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ーありがとう。
ーお兄ちゃんの恋人さんを紹介してもらえるの楽しみにしてるね。
ーああ、今日にでも話をしとくから、日本に行けそうな日が決まったら連絡するよ。
ーうん。待ってる。今日も仕事頑張って。
ーありがとう。千鶴はもう寝るんだろ、おやすみ。
ーおやすみ。
切れた電話を見ながら、今頃電話口で同じようにお兄ちゃんも電話を見つめているかもしれないと思ったら笑ってしまった。
双子だってことをあまり気にしたこともなかったけど、今日だけは双子なんだなって納得してしまった。
でも幸せなことが重なるって嬉しいことだもんね。
そういえば、お兄ちゃんの恋人五つ下って言ってたけど、もしかして私、お義姉さんって呼ばれたりするのかな?
いや、お兄ちゃんの恋人なんだから私は義妹?
ああ、わかんなくなってきた。
まぁ、呼び方はなんでもいいか。
そんなことを考えていると、持っていたスマホが鳴り始めた。
「わっ!」
画面表示を見ると、<長瀬さん>と書かれている。
これも<理人さん>に変えないと……なんて思いながら、電話をとった。
ーもしもし、理人さん。
ーすみません。こんな時間に。
ーいえ、まだ起きてましたから。
ーあの、誰かと電話してましたか?
ーえっ?
ーああ、いえ。別に束縛するつもりではないんです。ただ電話をかけたら話し中だったので気になって……。
ふふっ。気にしてくれたんだ。
なんだかそれが嬉しく感じてしまう。
ー兄ですよ。兄から電話がかかってたんです。
ーお兄さん、そうですか……。
ーええ。理人さんとのことを報告しようと思って、帰宅してすぐに父と兄に連絡したんです。兄は時差の関係で電話じゃなくメッセージを送っておいたので、朝それを見てすぐにかけてきてくれたんですよ。
ーもう報告してくれたんですか?
ーええ。だめ、でしたか?
ーそんなことありません! 千鶴さんがすぐに話をしてくれたのが嬉しいですよ。
ーふふっ。よかったです。父も兄も喜んでくれましたよ。兄なんて、理人さんに会いに一時帰国するって話してました。
ーええっ、いいんですか?
ーそれくらい大事なことだと思ってくれているみたいです。それに……兄も、恋人を家族に紹介したいと話してました。
ーそうですか。じゃあ、その日は賑やかになりそうですね。
ー父もいつでも構わないって言ってくれたので、先に父に会ってもらえますか?
ーええ。もちろんです。早いほうがいいので、明後日の夜でも構いませんか?
ーわかりました。父に伝えておきますね。場所は今私がいる祖母の家でも大丈夫ですか?
ーええ。わかりました。それでは明後日の夜7時にお伺いしますね。
理人さんと電話を切った後、すぐにお父さんに電話を開けて、約束を取り付けた。
翌日はおばあちゃんと、理人さんがきた時の食事を考えたりしているうちに、あっという間に一日が終わってしまった。
そして、約束の日。
おばあちゃんと朝から、夕食作り。
久しぶりにお父さんに私の手料理を食べてもらいたかったし、理人さんにも美味しいと言ってもらいたくて時間をかけてたっぷりと料理を作った。
「ほら、千鶴。そろそろ着替えていらっしゃい」
「はーい。あっ、何着よう……」
正式な結納とかじゃないけれど、一応親との顔合わせだからきっと理人さんはスーツを着てきてくれそう。
でも、私……普段着くらいしか持ってきてないし。
理人さんのところに行った時も、普通の格好だったしな……。
こんなことになるなんて思ってなかったから、よそ行きの服なんて何も持ってこなかったな。
「じゃあ、千鶴。私の着物でも着る?」
「えっ、おばあちゃんの着物?」
「ええ。いつかあなたのものになる着物よ。今日の顔合わせくらいなら付け下げにしておきましょうか」
そう言って、おばあちゃんは嬉しそうに私を自分の部屋に連れて行った。
着物用の桐箪笥から、取り出した着物は淡いクリーム色に花柄が入っていてとても可愛い。
「素敵!!」
「ふふっ。きっと長瀬さん。千鶴を惚れ直すわよ」
「どうしてわかるの?」
「だって、統さんもこの着物とっても好きだったもの。長瀬さんもきっと同じよ」
そういえば理人さんがおじいちゃんに似てるって言ってたっけ。
気に入ってくれたら嬉しいな。
渡された肌襦袢を自分で着て、おばあちゃんの前に出るとささっと着付けをしてくれて、あっという間に着物姿の私が現れた。
「おばあちゃんって、人に着付けるのも上手なんだね」
「ええ。千秋を産んだ時に、私の着物を受け継いでくれる子ができたって嬉しくて、いつか着付けできる日が来ると思って練習したのよ。それが今役に立ったわ。それはもう千鶴の着物だからね」
「ありがとう、おばあちゃん。大切にするね」
「ええ。着てもらえて着物も喜んでるわ」
理人さんは私のこの姿を見てなんと言ってくれるだろう。
それを想像するだけでドキドキしてしまう。
ドキドキが止まらないまま、玄関チャイムが鳴る音が聞こえた。
ーお兄ちゃんの恋人さんを紹介してもらえるの楽しみにしてるね。
ーああ、今日にでも話をしとくから、日本に行けそうな日が決まったら連絡するよ。
ーうん。待ってる。今日も仕事頑張って。
ーありがとう。千鶴はもう寝るんだろ、おやすみ。
ーおやすみ。
切れた電話を見ながら、今頃電話口で同じようにお兄ちゃんも電話を見つめているかもしれないと思ったら笑ってしまった。
双子だってことをあまり気にしたこともなかったけど、今日だけは双子なんだなって納得してしまった。
でも幸せなことが重なるって嬉しいことだもんね。
そういえば、お兄ちゃんの恋人五つ下って言ってたけど、もしかして私、お義姉さんって呼ばれたりするのかな?
いや、お兄ちゃんの恋人なんだから私は義妹?
ああ、わかんなくなってきた。
まぁ、呼び方はなんでもいいか。
そんなことを考えていると、持っていたスマホが鳴り始めた。
「わっ!」
画面表示を見ると、<長瀬さん>と書かれている。
これも<理人さん>に変えないと……なんて思いながら、電話をとった。
ーもしもし、理人さん。
ーすみません。こんな時間に。
ーいえ、まだ起きてましたから。
ーあの、誰かと電話してましたか?
ーえっ?
ーああ、いえ。別に束縛するつもりではないんです。ただ電話をかけたら話し中だったので気になって……。
ふふっ。気にしてくれたんだ。
なんだかそれが嬉しく感じてしまう。
ー兄ですよ。兄から電話がかかってたんです。
ーお兄さん、そうですか……。
ーええ。理人さんとのことを報告しようと思って、帰宅してすぐに父と兄に連絡したんです。兄は時差の関係で電話じゃなくメッセージを送っておいたので、朝それを見てすぐにかけてきてくれたんですよ。
ーもう報告してくれたんですか?
ーええ。だめ、でしたか?
ーそんなことありません! 千鶴さんがすぐに話をしてくれたのが嬉しいですよ。
ーふふっ。よかったです。父も兄も喜んでくれましたよ。兄なんて、理人さんに会いに一時帰国するって話してました。
ーええっ、いいんですか?
ーそれくらい大事なことだと思ってくれているみたいです。それに……兄も、恋人を家族に紹介したいと話してました。
ーそうですか。じゃあ、その日は賑やかになりそうですね。
ー父もいつでも構わないって言ってくれたので、先に父に会ってもらえますか?
ーええ。もちろんです。早いほうがいいので、明後日の夜でも構いませんか?
ーわかりました。父に伝えておきますね。場所は今私がいる祖母の家でも大丈夫ですか?
ーええ。わかりました。それでは明後日の夜7時にお伺いしますね。
理人さんと電話を切った後、すぐにお父さんに電話を開けて、約束を取り付けた。
翌日はおばあちゃんと、理人さんがきた時の食事を考えたりしているうちに、あっという間に一日が終わってしまった。
そして、約束の日。
おばあちゃんと朝から、夕食作り。
久しぶりにお父さんに私の手料理を食べてもらいたかったし、理人さんにも美味しいと言ってもらいたくて時間をかけてたっぷりと料理を作った。
「ほら、千鶴。そろそろ着替えていらっしゃい」
「はーい。あっ、何着よう……」
正式な結納とかじゃないけれど、一応親との顔合わせだからきっと理人さんはスーツを着てきてくれそう。
でも、私……普段着くらいしか持ってきてないし。
理人さんのところに行った時も、普通の格好だったしな……。
こんなことになるなんて思ってなかったから、よそ行きの服なんて何も持ってこなかったな。
「じゃあ、千鶴。私の着物でも着る?」
「えっ、おばあちゃんの着物?」
「ええ。いつかあなたのものになる着物よ。今日の顔合わせくらいなら付け下げにしておきましょうか」
そう言って、おばあちゃんは嬉しそうに私を自分の部屋に連れて行った。
着物用の桐箪笥から、取り出した着物は淡いクリーム色に花柄が入っていてとても可愛い。
「素敵!!」
「ふふっ。きっと長瀬さん。千鶴を惚れ直すわよ」
「どうしてわかるの?」
「だって、統さんもこの着物とっても好きだったもの。長瀬さんもきっと同じよ」
そういえば理人さんがおじいちゃんに似てるって言ってたっけ。
気に入ってくれたら嬉しいな。
渡された肌襦袢を自分で着て、おばあちゃんの前に出るとささっと着付けをしてくれて、あっという間に着物姿の私が現れた。
「おばあちゃんって、人に着付けるのも上手なんだね」
「ええ。千秋を産んだ時に、私の着物を受け継いでくれる子ができたって嬉しくて、いつか着付けできる日が来ると思って練習したのよ。それが今役に立ったわ。それはもう千鶴の着物だからね」
「ありがとう、おばあちゃん。大切にするね」
「ええ。着てもらえて着物も喜んでるわ」
理人さんは私のこの姿を見てなんと言ってくれるだろう。
それを想像するだけでドキドキしてしまう。
ドキドキが止まらないまま、玄関チャイムが鳴る音が聞こえた。
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