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参列のお願い
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最初の連絡先はやはり何をおいても櫻葉会長だ。
新夫となる一花さんの父上だから、絶対に参列してくださるだろう。
櫻葉家からの参列者の候補としては、櫻葉会長と史紀さん、そして執事の二階堂さんか。
できれば安城も参列できれば史紀さんも気楽に過ごせるだろうが、どうだろうな。
期待を胸に櫻葉会長に電話を入れ、会長と一花さんの結婚式に参列いただきたい旨をお伝えすると電話越しでもわかるほど喜んでくださった。
嬉しそうな声をあげ、結婚式への参列を了承してくださったばかりか、
ー史紀と恋人にも声をかけてみよう。ああ、史紀の恋人は店をしているから難しいかもしれないが声をかけてみるよ。
櫻葉会長のほうから安城の話題を出してくださって助かる。
安城が来てくれれば史紀さんも安心するだろうし、一花さんも喜ぶに違いない。
安城の作った金平糖をとても喜んでいらしたからな。
櫻葉会長には執事の二階堂さんにもお声かけしていただきたいと伝えた。
櫻葉会長と共に一花さんの無事を願っていた方だ。そういうお方にこそ一花さんと会長の門出を祝っていただきたいのだ。
明日までに参加人数を知らせていただきたいとお願いし、それを了承いただいた。
そして、このことは一花さんには内緒にしていただきたいことを告げると、櫻葉会長は驚きながらもすぐに納得してくださった。これで櫻葉家は大丈夫だ。
磯山先生とご家族の招待は会長がされるそうだから、次の連絡は……あの方か。参列してくださったらきっと一花さんが喜ぶことだろう。
今の時間なら大丈夫だろうかと思い、リストの上部に書かれていた彼のプライベート用の電話にかけると、
ーもしもし
想像していなかった低い声が私の耳に飛び込んできた。
ーお、おはようございます。貴船コンツェルンの会長秘書をしております志摩でございます。こちらは浅香さまのご連絡先でお間違えないでしょうか?
リストを見ながら番号間違えはなかったはずと思いながらも声をかけると、少し遠い声で
ーおはようございます、志摩さん。浅香です。
と浅香さんの声が聞こえてホッとした。
もしかしたら、というか確実に、さっきの声は蓮見さんだろう。
お忙しい時に電話をかけてしまったことを詫びると、全然忙しくないという言葉が返ってきた。
だとすると、私はどうやらお二人の甘い時間を邪魔してしまったようだ。
ーお寛ぎのところ、大変失礼いたしました。また改めてお電話させていただきます。
会長と同じくらい狭量に見える蓮見さんの邪魔をしてはいけないと思い、急いで切ろうとすると
ーちが――っ、大丈夫です。このままで、大丈夫ですから。
と少し焦ったような浅香さんの声が聞こえる。
それならこのまま続けてもいいだろうか。それにせっかくならお二人揃って参加していただきたい。
ーありがとうございます、それではこのままお話しさせていただきます。できましたら、蓮見さんにもこのままご一緒にお聞きいただければ幸いです。
そう一声かけて会長と一花さんの結婚式の話を伝え、ぜひ参列していただきたいとお願いした。
自分が参列してもいいのかと驚く浅香さんに、
ー 一花さんも浅香さんがいらっしゃると喜ばれると思いますし、当日はグリも一緒に連れて行くことになると思いますので、浅香さんにも久しぶりにグリとの時間を過ごしていただきたいと貴船も申しております。
というと電話口で嬉しそうな声が聞こえた。そして浅香さんのほうから蓮見さんの都合を聞いてくださり、お二人とも参列してくださることになってホッとした。
当日の宿泊所に弊社の保養所をおつかいただこうとしたが、お二人が懇意にしているご宿泊所があるようでそれはお二人にお任せすることにした。
運転手はこちらで手配をするとして、これで要件は全て終わりかと安堵していると、蓮見さんから突然
ー当日の一花くんと貴船さんの衣装の手配はどのようになっていますか?
という質問を受けた。
衣装に関しては会長から伺ってはいなかったが、パンフレットの撮影も兼ねているのだから衣装はあちらで用意されているのだろう。ただ推測でものをいうわけにはいかない。ここはしっかりと確認しておかなければ。
ー当日は和装での撮影になっておりますので、おそらく撮影スタッフの方で用意はされているかと。申し訳ございません。すぐに確認してご連絡差し上げます。
ーああ、いや。もし指定がないようなら敬介の方で新作一点物の白無垢と色打掛を準備できるので、そちらを撮影に使ってもいいかと……なぁ、敬介。
ーええ。そうですね。当日の着付けとヘアメイクのスタッフも準備できますのでいつでもお声かけください。もし、ご入用でしたら、参列される方のお着物やドレス、ヘアメイクも全てこちらで手配させていただきますので、何なりとお申し付けください。
謝罪すると、お二人からは嬉しい提案をいただいた。
ブライダルの専門でもあるお二人からそのような提案をいただくのはかなりありがたい。
ーすぐに貴船に話をして折り返しご連絡させていただきます。
電話を切ってすぐにお二人からの提案を会長に伝えるとこの上ないほど喜んでいて、すぐにお二人に衣装の受注の連絡を入れることになった。
新夫となる一花さんの父上だから、絶対に参列してくださるだろう。
櫻葉家からの参列者の候補としては、櫻葉会長と史紀さん、そして執事の二階堂さんか。
できれば安城も参列できれば史紀さんも気楽に過ごせるだろうが、どうだろうな。
期待を胸に櫻葉会長に電話を入れ、会長と一花さんの結婚式に参列いただきたい旨をお伝えすると電話越しでもわかるほど喜んでくださった。
嬉しそうな声をあげ、結婚式への参列を了承してくださったばかりか、
ー史紀と恋人にも声をかけてみよう。ああ、史紀の恋人は店をしているから難しいかもしれないが声をかけてみるよ。
櫻葉会長のほうから安城の話題を出してくださって助かる。
安城が来てくれれば史紀さんも安心するだろうし、一花さんも喜ぶに違いない。
安城の作った金平糖をとても喜んでいらしたからな。
櫻葉会長には執事の二階堂さんにもお声かけしていただきたいと伝えた。
櫻葉会長と共に一花さんの無事を願っていた方だ。そういうお方にこそ一花さんと会長の門出を祝っていただきたいのだ。
明日までに参加人数を知らせていただきたいとお願いし、それを了承いただいた。
そして、このことは一花さんには内緒にしていただきたいことを告げると、櫻葉会長は驚きながらもすぐに納得してくださった。これで櫻葉家は大丈夫だ。
磯山先生とご家族の招待は会長がされるそうだから、次の連絡は……あの方か。参列してくださったらきっと一花さんが喜ぶことだろう。
今の時間なら大丈夫だろうかと思い、リストの上部に書かれていた彼のプライベート用の電話にかけると、
ーもしもし
想像していなかった低い声が私の耳に飛び込んできた。
ーお、おはようございます。貴船コンツェルンの会長秘書をしております志摩でございます。こちらは浅香さまのご連絡先でお間違えないでしょうか?
リストを見ながら番号間違えはなかったはずと思いながらも声をかけると、少し遠い声で
ーおはようございます、志摩さん。浅香です。
と浅香さんの声が聞こえてホッとした。
もしかしたら、というか確実に、さっきの声は蓮見さんだろう。
お忙しい時に電話をかけてしまったことを詫びると、全然忙しくないという言葉が返ってきた。
だとすると、私はどうやらお二人の甘い時間を邪魔してしまったようだ。
ーお寛ぎのところ、大変失礼いたしました。また改めてお電話させていただきます。
会長と同じくらい狭量に見える蓮見さんの邪魔をしてはいけないと思い、急いで切ろうとすると
ーちが――っ、大丈夫です。このままで、大丈夫ですから。
と少し焦ったような浅香さんの声が聞こえる。
それならこのまま続けてもいいだろうか。それにせっかくならお二人揃って参加していただきたい。
ーありがとうございます、それではこのままお話しさせていただきます。できましたら、蓮見さんにもこのままご一緒にお聞きいただければ幸いです。
そう一声かけて会長と一花さんの結婚式の話を伝え、ぜひ参列していただきたいとお願いした。
自分が参列してもいいのかと驚く浅香さんに、
ー 一花さんも浅香さんがいらっしゃると喜ばれると思いますし、当日はグリも一緒に連れて行くことになると思いますので、浅香さんにも久しぶりにグリとの時間を過ごしていただきたいと貴船も申しております。
というと電話口で嬉しそうな声が聞こえた。そして浅香さんのほうから蓮見さんの都合を聞いてくださり、お二人とも参列してくださることになってホッとした。
当日の宿泊所に弊社の保養所をおつかいただこうとしたが、お二人が懇意にしているご宿泊所があるようでそれはお二人にお任せすることにした。
運転手はこちらで手配をするとして、これで要件は全て終わりかと安堵していると、蓮見さんから突然
ー当日の一花くんと貴船さんの衣装の手配はどのようになっていますか?
という質問を受けた。
衣装に関しては会長から伺ってはいなかったが、パンフレットの撮影も兼ねているのだから衣装はあちらで用意されているのだろう。ただ推測でものをいうわけにはいかない。ここはしっかりと確認しておかなければ。
ー当日は和装での撮影になっておりますので、おそらく撮影スタッフの方で用意はされているかと。申し訳ございません。すぐに確認してご連絡差し上げます。
ーああ、いや。もし指定がないようなら敬介の方で新作一点物の白無垢と色打掛を準備できるので、そちらを撮影に使ってもいいかと……なぁ、敬介。
ーええ。そうですね。当日の着付けとヘアメイクのスタッフも準備できますのでいつでもお声かけください。もし、ご入用でしたら、参列される方のお着物やドレス、ヘアメイクも全てこちらで手配させていただきますので、何なりとお申し付けください。
謝罪すると、お二人からは嬉しい提案をいただいた。
ブライダルの専門でもあるお二人からそのような提案をいただくのはかなりありがたい。
ーすぐに貴船に話をして折り返しご連絡させていただきます。
電話を切ってすぐにお二人からの提案を会長に伝えるとこの上ないほど喜んでいて、すぐにお二人に衣装の受注の連絡を入れることになった。
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