歩けなくなったお荷物な僕がセレブなイケメン社長に甘々なお世話されています

波木真帆

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征哉さんに選んで欲しい

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<side一花>

可愛いぬいぐるみに囲まれた森の中の可愛らしい家。
そこにいたsaraさんは、とても素敵な人。

僕が動物園で出会ったあのゾウのセイもsaraさんが作ってくれたものらしい。
セイよりもちょっと小さな可愛いゾウさんとセイがペアだと言って、一緒に連れ帰って欲しいと言ってくれた。
セイもこの子が一緒だと喜ぶかな。

麻友子お母さんが作ってくれたベビー服を着てくれる僕に似たぬいぐるみを作ってくれることになったんだけど、動物さんと掛け合わせて作ってくれると言ってくれて、悩んでしまう。

saraさんと一緒にいた征哉さんと同じくらい身長の高い男の人が、僕の目の前に動物さんたちを並べてくれた。

白黒が可愛いパンダさんも、茶色の丸っこいお耳が可愛いくまさんも、三角のお耳が素敵な猫さんも、顔の横についた小さなお耳が可愛い羊さんも、真っ白な長いお耳が可愛いウサギさんもどれもこれも可愛すぎて困ってしまう。

「ふふっ。悩んでいるようだな」

「はい。だって、どれも可愛くて……」

「ありがとうございます。いいですよ、のんびり選んでくださいね」

「はい。あっ、そうだ! あの……ちょっとお願いがあるんですけど……」

「なんでしょう?」

「あの……征哉さんにそっくりなぬいぐるみも作ってもらえたりしますか?」

僕そっくりなぬいぐるみの隣には、やっぱり征哉さんにそっくりなものもいて欲しい。

「ええ、もちろん。お会いした時から、そのつもりでいましたよ。一花さんのぬいぐるみが決まったら、お声かけしようと思ってたんです」

「わぁー、そうなんですね。ありがとうございます。あの、じゃあ征哉さんはライオンさんでお願いします!」

「一花、もう決めたのか?」

「はい。だって、ライオンは動物の王さまなんですよ。征哉さんにピッタリです!」

オーディオブックでライオンさんの話を読んだ時から、征哉さんはライオンさんぽいなと思ってたんだよね。
王さまならピッタリだし、これ以外にないって思ったんだ!

「ふふっ。じゃあ、ライオンさんで作りましょうね。一花さんは同じライオンでもいいし、羊かウサギも似合いますね」

「あの、征哉さんが選んでください」

「いいのか?」

「はい。僕は征哉さんをライオンさんに選んだので、征哉さんにも選んで欲しいです」

「そうか……じゃあ、一花は羊にしようか。ウサギも可愛いが、グリがヤキモチを妬くかもしれないからな」

「ふふっ。そうですね。じゃあ、羊にします!!」

「はい。ではライオンさんと羊さんでお作りしますね。一枚だけお二人の写真を撮らせていただいてもよろしいですか?」

「ええ、もちろんですよ。一花、笑顔でな」

「はい。なんだかドキドキしちゃいますね」

写真を撮られることにあまり慣れてない。
だけど、saraさんがスマホを構えるその後ろであの人が、可愛いぬいぐるみを揺らしたりしてくれるから思わず笑ってしまった。

「ふふっ」

「はーい。いい笑顔ですね」

ぱしゃっと写真を撮られて終わってホッとする。

雅春まさはるさん、おかげで一花さんの笑顔が撮れましたよ」

「雅春さんと仰るんですね」

「ああ、すみません。自己紹介もまだでしたね。神尾かみお雅春と言います」

そういうと彼は征哉さんに名刺を渡した。

「ああ、グラフィックデザイナーをされているんですね」

「ええ、その仕事の関係で蓮見さんと知り合いまして、ノベルティ作成の時にsaraを紹介したんですよ」

「なるほど。そういうご縁でしたか」

「ぐらふぃっく、でざいなー?」

よくわからない仕事の名前が出てきて思わず声を出してしまったら、神尾さんはすぐ近くの棚から一冊の小さな本を取って僕に渡してくれた。

中を開くと、可愛い動物さんたちがいたり、可愛い女の子がいたり、見ているだけで楽しくなる。

「これは、私が手がけた作品集なんだよ」

「わぁー、色が綺麗で可愛いです!!」

「ふふっ。そんなに褒めてもらえると照れるな。これ、よかったらもらって」

「えっ、いいんですか?」

「ああ、見てもらえたら嬉しいよ」

「ありがとうございます!!」

なんだか宝物をもらったような気がして、僕は嬉しかった。

「ぜひ、今度はうちの会社でも神尾さんにデザインをお願いしたいですね」

「ええ、ぜひ。いつでもお待ちしていますよ」

にこやかな笑顔に見送られて、僕たちはsaraさんの工房を出た。

「saraさんも神尾さんもいい人たちだったな。あれならきっと素敵なぬいぐるみを作ってくれるぞ」

「はい。とっても嬉しいです」

僕は小さなゾウさんを抱きしめながら、ワクワクが止まらなかった。
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