24 / 53
友人が増えていく
しおりを挟む
「ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました」と同時進行で~とか言っておきながら、いつもの如く序章が長すぎて、会うところまで辿り着きませんでした(汗)
次は追いつけるように頑張ります。楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「尚孝さん、明日の手土産なんですがどこかおすすめはありますか?」
「あ、それなら、<星彩庵>はどうですか?」
「ふふっ。そういうと思いました」
「えっ? そうなんですか?」
「ええ。一花さんと初めてお出かけする時もあそこのお菓子でしたからね」
そう。あの時、初めて唯人さんと出会ったんだ。
困っている僕を颯爽と助けてくれた彼に一目惚れしたんだよね。
「あの時の、尚孝さん……すごくかっこよかったですよ」
「えっ? それは唯人さんでしょう! あの時、声をかけられなくてもう会えないと思って辛かったんですから」
「ふふっ。私もですよ。連絡先を聞かなかったことをあれほど後悔したことはありません。だから、会長のお宅で尚孝さんに再会出来た時、運命だと思いました」
「唯人さん……」
「私たちの出会いのきっかけになったお店ですし、一花さんの好きなお店でもありますから、明日の手土産にはぴったりですね」
「はい。あの、僕……直純くんにも、あの時と同じ金平糖を贈りたいので、早めに行けますか?」
「ふふっ。あの店の店主は実は友人なんですよ。だから彼に頼んで一つだけ取り置きしてもらいますので、午後ゆっくりと買いに行きましょう。あそこは限定品以外は別の入り口から買えますから」
「すごいですね、店主さんとご友人ですか?」
「ええ。大学の同期なんです。同じ法学部出身で彼も弁護士資格をとりましたが、父親の後を継いで店主になったんですよ」
「へぇー、そうなんですね」
やっぱり優秀な唯人さんのお友達も優秀なんだ……。
すごいな。
「明日、彼に尚孝さんを紹介するつもりですから」
「えっ? いいんですか? そんな、僕なんて……」
「何を言ってるんですか。尚孝さんだから紹介するんですよ。それに……彼の恋人は少なからず、尚孝さんに縁がある人ですから……」
「えっ? 僕に縁? 知っている人ってことですか?」
「ふふっ。明日のお楽しみです」
そんな意味深な笑顔を見せられて、気になってしまったけれど、何も聞けないままその日は更けて行った。
唯人さんに洋服を選んでもらい、それを着て出かける。
重要な役目を与えられていると思うと、緊張してしまうけれど、今日話をする直純くんに緊張がうつるような
ことがあってはいけない。
なんとか平常心を保ちながら、唯人さんの運転で出発した。
まず最初に向かったのは、<星彩庵>
相変わらずのものすごい行列に驚いてしまう。
その行列を避けて、通常の入り口から中に入った。
限定品の場所とは店内でもしっかりと仕切られているから、こっち側には僕たち以外お客さんはいないから静かでホッとする。
「いらっしゃいませ。あっ、志摩さま。お品物、ご用意できております」
唯人さんの顔を見ただけで、店員さんが声をかけてくれた。
「ありがとうございます。安城と少し話はできますか?」
「はい。お呼びいたしますね」
店員さんが中に入るとすぐに店主さんを連れてきてくれて、話の邪魔にならないようになのか、店員さんはすぐに奥に入って行った。
そういえば、僕……あの時この店主さんとも会ってるんだっけ。
まさかこうして話をすることになるとは思ってなかったな。
「志摩」
「ああ、安城。忙しいのに悪い。相変わらずの人気だな」
「いや、カステラと金平糖は用意しておいたから」
「ありがとう。やっぱり手土産には安城のところのカステラが一番だからな」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。それより、彼は……? 確か、前に店で……」
「そうだよ。マナーの悪い客を注意してくれた勇敢な人だよ」
「ああ、そうか。あの時はありがとうございました」
「いえ、そんな僕は何もできなくて……」
慌てて頭を下げると、唯人さんは僕をさっと寄り添わせて彼に言った。
「あの後偶然にも再会して、今は私の恋人だよ」
「えっ? そうなのか?」
店主さんが驚きの声をあげ、僕と唯人さんを何度も見る。
「しかも、彼は一花さんの専属理学療法士をしているんだよ」
「えっ? 一花さんの?」
どう見ても一花さんを知っているような驚きっぷりが気になって唯人さんに尋ねてみた。
「あの、一花さんとお知り合いですか?」
「ふふっ。尚孝さん、彼の恋人は櫻葉グループの社長・史紀さんなんですよ」
「ええっ??」
思いがけない言葉に、一番の大声を出してしまった。
「ふふっ。だから、尚孝さんに縁がある人と話したでしょう?」
「あ、そういえば……」
でも、まさかそんな繋がりがあるなんて思わなかった。
「安城、今度ゆっくりお互いの恋人を連れて食事でもしよう」
「あ、ああ。そうだな。史紀に話をしておくよ」
僕も店主さんも驚きが強すぎて茫然としたまま、挨拶だけして店を出た。
「すみません、驚かせすぎましたか?」
「あ、いえ。まさか、そんな繋がりのある人だと思わなくて……」
「でも、彼の恋人が男性だと知っても嫌だとは思わなかったでしょう?」
「えっ? それはもちろん。だって、僕たちも……」
「ええ。だから、仲良くなれたらいいなと思ったんです。年も近いですし」
「唯人さん……」
「友人同士で出かけるのも楽しいですよ」
「ええ、そうですね」
唯人さんに出会えたことで、僕の交友関係がどんどん広がっていく。
そのことが嬉しくてたまらなかった。
そんな浮かれた気持ちのまま、車は今日の目的地である磯山先生のご自宅に到着した。
次は追いつけるように頑張ります。楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「尚孝さん、明日の手土産なんですがどこかおすすめはありますか?」
「あ、それなら、<星彩庵>はどうですか?」
「ふふっ。そういうと思いました」
「えっ? そうなんですか?」
「ええ。一花さんと初めてお出かけする時もあそこのお菓子でしたからね」
そう。あの時、初めて唯人さんと出会ったんだ。
困っている僕を颯爽と助けてくれた彼に一目惚れしたんだよね。
「あの時の、尚孝さん……すごくかっこよかったですよ」
「えっ? それは唯人さんでしょう! あの時、声をかけられなくてもう会えないと思って辛かったんですから」
「ふふっ。私もですよ。連絡先を聞かなかったことをあれほど後悔したことはありません。だから、会長のお宅で尚孝さんに再会出来た時、運命だと思いました」
「唯人さん……」
「私たちの出会いのきっかけになったお店ですし、一花さんの好きなお店でもありますから、明日の手土産にはぴったりですね」
「はい。あの、僕……直純くんにも、あの時と同じ金平糖を贈りたいので、早めに行けますか?」
「ふふっ。あの店の店主は実は友人なんですよ。だから彼に頼んで一つだけ取り置きしてもらいますので、午後ゆっくりと買いに行きましょう。あそこは限定品以外は別の入り口から買えますから」
「すごいですね、店主さんとご友人ですか?」
「ええ。大学の同期なんです。同じ法学部出身で彼も弁護士資格をとりましたが、父親の後を継いで店主になったんですよ」
「へぇー、そうなんですね」
やっぱり優秀な唯人さんのお友達も優秀なんだ……。
すごいな。
「明日、彼に尚孝さんを紹介するつもりですから」
「えっ? いいんですか? そんな、僕なんて……」
「何を言ってるんですか。尚孝さんだから紹介するんですよ。それに……彼の恋人は少なからず、尚孝さんに縁がある人ですから……」
「えっ? 僕に縁? 知っている人ってことですか?」
「ふふっ。明日のお楽しみです」
そんな意味深な笑顔を見せられて、気になってしまったけれど、何も聞けないままその日は更けて行った。
唯人さんに洋服を選んでもらい、それを着て出かける。
重要な役目を与えられていると思うと、緊張してしまうけれど、今日話をする直純くんに緊張がうつるような
ことがあってはいけない。
なんとか平常心を保ちながら、唯人さんの運転で出発した。
まず最初に向かったのは、<星彩庵>
相変わらずのものすごい行列に驚いてしまう。
その行列を避けて、通常の入り口から中に入った。
限定品の場所とは店内でもしっかりと仕切られているから、こっち側には僕たち以外お客さんはいないから静かでホッとする。
「いらっしゃいませ。あっ、志摩さま。お品物、ご用意できております」
唯人さんの顔を見ただけで、店員さんが声をかけてくれた。
「ありがとうございます。安城と少し話はできますか?」
「はい。お呼びいたしますね」
店員さんが中に入るとすぐに店主さんを連れてきてくれて、話の邪魔にならないようになのか、店員さんはすぐに奥に入って行った。
そういえば、僕……あの時この店主さんとも会ってるんだっけ。
まさかこうして話をすることになるとは思ってなかったな。
「志摩」
「ああ、安城。忙しいのに悪い。相変わらずの人気だな」
「いや、カステラと金平糖は用意しておいたから」
「ありがとう。やっぱり手土産には安城のところのカステラが一番だからな」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。それより、彼は……? 確か、前に店で……」
「そうだよ。マナーの悪い客を注意してくれた勇敢な人だよ」
「ああ、そうか。あの時はありがとうございました」
「いえ、そんな僕は何もできなくて……」
慌てて頭を下げると、唯人さんは僕をさっと寄り添わせて彼に言った。
「あの後偶然にも再会して、今は私の恋人だよ」
「えっ? そうなのか?」
店主さんが驚きの声をあげ、僕と唯人さんを何度も見る。
「しかも、彼は一花さんの専属理学療法士をしているんだよ」
「えっ? 一花さんの?」
どう見ても一花さんを知っているような驚きっぷりが気になって唯人さんに尋ねてみた。
「あの、一花さんとお知り合いですか?」
「ふふっ。尚孝さん、彼の恋人は櫻葉グループの社長・史紀さんなんですよ」
「ええっ??」
思いがけない言葉に、一番の大声を出してしまった。
「ふふっ。だから、尚孝さんに縁がある人と話したでしょう?」
「あ、そういえば……」
でも、まさかそんな繋がりがあるなんて思わなかった。
「安城、今度ゆっくりお互いの恋人を連れて食事でもしよう」
「あ、ああ。そうだな。史紀に話をしておくよ」
僕も店主さんも驚きが強すぎて茫然としたまま、挨拶だけして店を出た。
「すみません、驚かせすぎましたか?」
「あ、いえ。まさか、そんな繋がりのある人だと思わなくて……」
「でも、彼の恋人が男性だと知っても嫌だとは思わなかったでしょう?」
「えっ? それはもちろん。だって、僕たちも……」
「ええ。だから、仲良くなれたらいいなと思ったんです。年も近いですし」
「唯人さん……」
「友人同士で出かけるのも楽しいですよ」
「ええ、そうですね」
唯人さんに出会えたことで、僕の交友関係がどんどん広がっていく。
そのことが嬉しくてたまらなかった。
そんな浮かれた気持ちのまま、車は今日の目的地である磯山先生のご自宅に到着した。
1,110
お気に入りに追加
1,060
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる