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リハビリ開始
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<sideひかる>
翌日、朝から早速谷垣さんが来てくれた。
征哉さんは谷垣さんが来るまで待っていてくれて、やってきた谷垣さんから何か書類を受け取りそれをじっくりと目を通して少し話をしてから
「じゃあ、谷垣くん。頼むよ」
と笑顔を向けた。
そして、僕の元に戻ってきてくれて、
「じゃあ、行ってくるよ。ひかる、リハビリを始めるのはいいが、無理は絶対にしないようにな」
と声をかけてくれた。
「わかりました。征哉さん、行ってらっしゃい。お仕事頑張ってください」
「ああ、頑張ってくるよ。今日も何か美味しいお土産買ってくるから、楽しみにしているんだぞ」
「わぁ、ありがとうございます」
笑顔で手を振って見送ると、征哉さんも嬉しそうに手を振って扉を閉めていった。
「貴船会長があんなに笑顔で……信じられないな」
「えっ? 今、なんて言ったんですか?」
「あ、いえ。なんでもないです。じゃあ、リハビリを始めていきましょう。まずはこれをご覧ください」
「これ……」
「さっき貴船会長にお渡ししたものと同じものです。今のひかるさんの身体の状態とこれからどのようにリハビリを進めていくか、部位ごとに記載しています。ひかるさんが怪我をなさった太ももの骨、大腿骨と言いますが、この骨は人間の骨の中でも大きくてかなり重要な骨です。筋肉にも覆われていますし、骨がくっ付いたら治るということではありません。ですから、すぐに治そうとは考えず、少しずつできることを増やしていきましょう。何か気になることがあればなんでも仰ってくださいね」
「わかりました。あの……谷垣さん……」
「はい。何かありますか?」
「あの、僕はまだ全然子どもですし、谷垣さんにいろいろと教えていただく立場ですから、もっと気楽に話していただけると嬉しいです」
「えっ、ですが……」
「お願いします。その方が話もしやすいなって……」
「ひかるさん……」
元々丁寧な人なのかもしれない。
でも僕を怪我させてしまったから、余計に優しい対応をしてくれているのかもしれない。
それが心苦しくてたまらない。
何より、先生と呼ばれる人にこんなに丁寧な対応をされたことがないからどう反応していいのか不安になってしまうんだ。
「谷垣さん、ひかるくんがこう言っているからその通りにしてあげてくれないかしら? ひかるくんがやりやすいのが一番よ」
「貴船の奥さま……」
「あら、そんな他人行儀な呼び方は私も困るわ。ひかるくんの先生として深いお付き合いがしたいのだから、私のことも名前で呼んでくれて構わないわ。その代わり、私も尚孝くんと呼ばせてもらうわ。ひかるくんも同じように尚孝さんと呼んだらいいわ。ねっ、それでいいでしょう? ここではみんな気楽にお話ししましょう。ひかるくんもその方がいいのよね」
「はい。お母さん……その方が嬉しいです」
「じゃあ、決まりね。じゃあ、尚孝くん」
「未知子さん、わかりました。じゃあ……やっていこうか」
「はい!」
ああ、やっぱりこっちの方が断然話しやすい。
尚孝さんはまず僕の足が固まってしまわないように念入りに時間をかけてマッサージをしてくれた。
怪我をしてからずっと動かしていなかったせいか、怪我をしていない左足を動かすのも少し痛む。
これがきっと筋肉が衰えてるってことなんだろうな。
「じゃあ、ベッドで寝ている状態から、自分で起き上がってみようか」
「は、はい」
力を入れて起きあがろうとするけれど、それだけでも辛い。
自分の身体じゃないみたいだ。
それでも尚孝さんやお母さんに補助してもらいながら起き上がることができ、それから何度かその動きを繰り返すと、なんとか自分の力だけで起き上がれるようになっていった。
「ああ、ひかるくん。いいね。身体が動きを思い出しているよ」
「はい。もっと頑張ります」
「最初から無理をすると、身体が疲れてしまうから今日はこの辺にしておこう。今日は自分で起き上がれるようになったから進歩したよ。はい、これね」
そう言って、尚孝さんは僕の手のひらよりもう少し大きいくらいの分厚い紙を渡した。
「これは、なんですか?」
「ふふっ。これは、頑張りシートだよ。今日はここ。毎日リハビリを頑張るたびに一枚ずつ、動物のシールをあげるからそれを貼っていくんだ。ここまで全部貯まったら、ひかるくんはこのベッドから自分で車椅子に移れるようになっているはずだよ」
「えっ……車椅子?」
「そう。車椅子に乗れるようになったら、自分でいろんなところにも行けるようになるから、行動範囲も広がるよ。最終的には歩けるようになるのが目標だけど、車椅子は初めの第一歩だからね。貴船会長には車椅子の話はしてあるから、今頃、ひかるくんに会う車椅子を探してくれているはずだよ。それに自力で乗れるように頑張ろうね」
「はい! わかりました! 僕、頑張ります!!」
「もちろん、無理しないようにだよ」
「はい!」
「ふふっ。じゃあ、今日のシールをあげよう。ひかるくんはどの動物が好き?」
尚孝さんが見せてくれたシールにはキリンさんやゾウさん、うさぎさんにクマさんの可愛いシールがある。
どのシールも可愛いけど、やっぱり僕はこれかな。
「僕、ゾウさんがいいです」
「じゃあ、一枚とっていいよ」
まだ誰も手をつけていないシールから僕の欲しいシールをとる。
こんな体験初めてだからなんだか手が震えちゃうな。
可愛いゾウさんのシールを一枚剥がして、自分のカードにつける。
それだけでなんとも言えない気持ちになる。
