24 / 26
番外編
可愛い姿に癒される
しおりを挟む
玄関チャイムが鳴り、
「あ、パパかな?」
と嬉しそうな声をあげ、今にも飛んで行きたそうにしている理央くんに、
「違う人かもしれないから僕が先に見てくるね」
と声をかけ、玄関に向かった。
扉を開けるとまず飛び込んできたのは、観月先生と理央くんのお父さんの顔。観月先生によく似ている。普段以上に優しい表情をしているのは、きっと部屋の中に理央くんがいるとわかっているからだろう。
「秀吾くん、今日は突然悪かったね」
確かに突然で驚きはしたけれど、緑川教授のお父さんに会えるのなら嬉しいしかない。
そんな緑川先生は僕を見て目を丸くしていた。
「大きくなったな。あまりにも大人になっていてびっくりしたよ。いや、本当に綺麗になったな」
緑川先生の中ではまだ僕は高校生のままで止まっていたのかもしれない。まじまじと見つめられて綺麗だなんて言われたら照れてしまう。
そんな状況の中で部屋の奥から、
「パパーっ」
と可愛らしい声をあげて、玄関にやってきたのは理央くん。どうやら部屋に入ってくるまで我慢できなかったみたいだ。
観月先生のお父さんに嬉しそうに抱きついてきたのを満面の笑みで抱きしめて、
「理央、出迎えてくれてありがとう」
とお礼を言うと、理央くんは嬉しそうに笑っていた。
そのまま抱きかかえようとしたので大丈夫なのかな? と心配していると、
「父さん、それ以上はダメですよ」
と観月先生の威圧たっぷりな低い声が聞こえてきた。やっぱりなと思いつつも、理央くんと出会う前の先生がよく話していたような低い声を久しぶりに聞いて身体が震えてしまう。その声に観月先生のお父さんですら怖がっているんだから僕が怖くなるのも当然だ。
理央くんはそんな威圧など気にする様子もなく、おいでと観月先生に呼ばれて嬉しそうに戻って行った。観月先生は理央くんが無事に自分の手元に戻ると一気にさっきまでの威圧を霧散させた。ああ、やっぱり理央くんに関することで観月先生を敵に回しては絶対にダメだな。そう思いながらも、先生のそんな姿が見られて嬉しいと思っている僕がいる。
「凌也、少しくらい理央との対面を味わわせてくれてもいいだろう」
「だから抱きしめるまでは許しただろう? それ以上は流石に父さんでもダメだ」
「本当にお前は狭量だな」
今までの観月先生ならこうして人前で自分の気持ちをぶつけたり言い争いなんてしなかった。
観月先生はお父さんから、倉橋先生と緑川先生に挨拶をするように促され、少し照れた様子で挨拶をした。きっと子どもみたいなところを見せてしまって恥ずかしかったのかもしれない。この辺りもすごく人間らしくなって僕としては微笑ましく思える。
観月先生は、理央くんの紹介をした上で、理央くん自身にも挨拶させた。
大学に行き始めてだいぶ人と話すことに慣れてきたとはいえ、緊張するかと思ったけれど、緑川先生が緑川教授のお父さんだと知って嬉しかったみたいだ。
だって、最近教授には会えてないもんね。
理央くんは、緑川先生の口から教授の家にいる中学生の男の子のことを聞かされて、興味津々みたい。
「わぁー!! お友達!! 会いたいです!!」
無邪気に笑顔を見せる理央くんを見て、緑川先生だけでなく、観月先生のお父さんも倉橋先生も嬉しそうに笑っていた。
部屋に案内する途中で、倉橋先生からイリゼホテルのケーキをお土産に渡される。ちょうどおやつにしようと思っていたからちょうどいい。
お母さんが緑川先生たちとお話ししている間にキッチンに行き、コーヒーの支度をして配りにいくと、
「ああ、お構いなく。ちょっと込み入った話がしたいんだ」
と声をかけられた。
まぁそうだろうな。そうでもなければうちにこんなにも集まるわけがない。きっと理央くんには聞かせたくない話も出てくるに違いない。そんな気がして、僕は自分の部屋に理央くんを誘った。お母さんも一緒に行こうと誘ったのは、後でお父さんも来ると聞こえていたからだ。
あとはお父さんに任せておけばいい。そう思って、僕はケーキと飲み物を持って理央くんとお母さんと自分の部屋に向かった。
「秀吾さん、絢斗先生のお父さんはなんの先生なんですか?」
「ああ、理央くんのパパと同じお医者さんなんだよ」
「えー、お医者さんなんですね。そうなんだ。すごいなぁ。じゃあ、絢斗先生のお家は、学校の先生と弁護士さんとお医者さんで先生ばっかりですね。その中学生の子は将来何になってもいい先生がそばにいていいですね」
「ははっ。そうだね」
確かに勉強する環境としては最高だろうな。
「理央くん、どのケーキがいい?」
「わぁー、美味しそうなのがいっぱい!! 秀吾さんのママは何がいいですか?」
「ふふっ。理央くんが好きなの選んでいいわよ」
「えーっ、悩んじゃうな」
理央くんがケーキを選ぶ姿は本当に可愛くていつ見ても癒される。
観月先生はこの姿をいつも見られて幸せだろうな。
「あ、パパかな?」
と嬉しそうな声をあげ、今にも飛んで行きたそうにしている理央くんに、
「違う人かもしれないから僕が先に見てくるね」
と声をかけ、玄関に向かった。
扉を開けるとまず飛び込んできたのは、観月先生と理央くんのお父さんの顔。観月先生によく似ている。普段以上に優しい表情をしているのは、きっと部屋の中に理央くんがいるとわかっているからだろう。
「秀吾くん、今日は突然悪かったね」
確かに突然で驚きはしたけれど、緑川教授のお父さんに会えるのなら嬉しいしかない。
そんな緑川先生は僕を見て目を丸くしていた。
「大きくなったな。あまりにも大人になっていてびっくりしたよ。いや、本当に綺麗になったな」
緑川先生の中ではまだ僕は高校生のままで止まっていたのかもしれない。まじまじと見つめられて綺麗だなんて言われたら照れてしまう。
そんな状況の中で部屋の奥から、
「パパーっ」
と可愛らしい声をあげて、玄関にやってきたのは理央くん。どうやら部屋に入ってくるまで我慢できなかったみたいだ。
観月先生のお父さんに嬉しそうに抱きついてきたのを満面の笑みで抱きしめて、
「理央、出迎えてくれてありがとう」
とお礼を言うと、理央くんは嬉しそうに笑っていた。
そのまま抱きかかえようとしたので大丈夫なのかな? と心配していると、
「父さん、それ以上はダメですよ」
と観月先生の威圧たっぷりな低い声が聞こえてきた。やっぱりなと思いつつも、理央くんと出会う前の先生がよく話していたような低い声を久しぶりに聞いて身体が震えてしまう。その声に観月先生のお父さんですら怖がっているんだから僕が怖くなるのも当然だ。
理央くんはそんな威圧など気にする様子もなく、おいでと観月先生に呼ばれて嬉しそうに戻って行った。観月先生は理央くんが無事に自分の手元に戻ると一気にさっきまでの威圧を霧散させた。ああ、やっぱり理央くんに関することで観月先生を敵に回しては絶対にダメだな。そう思いながらも、先生のそんな姿が見られて嬉しいと思っている僕がいる。
「凌也、少しくらい理央との対面を味わわせてくれてもいいだろう」
「だから抱きしめるまでは許しただろう? それ以上は流石に父さんでもダメだ」
「本当にお前は狭量だな」
今までの観月先生ならこうして人前で自分の気持ちをぶつけたり言い争いなんてしなかった。
観月先生はお父さんから、倉橋先生と緑川先生に挨拶をするように促され、少し照れた様子で挨拶をした。きっと子どもみたいなところを見せてしまって恥ずかしかったのかもしれない。この辺りもすごく人間らしくなって僕としては微笑ましく思える。
観月先生は、理央くんの紹介をした上で、理央くん自身にも挨拶させた。
大学に行き始めてだいぶ人と話すことに慣れてきたとはいえ、緊張するかと思ったけれど、緑川先生が緑川教授のお父さんだと知って嬉しかったみたいだ。
だって、最近教授には会えてないもんね。
理央くんは、緑川先生の口から教授の家にいる中学生の男の子のことを聞かされて、興味津々みたい。
「わぁー!! お友達!! 会いたいです!!」
無邪気に笑顔を見せる理央くんを見て、緑川先生だけでなく、観月先生のお父さんも倉橋先生も嬉しそうに笑っていた。
部屋に案内する途中で、倉橋先生からイリゼホテルのケーキをお土産に渡される。ちょうどおやつにしようと思っていたからちょうどいい。
お母さんが緑川先生たちとお話ししている間にキッチンに行き、コーヒーの支度をして配りにいくと、
「ああ、お構いなく。ちょっと込み入った話がしたいんだ」
と声をかけられた。
まぁそうだろうな。そうでもなければうちにこんなにも集まるわけがない。きっと理央くんには聞かせたくない話も出てくるに違いない。そんな気がして、僕は自分の部屋に理央くんを誘った。お母さんも一緒に行こうと誘ったのは、後でお父さんも来ると聞こえていたからだ。
あとはお父さんに任せておけばいい。そう思って、僕はケーキと飲み物を持って理央くんとお母さんと自分の部屋に向かった。
「秀吾さん、絢斗先生のお父さんはなんの先生なんですか?」
「ああ、理央くんのパパと同じお医者さんなんだよ」
「えー、お医者さんなんですね。そうなんだ。すごいなぁ。じゃあ、絢斗先生のお家は、学校の先生と弁護士さんとお医者さんで先生ばっかりですね。その中学生の子は将来何になってもいい先生がそばにいていいですね」
「ははっ。そうだね」
確かに勉強する環境としては最高だろうな。
「理央くん、どのケーキがいい?」
「わぁー、美味しそうなのがいっぱい!! 秀吾さんのママは何がいいですか?」
「ふふっ。理央くんが好きなの選んでいいわよ」
「えーっ、悩んじゃうな」
理央くんがケーキを選ぶ姿は本当に可愛くていつ見ても癒される。
観月先生はこの姿をいつも見られて幸せだろうな。
574
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる