20 / 38
番外編
サプライズの行方 <中編>
しおりを挟む
案の定楽しすぎて長くなったので前中後編にわけます。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「空良くん! みてみてー、ほら。うさぎだよ!」
「わぁー、可愛いっ! 僕のもみて! ほら、鳥さんだよ」
「ああー、可愛いっ!!」
理央くんも空良くんも型でくり抜くたびに嬉しそうな声をあげる。
その姿をお母さんは目を細めてみている。
「あなたにもあんな頃があったわね。ほら、初めて将臣くんにクッキーを焼いた時……」
「うん、覚えてる。懐かしいね」
何もないただの生地が可愛い形になって出来上がるのが嬉しかったんだ。
「あっ、この型……」
「覚えてる? あなたがヴァイオリンが好きだからって、将臣くんが買ってくれたのよね」
「そうそう。懐かしい~」
楽器シリーズの型はみんなでドイツに旅行に行った時、たまたま街の雑貨屋さんで見つけて気になってたら、将臣が買ってくれたんだ。
ヴァイオリンに、ホルン、ピアノにトランペット、トロンボーンなんて形も揃ってる。
それでクッキー焼いて行ったらしばらくの間、飾ってくれてたんだよね。
あれからしばらくクッキーといえば、あの型を使ってたっけ。
いろんな型でくり抜いたクッキーが天板に並んでいるけど、まだ生地は残ってる。
あっ、そうだ!
「ねぇ、理央くん。空良くん。この余った生地で可愛いのができるよ」
「えー、なになに? どうするんですか?」
手で擦ってしまったのか、打ち粉用の小麦粉をほっぺたにつけている理央くんと、同じくおでこに粉をつけちゃってる空良くん。
やっぱりこの二人は双子みたいで可愛い。
「いい? このプレーンの生地を大きな丸型でくり抜いて、その真ん中をこのハートの型でくり抜くんだよ。そして、こっちのピンクの生地を同じハートの型でくり抜いて、プレーンの生地の空いたところに嵌め込むの」
「わぁー、二色のクッキーになった! 可愛い!」
「これだけじゃないんだよ」
「なんだろう?」
不思議そうな顔をしている二人に見えるように作っていく。
「ハートの上の窪みに重なるように小さな星形の型でくり抜いて、抹茶生地を同じ星形の型でくり抜いて嵌め込んだら……」
「あっ! 苺みたい!!」
「せいかーいっ!! ピンクの生地にこうやって、白胡麻を飾ったら、ほら、もっと苺っぽく見えるでしょ?」
「秀吾さんっ、すごい! すごい! 魔法使いみたい!!」
「こんな感じでいろんな形でここにないものも作れるんだよ」
「わぁー! 僕も作ってみる!!」
「僕も! 僕も!」
理央くんと空良くんは二人して苺の形クッキーを作り始めた。
「あっ、上手!」
思っていた以上にくり抜くのがうまくて驚いてしまう。
「みてー、秀吾さん! こんなのできました!」
「あっ! 可愛いっ!!」
みると桜の花びらにくり抜かれたピンク生地の真ん中に小さな丸がくり抜かれ、そこに抹茶生地が嵌め込まれていて本物の花びらみたいに見える。
いろんなアイディアを出し合って、生地も全て使い切り、あとは焼くだけになった。
「たくさんできたわね。焼き上がったら味見がてらお茶しましょう」
「わぁー!」
「焼きたてを食べられるのが手作りのいいところだもんね」
大きなオーブンで一気に焼き上げていく。
もちろん、オーブンには理央くんも空良くんも一切近づかせない。
万が一にも火傷しちゃったら大変だもんね。
「わぁー、いい匂いがしてきましたー!!」
焼いて数分経つと、香ばしい匂いが漂ってくる。
二人とも待ちきれない様子で少し離れたところからオーブンの中身を見つめている。
「ふふっ。待ちきれない様子が可愛いわね」
「これもビデオに撮れてるの?」
「もちろんよ。あなたが理央くんと空良くんに苺の形の作り方を教えていたところも入ってるわ」
「えー、恥ずかしいな」
「ちゃーんと、そこは将臣くんにプレゼントしておくから」
「もうっ!」
恥ずかしいけど、多分将臣ならみたいっていうはず。
それくらい、愛されている自信はある。
ピーッピーッ。
焼き上がった音が聞こえて、理央くんも空良くんも目を輝かせている。
本当に可愛い。
「熱いから触っちゃダメだよ」
しっかりと言い聞かせて、焼き上がったクッキーを天板ごと外に出す。
そしてクッキーを取り出して、網の上で冷ましていく。
「こっちが理央くんが作ったもの。そして、こっちが空良くんのだよ。冷めたら箱に詰めていこうね」
「わぁー! 美味しそう!!」
「本当、いい匂いするー!!」
そろそろ冷めた頃かな。
「じゃあ、プレゼントする以外のから、味見用に何枚かお皿に乗せようか」
「はーい!」
元気よくそう言っていたけれど、選ぶのは難しいみたい。
だってどれも頑張って作っていたもんね。
かなり悩んでいたけれど、二人はそれぞれ三枚の味見用のクッキーをお皿に取った。
「じゃあ、あっちでお茶しましょうか」
いつの間にかお母さんがテラスにお茶の準備を整えてくれていた。
そこはお母さんの大好きな花たちで囲まれている。
「わぁー、コンサバトリーみたい!」
「あら、理央くん。コンサバトリーを知ってるの?」
「はい。ロレーヌさんと弓弦くんのお家にありました」
「素敵でしょうね、ロレーヌ邸のコンサバトリーなんて……」
確かにあそこはものすごく素敵だった。
あの日々は忘れようと思ってもきっと一生忘れられない。
観月先生は、フランス移住に向けて準備していると仰ってた。
もう少し整ったら、理央くんにも告げるんだろう。
僕と将臣も誘われているけど、将臣はどうするんだろう。
僕は将臣のいるところならどこだってついていくんだけどな。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「空良くん! みてみてー、ほら。うさぎだよ!」
「わぁー、可愛いっ! 僕のもみて! ほら、鳥さんだよ」
「ああー、可愛いっ!!」
理央くんも空良くんも型でくり抜くたびに嬉しそうな声をあげる。
その姿をお母さんは目を細めてみている。
「あなたにもあんな頃があったわね。ほら、初めて将臣くんにクッキーを焼いた時……」
「うん、覚えてる。懐かしいね」
何もないただの生地が可愛い形になって出来上がるのが嬉しかったんだ。
「あっ、この型……」
「覚えてる? あなたがヴァイオリンが好きだからって、将臣くんが買ってくれたのよね」
「そうそう。懐かしい~」
楽器シリーズの型はみんなでドイツに旅行に行った時、たまたま街の雑貨屋さんで見つけて気になってたら、将臣が買ってくれたんだ。
ヴァイオリンに、ホルン、ピアノにトランペット、トロンボーンなんて形も揃ってる。
それでクッキー焼いて行ったらしばらくの間、飾ってくれてたんだよね。
あれからしばらくクッキーといえば、あの型を使ってたっけ。
いろんな型でくり抜いたクッキーが天板に並んでいるけど、まだ生地は残ってる。
あっ、そうだ!
「ねぇ、理央くん。空良くん。この余った生地で可愛いのができるよ」
「えー、なになに? どうするんですか?」
手で擦ってしまったのか、打ち粉用の小麦粉をほっぺたにつけている理央くんと、同じくおでこに粉をつけちゃってる空良くん。
やっぱりこの二人は双子みたいで可愛い。
「いい? このプレーンの生地を大きな丸型でくり抜いて、その真ん中をこのハートの型でくり抜くんだよ。そして、こっちのピンクの生地を同じハートの型でくり抜いて、プレーンの生地の空いたところに嵌め込むの」
「わぁー、二色のクッキーになった! 可愛い!」
「これだけじゃないんだよ」
「なんだろう?」
不思議そうな顔をしている二人に見えるように作っていく。
「ハートの上の窪みに重なるように小さな星形の型でくり抜いて、抹茶生地を同じ星形の型でくり抜いて嵌め込んだら……」
「あっ! 苺みたい!!」
「せいかーいっ!! ピンクの生地にこうやって、白胡麻を飾ったら、ほら、もっと苺っぽく見えるでしょ?」
「秀吾さんっ、すごい! すごい! 魔法使いみたい!!」
「こんな感じでいろんな形でここにないものも作れるんだよ」
「わぁー! 僕も作ってみる!!」
「僕も! 僕も!」
理央くんと空良くんは二人して苺の形クッキーを作り始めた。
「あっ、上手!」
思っていた以上にくり抜くのがうまくて驚いてしまう。
「みてー、秀吾さん! こんなのできました!」
「あっ! 可愛いっ!!」
みると桜の花びらにくり抜かれたピンク生地の真ん中に小さな丸がくり抜かれ、そこに抹茶生地が嵌め込まれていて本物の花びらみたいに見える。
いろんなアイディアを出し合って、生地も全て使い切り、あとは焼くだけになった。
「たくさんできたわね。焼き上がったら味見がてらお茶しましょう」
「わぁー!」
「焼きたてを食べられるのが手作りのいいところだもんね」
大きなオーブンで一気に焼き上げていく。
もちろん、オーブンには理央くんも空良くんも一切近づかせない。
万が一にも火傷しちゃったら大変だもんね。
「わぁー、いい匂いがしてきましたー!!」
焼いて数分経つと、香ばしい匂いが漂ってくる。
二人とも待ちきれない様子で少し離れたところからオーブンの中身を見つめている。
「ふふっ。待ちきれない様子が可愛いわね」
「これもビデオに撮れてるの?」
「もちろんよ。あなたが理央くんと空良くんに苺の形の作り方を教えていたところも入ってるわ」
「えー、恥ずかしいな」
「ちゃーんと、そこは将臣くんにプレゼントしておくから」
「もうっ!」
恥ずかしいけど、多分将臣ならみたいっていうはず。
それくらい、愛されている自信はある。
ピーッピーッ。
焼き上がった音が聞こえて、理央くんも空良くんも目を輝かせている。
本当に可愛い。
「熱いから触っちゃダメだよ」
しっかりと言い聞かせて、焼き上がったクッキーを天板ごと外に出す。
そしてクッキーを取り出して、網の上で冷ましていく。
「こっちが理央くんが作ったもの。そして、こっちが空良くんのだよ。冷めたら箱に詰めていこうね」
「わぁー! 美味しそう!!」
「本当、いい匂いするー!!」
そろそろ冷めた頃かな。
「じゃあ、プレゼントする以外のから、味見用に何枚かお皿に乗せようか」
「はーい!」
元気よくそう言っていたけれど、選ぶのは難しいみたい。
だってどれも頑張って作っていたもんね。
かなり悩んでいたけれど、二人はそれぞれ三枚の味見用のクッキーをお皿に取った。
「じゃあ、あっちでお茶しましょうか」
いつの間にかお母さんがテラスにお茶の準備を整えてくれていた。
そこはお母さんの大好きな花たちで囲まれている。
「わぁー、コンサバトリーみたい!」
「あら、理央くん。コンサバトリーを知ってるの?」
「はい。ロレーヌさんと弓弦くんのお家にありました」
「素敵でしょうね、ロレーヌ邸のコンサバトリーなんて……」
確かにあそこはものすごく素敵だった。
あの日々は忘れようと思ってもきっと一生忘れられない。
観月先生は、フランス移住に向けて準備していると仰ってた。
もう少し整ったら、理央くんにも告げるんだろう。
僕と将臣も誘われているけど、将臣はどうするんだろう。
僕は将臣のいるところならどこだってついていくんだけどな。
269
あなたにおすすめの小説
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
溺愛系とまではいかないけど…過保護系カレシと言った方が 良いじゃねぇ? って親友に言われる僕のカレシさん
315 サイコ
BL
潔癖症で対人恐怖症の汐織は、一目惚れした1つ上の三波 道也に告白する。
が、案の定…
対人恐怖症と潔癖症が、災いして号泣した汐織を心配して手を貸そうとした三波の手を叩いてしまう。
そんな事が、あったのにも関わらず仮の恋人から本当の恋人までなるのだが…
三波もまた、汐織の対応をどうしたらいいのか、戸惑っていた。
そこに汐織の幼馴染みで、隣に住んでいる汐織の姉と付き合っていると言う戸室 久貴が、汐織の頭をポンポンしている場面に遭遇してしまう…
表紙のイラストは、Days AIさんで作らせていただきました。
お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら
夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。
テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。
Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。
執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)
ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果
SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。
そこで雪政がひらめいたのは
「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」
アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈
ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ!
※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる