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完全介護
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「母さん、もう食事は済んだのか?」
「いいえ、征哉と一緒に食べようと思って待っていたの。すぐに用意してもらうわ」
そういうと母はシェフに声をかけに行った。
二人暮らしになってからは母が食事の支度をしてくれることが多かったが、ひかるをうちに引き取るにあたってシェフを雇い入れた。
ひかるには母の作る家庭料理を早く食べさせたいが、まずはひかるに健康な身体を取り戻すことが必要だということで、聖ラグエル病院のシェフに来てもらうことにしたんだ。
主治医である榎木先生からひかるの体調をしっかりと聞いてきている彼なら、ひかるの身体に良いものを作ってくれると期待している。
「あ、あの……」
二人っきりになった部屋で、ひかるが私を見上げて声をかけてくる。
「何か欲しいものでもあるか?」
「あ、その……トイレが……」
真っ赤な顔で恥じらうその姿にドキッとするが、そんなことを言っている場合ではない。
「そうか、悪い。私が取り替えよう」
「えっ……征哉さんに、そんな……」
「家族なんだから気にすることはないだろう? それに私は医師だからこういうことも慣れているよ」
「あっ……そう、ですね……」
医師という言葉に納得してくれたようで助かる。
私は天蓋カーテンを下ろし、ひかるのベッドをフラットに戻してオムツを取り替える準備を始めた。
右の太ももをトラックに踏まれて粉砕骨折していたのだから、当然だがトイレに歩けるはずもない。
この年の子なら恥ずかしいと思うのも当然だが、それも仕方がないことだ。
「ここに来てから一度は取り替えたかな?」
「は、はい。あの、お母さんが替えてくれました。でも、申し訳なくて……」
「君は怪我人で動けないんだから、遠慮する必要なんて全くないんだよ。いい? 夜中でも絶対に遠慮しなくてもいいからな。そのために私がそばにいるんだから」
「あ、征哉さん……本当に、隣に……?」
「ああ、当然だよ。家族なんだからね」
「――っ、ありがとうございます」
準備を整えて布団を捲ると、病院着の下から細い足に巻かれた包帯が見える。
これが太ももだなんて信じられないな……。
「じゃあ、取り替えるよ」
「は、はい」
おむつのテープを外し、やさしく開くと
「――っ!!!」
可愛らしい果実のようなモノが出てきて思わず声をあげそうになってしまった。
18歳ならほぼ生えているだろう下生えは全くなく、可愛らしいモノがちょこんとついたそこは何故か神々しさまで感じるほど綺麗で可愛かった。
この世にこんなにも可愛らしいモノがあったとはな……。
邪な気持ちになるのをグッと抑えながら、お湯で濡らしたタオルでそれを拭うとひかるの身体がピクリと震えて、
「――った!」
と苦しげな声をあげる。
「悪い、痛かったか?」
「あ、違いますっ! そんなとこ、人に触れられるのに慣れてないから……それでびっくりしちゃって……」
「そうだな、確かに慣れないな。優しくするから、何かあったらなんでも言ってくれ」
「は、はい」
目の前にある可愛い物体をあまり見つめないようにしようと思いながらもついつい見つめてしまう。
ああ、なんでこんな可愛いんだろうな。
綺麗に拭き終えて新しいオムツをつけてやり、衣服を整えてから布団をかけ直すとひかるはホッとした表情を見せて、お礼を言ってくれた。
「気にしないでいいよ。さっぱりしたから、食事にしようか」
途中で母が入ってこようとしていたのには気づいていたが、天蓋カーテンが下りていたから母も何をしているのかすぐに気づいたようで入ってこなかった。
そういう気配りのできる人だから、安心なんだ。
ひかるのベッドを起こしテーブルを用意してから、部屋の外で待っていた母に声をかけて私も料理を運ぶのを手伝う。
「さぁ、これが今日のひかるの夕食だよ」
トレイには、鮭と卵の入った雑炊、薄く切った椎茸が入った大根おろしスープ、カレイの煮付けとデザートのプリンが置かれている。
質素なものだが、消化によく、これまで満足に食事をさせてもらっていなかったひかるの身体にはちょうどいいだろう。
「えっ……こ、れ……」
「何か苦手なものがあるか? あれば、違うのを作ってもらうから遠慮なく言ってくれ」
「そ、えっ……こ、れ……僕が、全部食べて、いいんですか?」
「ああ、もちろんだよ。ひかるのための食事だ。無理しなくていいから、食べられるだけ食べたらいい」
「そんな……っ、信じられない……僕、幸せすぎて……」
「ひかる……っ」
夕食にしては質素すぎる食事なのに、ここまで喜んでくれるなんて……。
奴らがどれだけひかるを虐げてきたのか、それが想像できて腹が立ってくる。
「これからはたっぷりと食事をして、ゆっくり休んで健康になろう。それが怪我を治すことにもなるからな」
「は、はい。ありがとう、ございます……」
ひかるのベッドの横にテーブルをつけ、私と母の料理も一緒に並べる。
私たちの料理もほとんど変わらないメニューになっているのは、ひかるへの配慮だろう。
「えっ……征哉さんも、お母さんも僕と同じ……?」
「いいんだよ。家族だから同じものが食べたいんだ」
そういうと、ひかるは涙を潤ませながら嬉しそうに笑っていた。
「いいえ、征哉と一緒に食べようと思って待っていたの。すぐに用意してもらうわ」
そういうと母はシェフに声をかけに行った。
二人暮らしになってからは母が食事の支度をしてくれることが多かったが、ひかるをうちに引き取るにあたってシェフを雇い入れた。
ひかるには母の作る家庭料理を早く食べさせたいが、まずはひかるに健康な身体を取り戻すことが必要だということで、聖ラグエル病院のシェフに来てもらうことにしたんだ。
主治医である榎木先生からひかるの体調をしっかりと聞いてきている彼なら、ひかるの身体に良いものを作ってくれると期待している。
「あ、あの……」
二人っきりになった部屋で、ひかるが私を見上げて声をかけてくる。
「何か欲しいものでもあるか?」
「あ、その……トイレが……」
真っ赤な顔で恥じらうその姿にドキッとするが、そんなことを言っている場合ではない。
「そうか、悪い。私が取り替えよう」
「えっ……征哉さんに、そんな……」
「家族なんだから気にすることはないだろう? それに私は医師だからこういうことも慣れているよ」
「あっ……そう、ですね……」
医師という言葉に納得してくれたようで助かる。
私は天蓋カーテンを下ろし、ひかるのベッドをフラットに戻してオムツを取り替える準備を始めた。
右の太ももをトラックに踏まれて粉砕骨折していたのだから、当然だがトイレに歩けるはずもない。
この年の子なら恥ずかしいと思うのも当然だが、それも仕方がないことだ。
「ここに来てから一度は取り替えたかな?」
「は、はい。あの、お母さんが替えてくれました。でも、申し訳なくて……」
「君は怪我人で動けないんだから、遠慮する必要なんて全くないんだよ。いい? 夜中でも絶対に遠慮しなくてもいいからな。そのために私がそばにいるんだから」
「あ、征哉さん……本当に、隣に……?」
「ああ、当然だよ。家族なんだからね」
「――っ、ありがとうございます」
準備を整えて布団を捲ると、病院着の下から細い足に巻かれた包帯が見える。
これが太ももだなんて信じられないな……。
「じゃあ、取り替えるよ」
「は、はい」
おむつのテープを外し、やさしく開くと
「――っ!!!」
可愛らしい果実のようなモノが出てきて思わず声をあげそうになってしまった。
18歳ならほぼ生えているだろう下生えは全くなく、可愛らしいモノがちょこんとついたそこは何故か神々しさまで感じるほど綺麗で可愛かった。
この世にこんなにも可愛らしいモノがあったとはな……。
邪な気持ちになるのをグッと抑えながら、お湯で濡らしたタオルでそれを拭うとひかるの身体がピクリと震えて、
「――った!」
と苦しげな声をあげる。
「悪い、痛かったか?」
「あ、違いますっ! そんなとこ、人に触れられるのに慣れてないから……それでびっくりしちゃって……」
「そうだな、確かに慣れないな。優しくするから、何かあったらなんでも言ってくれ」
「は、はい」
目の前にある可愛い物体をあまり見つめないようにしようと思いながらもついつい見つめてしまう。
ああ、なんでこんな可愛いんだろうな。
綺麗に拭き終えて新しいオムツをつけてやり、衣服を整えてから布団をかけ直すとひかるはホッとした表情を見せて、お礼を言ってくれた。
「気にしないでいいよ。さっぱりしたから、食事にしようか」
途中で母が入ってこようとしていたのには気づいていたが、天蓋カーテンが下りていたから母も何をしているのかすぐに気づいたようで入ってこなかった。
そういう気配りのできる人だから、安心なんだ。
ひかるのベッドを起こしテーブルを用意してから、部屋の外で待っていた母に声をかけて私も料理を運ぶのを手伝う。
「さぁ、これが今日のひかるの夕食だよ」
トレイには、鮭と卵の入った雑炊、薄く切った椎茸が入った大根おろしスープ、カレイの煮付けとデザートのプリンが置かれている。
質素なものだが、消化によく、これまで満足に食事をさせてもらっていなかったひかるの身体にはちょうどいいだろう。
「えっ……こ、れ……」
「何か苦手なものがあるか? あれば、違うのを作ってもらうから遠慮なく言ってくれ」
「そ、えっ……こ、れ……僕が、全部食べて、いいんですか?」
「ああ、もちろんだよ。ひかるのための食事だ。無理しなくていいから、食べられるだけ食べたらいい」
「そんな……っ、信じられない……僕、幸せすぎて……」
「ひかる……っ」
夕食にしては質素すぎる食事なのに、ここまで喜んでくれるなんて……。
奴らがどれだけひかるを虐げてきたのか、それが想像できて腹が立ってくる。
「これからはたっぷりと食事をして、ゆっくり休んで健康になろう。それが怪我を治すことにもなるからな」
「は、はい。ありがとう、ございます……」
ひかるのベッドの横にテーブルをつけ、私と母の料理も一緒に並べる。
私たちの料理もほとんど変わらないメニューになっているのは、ひかるへの配慮だろう。
「えっ……征哉さんも、お母さんも僕と同じ……?」
「いいんだよ。家族だから同じものが食べたいんだ」
そういうと、ひかるは涙を潤ませながら嬉しそうに笑っていた。
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