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番外編
花嫁衣装
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お披露目の様子を書いてみようかと思い立ったのですが、その前段階で終わってしまいました。
とりあえず今回はここまで。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideヴィクトル>
「ヴィック。僕が、これを着るのですか?」
「ああ、そうだ。美しいレオにぴったりだろう?」
真っ白な最高級のシルクをふんだんに使い、我が国の優秀な職人の手作業で仕上げられた刺繍で彩られた美しいドレス。
柔らかく軽い着心地になるように作られているから、私とのダンスも軽く踊れるだろう。
「でも、あまりにも美しすぎて僕に着こなせるかどうか……」
「ははっ。そんな心配は杞憂だ。この衣装をレオ以外に着こなせる者など世界中どこを探してもみつかりはしないのだから」
「あの、でも……この衣装は、いつ作られたのですか? どう考えも一日やそこらで完成するようなものでは無いような気がするのですが……」
「さすがレオだな。その通り、これは完成まで半年もの年月を要した世界に唯一の衣装だ」
「半年……じゃあ、これは僕のためじゃなく、他の方の……?」
ああ、なるほど。
それを懸念してしたのか。
実に可愛らしい。
「レオ。其方の心配は杞憂だと言っただろう? このドレスは正真正銘、レオのためだけに作らせたものだ」
「本当?」
「ああ。私が父の後を継ぎこのアールベルデ王国の国王となったときに、我が国の慣習に倣って将来の王妃のために花嫁衣装を誂えたのだ。花嫁が決まった時にすぐに披露できるようにというのが理由なのだが、私は最初は乗り気ではなかった。私は今までレオ以外に心を動かされる相手などいなかったし、そのような相手と一生出会うこともないと思っていたのでな。だが、それを使う、使わないにかかわらず国王となったものは必ず花嫁衣装を用意しておかなければならないというのが、この国の決まりだ。私の気持ちだけでその慣習を止めるわけにもいかない。だから、職人たちを呼び、花嫁衣装作りに着手したのだが、始まると思った以上に楽しくなったんだ」
「えっ……どうして……?」
「きっとその時から、私の本能がレオの存在を理解していたのだろうな。気づけば、こんなにも美しいドレスが出来上がっていた。私の本能が作り上げたレオのためだけの衣装だ。その証に、レオの身体にピッタリとおさまるはずだ」
「確かに……そう、かも……」
レオはこの国の女性よりもはるかに華奢な身体つきをしている。
この衣装が完成した時には、あまりにも小さくて、この衣装を着られるものはおそらくこの国にはいないだろうとさえ思ったものだ。
それでも私自身が作ったものだからと大切に保管していたのだ。
やはり私たちの出会いが神の力によって成り立っているだけあって、全てがレオのためにできている。
「さぁ、私が着替えを手伝おう。私が作ったドレスを纏うレオを見せてくれ」
寝室に戻り、レオの衣服を全て脱がせ、ドレス用の下着を身に付けさせる。
「ふふっ。本当に麗しいな」
「やぁ――っ、恥ずかしい……」
「大丈夫、私しか見ていないだろう?」
私との甘い日々を過ごし続けてきたおかげで、私に見られるだけで胸の赤い実をぷっくりと膨らませるようになった。
ああ、もう本当に可愛すぎる。
「ヴィック……っ」
潤んだ瞳で見上げられるとこのままベッドに押し倒したくなってしまうが、もうお披露目までそんなに時間がない。
チュッと軽く口づけを交わし離れながら、
「今夜、正式に私の夫となったレオをたっぷりと味わわせてくれ。それまで我慢だ」
そういうと、レオは頬を染めながらも小さく頷いた。
これ以上レオの美しい裸を見ていると、我慢もできなくなる。
花嫁衣装を手に取り、レオに着させる。
「レオ、鏡を見ているのだぞ」
美しいレースが幾重にも施されたドレスに袖を通し、背中につけられた十数個の釦を止める。
「ほら、レオにぴったりだろう?」
まるでサイズを測ったかのようにピッタリなその衣装は、レオの華奢さを最大限に見せつけていた。
レオを見れば、女性たちがため息を漏らすだろうな。
それほどまでに、レオは手足の長さも身体の細さも全てにおいて完璧とも言える体型なのだ。
「あとは化粧と髪型だな。フレディに声をかけてくるから、ここに座って待っているのだぞ」
寝室からレオを出し、ドレスのまま椅子に座らせる。
ああ、その姿も実に美しいな。
「フレディ、レオが着替えたから後の準備を頼む」
「承知いたしました」
フレディはすぐにレオの髪と化粧を施す美容師を連れてやってきた。
「お待たせいたしました――っ!! なんと、美しいっ!!」
レオの姿を一目見て、フレディは目を輝かせ、連れ立って入ってきた美容師はレオのあまりの美しさに声をあげることもなくその場に倒れ込んでしまった。
「えっ、ヴィック……っ」
「ああ、心配はいらない。レオがあまりにも美しすぎて驚いたのだよ」
不安げな表情を見せたレオを安心させながら、
「フレディ、何をしている。早くさせないか!」
と声をかけると、ハッと我に返ったフレディは床に倒れ込んだままの美容師に声をかけ、レオの前に立たせた。
「今日はよろしくお願いします」
「ひゃいっ、こ、こちらこそ、よろしくお願い致しましゅ」
レオの気さくな挨拶に美容師は声を震わせていたが、いざ始まるとやる気が出たのか、手早く仕上げていく。
あっという間にレオは髪型を整えられ、化粧を施されていた。
「ヴィック、僕……綺麗ですか?」
「ああ、いつもの顔も麗しいが、化粧をしているレオもドレスとよくあっていて美しいぞ」
「ふふっ。嬉しいです」
ああ、もうこのまま誰にも見せずに自分だけのものにしたい。
そんなことを考えてしまうが、レオを私のものだと見せつける場でもあるのだ。
ほんの少しの辛抱だ。
「じゃあ、レオ。行こうか」
私はレオを抱きかかえて、招待客たちが待つ王宮の大広間へ向かった。
とりあえず今回はここまで。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideヴィクトル>
「ヴィック。僕が、これを着るのですか?」
「ああ、そうだ。美しいレオにぴったりだろう?」
真っ白な最高級のシルクをふんだんに使い、我が国の優秀な職人の手作業で仕上げられた刺繍で彩られた美しいドレス。
柔らかく軽い着心地になるように作られているから、私とのダンスも軽く踊れるだろう。
「でも、あまりにも美しすぎて僕に着こなせるかどうか……」
「ははっ。そんな心配は杞憂だ。この衣装をレオ以外に着こなせる者など世界中どこを探してもみつかりはしないのだから」
「あの、でも……この衣装は、いつ作られたのですか? どう考えも一日やそこらで完成するようなものでは無いような気がするのですが……」
「さすがレオだな。その通り、これは完成まで半年もの年月を要した世界に唯一の衣装だ」
「半年……じゃあ、これは僕のためじゃなく、他の方の……?」
ああ、なるほど。
それを懸念してしたのか。
実に可愛らしい。
「レオ。其方の心配は杞憂だと言っただろう? このドレスは正真正銘、レオのためだけに作らせたものだ」
「本当?」
「ああ。私が父の後を継ぎこのアールベルデ王国の国王となったときに、我が国の慣習に倣って将来の王妃のために花嫁衣装を誂えたのだ。花嫁が決まった時にすぐに披露できるようにというのが理由なのだが、私は最初は乗り気ではなかった。私は今までレオ以外に心を動かされる相手などいなかったし、そのような相手と一生出会うこともないと思っていたのでな。だが、それを使う、使わないにかかわらず国王となったものは必ず花嫁衣装を用意しておかなければならないというのが、この国の決まりだ。私の気持ちだけでその慣習を止めるわけにもいかない。だから、職人たちを呼び、花嫁衣装作りに着手したのだが、始まると思った以上に楽しくなったんだ」
「えっ……どうして……?」
「きっとその時から、私の本能がレオの存在を理解していたのだろうな。気づけば、こんなにも美しいドレスが出来上がっていた。私の本能が作り上げたレオのためだけの衣装だ。その証に、レオの身体にピッタリとおさまるはずだ」
「確かに……そう、かも……」
レオはこの国の女性よりもはるかに華奢な身体つきをしている。
この衣装が完成した時には、あまりにも小さくて、この衣装を着られるものはおそらくこの国にはいないだろうとさえ思ったものだ。
それでも私自身が作ったものだからと大切に保管していたのだ。
やはり私たちの出会いが神の力によって成り立っているだけあって、全てがレオのためにできている。
「さぁ、私が着替えを手伝おう。私が作ったドレスを纏うレオを見せてくれ」
寝室に戻り、レオの衣服を全て脱がせ、ドレス用の下着を身に付けさせる。
「ふふっ。本当に麗しいな」
「やぁ――っ、恥ずかしい……」
「大丈夫、私しか見ていないだろう?」
私との甘い日々を過ごし続けてきたおかげで、私に見られるだけで胸の赤い実をぷっくりと膨らませるようになった。
ああ、もう本当に可愛すぎる。
「ヴィック……っ」
潤んだ瞳で見上げられるとこのままベッドに押し倒したくなってしまうが、もうお披露目までそんなに時間がない。
チュッと軽く口づけを交わし離れながら、
「今夜、正式に私の夫となったレオをたっぷりと味わわせてくれ。それまで我慢だ」
そういうと、レオは頬を染めながらも小さく頷いた。
これ以上レオの美しい裸を見ていると、我慢もできなくなる。
花嫁衣装を手に取り、レオに着させる。
「レオ、鏡を見ているのだぞ」
美しいレースが幾重にも施されたドレスに袖を通し、背中につけられた十数個の釦を止める。
「ほら、レオにぴったりだろう?」
まるでサイズを測ったかのようにピッタリなその衣装は、レオの華奢さを最大限に見せつけていた。
レオを見れば、女性たちがため息を漏らすだろうな。
それほどまでに、レオは手足の長さも身体の細さも全てにおいて完璧とも言える体型なのだ。
「あとは化粧と髪型だな。フレディに声をかけてくるから、ここに座って待っているのだぞ」
寝室からレオを出し、ドレスのまま椅子に座らせる。
ああ、その姿も実に美しいな。
「フレディ、レオが着替えたから後の準備を頼む」
「承知いたしました」
フレディはすぐにレオの髪と化粧を施す美容師を連れてやってきた。
「お待たせいたしました――っ!! なんと、美しいっ!!」
レオの姿を一目見て、フレディは目を輝かせ、連れ立って入ってきた美容師はレオのあまりの美しさに声をあげることもなくその場に倒れ込んでしまった。
「えっ、ヴィック……っ」
「ああ、心配はいらない。レオがあまりにも美しすぎて驚いたのだよ」
不安げな表情を見せたレオを安心させながら、
「フレディ、何をしている。早くさせないか!」
と声をかけると、ハッと我に返ったフレディは床に倒れ込んだままの美容師に声をかけ、レオの前に立たせた。
「今日はよろしくお願いします」
「ひゃいっ、こ、こちらこそ、よろしくお願い致しましゅ」
レオの気さくな挨拶に美容師は声を震わせていたが、いざ始まるとやる気が出たのか、手早く仕上げていく。
あっという間にレオは髪型を整えられ、化粧を施されていた。
「ヴィック、僕……綺麗ですか?」
「ああ、いつもの顔も麗しいが、化粧をしているレオもドレスとよくあっていて美しいぞ」
「ふふっ。嬉しいです」
ああ、もうこのまま誰にも見せずに自分だけのものにしたい。
そんなことを考えてしまうが、レオを私のものだと見せつける場でもあるのだ。
ほんの少しの辛抱だ。
「じゃあ、レオ。行こうか」
私はレオを抱きかかえて、招待客たちが待つ王宮の大広間へ向かった。
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