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友人が増えていく
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「ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました」と同時進行で~とか言っておきながら、いつもの如く序章が長すぎて、会うところまで辿り着きませんでした(汗)
次は追いつけるように頑張ります。楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「尚孝さん、明日の手土産なんですがどこかおすすめはありますか?」
「あ、それなら、<星彩庵>はどうですか?」
「ふふっ。そういうと思いました」
「えっ? そうなんですか?」
「ええ。一花さんと初めてお出かけする時もあそこのお菓子でしたからね」
そう。あの時、初めて唯人さんと出会ったんだ。
困っている僕を颯爽と助けてくれた彼に一目惚れしたんだよね。
「あの時の、尚孝さん……すごくかっこよかったですよ」
「えっ? それは唯人さんでしょう! あの時、声をかけられなくてもう会えないと思って辛かったんですから」
「ふふっ。私もですよ。連絡先を聞かなかったことをあれほど後悔したことはありません。だから、会長のお宅で尚孝さんに再会出来た時、運命だと思いました」
「唯人さん……」
「私たちの出会いのきっかけになったお店ですし、一花さんの好きなお店でもありますから、明日の手土産にはぴったりですね」
「はい。あの、僕……直純くんにも、あの時と同じ金平糖を贈りたいので、早めに行けますか?」
「ふふっ。あの店の店主は実は友人なんですよ。だから彼に頼んで一つだけ取り置きしてもらいますので、午後ゆっくりと買いに行きましょう。あそこは限定品以外は別の入り口から買えますから」
「すごいですね、店主さんとご友人ですか?」
「ええ。大学の同期なんです。同じ法学部出身で彼も弁護士資格をとりましたが、父親の後を継いで店主になったんですよ」
「へぇー、そうなんですね」
やっぱり優秀な唯人さんのお友達も優秀なんだ……。
すごいな。
「明日、彼に尚孝さんを紹介するつもりですから」
「えっ? いいんですか? そんな、僕なんて……」
「何を言ってるんですか。尚孝さんだから紹介するんですよ。それに……彼の恋人は少なからず、尚孝さんに縁がある人ですから……」
「えっ? 僕に縁? 知っている人ってことですか?」
「ふふっ。明日のお楽しみです」
そんな意味深な笑顔を見せられて、気になってしまったけれど、何も聞けないままその日は更けて行った。
唯人さんに洋服を選んでもらい、それを着て出かける。
重要な役目を与えられていると思うと、緊張してしまうけれど、今日話をする直純くんに緊張がうつるような
ことがあってはいけない。
なんとか平常心を保ちながら、唯人さんの運転で出発した。
まず最初に向かったのは、<星彩庵>
相変わらずのものすごい行列に驚いてしまう。
その行列を避けて、通常の入り口から中に入った。
限定品の場所とは店内でもしっかりと仕切られているから、こっち側には僕たち以外お客さんはいないから静かでホッとする。
「いらっしゃいませ。あっ、志摩さま。お品物、ご用意できております」
唯人さんの顔を見ただけで、店員さんが声をかけてくれた。
「ありがとうございます。安城と少し話はできますか?」
「はい。お呼びいたしますね」
店員さんが中に入るとすぐに店主さんを連れてきてくれて、話の邪魔にならないようになのか、店員さんはすぐに奥に入って行った。
そういえば、僕……あの時この店主さんとも会ってるんだっけ。
まさかこうして話をすることになるとは思ってなかったな。
「志摩」
「ああ、安城。忙しいのに悪い。相変わらずの人気だな」
「いや、カステラと金平糖は用意しておいたから」
「ありがとう。やっぱり手土産には安城のところのカステラが一番だからな」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。それより、彼は……? 確か、前に店で……」
「そうだよ。マナーの悪い客を注意してくれた勇敢な人だよ」
「ああ、そうか。あの時はありがとうございました」
「いえ、そんな僕は何もできなくて……」
慌てて頭を下げると、唯人さんは僕をさっと寄り添わせて彼に言った。
「あの後偶然にも再会して、今は私の恋人だよ」
「えっ? そうなのか?」
店主さんが驚きの声をあげ、僕と唯人さんを何度も見る。
「しかも、彼は一花さんの専属理学療法士をしているんだよ」
「えっ? 一花さんの?」
どう見ても一花さんを知っているような驚きっぷりが気になって唯人さんに尋ねてみた。
「あの、一花さんとお知り合いですか?」
「ふふっ。尚孝さん、彼の恋人は櫻葉グループの社長・史紀さんなんですよ」
「ええっ??」
思いがけない言葉に、一番の大声を出してしまった。
「ふふっ。だから、尚孝さんに縁がある人と話したでしょう?」
「あ、そういえば……」
でも、まさかそんな繋がりがあるなんて思わなかった。
「安城、今度ゆっくりお互いの恋人を連れて食事でもしよう」
「あ、ああ。そうだな。史紀に話をしておくよ」
僕も店主さんも驚きが強すぎて茫然としたまま、挨拶だけして店を出た。
「すみません、驚かせすぎましたか?」
「あ、いえ。まさか、そんな繋がりのある人だと思わなくて……」
「でも、彼の恋人が男性だと知っても嫌だとは思わなかったでしょう?」
「えっ? それはもちろん。だって、僕たちも……」
「ええ。だから、仲良くなれたらいいなと思ったんです。年も近いですし」
「唯人さん……」
「友人同士で出かけるのも楽しいですよ」
「ええ、そうですね」
唯人さんに出会えたことで、僕の交友関係がどんどん広がっていく。
そのことが嬉しくてたまらなかった。
そんな浮かれた気持ちのまま、車は今日の目的地である磯山先生のご自宅に到着した。
次は追いつけるように頑張ります。楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「尚孝さん、明日の手土産なんですがどこかおすすめはありますか?」
「あ、それなら、<星彩庵>はどうですか?」
「ふふっ。そういうと思いました」
「えっ? そうなんですか?」
「ええ。一花さんと初めてお出かけする時もあそこのお菓子でしたからね」
そう。あの時、初めて唯人さんと出会ったんだ。
困っている僕を颯爽と助けてくれた彼に一目惚れしたんだよね。
「あの時の、尚孝さん……すごくかっこよかったですよ」
「えっ? それは唯人さんでしょう! あの時、声をかけられなくてもう会えないと思って辛かったんですから」
「ふふっ。私もですよ。連絡先を聞かなかったことをあれほど後悔したことはありません。だから、会長のお宅で尚孝さんに再会出来た時、運命だと思いました」
「唯人さん……」
「私たちの出会いのきっかけになったお店ですし、一花さんの好きなお店でもありますから、明日の手土産にはぴったりですね」
「はい。あの、僕……直純くんにも、あの時と同じ金平糖を贈りたいので、早めに行けますか?」
「ふふっ。あの店の店主は実は友人なんですよ。だから彼に頼んで一つだけ取り置きしてもらいますので、午後ゆっくりと買いに行きましょう。あそこは限定品以外は別の入り口から買えますから」
「すごいですね、店主さんとご友人ですか?」
「ええ。大学の同期なんです。同じ法学部出身で彼も弁護士資格をとりましたが、父親の後を継いで店主になったんですよ」
「へぇー、そうなんですね」
やっぱり優秀な唯人さんのお友達も優秀なんだ……。
すごいな。
「明日、彼に尚孝さんを紹介するつもりですから」
「えっ? いいんですか? そんな、僕なんて……」
「何を言ってるんですか。尚孝さんだから紹介するんですよ。それに……彼の恋人は少なからず、尚孝さんに縁がある人ですから……」
「えっ? 僕に縁? 知っている人ってことですか?」
「ふふっ。明日のお楽しみです」
そんな意味深な笑顔を見せられて、気になってしまったけれど、何も聞けないままその日は更けて行った。
唯人さんに洋服を選んでもらい、それを着て出かける。
重要な役目を与えられていると思うと、緊張してしまうけれど、今日話をする直純くんに緊張がうつるような
ことがあってはいけない。
なんとか平常心を保ちながら、唯人さんの運転で出発した。
まず最初に向かったのは、<星彩庵>
相変わらずのものすごい行列に驚いてしまう。
その行列を避けて、通常の入り口から中に入った。
限定品の場所とは店内でもしっかりと仕切られているから、こっち側には僕たち以外お客さんはいないから静かでホッとする。
「いらっしゃいませ。あっ、志摩さま。お品物、ご用意できております」
唯人さんの顔を見ただけで、店員さんが声をかけてくれた。
「ありがとうございます。安城と少し話はできますか?」
「はい。お呼びいたしますね」
店員さんが中に入るとすぐに店主さんを連れてきてくれて、話の邪魔にならないようになのか、店員さんはすぐに奥に入って行った。
そういえば、僕……あの時この店主さんとも会ってるんだっけ。
まさかこうして話をすることになるとは思ってなかったな。
「志摩」
「ああ、安城。忙しいのに悪い。相変わらずの人気だな」
「いや、カステラと金平糖は用意しておいたから」
「ありがとう。やっぱり手土産には安城のところのカステラが一番だからな」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。それより、彼は……? 確か、前に店で……」
「そうだよ。マナーの悪い客を注意してくれた勇敢な人だよ」
「ああ、そうか。あの時はありがとうございました」
「いえ、そんな僕は何もできなくて……」
慌てて頭を下げると、唯人さんは僕をさっと寄り添わせて彼に言った。
「あの後偶然にも再会して、今は私の恋人だよ」
「えっ? そうなのか?」
店主さんが驚きの声をあげ、僕と唯人さんを何度も見る。
「しかも、彼は一花さんの専属理学療法士をしているんだよ」
「えっ? 一花さんの?」
どう見ても一花さんを知っているような驚きっぷりが気になって唯人さんに尋ねてみた。
「あの、一花さんとお知り合いですか?」
「ふふっ。尚孝さん、彼の恋人は櫻葉グループの社長・史紀さんなんですよ」
「ええっ??」
思いがけない言葉に、一番の大声を出してしまった。
「ふふっ。だから、尚孝さんに縁がある人と話したでしょう?」
「あ、そういえば……」
でも、まさかそんな繋がりがあるなんて思わなかった。
「安城、今度ゆっくりお互いの恋人を連れて食事でもしよう」
「あ、ああ。そうだな。史紀に話をしておくよ」
僕も店主さんも驚きが強すぎて茫然としたまま、挨拶だけして店を出た。
「すみません、驚かせすぎましたか?」
「あ、いえ。まさか、そんな繋がりのある人だと思わなくて……」
「でも、彼の恋人が男性だと知っても嫌だとは思わなかったでしょう?」
「えっ? それはもちろん。だって、僕たちも……」
「ええ。だから、仲良くなれたらいいなと思ったんです。年も近いですし」
「唯人さん……」
「友人同士で出かけるのも楽しいですよ」
「ええ、そうですね」
唯人さんに出会えたことで、僕の交友関係がどんどん広がっていく。
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そんな浮かれた気持ちのまま、車は今日の目的地である磯山先生のご自宅に到着した。
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