ラブラブな僕たちが見守るイケメンアンドロイドの恋

波木真帆

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将臣が大好き

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ーあ、ごめん。将臣。忙しかった?

ーいや、ちょっとスマホから離れた場所にいてさ。急いで戻ってきただけ。それで、どうした? 今日はお義母さんとスイーツ食べに行ったんじゃなかったか?

ーああ、うん。さっき帰ってきたんだ。お母さんのおすすめだけあってすっごく美味しかったから今度は将臣も一緒に行こう。

ーそうだな。秀吾が食べさせてくれるなら食べられそうだ。

ーふふっ。いいよ、すっごく甘いけど僕があ~んして食べさせてあげる。

甘いものは少ししか食べられない将臣だけど、僕のスイーツ巡りにはいつもついてきてくれるんだ。
そのお礼も兼ねて、いつも一度だけあ~んして食べさせることがルールだ。
周りに見られるから恥ずかしいけど、将臣がすっごく喜んでくれるからまぁいいかなって。

ーああ、楽しみにしてるよ。それで、何かあったのか?

ーああ、そうそう。大事な話があって……。

ー大事な話?

ーうん。実はね、僕……あの観月さんが今度設立する弁護士事務所で助手として働かないかって話をもらったんだ。

ーえっ? 観月さんって……あの、観月さんだよな?

ーうん。びっくりでしょ?

ーああ。かなりびっくりだけど……それって、もしかして秀吾を狙ってるとかはないよな?

ーえっ? 何言ってんの。そんなことあるわけないじゃない! あの観月さんだよ!

ーいや、わからないだろ。秀吾は誰よりも可愛いんだから。それってどう言う経緯で秀吾に話が来たんだ?

そう言われて、僕はさっきお父さんから話を聞いた通りのことを将臣に伝えた。

ーだから心配しなくて大丈夫だよ。

ーそうか……なら、安心だが……その顔合わせの時、俺も一緒に行ったらダメか?

ーえっ? それはどうかな……。

ーだけど、秀吾一人では行かせたくないよ。俺もちゃんと話を聞いておきたいし。

この歳になって、面接についてきてもらうなんて子どもみたいで恥ずかしいと思ったけれど、珍しく食い下がってくる将臣を説得することもできなくて僕は結局

ーうん、わかった。じゃあ、お父さんにそう話しておく。

と伝えておいた。
明らかにホッとしたような声で将臣は

ーあと2時間くらいで迎えにいくから、一人で帰るなよ。

というと、いつものように

ー秀吾、愛してるよ。

と言って電話は切れた。


僕は急いでお父さんのところに行き、将臣が面接に着いて行きたいと話していると伝えた。

「ははっ。やっぱりな。周防くんならそう言うと思ったよ」

呆れられるかと思いきや、お父さんは豪快に笑いながら、

「大丈夫、さっき久嗣に伝えた時に周防くんも一緒に連れていくことを話しておいたから」

「えっ? そうなんですか?」

「ああ。お前が憧れている凌也くんとの顔合わせに、周防くんがお前を一人で行かせるわけないとわかっていたからな。私以外の保護者を連れていくと言ってある」

「保護者って、お父さん……」

「ははっ。だってそうだろう?」

そんなこと言われたらぐうの音も出ないけど……。
なんだか何もかもお見通しって感じで恥ずかしい。

「私はお前たちをずっと見てきたんだ。周防くんが小さな頃からお前を大切にしてくれているのもよくわかっている。まぁ少し過保護すぎるとは思うけどな。だが、父親としてはお前がそんなにも大切にされていることに嫌な気は全くしていないよ」

「お父さん……」

「周防くんが凌也くんと直接会って話をしておくことは、お前が安心して働くためにも良いことだと思うぞ」

「はい。わかりました」

僕の言葉にお父さんは大きな手で僕の頭を優しく撫でながらにっこりと笑顔を見せてくれた。
両親といい、将臣といい、僕は優しい人に守られてるな……。


しばらくして、将臣が実家まで迎えにきてくれた。

「秀吾、帰ろうか」

「うん」

「なんだお前たち、夕食食べていかないのか?」

「すみません、お義父さん。今日は離れていた分、早く家に帰りたくて……」

「ははっ。相変わらずだな、周防くんは。そんなに毎日毎日一緒にいてよく飽きないな」

「そんなお義父さんっ! 秀吾と一緒にいて飽きることなんて一生あり得ないですよ。毎日毎日可愛らしさを更新してくるんで困ってるくらいで」

「ちょ――っ、将臣!」

「はははっ。ああ、わかった。早く帰りなさい」

将臣とお父さんの会話を聞いているだけで恥ずかしくなってしまう。
僕はその場から逃げるように実家を後にした。

「もうっ! 将臣ったら。お父さんにあんまり変なこと言わないで。恥ずかしいよ」

運転している将臣の隣で真っ赤な顔をしながら文句を言っていると、

「変なことじゃないよ。俺はいつもそう思ってる。俺が秀吾に飽きるなんてあると思うか?」

「それは……ない、けど……」

「ふふっ。だろう?」

「か、可愛いとか……恥ずかしい」

「だって、可愛いんだから仕方ないだろう? 俺は本当に幼馴染でよかったよ。小さい頃からの秀吾の成長がずっとこの目で見られたんだからな」

将臣の目がすごく優しい。
その優しい目を僕だけが知っているんだ。
そんな優越感が僕をもっと幸せにしてくれる。

僕の方こそ、将臣のそばにいられて本当に嬉しいんだ。
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