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生まれたままの姿で※
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前話、冒頭部分が500字ほど切れていたので追加しています。
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* * *
「ふふっ。おっきぃ」
長瀬さんのシャツは私の指まで全て覆ってしまうほど袖が長い。
丈も膝近くまであって、確かにこれならシャツだけで渡されるのもわかる気がする。
これならとりあえずは下着は見え無さそうだし良かった。
それにしても長瀬さんってこんなに大きいんだ。
お兄ちゃんのワイシャツを羽織ったことがあるけど、さすがにここまで大きくはなかった気がする。
まぁ、でもそれはそうか。
お兄ちゃん、男の人にしては華奢な体型だし、身長だってそれほど大きいわけじゃないしね。
って、お兄ちゃんのことは今は置いといて。
もう長瀬さん、出てきてるかな?
待たせるのも嫌だけど、待つのはどうしていいかわからなくて困ってしまう。
とにかく、さっきのベッドのところまで戻ろう。
ドキドキしながら脱衣所の扉を開け、ベッドのあるところまで戻りかけると、長瀬さんがベッドに腰掛けているのが見えた。
ああ、良かった。
先にいてくれた。
ホッとして、
「長瀬さん……」
と声をかけると、長瀬さんはハッと顔をあげて私を見つめた。
「くっ――!!」
「どこか、おかしかったですか?」
私をみるなり、苦しげな表情を見せた長瀬さんが気になってベッドに近づき、座っている長瀬さんの顔を覗き込みながら尋ねると
「ちが――っ、千鶴さんが、あまりにも綺麗で……」
と薄暗い中でもわかるくらいに顔を赤らめていた。
その表情に嘘がないのが丸わかりで嬉しくなる。
「ふふっ。良かったです」
「――っ、千鶴さん!」
「きゃっ!」
突然腕が伸びてきたと思ったら、気づいた時には座っている長瀬さんの膝に座らされていた。
「すみません、驚かせて……でも、千鶴さんが可愛くて我慢できない」
「長瀬さん……いいんです。私も長瀬さんに触れられて嬉しい……」
長瀬さんの首に腕を回して自分から抱きつくと、私の背中に長瀬さんの腕が回った。
ピッタリと抱き合った胸に速い鼓動を感じる。
「長瀬さん、ドキドキしてる……」
「ええ。千鶴さんも……」
「あの……」
長瀬さんの顔を見ると優しい笑顔にホッとする。
「ふふっ。大丈夫です。怖い思いはさせません」
「んんっ……」
重なった唇が、私の首筋に埋められる。
チュッと小さな音がしたと同時にちくっと甘やかな痛みが走った。
「んっ」
「痛かったですか?」
「いえ、でも今の……」
「千鶴さんが、私のものだという証を付けたかったんです」
「私が、長瀬さんのもの……嬉しいっ」
長瀬さんから与えられる独占欲のようなものを目の当たりにすると、嬉しくてたまらなくなる。
本当に、私……長瀬さんを愛してるんだ。
私が抱きつくと、そのままくるりと体勢をかえられてポスっとベッドに寝かされた。
「千鶴さん……愛してます」
私を見つめる長瀬さんの目が本当に私を欲しがってくれている気がして、気づけば
「長瀬さん、きて……っ」
と誘ってしまっていた。
その後のことは、全てが夢の中のようで覚えてない。
ただ、身体の全てを長瀬さんに触れられて愛されたことははっきりと覚えてる。
もう身体のどこも長瀬さんの記憶しかない。
あの男に傷つけられた中も、あの男には届かない奥まで入り込んで愛してくれた。
私が痛みを感じないように優しく……そして、私が気持ちいい場所を何度も愛してくれた。
「千鶴さん……もう、あなたは私のものです。絶対に離しませんよ」
「ず、っと……はなさ、ないで……っ」
「――っ、千鶴さんっ!! くっ――!!」
長瀬さんの熱が私の身体の奥に伝わったのを感じて、私はそのまま意識を失った。
「んっ……」
気がつくと、私は安心する匂いに包まれていた。
「千鶴さん、目を覚ましましたか?」
「あれ、わたし……こほっ、こほっ」
「ああ、無理しないでください。水を飲みましょう」
そう言ってどこからともなくミネラルウォーターのペットボトルを取り出して、飲ませてくれるのかと思ったら長瀬さんは自分の口に含んだ。
一瞬、えっ? と思ったけれど、そのまま私の唇に重なって、私がむせないようにゆっくりと入ってくる。
それをコクコクと飲み干すと、乾き切った喉に潤いが広がった。
程よい温度が心地いい。
「もう一度飲みますか?」
「お願いします」
正直二度目は喉を潤すと言うよりも、長瀬さんからもらう水が飲みたいだけだったかもしれないけれど、長瀬さんは嬉しそうに飲ませてくれた。
「美味しい」
「ふふっ。良かったです」
「あの、それで私……」
「ああ、すみません。私が最初から激しくしてしまって……」
「いえ、そんなことは……幸せしか、なかったですよ」
「――っ、千鶴さんっ!!」
ギュッと抱きしめられて、長瀬さんの肌の温もりを直に感じて、自分が今、裸でいることに気がついた。
もちろん、長瀬さんも生まれたままの姿だ。
でもそれが心地いい。
ずっとこのままでいたいくらいに、離れていたくない。
ああ、これを幸せっていうんだな。
長瀬さんと会って、初めて知ったんだ。
もし未読の方は前に戻ってご覧いただけると嬉しいです♡
* * *
「ふふっ。おっきぃ」
長瀬さんのシャツは私の指まで全て覆ってしまうほど袖が長い。
丈も膝近くまであって、確かにこれならシャツだけで渡されるのもわかる気がする。
これならとりあえずは下着は見え無さそうだし良かった。
それにしても長瀬さんってこんなに大きいんだ。
お兄ちゃんのワイシャツを羽織ったことがあるけど、さすがにここまで大きくはなかった気がする。
まぁ、でもそれはそうか。
お兄ちゃん、男の人にしては華奢な体型だし、身長だってそれほど大きいわけじゃないしね。
って、お兄ちゃんのことは今は置いといて。
もう長瀬さん、出てきてるかな?
待たせるのも嫌だけど、待つのはどうしていいかわからなくて困ってしまう。
とにかく、さっきのベッドのところまで戻ろう。
ドキドキしながら脱衣所の扉を開け、ベッドのあるところまで戻りかけると、長瀬さんがベッドに腰掛けているのが見えた。
ああ、良かった。
先にいてくれた。
ホッとして、
「長瀬さん……」
と声をかけると、長瀬さんはハッと顔をあげて私を見つめた。
「くっ――!!」
「どこか、おかしかったですか?」
私をみるなり、苦しげな表情を見せた長瀬さんが気になってベッドに近づき、座っている長瀬さんの顔を覗き込みながら尋ねると
「ちが――っ、千鶴さんが、あまりにも綺麗で……」
と薄暗い中でもわかるくらいに顔を赤らめていた。
その表情に嘘がないのが丸わかりで嬉しくなる。
「ふふっ。良かったです」
「――っ、千鶴さん!」
「きゃっ!」
突然腕が伸びてきたと思ったら、気づいた時には座っている長瀬さんの膝に座らされていた。
「すみません、驚かせて……でも、千鶴さんが可愛くて我慢できない」
「長瀬さん……いいんです。私も長瀬さんに触れられて嬉しい……」
長瀬さんの首に腕を回して自分から抱きつくと、私の背中に長瀬さんの腕が回った。
ピッタリと抱き合った胸に速い鼓動を感じる。
「長瀬さん、ドキドキしてる……」
「ええ。千鶴さんも……」
「あの……」
長瀬さんの顔を見ると優しい笑顔にホッとする。
「ふふっ。大丈夫です。怖い思いはさせません」
「んんっ……」
重なった唇が、私の首筋に埋められる。
チュッと小さな音がしたと同時にちくっと甘やかな痛みが走った。
「んっ」
「痛かったですか?」
「いえ、でも今の……」
「千鶴さんが、私のものだという証を付けたかったんです」
「私が、長瀬さんのもの……嬉しいっ」
長瀬さんから与えられる独占欲のようなものを目の当たりにすると、嬉しくてたまらなくなる。
本当に、私……長瀬さんを愛してるんだ。
私が抱きつくと、そのままくるりと体勢をかえられてポスっとベッドに寝かされた。
「千鶴さん……愛してます」
私を見つめる長瀬さんの目が本当に私を欲しがってくれている気がして、気づけば
「長瀬さん、きて……っ」
と誘ってしまっていた。
その後のことは、全てが夢の中のようで覚えてない。
ただ、身体の全てを長瀬さんに触れられて愛されたことははっきりと覚えてる。
もう身体のどこも長瀬さんの記憶しかない。
あの男に傷つけられた中も、あの男には届かない奥まで入り込んで愛してくれた。
私が痛みを感じないように優しく……そして、私が気持ちいい場所を何度も愛してくれた。
「千鶴さん……もう、あなたは私のものです。絶対に離しませんよ」
「ず、っと……はなさ、ないで……っ」
「――っ、千鶴さんっ!! くっ――!!」
長瀬さんの熱が私の身体の奥に伝わったのを感じて、私はそのまま意識を失った。
「んっ……」
気がつくと、私は安心する匂いに包まれていた。
「千鶴さん、目を覚ましましたか?」
「あれ、わたし……こほっ、こほっ」
「ああ、無理しないでください。水を飲みましょう」
そう言ってどこからともなくミネラルウォーターのペットボトルを取り出して、飲ませてくれるのかと思ったら長瀬さんは自分の口に含んだ。
一瞬、えっ? と思ったけれど、そのまま私の唇に重なって、私がむせないようにゆっくりと入ってくる。
それをコクコクと飲み干すと、乾き切った喉に潤いが広がった。
程よい温度が心地いい。
「もう一度飲みますか?」
「お願いします」
正直二度目は喉を潤すと言うよりも、長瀬さんからもらう水が飲みたいだけだったかもしれないけれど、長瀬さんは嬉しそうに飲ませてくれた。
「美味しい」
「ふふっ。良かったです」
「あの、それで私……」
「ああ、すみません。私が最初から激しくしてしまって……」
「いえ、そんなことは……幸せしか、なかったですよ」
「――っ、千鶴さんっ!!」
ギュッと抱きしめられて、長瀬さんの肌の温もりを直に感じて、自分が今、裸でいることに気がついた。
もちろん、長瀬さんも生まれたままの姿だ。
でもそれが心地いい。
ずっとこのままでいたいくらいに、離れていたくない。
ああ、これを幸せっていうんだな。
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