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愛されたくてたまらない※

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<side尚孝>

唯人さんが帰ってきたのに眠ってしまっていたけれど、唯人さんはそれを怒るどころか、抱きしめて愛してくれた。
後ろからぎゅっと抱きしめられて、唯人さんのおっきなモノで中を擦られて……あっという間に蜜を溢してしまった。
だけど唯人さんも僕の中にたっぷりと蜜を放ってくれて、愛されてるって気持ちに包み込まれて幸せでたまらなかった。

しかも中に挿入ったまま、愛の言葉までもらえて……こんなに幸せすぎて怖いくらい。

離れていた時間を一気に補えるくらい、身も心も僕の中に帰ってきてくれて、僕は幸せのままに唯人さんと抱き合い続けた。

しばらくしてお風呂に連れて行ってもらい、綺麗に身体も清めてもらって、久々のリビングに向かった。
もちろん、唯人さんに抱っこされたままで……。

大きくて座り心地の良いソファーに腰を下ろすと唯人さんは僕をぎゅっと抱きしめて、

「大事な話があるんです」

と一言告げた。

今までの僕なら、もしかして別れ話とか? とネガティブなことを考えただろう。
でも、たった今までたっぷりと心も身体も愛されて、唯人さんの愛情を受け取った僕にはそんなネガティブな感情は芽生えない。

これも唯人さんのおかげだ。

だから、僕はしっかりと話を聞ける。

「はい。僕なら大丈夫です」

そういうと、唯人さんは表情を和らげた。

「詳しい話は明日以降になりますが、実は、一花さんを生まれたばかりの病院から誘拐する手助けをした人物を特定し、先ほど逮捕されたそうです」

「えっ……」

「実行犯は、もうすでに別件で逮捕されているのですが、共犯者の存在があったために今までその情報は隠されていたんです。ですが、ようやく共犯者が捕まったということで、今夜、一花さんの誘拐事件に関する一報が流れます。それで……おそらくなんですが、これから一花さんの誘拐されてから父親である櫻葉会長と再会するまでのことがマスコミによって調べられるでしょう。その際に……」

「僕が一花くんを怪我させてしまったことも知れ渡るということですね」

僕の言葉に唯人さんが辛そうに頷く。

「あれだけ苦しい思いをした尚孝さんの傷口を抉るような真似をしてほしくないのですが、止めることもできず……申し訳ありません」

「どうして唯人さんが謝るんですか? 僕が一花くんを轢いて怪我をさせてしまったのは事実ですから、いいんです。僕はそのことを一生忘れるつもりもありませんから」

「ですが……」

「僕が辛い思いをすると思って一緒に辛さを感じてくださるなんて……唯人さんって、すごく優しいですね。でも大丈夫です。僕は一花くんへの贖罪の気持ちを忘れたりしないですし、そのことで誰に何を言われても、事実なのでなんとも思いません。僕にできることをやり続けるだけです」

「尚孝さん……私の愛した人が、こんなにも強くてかっこいいなんて……最高ですね」

そう言って、唯人さんが僕を強く抱きしめてくれる。

「ふふっ。僕が強くなれたのは、唯人さんのおかげですよ。愛してくれる人がいるって、本当に心強いですね」

「尚孝さんっ!!」

「んんっ!!」

柔らかな唇が重なって、僕はまた幸せに包まれる。
ああ、本当に唯人さんと出会えてよかった。




「尚孝さん、週末温泉旅行に行きましょう」

突然唯人さんから言われた時はびっくりしてしまった。

聞けば、一花くんの産みの母である櫻葉会長の奥さまが遺されたベビー服を着せるぬいぐるみを作ってくれる作家に会いにいくという、貴船会長と一花くんの外出に付き添うとのこと。

「運転手兼護衛ということなんですが、会長が尚孝さんも一緒にと誘ってくださったので引き受けたんです。一緒に行ってくれますよね?」

「え、ええ。それはもちろん。とても嬉しいです。嬉しすぎて頭が追いつかないくらいですよ」

「ふふっ。当日は会長がキャンピングカーを用意なさるそうなので、助手席に座ってくださいね」

「えっ? キャンピングカーですか? それは、またすごいですね」

「ええ。今、一花さんをあまりひと目に晒すのは避けたほうがいいですからね」

そう言われればそうだ。
事件の一報が入ってから連日櫻葉グループと一花さんの話で持ちきりだ。
だからこそ、僕の起こした事故についてもいろいろ言われるかと覚悟をしていたけれど、一花くんが未知子さんを庇って事故に遭い、貴船家の養子となったことが出ていただけで、僕の素性については一切出ていなくて拍子抜けしてしまった。

唯人さんはそのことを何も言わないけれど、僕は密かに唯人さんが何か手助けしてくれたんじゃないかと思っている。
本当に優しい恋人だ。

当日、貴船邸に向かい地下駐車場に入ると、大きなバスのようなものが止まっていて驚いてしまった。

「これが今日乗っていくキャンピングカーですよ」

「ええっ! これがっ?」

僕のイメージのとは見た目も大きさも全然違う。

「ふふっ。一花さんとの外出を万全なものにするために会長自ら手配していましたからね。これ、中にもう一台車が収納されているんですよ」

「ええっ!!!」

もう驚きの声しか出ない。
実は目的地であるぬいぐるみ作家さんの工房はかなり入り組んだところにあり、このキャンピングカーは通れないらしい。
なので、一度旅館にキャンピングカーを止めてもう一台の車に乗り換えて向かうそうだ。

「お二人で向かうそうなので、その間は温泉でも楽しみましょうか」

「――っ!! は、はい」

あの時を彷彿させる艶のある甘い声で誘われて、身体の奥がずくんと疼いてしまう。

「ふふっ。だめですよ、会長にそんな可愛い顔を見せたら」

「そんな……っ、可愛いなんて……」

「ふふっ。尚孝さんは可愛いですよ。私だけのものです」

チュッとキスをされて、そのまま抱きしめられる。

「あんまり揶揄わないでください」

「本当のことですよ、でもこれくらいにしておきましょうか。会長に見られたら本当に嫉妬してしまいますから……」

頬を優しく撫でられて、もう一度チュッとキスをされたところで、

「ああ、もう来ていたのか? 早いな」

と貴船会長の声が聞こえる。

見られたかな? とドキドキしたけれど、

「大丈夫ですよ」

と小声で囁かれて恥ずかしくなる。

「わぁーっ、すごいっ!!」

キャンピングカーを見て無邪気な声をあげる一花くんにホッとした自分がいた。

車に乗り込むと会長たちのいるところと、僕たちのいる運転席は別空間でずっと二人っきりでドライブを楽しんでいるような感覚にホッとする。
高速を走っていると、隣を走る車からの視線をすごく感じる。

まぁこんなすごいキャンピングカーが走っていたら当然かもしれない。

SAに止まっても、一花くんと会長は全く出てくる気配がない。
飲み物もトイレも完備しているから出てくる理由がないのだろう。

僕たちは休憩所で一旦外に出てコーヒーを買って車に乗り込んだ。

大きな車を運転する唯人さんの姿にドキドキしながら、あっという間に車は山間にある空き地に到着した。

「尚孝さん、ここの近くにカフェがあるので行きましょう」

「はい。会長たちも一緒ですか?」

「いえ、会長と一花さんは車内で食事を召し上がることになっていますから、私たちだけで行きましょうか」

車椅子であることや、今の状況を考えるとそのほうが安心なのだろう。

唯人さんが連れて行ってくれた森の中にあるカフェレストランは、ログハウス風の可愛らしい店で、一花くんが喜びそうな作り。

メニューもハンバーグやパスタ、オムライスなど一花くんの好きそうなものばかり。

「あっ、ここデザートがテイクアウトできますね。一花くんに買って帰ってもいいですか?」

「ええ、そうしましょう」

「唯人さんは何にしますか?」

「ふふっ。ここにはおすすめのものがあるんですよ。それにしましょうか」

「はい。楽しみです」

注文して運ばれてきたのは、小さなオムライスや海老フライ、ハンバーグにパスタまで乗っている盛り沢山なワンプレートの料理。

「これ……」

「大人のお子さまランチです。尚孝さんがお好きかと思って」

「はい! こういうの大好きです!! ちっちゃな宝石が集まっているみたいで楽しいですよね」

「ふふっ」

ちょっと興奮してしまって恥ずかしいけれど、それを愛おしそうな目で見てくれるのがとても嬉しい。
本当に僕は愛されてるんだな。

癒される外の景色を楽しみながら、美味しい料理に舌鼓を打ち、あっという間にプレートは空になってしまった。

「大満足です」

「それならよかった。この後はそのまま旅館に向かって、会長たちとは別行動になります」

――温泉を楽しみましょうね。

そう言われたことを思い出して、一気に顔に熱が籠る。

「ふふっ。尚孝さん、期待してますか?」

「そ、そんな……っ」

「私は期待してますよ」

「――っ、唯人さん……」

「部屋に露天風呂が付いているので、たっぷり愛し合いましょうね」

「――っ!!!」

手をぎゅっと握られるだけで興奮してしまう自分がいる。
ああ、もう僕は唯人さんに早く愛されたくてたまらないみたいだ。


<side志摩>

会長と一花さんを見送って、尚孝さんと旅館に入る。
入り口で荷物を渡し運んでもらうように頼んでから中に入ると、

「いらっしゃいませ。お待ち申し上げておりました。あちらでお手続きをお願いいたします」

とすぐに女将と思しき女性が出迎えてくれた。

「尚孝さん、そこに座って待っていてください」

「は、はい」

ロビーには誰もいないから、声をかけられたりはしないだろう。
常に尚孝さんに意識を向けながら、フロントで宿泊の手続きをする。

「二部屋、予約していると思うんですが……」

「はい。貴船さまと志摩さまで離れのお二部屋、ご予約をいただいております。お荷物はお部屋に運び入れておりますのでご安心ください。お部屋についております露天風呂は二十四時間いつでもお入りいただけます。夕食はそれぞれのお部屋でお召し上がりになりますか?」

「いえ、私たちの夕食ももう一部屋の方に運んでください。時間は後ほど連絡します」

「承知しました。それではお部屋にご案内いたします」

その声に女将がさっと先を進んでいく。

「尚孝さん、行きましょうか」

「は、はい」

少し緊張している様子の尚孝さんを可愛いと思いながら、案内されるままに離れの部屋に向かう。

「わっ! すごいお風呂!! あっ!!」

部屋に入ってすぐに大きな窓の外に露天風呂を見つけ、尚孝さんが可愛い声をあげるがすぐに顔を真っ赤にする。

きっとさっきお風呂で愛し合いましょうと言ったのを思い出しているのだろう。
もう何度も愛し合ったというのに、尚孝さんはいつまで経っても初心うぶで可愛らしい。

女将さんは一通り説明を終えるとすぐに部屋を出ていった。
ようやく私たちだけの甘い時間が始まる。

「尚孝さん……」

「ゆ、いとさん……っ」

潤んだ瞳で見上げられるだけで興奮してしまう。
だがせっかくの温泉を前にこのまま寝室に連れ込んでしまったら、きっと尚孝さんに嫌われてしまうだろうな。

必死に理性を総動員して、チュッと重ねるだけのキスをする。
ああ、柔らかな唇をこじ開けて、甘い唾液を味わいたいが今は我慢だ。

「尚孝さん……せっかくですから、温泉に入りましょう」

「はい……」

脱衣所に行き、尚孝さんの服を脱がせようと手を伸ばすと、

「唯人さんから、服を脱がせてもいいですか?」

と尋ねられる。
尚孝さんに脱がせてもらえるのならそんなに嬉しいことはないが珍しい。

「ええ、もちろんですよ」

その言葉にふっと尚孝さんの周りの空気が和らぐ。
何かに緊張している?

たしかに温泉は初めてだが、ここまで緊張するとは思えないのだが……。
そう思いつつ、尚孝さんにされるがままに服を脱がせてもらっているとズボンを脱がせた尚孝さんがホッとしたように笑った。

「どうかしましたか?」

「あっ、いえ、その……キスが……」

「えっ?」

「唯人さんが……いつもみたいなキス、してくれなかったので……もしかしたら、興奮してくれてないのかと思って、それで……でも、興奮してくれてたんだってわかってホッとしたんです」

「――っ、当たり前ですよ!!」

「えっ……」

「さっきは、必死に抑えたんです。あのまま深く唇を奪っていたら、その場で押し倒してしまいそうで……。でも、尚孝さんと温泉に入りたくて、我慢したんです……」

「唯人さん……」

私が、何も言わずに温泉に入ろうと言ったから、不安にさせてしまったのだろう。
私の身体の方がずっとずっと素直だな。

「もうずっと尚孝さんに興奮させられてますから、こんなふうになってしまうのも仕方がないでしょう?」

下着を突き破ってしまいそうな勢いで押し上げているのだから。

「尚孝さんも脱がせていいですか?」

「は、はい……」

ドキドキが伝わってきそうなくらい、尚孝さんの顔が赤い。
俯いている視線の先には私の昂りがある。
これほど期待されるのは男として嬉しい限りだ。

あっという間に下着一枚になり、お互いに脱がせ合う。
最初は尚孝さんから。

ぴょこんと下着から飛び出てくるのが実に可愛らしい。

「僕も脱がせますね」

嬉しそうに跪いて、ゆっくりとおろすと、待ってましたとばかりに昂りが飛び出してくる。

「わぁっ。すごいっ!!」

目を輝かせてくれる尚孝さんを可愛いと思いながら、尚孝さんの腰を抱き、露天風呂に向かった。

客室露天風呂は掛け湯して入るだけというところも多いが、ここの露天風呂は広い洗い場も設置してあるのが素晴らしい。
蓮見さんの行きつけだと聞いていたがさすがだな。

さっと髪と身体を洗い流し、ようやく露天風呂に浸かる。

尚孝さんを抱きかかえて中に入ると、思わず

「あぁーっ」

と声が出た。

おじさんくさいと笑われるかと思ったが、

「ふふっ。ついつい声が出ちゃいますよね」

と笑顔を向けられる。
こういうところが本当に愛おしい。

「幸せすぎて怖いくらいですね」

「ふふっ。私もですよ。まさか、愛しい恋人と一緒に温泉に入れる日が来るなんて思っても見ませんでした」

「唯人さん……」

「やっと尚孝さんを味わえます」

「んんっ……んっ……」

唇を重ね合わせると、すっと唇が開いて誘い込まれる。
舌を滑り込ませると、尚孝さんの方から積極的に舌を絡めてくれる。

ああ、ここまで望んでくれていたのだな。
本当に私の恋人は初心なのに、時に淫らな小悪魔になって私を翻弄する。

このままたっぷりと身体の奥まで味わわせてもらおうか。

私はキスをしながら、立ち上がり尚孝さんを露天風呂の縁に座らせた。
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