イケメンスパダリ医師は天涯孤独な彼を放っておけない

波木真帆

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番外編

お世話したい!  <中編>

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食後に片付けをしてくれると言ってくれたが、片手は使えるからと言って一緒に食器を運び、空良は嬉しそうに食洗機に食器を並べてボタンを押してくれた。今日は鍋もフライパンもないから、これで終わりだ。

「寛人さん、ご飯も食べたしお風呂に入りますか? 僕が髪と身体洗いますね」

「あ、ああ。そうだな。お願いしようか。その前にちょっとトイレに行ってくるよ」

空良に声をかけてトイレに向かいかけたところで空良に呼び止められた。

「どうした?」

「片手じゃ不便だから、僕がお手伝いします」

「えっ? いや、それは……」

「僕がお手伝いするの、嫌ですか?」

「――っ、そんなことあるわけないだろう!」

「よかった。じゃあトイレのお世話しますね」

確かに目が潤んでいたと思ったのに、もう空良は笑顔になっている。ああ、もう俺は空良には勝てないな。

諦めて一緒にトイレに入ると、空良が嬉しそうにファスナーを開けてくれる。そこからは片手でもできるのだが、空良の手は止まらない。そのまま下着の前開きのところに指を入れて、俺のモノを取り出してくれるのだが、空良に触れられているというだけでもうすでに昂りつつある。

「わぁ、おっきい」

空良は俺の状態をわかっているのか、いないのか嬉しそうに取り出すとそのまま手を添えてくれて

「寛人さん、いいですよ」

と可愛い声をかけられる。

こんな状態で出そうにも出せないが、出ないうちは終わらないだろう。
興奮しないように必死に円周率を唱えながら、出すことだけを考えていると

「わぁ、いっぱい出てます」

となぜか嬉しそうな空良の声が聞こえてくる。
まぁでも確かに俺も空良が動けなくなった時にはいつもトイレの世話をしているが、楽しいからな。
そうか、きっと空良はあの時の俺の気持ちを、今、俺の世話を通じて理解しているのだろう。

トイレを終え、そのまま風呂場に向かう。

「手を濡らさないようにしないといけないですね」

「そうだな」

手術用の手袋なら防水だが、包帯を巻いているからきっと入らないだろうし、どうしようか。

「大丈夫です。僕がちゃんと寛人さんの手になりますから」

その言葉通り、服を脱ぐところから手伝ってくれて、俺を裸にしてから空良も素っ裸になった。
明るい風呂場で裸を見るとすぐに興奮してしまうな。

空良は俺の変化に気づき、少し頬を染めていた。もう何度も見たことあるのにいつだって反応は初々しいままだ。

「お風呂入りますよ」

俺の怪我をしていない方の手を取って、風呂場に誘導してくれる。
そしていつも空良が座っている椅子に俺を座らせると、シャワーをとって俺の頭を濡らしてくれた。
いつも俺がやっているのと同じだ。

シャンプーを取ろうとして俺のシャンプーに手を伸ばすけれど、空良の手には強すぎるだろう。

「空良、今日は空良のシャンプーで洗ってくれないか?」

「えっ? いつものじゃなくていいんですか?」

「ああ。空良にやってもらうときは空良のがいいんだ」

「わかりました!」

嬉しそうに空良用のシャンプーを手に取り泡立ててから俺の髪に乗せてくれる。

もどかしい手つき、力だって弱いのに、空良の小さな指が一生懸命髪を洗ってくれるのが何よりも心地よくて最高だ。

「ああ、空良。上手だよ」

「本当? 気持ちいいですか?」

「ああ。最高だ」

「よかった」

ああ、怪我をしてよかったなんて思っては不謹慎だが、ついついそんなことを思ってしまう。

丁寧に全体を洗ってくれてシャワーで洗い流される。
ここまでは最高に気持ちがいいが、問題はここからだ。

「次は身体ですね」

「空良は背中だけ洗ってくれたらいいよ。前は自分でできるから」

「大丈夫です。僕がちゃんと綺麗に洗いますよ。ね、やらせてください」

そんなことを言われたら断るなんてできるはずがない。

「わ、わかった。頼むよ」

自分でもどこまで我慢ができるか想像がつかない。
ただ、俺のお世話をしっかり最後までやり切るという空良の望みを叶えてあげたいだけだ。

イタズラするなよと自分の息子に言い聞かせていると、空良の柔らかな手が背中に触れた。
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