる時は遠く感じてしまう。
ああ、早く空良に癒されたい。
ようやくホテルに到着し、空良たちがいる部屋に向かう。
扉を叩くとカチャリと鍵が開き、有原先輩が出てきた。
「空良くん、お待ちかねの人が来たよ」
その声に中からかけてくる音がする。
「寛人さん! お疲れさま!」
「ああ、空良!! ありがとう」
抱きついてきてくれた空良を抱きかかえてもちろんキスをする。
これは俺たちのお約束だ。
視界の隅で先輩たちもキスをしているのが見えるから気にならない。
まだまだ充電には足りないが、嫌なものをみた分くらいは補填できただろう。
あとは今日の学会が終わってからたっぷりと味わわせてもらうとしようか。
「空良、お腹空いただろう? 何か食べたいものはあるか?」
「なんでもいいの?」
「ああ、もちろんだ!」
「じゃあ、僕……うどんが食べたいです!」
「えっ? うどん? そんなのでいいのか?」
せっかくホテルにいるのだから、もっと豪華なものを食べに行ってもいいのに。
「福岡はうどんが有名なんだって知ってましたか?」
「あ、ああ。確かうどん発祥の地だったか」
全国的にはラーメンが有名なところだが、実はうどんの方が馴染みがあるんだと福岡出身の同級生に聞いたことがある。
「そうなんです! 僕はさっき、佳史さんに教えてもらったんですけど、それ聞いたら食べたくなっちゃって……だめ、ですか?」
「空良が食べたいものを食べよう。じゃあ、部屋に運んでもらおうか」
流石にその辺のうどん屋に空良を連れていくわけにはいかない。
さっきも変なのに遭遇したばかりだからな。
聞けば先輩たちもうどんを食べるそうで、ホテルのコンシェルジュに相談するとすぐ近くの有名店から特別に運んでもらえることになった。
これで空良も美味しいうどんが楽しめるだろう。
それからすぐに数人のホテルスタッフが部屋にやってきて準備を始めた。
ものの数分で小さな屋台のようなものが出来上がった。
どうやら目の前で実演してくれるらしい。
部屋に美味しそうなうどん出汁の匂いが漂い、空良は初めてみる屋台にワクワクが止まらない様子だ。
肉うどんにごぼう天をトッピングしたものを二杯頼むと、すぐに出来上がった。
「寛人さん、すっごく美味しそうです!」
「ああ、でも熱いから火傷しないように食べるんだぞ」
「はーい」
先輩たちもそれぞれうどんを注文し、出来上がったものをテーブルに運ぶと屋台はすぐに帰って行った。
女たちは突然現れた警察官の姿に驚き、その場から逃げようとしたが行く手を阻まれすぐに大柄な女性警察官に取り押さえられた。
「ちょっとどこ触ってんのよ! セクハラで訴えるわよ!」
「はいはい。大人しくしてくださいねー」
女たちは男性警察官とでも思っているのだろう、
そんな言葉を言いながら暴れていたが、女性警察官たちは手慣れた様子であしらっている。
最近は女性警察官でも制服はズボンが主流だ。ヒールのある靴も履かなくなったし、彼女たちのように大柄で短髪でさらに帽子を被っていれば男性に間違われることもあるだろう。
まぁ犯罪者相手には女性だと思って舐められた態度を取られずにすんでいいのかもしれない。
俺たち医者から見ればすぐに女性だとわかるのはある意味職業病のようなものだな。
「あなた方、さっきこの方に土下座するように叫んでましたね」
「それが何よ! 謝罪の気持ちを示してもらうためなんだから問題ないでしょう!」
「残念ですが、それは強要罪というれっきとした犯罪です。それにここでずっと妨害行為をしているんでしょう? それも犯罪ですよ。ということですから、署まで一緒に来ていただきますね」
「はぁ? ふざけないでよ! 人を勝手に犯罪者扱いして! 警察だかなんだか知らないけど、私たちの邪魔しないで!」
取り押さえられているにも関わらず、女たちは二人で暴れまくり、女性警察官の足を踏んで逃げようとしたところで、公務執行妨害も追加されて、その場で手錠がかけられた。
「やだー、なにこれ! 外しなさいよー!」
「これ以上暴れるとさらに罪が増えますよ!」
そこまで言われてようやく観念したのか、女たちはパトカーに押し込まれていった。
「先生方には後でお話を伺うこともあるかもしれませんがその時はご協力お願いいたします」
「わかりました」
警察が女たちを連れて行ってくれたおかげでようやく静寂が戻った。
「悠木先生、榎木先生。お疲れさまでした。後一時間ほどで午後の部が始まりますので、どうぞ昼食に行かれてください」
「ああ、そうだった! 先輩、行きましょう!」
俺は急いで空良と有原先輩が待つホテルに駆け込んだ。
俺たちの会場からすぐそばのホテルだが、急いでいる時は遠く感じてしまう。
ああ、早く空良に癒されたい。
ようやくホテルに到着し、空良たちがいる部屋に向かう。
扉を叩くとカチャリと鍵が開き、有原先輩が出てきた。
「空良くん、お待ちかねの人が来たよ」
その声に中からかけてくる音がする。
「寛人さん! お疲れさま!」
「ああ、空良!! ありがとう」
抱きついてきてくれた空良を抱きかかえてもちろんキスをする。
これは俺たちのお約束だ。
視界の隅で先輩たちもキスをしているのが見えるから気にならない。
まだまだ充電には足りないが、嫌なものをみた分くらいは補填できただろう。
あとは今日の学会が終わってからたっぷりと味わわせてもらうとしようか。
「空良、お腹空いただろう? 何か食べたいものはあるか?」
「なんでもいいの?」
「ああ、もちろんだ!」
「じゃあ、僕……うどんが食べたいです!」
「えっ? うどん? そんなのでいいのか?」
せっかくホテルにいるのだから、もっと豪華なものを食べに行ってもいいのに。
「福岡はうどんが有名なんだって知ってましたか?」
「あ、ああ。確かうどん発祥の地だったか」
全国的にはラーメンが有名なところだが、実はうどんの方が馴染みがあるんだと福岡出身の同級生に聞いたことがある。
「そうなんです! 僕はさっき、佳史さんに教えてもらったんですけど、それ聞いたら食べたくなっちゃって……だめ、ですか?」
「空良が食べたいものを食べよう。じゃあ、部屋に運んでもらおうか」
流石にその辺のうどん屋に空良を連れていくわけにはいかない。
さっきも変なのに遭遇したばかりだからな。
聞けば先輩たちもうどんを食べるそうで、ホテルのコンシェルジュに相談するとすぐ近くの有名店から特別に運んでもらえることになった。
これで空良も美味しいうどんが楽しめるだろう。
それからすぐに数人のホテルスタッフが部屋にやってきて準備を始めた。
ものの数分で小さな屋台のようなものが出来上がった。
どうやら目の前で実演してくれるらしい。
部屋に美味しそうなうどん出汁の匂いが漂い、空良は初めてみる屋台にワクワクが止まらない様子だ。
肉うどんにごぼう天をトッピングしたものを二杯頼むと、すぐに出来上がった。
「寛人さん、すっごく美味しそうです!」
「ああ、でも熱いから火傷しないように食べるんだぞ」
「はーい」
先輩たちもそれぞれうどんを注文し、出来上がったものをテーブルに運ぶと屋台はすぐに帰って行った。
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