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〜可愛い空良と新しい家族〜 side寛人 <中編>
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<side寛人>
父親が開業医で母は看護師。
今は一応専業主婦だが、俺が中学に入った頃から忙しい時には父の病院を手伝うこともあった。
そんな環境で育ったから、俺も当然のように医者を志した。
父からは跡を継いでほしいなんてことは言われたことはないけれど、信念を持って人のために働いている父の姿を見ているうちに自然と俺も医者にという思いが強まってきた。
そして高校生になり、大学受験が現実味を帯びてきたある日。
元々は家族で外出の予定だったが、救急車からの受け入れ要請に父と母は外出を取りやめ病院に行っていた。
俺は一人残されて、自宅で受験勉強をしていたが、父に呼ばれて病院に向かった。
父が俺を病院に呼ぶなんて珍しい。
後学のために仕事風景を見せてほしいと言った俺に、医学生になるまではダメだと反対していたのに今日は一体なんだろう?
不思議に思いながらも、言われた通りに特別室に向かった。
するとベッドに横たわる小さな膨らみに視線を向けながら、
「この子が今日の事故で運ばれて来た子だよ」
と声をかけられた。
目を瞑ったままのその小さな存在に目をやった瞬間、なんともいえない感情が身体中を駆け巡った。
その意味がわからないままその場に立ち尽くしていると、その子が可愛らしい声をあげ、ゆっくりと瞼を開けていく。
彼の漆黒の瞳が俺を捉え、笑顔を見せてくれた瞬間、俺はなすすべなくその場に崩れ落ちた。
「寛人! どうした?」
父の驚きの声が聞こえるけれど、一番驚いているのは俺だ。
どうしてこんなふうになっているのか、自分でもわかっていないのだから。
けれど
――理央を初めて抱きしめた時、この子は俺が一生をかけて愛する存在だって予感がした。そして、初めて目があった瞬間、それが確証に変わったんだよ。
と親友が話していたことを思い出した。
そんな映画のような話があるのか? と半信半疑だったけれど、あの時はいつも感情を表さないあいつが妙に熱くなっていてその時の情景が俺の頭に深く刻み込まれていた。
父からも母と出会った時に運命を感じたと昔から聞いていたけれど、父と母の仲の良さは異次元でそんな出会いなんてそう簡単に訪れないだろうと思っていたから、夢物語のように聞いていた。
それだけに、親友の話は衝撃的だったのかもしれない。
もしかしたら、あいつの話していたことがこれか?
じゃあ、この子が俺にとって一生を賭けて愛する存在なのか?
まだこんなに小さいのに?
でも、考えてみればあいつもあのこと出会ったのはこの子よりも小さかったんだから、ないとは言い切れない。
俺は膝立ちになり、ベッドに横たわる彼に近づいた。
「だ、れ?」
彼の漆黒の瞳に不安が滲み出ている。
「俺は、寛人。君の名前を聞いてもいい?」
「ぼく……そら」
「そうか、そらくんか。よろしく」
「うん」
笑顔を見せたのがよかったのか、彼は嬉しそうに笑ったまま、また眠ってしまった。
彼が眠ったことにホッとしていると、
「寛人、こっちで少し話そう」
と父に呼びかけられ、そこで両親がいたことを思い出した。
彼のそばから離れソファーに腰を下ろすと、向かいに座った両親が俺を見つめた。
「お前の気持ちはともかく、とりあえず話を聞いてほしい」
「わかった」
俺の返事を聞いて、父は俺の前にそらの母子手帳をおき、ゆっくりと話を始めた。
彼・笹原空良が事故の被害者で、両親がすでに亡くなってこの子だけが奇跡的に助かったこと。
両親は共に親族との縁を切っていて、空良が天涯孤独になってしまったこと。
空良の幸せだけを願っていた両親の思いを汲んで、うちに引き取ろうと思っていることなどを告げられた。
「空良くんをお前の弟にして、これからは家族として過ごしていこうと思っているんだが、寛人の意見を聞きたい。お前はどう思う?」
「俺はもちろん賛成だよ。ただ、一つだけ話しておきたいことがある」
「なんだ?」
「俺は、空良が自分にとって愛する存在だと感じている。一目見てそう思ったんだ。だから、将来的には空良を俺のパートナーというか、父さんたちみたいな関係になりたいと思ってる。家族だということに変わりはないけど、そのことだけは頭に入れておいてほしい」
「さっきのお前の様子を見て、そうじゃないかと思っていた。だから、お前の気持ちはよくわかった。男同士だからとかそう言うことで反対する気は毛頭ない。だが、お前の一方的な態度だけで空良くんをお前のパートナーとして認めるわけにはいかない。今は家族としての情を深めて、将来的に空良くん自身がお前と同じ気持ちになったなら、その時は認めよう」
父の言うことはもっともだ。
まだ幼い空良をそのような対象で見るなんてこと許すわけにはいかないだろうし、俺だってそうだ。
俺に今できることは、両親を一度に失い、深く傷つくだろう空良を優しく受け止めて守り続けるだけだ。
そうして、家族会議も終わった。
しばらくして、空良が目を覚ました。
父がすぐに診察をして、異常がないことを確認したところで空良が
「パパとママは?」
と言い出した。
これから空良に辛い宣告をしないといけない。
父にとっても辛い時間だろう。
ショックを受けないようにしたくてもこればかりはどうしようもない。
母が彼の手を優しく握りながら、父が優しく声をかけた。
空良の両親が事故で亡くなってしまったことを告げると、空良は大粒の涙を流しながら身体を震わせ、
「ぼくのせいだ……」
と呟いた。
自分が誕生日だったせいで、事故に遭ってパパとママが死んでしまったんだ
そう泣き叫ぶ空良を見ているだけで辛かった。
空良にとって楽しい誕生日になるはずが、最も辛い日になってしまったんだから無理もない。
俺は空良の元に駆け寄り、
「俺たちが空良の新しい家族になるよ。みんなで幸せになろう」
と抱きしめた。
俺が空良を抱きしめた上から父と母も俺たちを抱きしめてくる。
空良は泣きながら
「パパーっ、ママーっ!」
と叫んでいたけれど、しばらくして落ち着きを取り戻した空良は泣き腫らした目で俺を見つめて、
「おにいちゃんって、呼んでいいの?」
と尋ねてきた。
お兄ちゃんも可愛いが、将来的にパートナーになることを考えると兄ではない方がいいだろうと思っていると、
「寛人のことは、『ひろくん』でいいわよ」
と突然母がそんなことを言い出した。
ひろくんは母が俺がずっと小さい頃に呼んでいた呼び名で、今では揶揄う時くらいしか言わない。
「ちょ――っ」
「ひろ、くん?」
「くっ――!!」
冗談だろうと思って止めさせようと思ったら、空良が俺を見て『ひろくん』と呼んでくれた。
それがたまらなく可愛い。
「ふふっ。寛人も喜んでいるみたいだから、『ひろくん』って呼んであげてね」
絶対に揶揄われているが、空良に呼ばれるならいいか。
その日から俺は『ひろくん』になった。
父親が開業医で母は看護師。
今は一応専業主婦だが、俺が中学に入った頃から忙しい時には父の病院を手伝うこともあった。
そんな環境で育ったから、俺も当然のように医者を志した。
父からは跡を継いでほしいなんてことは言われたことはないけれど、信念を持って人のために働いている父の姿を見ているうちに自然と俺も医者にという思いが強まってきた。
そして高校生になり、大学受験が現実味を帯びてきたある日。
元々は家族で外出の予定だったが、救急車からの受け入れ要請に父と母は外出を取りやめ病院に行っていた。
俺は一人残されて、自宅で受験勉強をしていたが、父に呼ばれて病院に向かった。
父が俺を病院に呼ぶなんて珍しい。
後学のために仕事風景を見せてほしいと言った俺に、医学生になるまではダメだと反対していたのに今日は一体なんだろう?
不思議に思いながらも、言われた通りに特別室に向かった。
するとベッドに横たわる小さな膨らみに視線を向けながら、
「この子が今日の事故で運ばれて来た子だよ」
と声をかけられた。
目を瞑ったままのその小さな存在に目をやった瞬間、なんともいえない感情が身体中を駆け巡った。
その意味がわからないままその場に立ち尽くしていると、その子が可愛らしい声をあげ、ゆっくりと瞼を開けていく。
彼の漆黒の瞳が俺を捉え、笑顔を見せてくれた瞬間、俺はなすすべなくその場に崩れ落ちた。
「寛人! どうした?」
父の驚きの声が聞こえるけれど、一番驚いているのは俺だ。
どうしてこんなふうになっているのか、自分でもわかっていないのだから。
けれど
――理央を初めて抱きしめた時、この子は俺が一生をかけて愛する存在だって予感がした。そして、初めて目があった瞬間、それが確証に変わったんだよ。
と親友が話していたことを思い出した。
そんな映画のような話があるのか? と半信半疑だったけれど、あの時はいつも感情を表さないあいつが妙に熱くなっていてその時の情景が俺の頭に深く刻み込まれていた。
父からも母と出会った時に運命を感じたと昔から聞いていたけれど、父と母の仲の良さは異次元でそんな出会いなんてそう簡単に訪れないだろうと思っていたから、夢物語のように聞いていた。
それだけに、親友の話は衝撃的だったのかもしれない。
もしかしたら、あいつの話していたことがこれか?
じゃあ、この子が俺にとって一生を賭けて愛する存在なのか?
まだこんなに小さいのに?
でも、考えてみればあいつもあのこと出会ったのはこの子よりも小さかったんだから、ないとは言い切れない。
俺は膝立ちになり、ベッドに横たわる彼に近づいた。
「だ、れ?」
彼の漆黒の瞳に不安が滲み出ている。
「俺は、寛人。君の名前を聞いてもいい?」
「ぼく……そら」
「そうか、そらくんか。よろしく」
「うん」
笑顔を見せたのがよかったのか、彼は嬉しそうに笑ったまま、また眠ってしまった。
彼が眠ったことにホッとしていると、
「寛人、こっちで少し話そう」
と父に呼びかけられ、そこで両親がいたことを思い出した。
彼のそばから離れソファーに腰を下ろすと、向かいに座った両親が俺を見つめた。
「お前の気持ちはともかく、とりあえず話を聞いてほしい」
「わかった」
俺の返事を聞いて、父は俺の前にそらの母子手帳をおき、ゆっくりと話を始めた。
彼・笹原空良が事故の被害者で、両親がすでに亡くなってこの子だけが奇跡的に助かったこと。
両親は共に親族との縁を切っていて、空良が天涯孤独になってしまったこと。
空良の幸せだけを願っていた両親の思いを汲んで、うちに引き取ろうと思っていることなどを告げられた。
「空良くんをお前の弟にして、これからは家族として過ごしていこうと思っているんだが、寛人の意見を聞きたい。お前はどう思う?」
「俺はもちろん賛成だよ。ただ、一つだけ話しておきたいことがある」
「なんだ?」
「俺は、空良が自分にとって愛する存在だと感じている。一目見てそう思ったんだ。だから、将来的には空良を俺のパートナーというか、父さんたちみたいな関係になりたいと思ってる。家族だということに変わりはないけど、そのことだけは頭に入れておいてほしい」
「さっきのお前の様子を見て、そうじゃないかと思っていた。だから、お前の気持ちはよくわかった。男同士だからとかそう言うことで反対する気は毛頭ない。だが、お前の一方的な態度だけで空良くんをお前のパートナーとして認めるわけにはいかない。今は家族としての情を深めて、将来的に空良くん自身がお前と同じ気持ちになったなら、その時は認めよう」
父の言うことはもっともだ。
まだ幼い空良をそのような対象で見るなんてこと許すわけにはいかないだろうし、俺だってそうだ。
俺に今できることは、両親を一度に失い、深く傷つくだろう空良を優しく受け止めて守り続けるだけだ。
そうして、家族会議も終わった。
しばらくして、空良が目を覚ました。
父がすぐに診察をして、異常がないことを確認したところで空良が
「パパとママは?」
と言い出した。
これから空良に辛い宣告をしないといけない。
父にとっても辛い時間だろう。
ショックを受けないようにしたくてもこればかりはどうしようもない。
母が彼の手を優しく握りながら、父が優しく声をかけた。
空良の両親が事故で亡くなってしまったことを告げると、空良は大粒の涙を流しながら身体を震わせ、
「ぼくのせいだ……」
と呟いた。
自分が誕生日だったせいで、事故に遭ってパパとママが死んでしまったんだ
そう泣き叫ぶ空良を見ているだけで辛かった。
空良にとって楽しい誕生日になるはずが、最も辛い日になってしまったんだから無理もない。
俺は空良の元に駆け寄り、
「俺たちが空良の新しい家族になるよ。みんなで幸せになろう」
と抱きしめた。
俺が空良を抱きしめた上から父と母も俺たちを抱きしめてくる。
空良は泣きながら
「パパーっ、ママーっ!」
と叫んでいたけれど、しばらくして落ち着きを取り戻した空良は泣き腫らした目で俺を見つめて、
「おにいちゃんって、呼んでいいの?」
と尋ねてきた。
お兄ちゃんも可愛いが、将来的にパートナーになることを考えると兄ではない方がいいだろうと思っていると、
「寛人のことは、『ひろくん』でいいわよ」
と突然母がそんなことを言い出した。
ひろくんは母が俺がずっと小さい頃に呼んでいた呼び名で、今では揶揄う時くらいしか言わない。
「ちょ――っ」
「ひろ、くん?」
「くっ――!!」
冗談だろうと思って止めさせようと思ったら、空良が俺を見て『ひろくん』と呼んでくれた。
それがたまらなく可愛い。
「ふふっ。寛人も喜んでいるみたいだから、『ひろくん』って呼んであげてね」
絶対に揶揄われているが、空良に呼ばれるならいいか。
その日から俺は『ひろくん』になった。
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