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自分の心に忠実に
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ロベールにピッタリと寄り添って息を整えている間、ロベールは俺をギュッと抱きしめたまま離そうとしなかった。
「ヒロ……愛してるよ」
ロベールの心からの愛の言葉に胸がときめく。
ああ、俺……本当にロベールが好きになったんだな。
「ロベール……俺も……愛してる」
「――っ!!!」
心から漏れ出した声にロベールはすぐに反応してパッと俺の顔を見た。
「ヒロっ!! 今の言葉は本心か?」
「えっ?」
「私のことを愛していると言ってくれたろう?」
いつもの俺なら、恥ずかしさのあまり適当に流してしまったかもしれない。
それくらい自分の気持ちを出すことなんてなかった。
両親が亡くなって、姉さんに心配かけたくなくて自分の心に蓋をすることを覚えたから。
でも、さっきの言葉は自分の心に芽生えた気持ちが口から零れ落ちたんだ。
それくらいロベールにはもう心を偽らなくていいっていうことなんだろう。
「ロベール、愛してるよ」
俺はもう一度ロベールの目を見つめながら笑顔でそう告げた。
少し照れが入って、多分耳は真っ赤になっていたと思うけど……。
「ヒロっ!!」
満面の笑みを見せるロベールにぎゅっと抱きしめられて、隙間なく身体がくっついたところで俺たちは自分たちの今の状況を思い出した。
「あっ……」
お互いに下だけ裸でしかも汚れたままのおかしな格好をしていることに……。
「ふふっ」
「ははっ」
せっかくお互いの思いを確かめ合ったのに、なんとも締まらないそんな姿にもう笑うしかなかった。
でもこうやって笑いのある生活って、それが一番幸せなのかもしれないな。
そのことに気づいたからこれもまぁ悪くない。
「どうする、お風呂入る? それとも濡れタオル持ってこようか? あ、持ってきましょうか?」
なんだか知らない間についタメ口になっちゃってた。
ロベールなんて呼び捨てにするようになったからかな。
流石にこんな年上なのにタメ口はダメだよね。
「ヒロ、私たちは正式な婚約者になったと言っただろう? それにお互いに裸も見せ合った仲だというのにそんな畏まった話し方はやめてくれ。さっきの話し方がいいんだ。君がカエデさんと話していたようなあんな口調が私には心地良い」
姉さんと話していたような……ってそれだと相当砕けちゃうけど本当にいいのかな?
佑さんにだってそんな話し方しないのに……。
「いい、のかな……?」
「ああ、もちろんだよ。これでさらにぐんとヒロとの距離が縮まったな」
そう言って嬉しそうに笑うロベールを見ていると、じゃあそれでいいかという気にさせられる。
本当に気を遣わなくてもいい相手になったんだと思うと、途端に気楽になった。
そう思ったら、ロベールが大金持ちだとかホテル王の御曹司だとかどうでも良くなってきた。
そう。俺の前ではただの男でいてくれればいいんだ。
「あ、じゃあ……どう、する?」
「そうだな。昨日も入ってないし、風呂に入るか」
「足は大丈夫かな?」
「完治するまで入らないわけにもいかないから気をつければ大丈夫だろう。それにヒロも一緒に入ってくれるだろう?」
「うん、俺がしっかり支えるよ。どこのお風呂に入る?」
「そうだな、ヒロも一緒だから一番奥の部屋のがいい。あそこが広くて気に入っているんだ」
そう言われてあの奥の広い部屋を思い出した。
きっとあの部屋がロベールの部屋なんだろう。
あんな広い部屋で優雅に生活しているロベール……どう考えても王さまに見える。
今のちょっと間抜けな姿だとそうは思えないけど……ふふっ。
まぁ俺だけしか見せない姿のロベールもある意味かっこいいかもね。
汚れた身体に下着を身につけるのも変な気がして、結局そのまま2人でみっともない格好をしながら、一番奥のロベールの部屋へと向かった。
バスルームの扉を開けると、お風呂はいつでも常に沸かされているようですぐに入れるみたいだ。
脱いでいなかったシャツを脱ぎ去り、ガラス張りの風呂場へと足を踏み入れた。
お風呂に入りながらこの景色を見られるなんて本当にすごいな。
でも、あのタワーについている望遠鏡とかで見られたりしないんだろうか?
