4 / 26
いつかその日が来るまで……
しおりを挟む
「なぁ、秀吾。今日の観月さんの話、どう思った?」
「どう思ったって?」
「恋愛を諦めてるって話」
「ああ、うん。勿体無いなと思うけど……観月さんの言ってたことちょっとわかる気がする」
「そうなのか?」
「うん。ほら、観月さん言ってたじゃない? 将臣が警察官僚の息子じゃなかったら付き合ってなかったのかって」
「ああ、言ってたな」
「小学校のときはあまりよくわからなかったけど、中学とか高校の時なんかはお父さんが警察官僚でしかも結構上の役職にいるってどこからかわかってさ、いいなぁって羨ましがられたこともあったじゃない? でも、僕にとってはどこにでもいる普通のお父さんなのにって不思議だったんだ。僕は官僚の息子でも将臣みたいにイケメンじゃないからそこまで是みよがしに寄ってくる人なんていなかったけど、将臣はちょくちょく告白されてたでしょ?」
「えっ……知ってたのか?」
ふふっ。将臣の驚く顔って珍しいな。
「うん。でも即行断ってくれてたって知ってるから何も言わなかったんだ」
「そう、なのか……」
「でも、観月さんの場合はきっと僕たちが想像するよりもっと大変だったんだろうなって思う。お父さんが開業医だとか、お金持ってるとか、かっこいいとか、そういう自分の努力とは関係ないところで好意を持たれるって気持ち的に辛いのかもって。もっと内面を見てほしいって思っても不思議はないかも」
「そうだな……。こう考えてみたら、俺たちは本当に幸運だったんだな。何も知らないうちからお互いの中身だけを知って好きになったんだからな」
「ちっちゃい時は自分がどんな人の息子かなんてわかんないもんね。ただ、気づいたらいつもそばにいてくれて安心する存在になってた。僕はそれが恋だってことに全然気づいてなかったけど、将臣はもっと前から思ってくれてたんだもんね?」
「ふふっ。そうだな。秀吾を好きだとわかったのは、初めて会った日らしいよ」
「えっ? 初めて会った日って……それは冗談でしょ?」
「冗談なんかじゃないさ。秀吾の1歳の誕生日で初めて会った時に、俺はお前の唇を奪ってるんだからな」
「うそ……っ!」
突然の告白に驚きしかない。
「本当だって。今度お義父さんかお義母さんに聞いてみたらいい。あの一瞬で俺はお前に一目惚れしたんだ。そこから今までよそ見なんかしたことないよ」
「将臣……」
「もし、俺たちが幼馴染じゃなくても、俺はきっと秀吾を探し出してた。それは自信もって言えるよ」
将臣がそういうとそんな気がしてくる。
今の僕に将臣がいないと生きていけないように、きっと幼馴染じゃなかった僕にだって、将臣が必要なんだから。
「秀吾……俺、自分の幸運に感謝してこれからもっと秀吾を大切に愛し続けるよ」
「ふふっ。うん、僕も……一生将臣から離れない」
僕の言葉に将臣が嬉しそうに微笑む。
そして、軽々と僕を抱き上げるとそのまま寝室へと連れて行かれた。
「将臣……ご飯は食べないの?」
「ごめん、今は秀吾が先に欲しいんだ。いい?」
「ふふっ。いっぱい食べてよ。でも……優しくしてね」
「――っ! 秀吾……っ!」
荒々しく重ねられるキス。
そして、そのまま激しく口内を貪られる。
将臣との初めてのキスは重ねるだけの優しいキスだった。
将臣の熱と柔らかな感触がじんわりと伝わってきてすごくドキドキした。
その後、初めて身体を重ねた時もまるで宝物に触れるように優しくしてくれた。
身体に舌が這わされて、チクチクと小さな痛みが与えられるのがなんとも心地よくて嬉しかった。
それが将臣が身体につけてくれた愛の証だと教えてもらった時は天にも昇るような心地だった。
それから3年。
僕も将臣も身体を合わせることに慣れてはきたけれど、決してあの時のドキドキがなくなったわけじゃない。
将臣が興奮している時は荒々しく激しいキス。
寝起きや出かける前のキスは昔のように優しく甘いキス。
そのどちらも僕にはドキドキするし、大切で失いたくない。
将臣が全身で僕を愛してると訴えながら、僕の最奥にまで挿入りこんでくる。
それがわかるから僕は幸せなんだ。
いつか観月さんにもそんなふうに思える相手が見つかったら……僕は思いっきり応援しよう。
感情を乱すことのない観月さんが本当の愛に出会えて、人間的になるその日が来るまで……。
「どう思ったって?」
「恋愛を諦めてるって話」
「ああ、うん。勿体無いなと思うけど……観月さんの言ってたことちょっとわかる気がする」
「そうなのか?」
「うん。ほら、観月さん言ってたじゃない? 将臣が警察官僚の息子じゃなかったら付き合ってなかったのかって」
「ああ、言ってたな」
「小学校のときはあまりよくわからなかったけど、中学とか高校の時なんかはお父さんが警察官僚でしかも結構上の役職にいるってどこからかわかってさ、いいなぁって羨ましがられたこともあったじゃない? でも、僕にとってはどこにでもいる普通のお父さんなのにって不思議だったんだ。僕は官僚の息子でも将臣みたいにイケメンじゃないからそこまで是みよがしに寄ってくる人なんていなかったけど、将臣はちょくちょく告白されてたでしょ?」
「えっ……知ってたのか?」
ふふっ。将臣の驚く顔って珍しいな。
「うん。でも即行断ってくれてたって知ってるから何も言わなかったんだ」
「そう、なのか……」
「でも、観月さんの場合はきっと僕たちが想像するよりもっと大変だったんだろうなって思う。お父さんが開業医だとか、お金持ってるとか、かっこいいとか、そういう自分の努力とは関係ないところで好意を持たれるって気持ち的に辛いのかもって。もっと内面を見てほしいって思っても不思議はないかも」
「そうだな……。こう考えてみたら、俺たちは本当に幸運だったんだな。何も知らないうちからお互いの中身だけを知って好きになったんだからな」
「ちっちゃい時は自分がどんな人の息子かなんてわかんないもんね。ただ、気づいたらいつもそばにいてくれて安心する存在になってた。僕はそれが恋だってことに全然気づいてなかったけど、将臣はもっと前から思ってくれてたんだもんね?」
「ふふっ。そうだな。秀吾を好きだとわかったのは、初めて会った日らしいよ」
「えっ? 初めて会った日って……それは冗談でしょ?」
「冗談なんかじゃないさ。秀吾の1歳の誕生日で初めて会った時に、俺はお前の唇を奪ってるんだからな」
「うそ……っ!」
突然の告白に驚きしかない。
「本当だって。今度お義父さんかお義母さんに聞いてみたらいい。あの一瞬で俺はお前に一目惚れしたんだ。そこから今までよそ見なんかしたことないよ」
「将臣……」
「もし、俺たちが幼馴染じゃなくても、俺はきっと秀吾を探し出してた。それは自信もって言えるよ」
将臣がそういうとそんな気がしてくる。
今の僕に将臣がいないと生きていけないように、きっと幼馴染じゃなかった僕にだって、将臣が必要なんだから。
「秀吾……俺、自分の幸運に感謝してこれからもっと秀吾を大切に愛し続けるよ」
「ふふっ。うん、僕も……一生将臣から離れない」
僕の言葉に将臣が嬉しそうに微笑む。
そして、軽々と僕を抱き上げるとそのまま寝室へと連れて行かれた。
「将臣……ご飯は食べないの?」
「ごめん、今は秀吾が先に欲しいんだ。いい?」
「ふふっ。いっぱい食べてよ。でも……優しくしてね」
「――っ! 秀吾……っ!」
荒々しく重ねられるキス。
そして、そのまま激しく口内を貪られる。
将臣との初めてのキスは重ねるだけの優しいキスだった。
将臣の熱と柔らかな感触がじんわりと伝わってきてすごくドキドキした。
その後、初めて身体を重ねた時もまるで宝物に触れるように優しくしてくれた。
身体に舌が這わされて、チクチクと小さな痛みが与えられるのがなんとも心地よくて嬉しかった。
それが将臣が身体につけてくれた愛の証だと教えてもらった時は天にも昇るような心地だった。
それから3年。
僕も将臣も身体を合わせることに慣れてはきたけれど、決してあの時のドキドキがなくなったわけじゃない。
将臣が興奮している時は荒々しく激しいキス。
寝起きや出かける前のキスは昔のように優しく甘いキス。
そのどちらも僕にはドキドキするし、大切で失いたくない。
将臣が全身で僕を愛してると訴えながら、僕の最奥にまで挿入りこんでくる。
それがわかるから僕は幸せなんだ。
いつか観月さんにもそんなふうに思える相手が見つかったら……僕は思いっきり応援しよう。
感情を乱すことのない観月さんが本当の愛に出会えて、人間的になるその日が来るまで……。
144
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる