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桜の伝説 3 side周平
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ちょっと長くなったのでタイトル数字表記に変更しました。
おそらく次回で終わるはず。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「ちょ、ちょっと待てよ。兄貴っ」
甘い匂いのする華奢な彼をすっぽりと腕の中に抱きしめていると、涼平がそれを邪魔するように声をかけてくる。せっかく思いが通じ合ったばかりだというのに気が利かないやつだ。
「なんだ、涼平。反対する気か? まさかお前も浅香くんのことを……?」
「ちがっ、そんなことあるわけないだろ!」
一瞬焦ったが、涼平の表情に嘘がないとわかりホッとする。もし、涼平が彼を好きだとしてももう手放すことなんてできない。そこは兄弟だとしても絶対に譲れないところだからな。
「じゃあ、なんだ?」
「お互いに何も知らないのに付き合うとか、そんなのでいいのかよ!」
「なんだ、そんなことか。そんなことを気にしているのはお前くらいだ。父さんと母さんを見ろよ。賛成してくれてるだろう」
「父さん! 母さんも! いいのか?」
涼平の言葉に母は笑顔を見せ、父はゆっくりと口を開いた。
「お前にも周平にも話してなかったが、私たちも周平と浅香くんのように初めて会ったその瞬間に運命を感じたんだ。紀香を見た瞬間、身体中に電流が走るような衝撃を感じたよ。絶対にこの人を手放してはいけないとわかった。周平……お前もそうだったんだろう?」
「ああ。浅香くんと目が合った瞬間、今まで感じたことのない衝撃を受けた。気がついたら浅香くんに声をかけに言っていたよ。こんなこと、私の人生で初めてだ。涼平、お前だって私がこんなふうになったのを見たことがないだろう?」
「それは、確かにそうだけど……。浅香、お前は本当にそれでいいのか? 相手は男だぞ?」
「俺もお兄さんを見て、同じように衝撃を受けたし目が離せなかった。だから、声をかけてもらえてすごく嬉しかった。それに、ずっと憧れていた鳴宮教授も志良堂教授と幸せな夫夫になっているし、相手が同性とか異性とか考えたことないよ。自分が好きだと思える人が一番だと思ってるから……」
「浅香……」
「蓮見は、お兄さんが大好きだからきっと俺なんかに取られたくないのかもしれないけど……」
「大好きって、ちょ――っ、ちがっ、そんな気色悪いこと言わないでくれ!!」
「えっ? 気色悪い?」
そんな勘違いはされたくないと言わんばかりに大声を張り上げる涼平に、キョトンとした顔を見せる浅香くんが実に可愛らしい。
「ははっ。浅香くん。涼平が私を大好きなんてそんなことないから。男兄弟なんてお互いに干渉しないものだよ」
「そうなんですか? でも……うちの兄は俺のこと、大好きだっていつも言ってくれますし、俺も兄が好きですよ」
「いや、浅香くんのところは……」
そりゃあこんな可愛い弟なら可愛がりもするだろうし、大好きだと会うたびに言うだろう。だが、お兄さんだって、涼平みたいな弟なら大して干渉もしないだろう。
「ふふっ。とにかく、涼平も二人の気持ちが本気なら反対しないんでしょう?」
母が間に入って声をかけると、
「そりゃあまぁそうだけど……でも、兄貴! 浅香を泣かせるようなことがあったら許さないからな!」
涼平はそれだけ叫び、プイッと部屋を出ていった。
「なんだ、あいつは?」
「すみません。周平さん。あいつ、入学式で浅香と会ってから、俺たちが守ってやらないといけないってなんか使命感を感じたみたいで……」
倉橋くんの言葉にようやく腑に落ちた気がした。
そうか……あいつの本能が、浅香くんを大切にしないといけないとわかっていたんだろう。
私と浅香くんを無事に出会わせるまで守ってくれていたということなんだな。