ロベールを椅子に座らせてから、
「ここの窓は外の景色が見られていいけど、向こうからこっちは見えないの?」
と尋ねると、
「気づいたのか? さすがヒロだな。ここの窓は特殊な加工がされているから、外からは何も見えないよ。
そうしないと気になって愛しあえないだろう?」
とニヤリと意味深な笑みを浮かべながらロベールはそう答えた。
途端にさっきのロベールとのことを思い出して一気に顔が赤くなる。
「ヒロ? 顔が赤いな。何を考えてる?」
「ちが――っ、その……そう、湿度が高いからだよ」
「んっ? 本当かな?」
うーっ、ロベールはわかってるくせにきっと揶揄ってるんだな。
だって、なんだか嬉しそうだもん。
まぁ自分の心に正直にって思ったばかりだし、正直になるのもいいか。
ちょっと恥ずかしいけど……。
「ロベールが愛し合うとかいうから……さっきのを思い出しちゃっただけ」
「ふふっ。ヒロが正直で可愛いな」
「ほら、揶揄ってばかりいないでロベールの髪洗ってあげる」
「ああ、ありがとう」
ロベールの綺麗な金髪は濡らすとさらに艶やかに煌めく。
こんな綺麗な髪色、初めてだ。
見るからに高価そうなシャンプーを手に取り泡立ててからロベールの髪につけるとさらに輝きを増した。
鏡越しにみるロベールはとても気持ちよさそうにしていて、洗うのがすごく楽しかった。
そういえば人を洗ってあげるのってロベールが初めてかも。
ふふっ。
ロベールといると初めての経験がいっぱいできるな。
泡を全て洗い流し、次は身体を洗おうと手を伸ばすと
「身体は自分で洗うよ。ヒロに触られるとすぐに昂ってしまって、ヒロに躾がなっていないと叱られてしまいそうだからな」
と笑って制された。
確かに俺もロベールに触れられて勃たない自信は……ない。
ロベールが身体を洗っている間に俺も髪と身体を洗い終え、俺たちはゆっくり湯船に浸かることにした。
とはいえ、足も怪我しているから本当に浸かるだけ。
それでも綺麗な景色を見ながらのお風呂は最高に気持ちよかった。
「足が治ったら、ここで愛し合ってくれるか?」
耳元でそう囁かれ、一気に反応してしまいそうになったのを必死に抑えながら俺は『うん』と頷いた。
もしかしてここが俺の初エッチの場所になるんだろうか?
俺は窓の外の景色を見ながらひとりで緊張に胸を震わせていた。
「ヒロ……愛してるよ」
ロベールの心からの愛の言葉に胸がときめく。
ああ、俺……本当にロベールが好きになったんだな。
「ロベール……俺も……愛してる」
「――っ!!!」
心から漏れ出した声にロベールはすぐに反応してパッと俺の顔を見た。
「ヒロっ!! 今の言葉は本心か?」
「えっ?」
「私のことを愛していると言ってくれたろう?」
いつもの俺なら、恥ずかしさのあまり適当に流してしまったかもしれない。
それくらい自分の気持ちを出すことなんてなかった。
両親が亡くなって、姉さんに心配かけたくなくて自分の心に蓋をすることを覚えたから。
でも、さっきの言葉は自分の心に芽生えた気持ちが口から零れ落ちたんだ。
それくらいロベールにはもう心を偽らなくていいっていうことなんだろう。
「ロベール、愛してるよ」
俺はもう一度ロベールの目を見つめながら笑顔でそう告げた。
少し照れが入って、多分耳は真っ赤になっていたと思うけど……。
「ヒロっ!!」
満面の笑みを見せるロベールにぎゅっと抱きしめられて、隙間なく身体がくっついたところで俺たちは自分たちの今の状況を思い出した。
「あっ……」
お互いに下だけ裸でしかも汚れたままのおかしな格好をしていることに……。
「ふふっ」
「ははっ」
せっかくお互いの思いを確かめ合ったのに、なんとも締まらないそんな姿にもう笑うしかなかった。
でもこうやって笑いのある生活って、それが一番幸せなのかもしれないな。
そのことに気づいたからこれもまぁ悪くない。
「どうする、お風呂入る? それとも濡れタオル持ってこようか? あ、持ってきましょうか?」
なんだか知らない間についタメ口になっちゃってた。
ロベールなんて呼び捨てにするようになったからかな。
流石にこんな年上なのにタメ口はダメだよね。
「ヒロ、私たちは正式な婚約者になったと言っただろう? それにお互いに裸も見せ合った仲だというのにそんな畏まった話し方はやめてくれ。さっきの話し方がいいんだ。君がカエデさんと話していたようなあんな口調が私には心地良い」
姉さんと話していたような……ってそれだと相当砕けちゃうけど本当にいいのかな?
佑さんにだってそんな話し方しないのに……。
「いい、のかな……?」
「ああ、もちろんだよ。これでさらにぐんとヒロとの距離が縮まったな」
そう言って嬉しそうに笑うロベールを見ていると、じゃあそれでいいかという気にさせられる。
本当に気を遣わなくてもいい相手になったんだと思うと、途端に気楽になった。
そう思ったら、ロベールが大金持ちだとかホテル王の御曹司だとかどうでも良くなってきた。
そう。俺の前ではただの男でいてくれればいいんだ。
「あ、じゃあ……どう、する?」
「そうだな。昨日も入ってないし、風呂に入るか」
「足は大丈夫かな?」
「完治するまで入らないわけにもいかないから気をつければ大丈夫だろう。それにヒロも一緒に入ってくれるだろう?」
「うん、俺がしっかり支えるよ。どこのお風呂に入る?」
「そうだな、ヒロも一緒だから一番奥の部屋のがいい。あそこが広くて気に入っているんだ」
そう言われてあの奥の広い部屋を思い出した。
きっとあの部屋がロベールの部屋なんだろう。
あんな広い部屋で優雅に生活しているロベール……どう考えても王さまに見える。
今のちょっと間抜けな姿だとそうは思えないけど……ふふっ。
まぁ俺だけしか見せない姿のロベールもある意味かっこいいかもね。
汚れた身体に下着を身につけるのも変な気がして、結局そのまま2人でみっともない格好をしながら、一番奥のロベールの部屋へと向かった。
バスルームの扉を開けると、お風呂はいつでも常に沸かされているようですぐに入れるみたいだ。
脱いでいなかったシャツを脱ぎ去り、ガラス張りの風呂場へと足を踏み入れた。
お風呂に入りながらこの景色を見られるなんて本当にすごいな。
でも、あのタワーについている望遠鏡とかで見られたりしないんだろうか?
ロベールを椅子に座らせてから、
「ここの窓は外の景色が見られていいけど、向こうからこっちは見えないの?」
と尋ねると、
「気づいたのか? さすがヒロだな。ここの窓は特殊な加工がされているから、外からは何も見えないよ。
そうしないと気になって愛しあえないだろう?」
とニヤリと意味深な笑みを浮かべながらロベールはそう答えた。
途端にさっきのロベールとのことを思い出して一気に顔が赤くなる。
「ヒロ? 顔が赤いな。何を考えてる?」
「ちが――っ、その……そう、湿度が高いからだよ」
「んっ? 本当かな?」
うーっ、ロベールはわかってるくせにきっと揶揄ってるんだな。
だって、なんだか嬉しそうだもん。
まぁ自分の心に正直にって思ったばかりだし、正直になるのもいいか。
ちょっと恥ずかしいけど……。
「ロベールが愛し合うとかいうから……さっきのを思い出しちゃっただけ」
「ふふっ。ヒロが正直で可愛いな」
「ほら、揶揄ってばかりいないでロベールの髪洗ってあげる」
「ああ、ありがとう」
ロベールの綺麗な金髪は濡らすとさらに艶やかに煌めく。
こんな綺麗な髪色、初めてだ。
見るからに高価そうなシャンプーを手に取り泡立ててからロベールの髪につけるとさらに輝きを増した。
鏡越しにみるロベールはとても気持ちよさそうにしていて、洗うのがすごく楽しかった。
そういえば人を洗ってあげるのってロベールが初めてかも。
ふふっ。
ロベールといると初めての経験がいっぱいできるな。
泡を全て洗い流し、次は身体を洗おうと手を伸ばすと
「身体は自分で洗うよ。ヒロに触られるとすぐに昂ってしまって、ヒロに躾がなっていないと叱られてしまいそうだからな」
と笑って制された。
確かに俺もロベールに触れられて勃たない自信は……ない。
ロベールが身体を洗っている間に俺も髪と身体を洗い終え、俺たちはゆっくり湯船に浸かることにした。
とはいえ、足も怪我しているから本当に浸かるだけ。
それでも綺麗な景色を見ながらのお風呂は最高に気持ちよかった。
「足が治ったら、ここで愛し合ってくれるか?」
耳元でそう囁かれ、一気に反応してしまいそうになったのを必死に抑えながら俺は『うん』と頷いた。
もしかしてここが俺の初エッチの場所になるんだろうか?
俺は窓の外の景色を見ながらひとりで緊張に胸を震わせていた。
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