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番外編
出発当日 <後編>
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「あっ、観月さん! 悠木さんも」
将臣の声に入り口を見ると、4人が一緒に入ってきているのが見えた。
「お前たち、一緒に来たのか?」
「いや、ちょうどさっきそこで会ったんだ」
「そうか。理央くん、空良くん。出国手続きは観月たちに任せて、こっちで座ってるといい。お菓子もあるぞ」
綾城さんがそう優しく声をかけると、
「理央くん、空良くん! 早くおいで」
と佳都くんも同じように声をかける。
その声に理央くんたちは一瞬遠慮しそうになっていたけれど、観月さんと悠木さんにこっちは任せて行っておいでとでも言われたのか、嬉しそうに僕たちの元に駆け寄ってきた。
「ふふっ。二人とも嬉しそうだね。よく眠れた?」
「えっ? あ、はい。よく、眠れました……」
「はい、僕も……」
そう話す二人の真っ赤な顔に、きっと昨夜も十分愛されたんだろうということはすぐにわかった。
朝とびっきり早い出発便じゃなくて本当によかった。
まぁ、観月さんも悠木さんもそのことを理解した上で愛しているんだとは思うけど。
「二人ともジュースでいいか? それともカフェオレにする?」
「あっ、えと……」
「綾城、理央はジュースにしてくれ」
「空良もな」
「オッケー」
綾城さんからの質問に戸惑っている二人に代わってすぐに旦那さまたちからのサポートが飛んでくる。
何をしてても、いつでも観月さんと悠木さんのアンテナは理央くんたちに向いてるんだな。
そう思うと微笑ましく思える。
「理央くん、空良くん。このクッキー美味しいよ。食べてみて」
さっき出してもらったMielのクッキーを差し出すと、二人の目が輝いていた。
小さな指がどのクッキーを選ぼうか悩んでいるのも可愛い。
「ねぇ、空良くん。どれにする?」
「いっぱい種類があって悩んじゃうな」
「わかる! どれも美味しそうだもんね」
ふふっ。本当にこの二人は双子みたい。
みているだけで癒されるな。
二人が1枚目のクッキーを口に運び、美味しい、美味しいと嬉しそうに言っている間に目の前にジュースが運ばれた。
「わぁ、美味しそう!」
搾りたてっぽいオレンジジュースの爽やかな香りに誘われるように二人はジュースに口をつけた。
「美味しいっ!!」
「本当! この間、佳都さんちで飲んだのとよく似てるね」
「うん。おんなじ味がする」
「じゃあ、それはロレーヌが用意してくれたものだな。さっきのクッキーもだし、ロレーヌさすがだな」
そうか。やっぱりな。
本当にここまでもてなしてもらえてフランスに行くなんて……こんな贅沢いいんだろうか。
「理央、お待たせ」
「凌也さん、このジュースもクッキーもすっごく美味しいです」
「そうか、よかったな」
観月さんはさっと理央くんのそばによると当然のように抱き上げて膝に乗せる。
見れば、隣で悠木さんも同じように空良くんを膝に乗せて楽しそうに話をしている。
「おい、観月も悠木も。すぐにそっちに行かないで、こっちで話をしよう。お前らの可愛い伴侶にゆっくりおやつを食べさせておけ」
綾城さんにそう言われて、
「ああ、わかったよ。理央、あんまり食べすぎるなよ」
と髪にチュッとキスをして観月さんはすぐに綾城さんと将臣のいる席に座った。
同じように悠木さんも名残惜しそうに空良くんを膝から下ろし、席を移動していた。
「ふふっ。観月さんも悠木さんもほんの少しの時間も離れていたくないんだね」
「えっ、あの……僕が飛行機初めてだから心配してくれて……それで……」
佳都くんの言葉に理央くんは少し頬を赤らめて話していたけど、気にする必要なんてない。
「いいんだよ、これから結婚式挙げに行くカップルなんだから、ラブラブじゃない方がおかしいんだから。この旅行は誰にも気兼ねせずラブラブしていいんだよ」
そう言うと、理央くんもそして空良くんも嬉しそうに笑っていた。
「そういえば、プレゼント交換の贈り物用意した?」
「はい。すっごく悩みましたけど多分似合うのが見つけられたと思います」
「僕も……初めて贈り物選んだから心配で寛人さんと一緒に選びに行きました!」
「ふふっ。そっか。デートもできてよかったね」
そう返すと、空良くんは嬉しそうに笑っていた。
「ねぇ、秀吾さんはどんなのを選んだの?」
「ふふっ。秘密。でも気に入ってくれたらいいな」
「わー、楽しみ」
本当に僕も楽しみだ。
だって、可愛い友達たちとプレゼント交換だなんて僕だって生まれて初めてだもん。
それにあのミシェル・ロレーヌと一緒にこの休暇を過ごせるなんて……。
楽しみで飛行機の中で眠れるか心配だな。
「さぁ、そろそろ機内に入ろうか」
綾城さんの一言で、僕たちはすぐに立ち上がった。
すると、すぐにそれぞれの旦那さまたちがスッと隣にやってくる。
僕の隣にはもちろん、将臣。
「楽しそうだったな」
「うん、でも将臣も楽しそうだったよ」
「ああ、観月さんにはよく会うけど、綾城さんや悠木さんは滅多に会わないからゆっくり話もできたし、フランスでの日程の確認もできてよかったよ」
「そっか。じゃあ、バッチリだね。頼りにしてるよ」
「ああ、俺に任せとけ」
自信満々に胸を叩く将臣を見て、ああやっぱり将臣が好きだなと再確認した。
さぁ、これから楽しい空の旅。
楽しむぞ!!
* * *
この後それぞれの飛行機での様子のお話の後、
『天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます』と
『大富豪ロレーヌ総帥の初恋』のお話を再開します。
フランスのクリスマス~結婚式編どうぞお楽しみに♡
将臣の声に入り口を見ると、4人が一緒に入ってきているのが見えた。
「お前たち、一緒に来たのか?」
「いや、ちょうどさっきそこで会ったんだ」
「そうか。理央くん、空良くん。出国手続きは観月たちに任せて、こっちで座ってるといい。お菓子もあるぞ」
綾城さんがそう優しく声をかけると、
「理央くん、空良くん! 早くおいで」
と佳都くんも同じように声をかける。
その声に理央くんたちは一瞬遠慮しそうになっていたけれど、観月さんと悠木さんにこっちは任せて行っておいでとでも言われたのか、嬉しそうに僕たちの元に駆け寄ってきた。
「ふふっ。二人とも嬉しそうだね。よく眠れた?」
「えっ? あ、はい。よく、眠れました……」
「はい、僕も……」
そう話す二人の真っ赤な顔に、きっと昨夜も十分愛されたんだろうということはすぐにわかった。
朝とびっきり早い出発便じゃなくて本当によかった。
まぁ、観月さんも悠木さんもそのことを理解した上で愛しているんだとは思うけど。
「二人ともジュースでいいか? それともカフェオレにする?」
「あっ、えと……」
「綾城、理央はジュースにしてくれ」
「空良もな」
「オッケー」
綾城さんからの質問に戸惑っている二人に代わってすぐに旦那さまたちからのサポートが飛んでくる。
何をしてても、いつでも観月さんと悠木さんのアンテナは理央くんたちに向いてるんだな。
そう思うと微笑ましく思える。
「理央くん、空良くん。このクッキー美味しいよ。食べてみて」
さっき出してもらったMielのクッキーを差し出すと、二人の目が輝いていた。
小さな指がどのクッキーを選ぼうか悩んでいるのも可愛い。
「ねぇ、空良くん。どれにする?」
「いっぱい種類があって悩んじゃうな」
「わかる! どれも美味しそうだもんね」
ふふっ。本当にこの二人は双子みたい。
みているだけで癒されるな。
二人が1枚目のクッキーを口に運び、美味しい、美味しいと嬉しそうに言っている間に目の前にジュースが運ばれた。
「わぁ、美味しそう!」
搾りたてっぽいオレンジジュースの爽やかな香りに誘われるように二人はジュースに口をつけた。
「美味しいっ!!」
「本当! この間、佳都さんちで飲んだのとよく似てるね」
「うん。おんなじ味がする」
「じゃあ、それはロレーヌが用意してくれたものだな。さっきのクッキーもだし、ロレーヌさすがだな」
そうか。やっぱりな。
本当にここまでもてなしてもらえてフランスに行くなんて……こんな贅沢いいんだろうか。
「理央、お待たせ」
「凌也さん、このジュースもクッキーもすっごく美味しいです」
「そうか、よかったな」
観月さんはさっと理央くんのそばによると当然のように抱き上げて膝に乗せる。
見れば、隣で悠木さんも同じように空良くんを膝に乗せて楽しそうに話をしている。
「おい、観月も悠木も。すぐにそっちに行かないで、こっちで話をしよう。お前らの可愛い伴侶にゆっくりおやつを食べさせておけ」
綾城さんにそう言われて、
「ああ、わかったよ。理央、あんまり食べすぎるなよ」
と髪にチュッとキスをして観月さんはすぐに綾城さんと将臣のいる席に座った。
同じように悠木さんも名残惜しそうに空良くんを膝から下ろし、席を移動していた。
「ふふっ。観月さんも悠木さんもほんの少しの時間も離れていたくないんだね」
「えっ、あの……僕が飛行機初めてだから心配してくれて……それで……」
佳都くんの言葉に理央くんは少し頬を赤らめて話していたけど、気にする必要なんてない。
「いいんだよ、これから結婚式挙げに行くカップルなんだから、ラブラブじゃない方がおかしいんだから。この旅行は誰にも気兼ねせずラブラブしていいんだよ」
そう言うと、理央くんもそして空良くんも嬉しそうに笑っていた。
「そういえば、プレゼント交換の贈り物用意した?」
「はい。すっごく悩みましたけど多分似合うのが見つけられたと思います」
「僕も……初めて贈り物選んだから心配で寛人さんと一緒に選びに行きました!」
「ふふっ。そっか。デートもできてよかったね」
そう返すと、空良くんは嬉しそうに笑っていた。
「ねぇ、秀吾さんはどんなのを選んだの?」
「ふふっ。秘密。でも気に入ってくれたらいいな」
「わー、楽しみ」
本当に僕も楽しみだ。
だって、可愛い友達たちとプレゼント交換だなんて僕だって生まれて初めてだもん。
それにあのミシェル・ロレーヌと一緒にこの休暇を過ごせるなんて……。
楽しみで飛行機の中で眠れるか心配だな。
「さぁ、そろそろ機内に入ろうか」
綾城さんの一言で、僕たちはすぐに立ち上がった。
すると、すぐにそれぞれの旦那さまたちがスッと隣にやってくる。
僕の隣にはもちろん、将臣。
「楽しそうだったな」
「うん、でも将臣も楽しそうだったよ」
「ああ、観月さんにはよく会うけど、綾城さんや悠木さんは滅多に会わないからゆっくり話もできたし、フランスでの日程の確認もできてよかったよ」
「そっか。じゃあ、バッチリだね。頼りにしてるよ」
「ああ、俺に任せとけ」
自信満々に胸を叩く将臣を見て、ああやっぱり将臣が好きだなと再確認した。
さぁ、これから楽しい空の旅。
楽しむぞ!!
* * *
この後それぞれの飛行機での様子のお話の後、
『天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます』と
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フランスのクリスマス~結婚式編どうぞお楽しみに♡
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