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桜の伝説 7 side周平
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<side周平>
明日から、いやもう数時間後には私の家での敬介との生活が始まる。
今日はもう眠る時間などいらない。
敬介との生活に必要なものは全て整えておかないとな。
敬介のサイズは全て私の頭の中にある。
ゆくゆくは全て私が敬介のためだけに作った敬介のサイズの服のみで揃えるつもりだが、今は敬介に合う服をクローゼットに準備しておこう。
敬介の家からの帰りに会社に寄って、敬介に合うものを全て箱に詰めて自宅のクローゼットに並べた。まだまだ足りないがそれはこれからでいいだろう。
部屋にはそもそもがたくさん荷物を置くタイプでもないし、敬介に見られて困るようなものは一切持っていないからその点は問題ない。今まで誠実に生きていてその点ではよかったと思う。
それでも敬介がここで生活するとなるといろんなものが気になってバタバタと準備を整えていると、こんな夜にも関わらず荷物が届いた。
差出人は、涼平の友人である倉橋くんからだ。
さっき実家で会ったばかりだが、彼が私になにを送ってきたのだろう?
不思議に思いながら荷物を開けるとそこにはさまざまな日用品が大量に入っていた。
シャンプーにボディーソープ。トリートメントに入浴剤。クレンジングに洗顔料。化粧水と乳液。美容液に保湿クリーム。日焼け止めクリームまで入っている。そして、私の目に止まったのは<LUBE>と書かれたローションボトル。これがやたらに多い。
どれも消耗品だし困るものではないが、一体どうして送ってきたのかが気になる。
見ると荷物に紛れて手紙が入っていることに気づいた。
<改めまして、浅香とのお付き合いが決まりおめでとうございます。お祝いも兼ねて、浅香と同棲される時のことを考えて、浅香の肌質に合うトイレタリー用品をお送りします。なぜこのようなものを私がお送りしたかというと、浅香は市販のものだと肌荒れを起こし、かぶれたりするそうで入学してその事実を知ってから、私が開発したものを使ってもらっているからです。幸い、これらは浅香の肌質に合うようで安心して使っていただけます。これからも定期的にお送りしますのでご安心ください。<LUBE>につきましては、もちろん浅香自身はこれを使ったことはありません。ただこれから恋人として深い仲になるなら必ず必要になるものです。これも私が開発したもので、安全な成分しか使っていませんのでご安心ください。部屋中、手の届く位置に置かれることをお薦めします。その方がいつでも場所を問わずに楽しめますよ。周平さん、浅香と末長くお幸せに。倉橋祐悟>
倉橋くん……。これまで敬介のためにいろいろとしてくれていたのだな。本当にありがたいことだ。今度何かお礼をしなければいけないな。
倉橋くんの気遣いに感謝しながら風呂場や洗面所に送られてきたものを並べ<LUBE>は倉橋くんの指示通りに風呂場と寝室だけ少し多めにして全ての部屋に準備した。その後も何かしら気になって部屋を整えていたが、気づけば朝を迎えていた。
本当に徹夜をしてしまったことに驚いたが眠気は一切ない。それどころか敬介を迎えに行ける喜びでいっぱいだ。そうして私は急いで身支度を整え、敬介を迎えに行った。
あまり早く迎えに行っては失礼だろうと、必死に8時まで時間を潰し、意気揚々と浅香邸に向かうと、出迎えてくれたのは愛しい敬介の姿。その後ろには昨夜会った父上の姿と美しく若い女性の姿が見える。
お兄さんがいるという話だったが、お姉さんもいたのかと一瞬思ったが、それにしては父上との距離が近すぎる。きっとあの女性は母上なのだろう。敬介は母上似だな。父上やお兄さんが敬介を溺愛するのがよくわかる。
「おはようございます、周平さん」
「おはよう。よく眠れたかな?」
「はい。荷物をまとめていたらちょっとドキドキしてしまったんですけど、なんとか眠れました」
「それならよかった。あの方は母上かな?」
「あ、はい。そうです。お母さん、この人が俺の大切な人。周平さんだよ」
顔を赤く染めながら敬介が紹介してくれる。それだけで天にも昇るほど嬉しい。
「初めまして。蓮見周平と申します。どうぞよろしくお願いします」
「母の雛子でございます。敬介を見初めてくださってありがとうございます」
「いえ、私の方こそ、敬介さんに選んでいただいて光栄に思っています」
「これから敬介をよろしくお願いしますね」
「はい。一生大切にします。どうぞご安心ください」
心からの気持ちを告げると、ご両親の後ろにいたお兄さんがさっと前に出てこられて、
「敬介を泣かせたら承知しないからな。それだけは覚えておけ!」
と大声で叫んでいた。
彼の目が腫れているのに気づき、私たちのことを認めるために最後にそう言ったのだろうと思ったら心が痛んだ。
年の離れた弟を溺愛していたのに、こんなにも早く手放すんだ。悲しいのも無理はない。
「はい。絶対に泣かせないと約束します。お許しいただきありがとうございます」
頭を下げると、お兄さんはそれ以上何も言わなかった。
そうして家族に見送られ、私は敬介を連れて自宅に向かった。
明日から、いやもう数時間後には私の家での敬介との生活が始まる。
今日はもう眠る時間などいらない。
敬介との生活に必要なものは全て整えておかないとな。
敬介のサイズは全て私の頭の中にある。
ゆくゆくは全て私が敬介のためだけに作った敬介のサイズの服のみで揃えるつもりだが、今は敬介に合う服をクローゼットに準備しておこう。
敬介の家からの帰りに会社に寄って、敬介に合うものを全て箱に詰めて自宅のクローゼットに並べた。まだまだ足りないがそれはこれからでいいだろう。
部屋にはそもそもがたくさん荷物を置くタイプでもないし、敬介に見られて困るようなものは一切持っていないからその点は問題ない。今まで誠実に生きていてその点ではよかったと思う。
それでも敬介がここで生活するとなるといろんなものが気になってバタバタと準備を整えていると、こんな夜にも関わらず荷物が届いた。
差出人は、涼平の友人である倉橋くんからだ。
さっき実家で会ったばかりだが、彼が私になにを送ってきたのだろう?
不思議に思いながら荷物を開けるとそこにはさまざまな日用品が大量に入っていた。
シャンプーにボディーソープ。トリートメントに入浴剤。クレンジングに洗顔料。化粧水と乳液。美容液に保湿クリーム。日焼け止めクリームまで入っている。そして、私の目に止まったのは<LUBE>と書かれたローションボトル。これがやたらに多い。
どれも消耗品だし困るものではないが、一体どうして送ってきたのかが気になる。
見ると荷物に紛れて手紙が入っていることに気づいた。
<改めまして、浅香とのお付き合いが決まりおめでとうございます。お祝いも兼ねて、浅香と同棲される時のことを考えて、浅香の肌質に合うトイレタリー用品をお送りします。なぜこのようなものを私がお送りしたかというと、浅香は市販のものだと肌荒れを起こし、かぶれたりするそうで入学してその事実を知ってから、私が開発したものを使ってもらっているからです。幸い、これらは浅香の肌質に合うようで安心して使っていただけます。これからも定期的にお送りしますのでご安心ください。<LUBE>につきましては、もちろん浅香自身はこれを使ったことはありません。ただこれから恋人として深い仲になるなら必ず必要になるものです。これも私が開発したもので、安全な成分しか使っていませんのでご安心ください。部屋中、手の届く位置に置かれることをお薦めします。その方がいつでも場所を問わずに楽しめますよ。周平さん、浅香と末長くお幸せに。倉橋祐悟>
倉橋くん……。これまで敬介のためにいろいろとしてくれていたのだな。本当にありがたいことだ。今度何かお礼をしなければいけないな。
倉橋くんの気遣いに感謝しながら風呂場や洗面所に送られてきたものを並べ<LUBE>は倉橋くんの指示通りに風呂場と寝室だけ少し多めにして全ての部屋に準備した。その後も何かしら気になって部屋を整えていたが、気づけば朝を迎えていた。
本当に徹夜をしてしまったことに驚いたが眠気は一切ない。それどころか敬介を迎えに行ける喜びでいっぱいだ。そうして私は急いで身支度を整え、敬介を迎えに行った。
あまり早く迎えに行っては失礼だろうと、必死に8時まで時間を潰し、意気揚々と浅香邸に向かうと、出迎えてくれたのは愛しい敬介の姿。その後ろには昨夜会った父上の姿と美しく若い女性の姿が見える。
お兄さんがいるという話だったが、お姉さんもいたのかと一瞬思ったが、それにしては父上との距離が近すぎる。きっとあの女性は母上なのだろう。敬介は母上似だな。父上やお兄さんが敬介を溺愛するのがよくわかる。
「おはようございます、周平さん」
「おはよう。よく眠れたかな?」
「はい。荷物をまとめていたらちょっとドキドキしてしまったんですけど、なんとか眠れました」
「それならよかった。あの方は母上かな?」
「あ、はい。そうです。お母さん、この人が俺の大切な人。周平さんだよ」
顔を赤く染めながら敬介が紹介してくれる。それだけで天にも昇るほど嬉しい。
「初めまして。蓮見周平と申します。どうぞよろしくお願いします」
「母の雛子でございます。敬介を見初めてくださってありがとうございます」
「いえ、私の方こそ、敬介さんに選んでいただいて光栄に思っています」
「これから敬介をよろしくお願いしますね」
「はい。一生大切にします。どうぞご安心ください」
心からの気持ちを告げると、ご両親の後ろにいたお兄さんがさっと前に出てこられて、
「敬介を泣かせたら承知しないからな。それだけは覚えておけ!」
と大声で叫んでいた。
彼の目が腫れているのに気づき、私たちのことを認めるために最後にそう言ったのだろうと思ったら心が痛んだ。
年の離れた弟を溺愛していたのに、こんなにも早く手放すんだ。悲しいのも無理はない。
「はい。絶対に泣かせないと約束します。お許しいただきありがとうございます」
頭を下げると、お兄さんはそれ以上何も言わなかった。
そうして家族に見送られ、私は敬介を連れて自宅に向かった。
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