「いや、きっと倉橋くんも浅香くんを守ってくれていたんだろう。礼を言うよ。これからも大学では倉橋くんと涼平に守ってもらうことになると思うが、大学以外では私が守るから安心してくれ」
「はい。浅香に周平さんのような人ができて、俺は正直ホッとしてますよ。浅香、よかったな」
「倉橋……ありがとう」
浅香くんはほんのり涙を潤ませながら、倉橋くんに礼を言っていた。
その表情さえも誰にも見せたくないと思ってしまって、私は浅香くんを胸に抱きしめた。
「まだ食事の途中だったから、食べましょう。周平、あなたも食べていくんでしょう?」
「ああ。もらおうかな」
私が浅香くんを膝に抱きかかえたまま席につくと、涼平がダイニングに戻ってきて、
「兄貴、こっちに座れよ」
と自分が座っていた浅香くんの隣の席を譲ってくれた。どうやら私が浅香くんの恋人だと認めてくれたようだ。
隣で美味しそうに食事をする浅香くんを見つめながら、今までにない幸せな食事の時間を過ごした。
「兄貴が浅香を送っていくんだろう?」
「ああ。浅香くんの父上にも挨拶をしたいからな」
「えっ、もう挨拶するのか?」
「きちんとした挨拶はまた後日伺うつもりだが、家に送っていくなら挨拶はしておくべきだろう?」
しなくてはいけないことは先延ばしにはしない。それが私のモットーだからな。
「そうか。まぁ、頑張って。じゃあな、浅香。兄貴が送り狼になろうとしたらぶっ飛ばせよ」
「送り、狼?」
「涼平、余計なこと言うな!」
本当にあいつは碌なことを言わない。
「涼平のことは気にしないで行こうか」
「は、はい」
可愛い浅香くんを自分の車に乗せ、彼の自宅へと車を走らせる。
「あ、あの……」
「どうかした?」
「名前で呼んでほしいなって……だめ、ですか?」
「――っ!! いいのか?」
「もちろんです。恋人、なんですよね?」
「ああ。じゃあ、私のことも名前で呼んでほしい」
「はい、周平さん……」
「くっ! 最高だな。敬介……愛してるよ」
「周平さん……俺も、愛してます……」
可愛い顔に俺と言う呼び名がなんとも似合ってる。これはそのままにしておきたいな。
おそらく次回で終わるはず。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「ちょ、ちょっと待てよ。兄貴っ」
甘い匂いのする華奢な彼をすっぽりと腕の中に抱きしめていると、涼平がそれを邪魔するように声をかけてくる。せっかく思いが通じ合ったばかりだというのに気が利かないやつだ。
「なんだ、涼平。反対する気か? まさかお前も浅香くんのことを……?」
「ちがっ、そんなことあるわけないだろ!」
一瞬焦ったが、涼平の表情に嘘がないとわかりホッとする。もし、涼平が彼を好きだとしてももう手放すことなんてできない。そこは兄弟だとしても絶対に譲れないところだからな。
「じゃあ、なんだ?」
「お互いに何も知らないのに付き合うとか、そんなのでいいのかよ!」
「なんだ、そんなことか。そんなことを気にしているのはお前くらいだ。父さんと母さんを見ろよ。賛成してくれてるだろう」
「父さん! 母さんも! いいのか?」
涼平の言葉に母は笑顔を見せ、父はゆっくりと口を開いた。
「お前にも周平にも話してなかったが、私たちも周平と浅香くんのように初めて会ったその瞬間に運命を感じたんだ。紀香を見た瞬間、身体中に電流が走るような衝撃を感じたよ。絶対にこの人を手放してはいけないとわかった。周平……お前もそうだったんだろう?」
「ああ。浅香くんと目が合った瞬間、今まで感じたことのない衝撃を受けた。気がついたら浅香くんに声をかけに言っていたよ。こんなこと、私の人生で初めてだ。涼平、お前だって私がこんなふうになったのを見たことがないだろう?」
「それは、確かにそうだけど……。浅香、お前は本当にそれでいいのか? 相手は男だぞ?」
「俺もお兄さんを見て、同じように衝撃を受けたし目が離せなかった。だから、声をかけてもらえてすごく嬉しかった。それに、ずっと憧れていた鳴宮教授も志良堂教授と幸せな夫夫になっているし、相手が同性とか異性とか考えたことないよ。自分が好きだと思える人が一番だと思ってるから……」
「浅香……」
「蓮見は、お兄さんが大好きだからきっと俺なんかに取られたくないのかもしれないけど……」
「大好きって、ちょ――っ、ちがっ、そんな気色悪いこと言わないでくれ!!」
「えっ? 気色悪い?」
そんな勘違いはされたくないと言わんばかりに大声を張り上げる涼平に、キョトンとした顔を見せる浅香くんが実に可愛らしい。
「ははっ。浅香くん。涼平が私を大好きなんてそんなことないから。男兄弟なんてお互いに干渉しないものだよ」
「そうなんですか? でも……うちの兄は俺のこと、大好きだっていつも言ってくれますし、俺も兄が好きですよ」
「いや、浅香くんのところは……」
そりゃあこんな可愛い弟なら可愛がりもするだろうし、大好きだと会うたびに言うだろう。だが、お兄さんだって、涼平みたいな弟なら大して干渉もしないだろう。
「ふふっ。とにかく、涼平も二人の気持ちが本気なら反対しないんでしょう?」
母が間に入って声をかけると、
「そりゃあまぁそうだけど……でも、兄貴! 浅香を泣かせるようなことがあったら許さないからな!」
涼平はそれだけ叫び、プイッと部屋を出ていった。
「なんだ、あいつは?」
「すみません。周平さん。あいつ、入学式で浅香と会ってから、俺たちが守ってやらないといけないってなんか使命感を感じたみたいで……」
倉橋くんの言葉にようやく腑に落ちた気がした。
そうか……あいつの本能が、浅香くんを大切にしないといけないとわかっていたんだろう。
私と浅香くんを無事に出会わせるまで守ってくれていたということなんだな。
「いや、きっと倉橋くんも浅香くんを守ってくれていたんだろう。礼を言うよ。これからも大学では倉橋くんと涼平に守ってもらうことになると思うが、大学以外では私が守るから安心してくれ」
「はい。浅香に周平さんのような人ができて、俺は正直ホッとしてますよ。浅香、よかったな」
「倉橋……ありがとう」
浅香くんはほんのり涙を潤ませながら、倉橋くんに礼を言っていた。
その表情さえも誰にも見せたくないと思ってしまって、私は浅香くんを胸に抱きしめた。
「まだ食事の途中だったから、食べましょう。周平、あなたも食べていくんでしょう?」
「ああ。もらおうかな」
私が浅香くんを膝に抱きかかえたまま席につくと、涼平がダイニングに戻ってきて、
「兄貴、こっちに座れよ」
と自分が座っていた浅香くんの隣の席を譲ってくれた。どうやら私が浅香くんの恋人だと認めてくれたようだ。
隣で美味しそうに食事をする浅香くんを見つめながら、今までにない幸せな食事の時間を過ごした。
「兄貴が浅香を送っていくんだろう?」
「ああ。浅香くんの父上にも挨拶をしたいからな」
「えっ、もう挨拶するのか?」
「きちんとした挨拶はまた後日伺うつもりだが、家に送っていくなら挨拶はしておくべきだろう?」
しなくてはいけないことは先延ばしにはしない。それが私のモットーだからな。
「そうか。まぁ、頑張って。じゃあな、浅香。兄貴が送り狼になろうとしたらぶっ飛ばせよ」
「送り、狼?」
「涼平、余計なこと言うな!」
本当にあいつは碌なことを言わない。
「涼平のことは気にしないで行こうか」
「は、はい」
可愛い浅香くんを自分の車に乗せ、彼の自宅へと車を走らせる。
「あ、あの……」
「どうかした?」
「名前で呼んでほしいなって……だめ、ですか?」
「――っ!! いいのか?」
「もちろんです。恋人、なんですよね?」
「ああ。じゃあ、私のことも名前で呼んでほしい」
「はい、周平さん……」
「くっ! 最高だな。敬介……愛してるよ」
「周平さん……俺も、愛してます……」
可愛い顔に俺と言う呼び名がなんとも似合ってる。これはそのままにしておきたいな。
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