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会わせてあげたい!
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唯人は絶対に慎一と伊月が来るのを知っていたはず!
そんな感想をいただいて確かに絶対そうだよねと思ったので、唯人sideのお話を書いてみました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side唯人>
よかった、尚孝さん……無事に甲斐先輩たちに会えたようだな。
スマホアプリに入れていた尚孝さんのGPSを確認するとさっき案内した部屋とは違う離れにいるのがわかる。
結婚式の二日前に会長から招待客を二名追加したことと、料理はすでに追加済みという連絡を受け、しかもこの二人については一切何も聞かずに他言無用で頼むと言われ、何か会長の企みがあるのだとすぐにピンときた。
私としては、会長の結婚式だし招待客が当初の予定から多少増えても手配さえできれば特に問題はない、
しかもそれが一花さんを喜ばせることになるのなら、私は裏方としてしっかりと見守るだけだ。
私が口出しをしないとわかっている会長から念のためにと伝えられた招待客の名前に見覚えがあった。
<甲斐慎一>
桜城大学の卒業生で獣医師と弁護士のダブルライセンスをとった人だとすぐに思い出した。
風の便りで今はブリーダーをしていると聞いていたことを思い出し、すぐに櫻葉邸で飼われ始めたミニチュアダックスフンドと繋がった。
なるほど。その関係で結婚式に招待したのだろう。
どんな考えがあるのかいろいろ想像はするが、それは私も当日の楽しみにしておくとしよう。
それはさておき、会長自ら招待したのだし、同じ桜城大学のOBだから信頼のおける相手だと分かってはいたものの、いつもの習慣で彼らについて調べたところ、驚くべき事実が発覚した。
実は、尚孝さんが桜守大学時代に理学療法士となるためのリハビリ実習で受け持った患者が、甲斐先輩の恋人である伊月さんだったのだ。その時に仲良くなり、今でも頻繁ではないがメッセージを送り合う仲らしい。
現に尚孝さんが事故を起こした時も伊月さんから心配する連絡が来ていたようだ。
そんな二人が久しぶりに会う機会があるのなら会わせてやりたい。
けれど、甲斐先輩たちが招待されていることは誰にも内緒だ。
尚孝さんは隠し事ができるタイプではない。
それがわかっているから伊月さんも尚孝さんに連絡はしなかったのだろう。
それなら偶然を装って、二人が会えるようにしてやった方がいい。
そう思いついた私はすぐに甲斐先輩に連絡を取った。
メッセージでおおまかな内容を記載し、できれば電話で話したいと送ると、それからすぐに甲斐先輩から連絡が来た。
ーはい。志摩です。
ー甲斐だけど、今大丈夫か?
ー甲斐先輩。お忙しいところご連絡をいただきましてありがとうございます。
ーいや、なんとなく連絡は来るかなと思っていたからな。
ーそうだったんですか?
ーああ。少し前に俺も伊月から、谷垣くんに恋人ができたみたいだと報告を受けていたんだ。伊月はまだ相手について詳しくは聞いていないみたいだったけど、谷垣くんの相手によっては伊月が危ない目に遭うかもしれないから、悪いと思ったが調べさせてもらっていたんだ。
ーなるほど。そういうことでしたか。
ー悪い、嫌な気にさせたな。
ーいえ。そのようなことは決してありません。それで、調査の結果、私は合格をいただけましたか?
ーははっ。もちろん。志摩くんならいうことなしだな。
甲斐先輩に太鼓判を押してもらえるとなんだか安心する。
ーそれならよかったです。
ー勝手に調査していた代わりに、志摩くんが絶対に喜ぶ映像を送るからそれで許してくれ。
ー私が喜ぶ映像、ですか?
ーああ。大学生の時の谷垣くんが、伊月のリハビリをしている時の映像だよ。二人でテラスでお茶をしている映像もある。
ーなっ――!! それは絶対に喜びます!!
見たいと思っても絶対に見られなかったものだ。
それがまさか見られる日が来るなんて!!
ーははっ。だろう? 後でさっきのアドレスにURLを送るからそこから入ってみてくれ。保存を忘れないようにな。
ーありがとうございます!
思いがけない贈り物をもらい、私は興奮しきりだった。
ーそれで電話の本題だが……
ーああ、そうでした! 甲斐先輩と伊月さんは招待客の誰にも会わないようにするために早くから会場に行かれるのですよね?
ーそうだ。誰にも会わない離れを用意してもらっている。
ーその離れから私たちの待機部屋が一番近い場所にあるので、尚孝さんが一人で待っている間にこっそりそちらに呼び込んで偶然出会ったようにしていただきたいんです。
ーなるほど。それなら谷垣くんの精神的負担も少なくて済みそうだな。
もう6年近い知り合いだけあって尚孝さんの性格も熟知されているようだ。
ーはい、当日、尚孝さんを一人で部屋に残したら甲斐先輩に連絡を入れますので、タイミングを見計らって外に出てみてください。当日、私は何も知らないことにしておきますので尚孝さんをよろしくお願いします。
ーわかった。その辺りのことは任せてくれ。
私は頼もしい先輩の声に安心して電話を切った。
* * *
当日、招待客の皆さんを部屋に誘導しながらスマホで尚孝さんの所在をチェックする。
離れから動き、待機部屋に戻ったところを見計らって、私は尚孝さんを呼びに向かった。
私を見てほっとした表情がとても可愛くて、そのまま押し倒してしまいたくなるのを必死に抑え、尚孝さんとともに磯山先生たちの部屋に向かった。
そんな感想をいただいて確かに絶対そうだよねと思ったので、唯人sideのお話を書いてみました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side唯人>
よかった、尚孝さん……無事に甲斐先輩たちに会えたようだな。
スマホアプリに入れていた尚孝さんのGPSを確認するとさっき案内した部屋とは違う離れにいるのがわかる。
結婚式の二日前に会長から招待客を二名追加したことと、料理はすでに追加済みという連絡を受け、しかもこの二人については一切何も聞かずに他言無用で頼むと言われ、何か会長の企みがあるのだとすぐにピンときた。
私としては、会長の結婚式だし招待客が当初の予定から多少増えても手配さえできれば特に問題はない、
しかもそれが一花さんを喜ばせることになるのなら、私は裏方としてしっかりと見守るだけだ。
私が口出しをしないとわかっている会長から念のためにと伝えられた招待客の名前に見覚えがあった。
<甲斐慎一>
桜城大学の卒業生で獣医師と弁護士のダブルライセンスをとった人だとすぐに思い出した。
風の便りで今はブリーダーをしていると聞いていたことを思い出し、すぐに櫻葉邸で飼われ始めたミニチュアダックスフンドと繋がった。
なるほど。その関係で結婚式に招待したのだろう。
どんな考えがあるのかいろいろ想像はするが、それは私も当日の楽しみにしておくとしよう。
それはさておき、会長自ら招待したのだし、同じ桜城大学のOBだから信頼のおける相手だと分かってはいたものの、いつもの習慣で彼らについて調べたところ、驚くべき事実が発覚した。
実は、尚孝さんが桜守大学時代に理学療法士となるためのリハビリ実習で受け持った患者が、甲斐先輩の恋人である伊月さんだったのだ。その時に仲良くなり、今でも頻繁ではないがメッセージを送り合う仲らしい。
現に尚孝さんが事故を起こした時も伊月さんから心配する連絡が来ていたようだ。
そんな二人が久しぶりに会う機会があるのなら会わせてやりたい。
けれど、甲斐先輩たちが招待されていることは誰にも内緒だ。
尚孝さんは隠し事ができるタイプではない。
それがわかっているから伊月さんも尚孝さんに連絡はしなかったのだろう。
それなら偶然を装って、二人が会えるようにしてやった方がいい。
そう思いついた私はすぐに甲斐先輩に連絡を取った。
メッセージでおおまかな内容を記載し、できれば電話で話したいと送ると、それからすぐに甲斐先輩から連絡が来た。
ーはい。志摩です。
ー甲斐だけど、今大丈夫か?
ー甲斐先輩。お忙しいところご連絡をいただきましてありがとうございます。
ーいや、なんとなく連絡は来るかなと思っていたからな。
ーそうだったんですか?
ーああ。少し前に俺も伊月から、谷垣くんに恋人ができたみたいだと報告を受けていたんだ。伊月はまだ相手について詳しくは聞いていないみたいだったけど、谷垣くんの相手によっては伊月が危ない目に遭うかもしれないから、悪いと思ったが調べさせてもらっていたんだ。
ーなるほど。そういうことでしたか。
ー悪い、嫌な気にさせたな。
ーいえ。そのようなことは決してありません。それで、調査の結果、私は合格をいただけましたか?
ーははっ。もちろん。志摩くんならいうことなしだな。
甲斐先輩に太鼓判を押してもらえるとなんだか安心する。
ーそれならよかったです。
ー勝手に調査していた代わりに、志摩くんが絶対に喜ぶ映像を送るからそれで許してくれ。
ー私が喜ぶ映像、ですか?
ーああ。大学生の時の谷垣くんが、伊月のリハビリをしている時の映像だよ。二人でテラスでお茶をしている映像もある。
ーなっ――!! それは絶対に喜びます!!
見たいと思っても絶対に見られなかったものだ。
それがまさか見られる日が来るなんて!!
ーははっ。だろう? 後でさっきのアドレスにURLを送るからそこから入ってみてくれ。保存を忘れないようにな。
ーありがとうございます!
思いがけない贈り物をもらい、私は興奮しきりだった。
ーそれで電話の本題だが……
ーああ、そうでした! 甲斐先輩と伊月さんは招待客の誰にも会わないようにするために早くから会場に行かれるのですよね?
ーそうだ。誰にも会わない離れを用意してもらっている。
ーその離れから私たちの待機部屋が一番近い場所にあるので、尚孝さんが一人で待っている間にこっそりそちらに呼び込んで偶然出会ったようにしていただきたいんです。
ーなるほど。それなら谷垣くんの精神的負担も少なくて済みそうだな。
もう6年近い知り合いだけあって尚孝さんの性格も熟知されているようだ。
ーはい、当日、尚孝さんを一人で部屋に残したら甲斐先輩に連絡を入れますので、タイミングを見計らって外に出てみてください。当日、私は何も知らないことにしておきますので尚孝さんをよろしくお願いします。
ーわかった。その辺りのことは任せてくれ。
私は頼もしい先輩の声に安心して電話を切った。
* * *
当日、招待客の皆さんを部屋に誘導しながらスマホで尚孝さんの所在をチェックする。
離れから動き、待機部屋に戻ったところを見計らって、私は尚孝さんを呼びに向かった。
私を見てほっとした表情がとても可愛くて、そのまま押し倒してしまいたくなるのを必死に抑え、尚孝さんとともに磯山先生たちの部屋に向かった。
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