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桜の伝説 5 side敬介
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<side敬介>
周平さんに送ってもらって自宅に向かう。
この時間が永遠に続けばいいと思ったのは、もしかしたら両親に周平さんとのことを反対されるかもしれないと思ったからだ。
でも、俺の心は決まってる。もし、反対されても俺は周平さんのそばにいたい。
そのことだけはちゃんと伝えておきたい。
ドキドキしているうちに自宅に到着し、来客用の駐車場に車を止めてもらった。
運転席から颯爽と降りてきた周平さんは、助手席の扉を開けて俺をエスコートしながら降ろしてくれる。
「指先が冷たいな。緊張してる?」
「ちょっとだけ……」
「大丈夫。きっと賛成してくださるよ。私がしっかりと敬介を守るから安心して」
「はい」
大きな手で握られるとホッとする。一緒に玄関に向かうと、父だけが出てきた。
これはいつものことだ。この時間なら母はもうお風呂を済ませている頃だから。
母と俺はこの時間来客があっても出てはいけないと幼い時からずっと父に教えられている。
兄さんはいいのにどうして? と不思議に思ったこともあったけど、今ならよくわかる。
いつも蓮見や倉橋に守られている俺だ。逞しい体型の兄さんとは違いすぎる。ガタイのいい人が押し入ってきたら危ないかもしれない。それがきっと心配だったんだろう。
父と目があって必死に冷静を装ってただいまの挨拶をすると、父はすぐに隣にいる周平さんのことを聞いてきた。
蓮見と倉橋は紹介したけれど、周平さんは初めてだから気になって当然か。
でもなんて説明したらいいんだろう?
戸惑っていると周平さんの方から自己紹介をしてくれて、あっという間に俺と恋人として付き合うことになったと言ってくれた。
すごい! カッコ良すぎる!
父はそんな周平さんの勢いに押されたのか、男同士でも反対することもなく俺の気持ちだけを聞いてくれた。
だから俺は正直に父に反対されても一緒にいたいと告げると、俺の気持ちを尊重すると言ってくれた。
しかも周平さんのことを逞しい息子が増えて嬉しいとまで言ってくれて幸せしかない。
これで大満足だと思っていたのに、
「あの、つきましては敬介さんと一緒に暮らしたいと思っているのですが、お許しいただけますか?」
と周平さんが突然そんなすごいお願いを父にし始めて驚いてしまった。
流石にこんなにすぐには許してもらえるわけないと思ったのに、父はあっさりと了承してくれた。
そのあまりにも早い展開に俺の頭がついていかない。
「敬介、どうしたんだ? 周平くんと一緒に住むのは嫌なのか?」
「敬介、そうなのか?」
「えっ? そんなことないです!! あまりにも突然でびっくりしただけで嬉しいです!!」
茫然と立ち尽くしていると父と周平さんの二人から尋ねられて、慌てて気持ちを伝えた。
びっくりはしてるけど周平さんとずっと一緒にいられるのは嬉しいしかない。
「そうか、よかった。ホッとしたよ」
安心したように俺の手を握る周平さんをみて、可愛いと思ってしまった。
「それでどのあたりに住むつもりかな?」
「敬介くんが良ければ、私の住んでいるマンションに来てもらおうかと思っていますが、ゆくゆくはもっといいところを改めて購入しようと考えています。ちなみに私が今住んでいるのは……」
出会ってすぐに俺に個人情報を伝えてきたように、ここでも周平さんは住所と部屋の大きさを俺と父に教えてくれる。
どんな家かはわからないけれど、立地と大きさを考えればかなりの高級住宅だろう。そこに住んでいるのに、わざわざ新しい家を購入する必要はない。
「あの、俺は周平さんが今住んでいるところがいいです。だから新しく買う必要はないですよ」
「だが……」
「いいんです。周平さんがずっと住んでいるその家の中で周平さんを感じながら生活したいです」
「――っ、敬介っ!! わかった。じゃあうちに来てもらおう。必要なものは今日中に揃えておくから明日迎えにくるよ」
「えっ? 明日、ですか?」
「ああ。こういうのは早い方がいいんだ。善は急げというしね、それではお義父さん。私は準備がありますからこれで失礼いたします。お義母さまにもよろしくお伝えください。失礼いたします。じゃあ、また連絡するよ」
周平さんは俺をギュッと抱きしめてから玄関を出て行った。
車の音が聞こえるからもう駐車場も出て行ったんだろう。
「ははっ。すごい男だったな。敬介を早く手元に置きたいという気持ちが溢れていたな」
「はい。びっくりしました」
「でも、いい男じゃないか。しっかりしているし、何より敬介を心から思ってくれてる」
「うん。お父さん、ありがとう」
「じゃあ、雛子にも話をしようか。きっと中で気になっているはずだよ」
父に手を引かれて中に入る。ずっと父の手が一番安心すると思っていたけど、もっと安心する手があるって初めて知ったな。
* * *
あと二話くらいで終わりたいけど、どうかなぁ。
次の子が登場を待っているんでなんとか終わるように頑張ります。
周平さんに送ってもらって自宅に向かう。
この時間が永遠に続けばいいと思ったのは、もしかしたら両親に周平さんとのことを反対されるかもしれないと思ったからだ。
でも、俺の心は決まってる。もし、反対されても俺は周平さんのそばにいたい。
そのことだけはちゃんと伝えておきたい。
ドキドキしているうちに自宅に到着し、来客用の駐車場に車を止めてもらった。
運転席から颯爽と降りてきた周平さんは、助手席の扉を開けて俺をエスコートしながら降ろしてくれる。
「指先が冷たいな。緊張してる?」
「ちょっとだけ……」
「大丈夫。きっと賛成してくださるよ。私がしっかりと敬介を守るから安心して」
「はい」
大きな手で握られるとホッとする。一緒に玄関に向かうと、父だけが出てきた。
これはいつものことだ。この時間なら母はもうお風呂を済ませている頃だから。
母と俺はこの時間来客があっても出てはいけないと幼い時からずっと父に教えられている。
兄さんはいいのにどうして? と不思議に思ったこともあったけど、今ならよくわかる。
いつも蓮見や倉橋に守られている俺だ。逞しい体型の兄さんとは違いすぎる。ガタイのいい人が押し入ってきたら危ないかもしれない。それがきっと心配だったんだろう。
父と目があって必死に冷静を装ってただいまの挨拶をすると、父はすぐに隣にいる周平さんのことを聞いてきた。
蓮見と倉橋は紹介したけれど、周平さんは初めてだから気になって当然か。
でもなんて説明したらいいんだろう?
戸惑っていると周平さんの方から自己紹介をしてくれて、あっという間に俺と恋人として付き合うことになったと言ってくれた。
すごい! カッコ良すぎる!
父はそんな周平さんの勢いに押されたのか、男同士でも反対することもなく俺の気持ちだけを聞いてくれた。
だから俺は正直に父に反対されても一緒にいたいと告げると、俺の気持ちを尊重すると言ってくれた。
しかも周平さんのことを逞しい息子が増えて嬉しいとまで言ってくれて幸せしかない。
これで大満足だと思っていたのに、
「あの、つきましては敬介さんと一緒に暮らしたいと思っているのですが、お許しいただけますか?」
と周平さんが突然そんなすごいお願いを父にし始めて驚いてしまった。
流石にこんなにすぐには許してもらえるわけないと思ったのに、父はあっさりと了承してくれた。
そのあまりにも早い展開に俺の頭がついていかない。
「敬介、どうしたんだ? 周平くんと一緒に住むのは嫌なのか?」
「敬介、そうなのか?」
「えっ? そんなことないです!! あまりにも突然でびっくりしただけで嬉しいです!!」
茫然と立ち尽くしていると父と周平さんの二人から尋ねられて、慌てて気持ちを伝えた。
びっくりはしてるけど周平さんとずっと一緒にいられるのは嬉しいしかない。
「そうか、よかった。ホッとしたよ」
安心したように俺の手を握る周平さんをみて、可愛いと思ってしまった。
「それでどのあたりに住むつもりかな?」
「敬介くんが良ければ、私の住んでいるマンションに来てもらおうかと思っていますが、ゆくゆくはもっといいところを改めて購入しようと考えています。ちなみに私が今住んでいるのは……」
出会ってすぐに俺に個人情報を伝えてきたように、ここでも周平さんは住所と部屋の大きさを俺と父に教えてくれる。
どんな家かはわからないけれど、立地と大きさを考えればかなりの高級住宅だろう。そこに住んでいるのに、わざわざ新しい家を購入する必要はない。
「あの、俺は周平さんが今住んでいるところがいいです。だから新しく買う必要はないですよ」
「だが……」
「いいんです。周平さんがずっと住んでいるその家の中で周平さんを感じながら生活したいです」
「――っ、敬介っ!! わかった。じゃあうちに来てもらおう。必要なものは今日中に揃えておくから明日迎えにくるよ」
「えっ? 明日、ですか?」
「ああ。こういうのは早い方がいいんだ。善は急げというしね、それではお義父さん。私は準備がありますからこれで失礼いたします。お義母さまにもよろしくお伝えください。失礼いたします。じゃあ、また連絡するよ」
周平さんは俺をギュッと抱きしめてから玄関を出て行った。
車の音が聞こえるからもう駐車場も出て行ったんだろう。
「ははっ。すごい男だったな。敬介を早く手元に置きたいという気持ちが溢れていたな」
「はい。びっくりしました」
「でも、いい男じゃないか。しっかりしているし、何より敬介を心から思ってくれてる」
「うん。お父さん、ありがとう」
「じゃあ、雛子にも話をしようか。きっと中で気になっているはずだよ」
父に手を引かれて中に入る。ずっと父の手が一番安心すると思っていたけど、もっと安心する手があるって初めて知ったな。
* * *
あと二話くらいで終わりたいけど、どうかなぁ。
次の子が登場を待っているんでなんとか終わるように頑張ります。
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