「わぁ、嬉しい……っ」
僕だけのカードだ。
早く征哉さんに見せたいな。
翌日、朝から早速谷垣さんが来てくれた。
征哉さんは谷垣さんが来るまで待っていてくれて、やってきた谷垣さんから何か書類を受け取りそれをじっくりと目を通して少し話をしてから
「じゃあ、谷垣くん。頼むよ」
と笑顔を向けた。
そして、僕の元に戻ってきてくれて、
「じゃあ、行ってくるよ。ひかる、リハビリを始めるのはいいが、無理は絶対にしないようにな」
と声をかけてくれた。
「わかりました。征哉さん、行ってらっしゃい。お仕事頑張ってください」
「ああ、頑張ってくるよ。今日も何か美味しいお土産買ってくるから、楽しみにしているんだぞ」
「わぁ、ありがとうございます」
笑顔で手を振って見送ると、征哉さんも嬉しそうに手を振って扉を閉めていった。
「貴船会長があんなに笑顔で……信じられないな」
「えっ? 今、なんて言ったんですか?」
「あ、いえ。なんでもないです。じゃあ、リハビリを始めていきましょう。まずはこれをご覧ください」
「これ……」
「さっき貴船会長にお渡ししたものと同じものです。今のひかるさんの身体の状態とこれからどのようにリハビリを進めていくか、部位ごとに記載しています。ひかるさんが怪我をなさった太ももの骨、大腿骨と言いますが、この骨は人間の骨の中でも大きくてかなり重要な骨です。筋肉にも覆われていますし、骨がくっ付いたら治るということではありません。ですから、すぐに治そうとは考えず、少しずつできることを増やしていきましょう。何か気になることがあればなんでも仰ってくださいね」
「わかりました。あの……谷垣さん……」
「はい。何かありますか?」
「あの、僕はまだ全然子どもですし、谷垣さんにいろいろと教えていただく立場ですから、もっと気楽に話していただけると嬉しいです」
「えっ、ですが……」
「お願いします。その方が話もしやすいなって……」
「ひかるさん……」
元々丁寧な人なのかもしれない。
でも僕を怪我させてしまったから、余計に優しい対応をしてくれているのかもしれない。
それが心苦しくてたまらない。
何より、先生と呼ばれる人にこんなに丁寧な対応をされたことがないからどう反応していいのか不安になってしまうんだ。
「谷垣さん、ひかるくんがこう言っているからその通りにしてあげてくれないかしら? ひかるくんがやりやすいのが一番よ」
「貴船の奥さま……」
「あら、そんな他人行儀な呼び方は私も困るわ。ひかるくんの先生として深いお付き合いがしたいのだから、私のことも名前で呼んでくれて構わないわ。その代わり、私も尚孝くんと呼ばせてもらうわ。ひかるくんも同じように尚孝さんと呼んだらいいわ。ねっ、それでいいでしょう? ここではみんな気楽にお話ししましょう。ひかるくんもその方がいいのよね」
「はい。お母さん……その方が嬉しいです」
「じゃあ、決まりね。じゃあ、尚孝くん」
「未知子さん、わかりました。じゃあ……やっていこうか」
「はい!」
ああ、やっぱりこっちの方が断然話しやすい。
尚孝さんはまず僕の足が固まってしまわないように念入りに時間をかけてマッサージをしてくれた。
怪我をしてからずっと動かしていなかったせいか、怪我をしていない左足を動かすのも少し痛む。
これがきっと筋肉が衰えてるってことなんだろうな。
「じゃあ、ベッドで寝ている状態から、自分で起き上がってみようか」
「は、はい」
力を入れて起きあがろうとするけれど、それだけでも辛い。
自分の身体じゃないみたいだ。
それでも尚孝さんやお母さんに補助してもらいながら起き上がることができ、それから何度かその動きを繰り返すと、なんとか自分の力だけで起き上がれるようになっていった。
「ああ、ひかるくん。いいね。身体が動きを思い出しているよ」
「はい。もっと頑張ります」
「最初から無理をすると、身体が疲れてしまうから今日はこの辺にしておこう。今日は自分で起き上がれるようになったから進歩したよ。はい、これね」
そう言って、尚孝さんは僕の手のひらよりもう少し大きいくらいの分厚い紙を渡した。
「これは、なんですか?」
「ふふっ。これは、頑張りシートだよ。今日はここ。毎日リハビリを頑張るたびに一枚ずつ、動物のシールをあげるからそれを貼っていくんだ。ここまで全部貯まったら、ひかるくんはこのベッドから自分で車椅子に移れるようになっているはずだよ」
「えっ……車椅子?」
「そう。車椅子に乗れるようになったら、自分でいろんなところにも行けるようになるから、行動範囲も広がるよ。最終的には歩けるようになるのが目標だけど、車椅子は初めの第一歩だからね。貴船会長には車椅子の話はしてあるから、今頃、ひかるくんに会う車椅子を探してくれているはずだよ。それに自力で乗れるように頑張ろうね」
「はい! わかりました! 僕、頑張ります!!」
「もちろん、無理しないようにだよ」
「はい!」
「ふふっ。じゃあ、今日のシールをあげよう。ひかるくんはどの動物が好き?」
尚孝さんが見せてくれたシールにはキリンさんやゾウさん、うさぎさんにクマさんの可愛いシールがある。
どのシールも可愛いけど、やっぱり僕はこれかな。
「僕、ゾウさんがいいです」
「じゃあ、一枚とっていいよ」
まだ誰も手をつけていないシールから僕の欲しいシールをとる。
こんな体験初めてだからなんだか手が震えちゃうな。
可愛いゾウさんのシールを一枚剥がして、自分のカードにつける。
それだけでなんとも言えない気持ちになる。
「わぁ、嬉しい……っ」
僕だけのカードだ。
早く征哉さんに見せたいな。
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